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46話
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あれから数ヶ月が経った。
色々とあったわ。
まず、お父様から「デビュタントしたのだから、過度なスキンシップは禁止だ」と言われたわ。
適切な距離を保つのは当たり前だけれど、今まで何も疑問に思わなかったから意外と難しいのよ。
お兄様に「おいで」と膝を叩かれると、つい条件反射で座ってしまうの…。最近やっと断れるようになってきたわ。
「ミュリーに癒してもらえなくて寂しいよ」
悲しそうに眉を下げられると、心が痛むけれど我慢よ!
「フェル兄様、その手にはもう乗りませんわ」
「先月までは聞いてくれたのに残念だな」
お兄様はあまり変わらないわ。
元々、最終学年まで伝えるつもりは無かったからと、私が「男の人」として意識するのを待つらしい。
でも、昔からしていたからと「過度なスキンシップでは無い」と態度も変わらない。
でも変わらないからこそ、どうしたら良いか分からなくなるのよね…。
ちなみに、お兄様の気持ちを知らなかったのは私だけよ。
邸の使用人も気づいていたし、シャルロット様達もそうだろうと思っていたそう。フェーリにまで『気づかなかったの?』と呆れられたわ。
そして、お兄様と婚約なんて話になった原因の王妃様からは、幸いにも何かしらの打診や招待は来ていないから一安心ね。
まぁ…私に本当に打診するのなら、ジュリエット様のシャルトル公爵家を無視は出来ないし、現在の候補の方をどうするのかとか色々と問題があるわ。
あの時は家族揃って焦ってしまったけれど、時間が経つと冷静に考えられるものね。
*****
ジュリエット様との関係も変わったわ。
デビュタントした事もあり、本当にお母様がお茶会に招待したのよ。
お兄様とアルベール様との4人でテーブルを囲み、ジュリエット様の謝罪で始まったけれど、ジュリエット様はデビュタントから1年半程は社交界で大変な思いをされた。
罰としては十分じゃないかしら?私はお兄様の事で押しかけられただけで、何かされた訳でもないわ。
今も偉そうな感じは残っているけれど、派手な装いもやめ本人に似合ったドレスを着ている。
仲直りというのも変だけれど、普通にお付き合いが出来ているわ。
「フェル兄様、ジュリエット様が婚約されると噂で聞きましたわ」
「うん。隣国と接する辺境伯家に嫁ぐ事になりそうだよ。しばらくは王都で2つの国の外交官や商人に繋がりを作る事になると思うよ」
同盟国といっても仲が良い訳ではなく、単純に戦争をしても互いに利が少ないから同盟を結んでいる。
今は国土の違いから、各国の特色のある品のやり取りが盛んで、そのための同盟になりつつあるわ。
「ジュリエット嬢の気の強さは辺境伯夫人に向いているだろうね」
「今度お茶会でお会いしたら、辺境伯様の事を聞いてみようかしら?」
「ミュリーは随分仲良くなったみたいだね」
「何も無かったのが、普通にお付き合いするようになっただけですわ」
「そうだね。僕はまだ苦手だよ…変わったのは認めるけれどね」
まぁ…追いかけ回されていたのだから、苦手意識はなかなか消えないのかしら?
消えないわよね。だから殿下達も傲慢で派手な令嬢が、いまだに好きでは無いのだろうし…。
*****
「そういえば、ミュリーはフランドル家の事は知りたい?」
知りたいかと聞かれたら、大体の事はフェーリから聞いて知っている。
「今は叔母様は表に出ず、フランドル伯爵子息が社交を頑張っていらっしゃるそうですね」
「知っていたの?」
「はい。デビュタントすれば、噂されるだろうからとシャルロット様が教えてくれました」
シャルロット様は知らないより知っていた方が対処出来ると、元実家の事を調べて教えてくれたわ。
叔母様は社交に出ていないし、3家が接触しない事もあり様子見なのか噂はあまり流れていないけれど。
「昔は酷い噂があったからね。彼が社交に出るようになってからは、評判も少しずつ回復しているんだよ」
「以前フェル兄様が優秀だと言ってましたものね」
「そうだね。彼、カミーユ殿とはクラスも同じだったし、今は王宮でも時々顔を合わせるけれど良い奴だよ」
私は多分1度も会った事が無いわ。
1年は同じ学園に居たけれど、お兄様からも紹介が無かったし、夜会に出るようになったけれど挨拶はしていない。
「フェル兄様やアルベール様とはお友達なのですか?」
「いや、僕達は表立っては関われないからね。挨拶程度だよ」
私の事があってランベール侯爵家とシャルトル公爵家は、フランドル伯爵家とは縁を切ったんだったわ。
「ミュリーは伯爵家の事は、どう思っているのかな?」
「覚えていませんし会った事の無い人達を、どう思うかと聞かれても何も思わないとしか…」
「それもそうだね」
お兄様はカミーユ様を気に入っているのかしら?
