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 二本木の陣を引き払った森長可は、海津城を目指し出発。幸い芋川、島津が追い掛けて来る事は無く、無事信越国境に到達。大塚次右衛門も合流し、拠点の1つである長沼城を目指そうとした。丁度その時、人影が……。
大塚次右衛門:殿。見て参ります。
森長可:頼む。
大塚次右衛門:不審な動きが見られましたら容赦なく斬り捨てます。
と兵を進める大塚次右衛門に向かい、
「森様に御座いますか?」
大塚次右衛門:如何にも。其方は確か……。
「はい。出浦盛清に御座います。」
出浦盛清は、長年武田の三ツ者。忍者として活躍して来た人物で、武田滅亡後織田に降伏。今は森長可の家臣。
大塚次右衛門:わざわざの出迎え感謝致す。
出浦盛清:勿体ないお言葉。
大塚次右衛門:ただ殿は其方の召集を掛けてはおらぬ。何故ここに?
出浦盛清:……それは。
一通の書状を差し出す出浦盛清。これを受け取り一読する大塚次右衛門。
大塚次右衛門:……ん!これは!?
出浦盛清:大至急森様にお伝えしなければ。と馳せ参じた次第であります。
大塚次右衛門:わかった。ところで其方?
出浦盛清:はい。海津までの道案内。務めさせていただきます。
森長可は大塚次右衛門の進言を受け入れ、長沼城へは入らず急ぎ海津城へ。海津城……。

大塚次右衛門:人質をひととこへ集めよ!!
の指示を飛ばした後……。
森長可:出浦殿。
出浦盛清:はい。
森長可:こちらの書状。確かな物か?
出浦盛清:はい。武田と上杉は和睦以降、やり取りを続けて来ました。その時の書状がこちらに御座います。
大塚次右衛門:確かに上杉からの書状であります。
出浦盛清:上杉は川中島の国衆を使い、殿を亡き者にしようと目論んでいます。
大塚次右衛門:其方にとって我らは仇。何故我らにこの事を伝えた?
出浦盛清:上杉を信用する事が出来ないからであります。上杉は武田滅亡後、我らを焚き付けて来ました。川中島から織田を排除する事を目的に。実際、芋川と島津は動きました。しかしその時、彼らに対し上杉が動く事はありませんでした。越中でも同様の事をしています。そんな上杉の言葉等信用する事は出来ません。
大塚次右衛門:しかし其方は我らを排除したいと考えているのでは無いのか?
出浦盛清:そう思われても仕方がありません。故に今回森様の下に足を運んだのであります。
森長可:出浦殿の働きが無かったら……。
大塚次右衛門:長沼で身動き出来ない恐れもありました。
森長可:この奉公。生涯忘れぬ。
出浦盛清:ありがとうございます。
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