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何やら

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「一大事であります!!」
の声に目を覚ました私。どうやら生きているらしい。
ただあの後の記憶が無い。
行ったはずの列車が何故かこちらに向かって来た所までは覚えているのだが……。
身体はどうなっている……。
目は見える。耳も聞こえる。身体を動かす事も出来る模様だ。手もあるし足もある。
痛みを感じる場所も無い。
尤もそれは……麻酔が効いているからかも知れない。
でも……管に繋がれている様子も無い。何事も無かったんだな……。
でも何も覚えていないのは何故であろうか……。
ん?何だこれは……。着ていた服では無いぞ……。
宿で提供される浴衣でも無ければ、入院患者が着るものでも無い。
素材は……鎖!?ここはいったい何処なのだ?
「殿!」
の声が聞こえるや否や私の居る部屋に入る甲冑を身に纏った人物が。
「殿!一大事であります!」
……殿?確か昨夜の宿はビジネスホテル。斯様なコスプレとは無縁な場所であったはず。ただ私に危害を加える様子は見受けられない。ここで私は……。
「殿とはいったい?」
「何寝ぼけているのでありますか!殿は殿ではありませぬか!!」
朝からそんな大声を出さないでくれ。義務教育機関の時の嫌だった事を思い出すでは無いか!ただ喧嘩して勝てる相手では無さそうだ……。
「すみません。寝起きでありまして。」
謝る私。
「寝ぼけついでにお尋ねしても宜しいですか?」
「いつもの殿らしくありませんね。御身体でも悪いのでありますか?」
「私の事を殿と言っているよね?」
「如何にも。」
「と言う事はあなた様にとって私は?」
「殿であります。」
私の方が立場が上。
「寝ぼけているので怒らないで聞いてくれ。」
「はい。」
「私の名前を教えてくれないか?」
「今、斯様な状態になられては困ります。押込するにも跡取りがいませんし。」
「すまん。」
「殿は森長可であります。」
森長可?……聞いたことがあるぞ。確か戦国時代の武将で織田信長の家臣。数々のいくさで活躍するも、小牧長久手の戦いで敢え無い最期を遂げた……あの森長可に。
「……私は森長可であるのか?」
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「と言う事は足利将軍が?」
「足利は一応将軍ではありますが、実態はありません。毛利に匿われている身であります。」
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