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待望
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6月27日。尾張国清州城で会議が開かれる。議題は織田領の配分について。その中にあって徳川家康が気に掛けていた事。それは旧武田領の扱いについて。滝川一益が北条氏政に敗れた事を受け、当初。信濃に甲斐。そして関東への進出を考えていた織田家中でありましたが……。
下山。
曽根昌世「良い場所が空きましたからね……。」
織田信長信忠親子の直轄領と畿内に基盤を構えていた明智光秀の管轄地の方が魅力的。
岡部正綱「俺らみたいな厄介な奴らが跋扈する甲斐信濃をわざわざ奪い返しに行く利点は無いわな……。」
曽根昌世「それに北条上杉の事もある。」
大久保忠世「……否定はしないが。まぁ殿の願い通りにはなった。」
甲斐に信濃。そして関東は徳川家康の権益。
曽根昌世「しかしこの便りが届く前に滝川様が小諸を出られて良かった。」
清州で会議が行われたその日。木曽義昌からの了承が届き、小諸城を出発。
大久保忠世「織田が旧武田領を放棄した事を知ったのは、恐らく美濃に入ってからの事であろう。」
曽根昌世「それを見越して木曽は滝川様を?」
大久保忠世「それはわからぬ。わからぬが、もし木曽が織田から殿に届けられた便りを知っていたら……。」
返事を引き延ばしたかも知れない。
曽根昌世「『滝川一益は徳川家康と共に裏切り者である北条氏政を討ち果たせ!』
でありますからね。」
岡部正綱「木曽にとって重要なのは自身の安全のみ。そのためには佐久小県の安定は不可欠。その担い手になり得る存在は滝川様をおいて他には居ない。」
曽根昌世「滝川様はどう出て来る事になりますでしょうか?」
大久保忠世「替地を求めて来る可能性はある。しかしそれは織田家中で為すべき事。我らには影響しない。」
曽根昌世「認めますでしょうか?」
大久保忠世「会議に出席した柴田様に丹羽様。池田様に羽柴様はそれぞれ持っていた権益を維持した上で参加されている。一方、滝川様は権益を失っている。それを補填するために織田の土地は存在しない。」
岡部正綱「しばらく混乱は続きそうですね。」
大久保忠世「そのため織田の助けを借りる事は出来ない。これは良い点でもあり、悪い点でもある。良い点は獲得したものの全てを自分のものに出来る事であり、悪い点は全て自力で為さなければならない事である。しかも敵は北条氏政に上杉景勝。我らが独力で倒すのは難しい相手である。殿自ら甲斐に入られる事になるが、其方らの働きは今後も不可欠となる。頼んだぞ。」
下山。
曽根昌世「良い場所が空きましたからね……。」
織田信長信忠親子の直轄領と畿内に基盤を構えていた明智光秀の管轄地の方が魅力的。
岡部正綱「俺らみたいな厄介な奴らが跋扈する甲斐信濃をわざわざ奪い返しに行く利点は無いわな……。」
曽根昌世「それに北条上杉の事もある。」
大久保忠世「……否定はしないが。まぁ殿の願い通りにはなった。」
甲斐に信濃。そして関東は徳川家康の権益。
曽根昌世「しかしこの便りが届く前に滝川様が小諸を出られて良かった。」
清州で会議が行われたその日。木曽義昌からの了承が届き、小諸城を出発。
大久保忠世「織田が旧武田領を放棄した事を知ったのは、恐らく美濃に入ってからの事であろう。」
曽根昌世「それを見越して木曽は滝川様を?」
大久保忠世「それはわからぬ。わからぬが、もし木曽が織田から殿に届けられた便りを知っていたら……。」
返事を引き延ばしたかも知れない。
曽根昌世「『滝川一益は徳川家康と共に裏切り者である北条氏政を討ち果たせ!』
でありますからね。」
岡部正綱「木曽にとって重要なのは自身の安全のみ。そのためには佐久小県の安定は不可欠。その担い手になり得る存在は滝川様をおいて他には居ない。」
曽根昌世「滝川様はどう出て来る事になりますでしょうか?」
大久保忠世「替地を求めて来る可能性はある。しかしそれは織田家中で為すべき事。我らには影響しない。」
曽根昌世「認めますでしょうか?」
大久保忠世「会議に出席した柴田様に丹羽様。池田様に羽柴様はそれぞれ持っていた権益を維持した上で参加されている。一方、滝川様は権益を失っている。それを補填するために織田の土地は存在しない。」
岡部正綱「しばらく混乱は続きそうですね。」
大久保忠世「そのため織田の助けを借りる事は出来ない。これは良い点でもあり、悪い点でもある。良い点は獲得したものの全てを自分のものに出来る事であり、悪い点は全て自力で為さなければならない事である。しかも敵は北条氏政に上杉景勝。我らが独力で倒すのは難しい相手である。殿自ら甲斐に入られる事になるが、其方らの働きは今後も不可欠となる。頼んだぞ。」
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