叔母様のせいで苦労しているカミーユ様も可哀想なのよね…。
「もし…お父様達が良いと言われたら、フェル兄様達には普通にお付き合いして欲しいです」
「良いのかい?」
「はい。フェル兄様達には確執はないのでしょう?お父様達も伯爵家を潰したい訳ではないでしょうし」
「ああ。1度父上と話してみるよ」
お兄様達がお友達になったら、私も会えるのかしら?
デビュタントして周りがどんどん変わっていくわ。お兄様とも色々な話をするようになった。
でも…時々知らない人みたいで、何となく落ち着かないわ。
色々とあったわ。
まず、お父様から「デビュタントしたのだから、過度なスキンシップは禁止だ」と言われたわ。
適切な距離を保つのは当たり前だけれど、今まで何も疑問に思わなかったから意外と難しいのよ。
お兄様に「おいで」と膝を叩かれると、つい条件反射で座ってしまうの…。最近やっと断れるようになってきたわ。
「ミュリーに癒してもらえなくて寂しいよ」
悲しそうに眉を下げられると、心が痛むけれど我慢よ!
「フェル兄様、その手にはもう乗りませんわ」
「先月までは聞いてくれたのに残念だな」
お兄様はあまり変わらないわ。
元々、最終学年まで伝えるつもりは無かったからと、私が「男の人」として意識するのを待つらしい。
でも、昔からしていたからと「過度なスキンシップでは無い」と態度も変わらない。
でも変わらないからこそ、どうしたら良いか分からなくなるのよね…。
ちなみに、お兄様の気持ちを知らなかったのは私だけよ。
邸の使用人も気づいていたし、シャルロット様達もそうだろうと思っていたそう。フェーリにまで『気づかなかったの?』と呆れられたわ。
そして、お兄様と婚約なんて話になった原因の王妃様からは、幸いにも何かしらの打診や招待は来ていないから一安心ね。
まぁ…私に本当に打診するのなら、ジュリエット様のシャルトル公爵家を無視は出来ないし、現在の候補の方をどうするのかとか色々と問題があるわ。
あの時は家族揃って焦ってしまったけれど、時間が経つと冷静に考えられるものね。
*****
ジュリエット様との関係も変わったわ。
デビュタントした事もあり、本当にお母様がお茶会に招待したのよ。
お兄様とアルベール様との4人でテーブルを囲み、ジュリエット様の謝罪で始まったけれど、ジュリエット様はデビュタントから1年半程は社交界で大変な思いをされた。
罰としては十分じゃないかしら?私はお兄様の事で押しかけられただけで、何かされた訳でもないわ。
今も偉そうな感じは残っているけれど、派手な装いもやめ本人に似合ったドレスを着ている。
仲直りというのも変だけれど、普通にお付き合いが出来ているわ。
「フェル兄様、ジュリエット様が婚約されると噂で聞きましたわ」
「うん。隣国と接する辺境伯家に嫁ぐ事になりそうだよ。しばらくは王都で2つの国の外交官や商人に繋がりを作る事になると思うよ」
同盟国といっても仲が良い訳ではなく、単純に戦争をしても互いに利が少ないから同盟を結んでいる。
今は国土の違いから、各国の特色のある品のやり取りが盛んで、そのための同盟になりつつあるわ。
「ジュリエット嬢の気の強さは辺境伯夫人に向いているだろうね」
「今度お茶会でお会いしたら、辺境伯様の事を聞いてみようかしら?」
「ミュリーは随分仲良くなったみたいだね」
「何も無かったのが、普通にお付き合いするようになっただけですわ」
「そうだね。僕はまだ苦手だよ…変わったのは認めるけれどね」
まぁ…追いかけ回されていたのだから、苦手意識はなかなか消えないのかしら?
消えないわよね。だから殿下達も傲慢で派手な令嬢が、いまだに好きでは無いのだろうし…。
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「そういえば、ミュリーはフランドル家の事は知りたい?」
知りたいかと聞かれたら、大体の事はフェーリから聞いて知っている。
「今は叔母様は表に出ず、フランドル伯爵子息が社交を頑張っていらっしゃるそうですね」
「知っていたの?」
「はい。デビュタントすれば、噂されるだろうからとシャルロット様が教えてくれました」
シャルロット様は知らないより知っていた方が対処出来ると、元実家の事を調べて教えてくれたわ。
叔母様は社交に出ていないし、3家が接触しない事もあり様子見なのか噂はあまり流れていないけれど。
「昔は酷い噂があったからね。彼が社交に出るようになってからは、評判も少しずつ回復しているんだよ」
「以前フェル兄様が優秀だと言ってましたものね」
「そうだね。彼、カミーユ殿とはクラスも同じだったし、今は王宮でも時々顔を合わせるけれど良い奴だよ」
私は多分1度も会った事が無いわ。
1年は同じ学園に居たけれど、お兄様からも紹介が無かったし、夜会に出るようになったけれど挨拶はしていない。
「フェル兄様やアルベール様とはお友達なのですか?」
「いや、僕達は表立っては関われないからね。挨拶程度だよ」
私の事があってランベール侯爵家とシャルトル公爵家は、フランドル伯爵家とは縁を切ったんだったわ。
「ミュリーは伯爵家の事は、どう思っているのかな?」
「覚えていませんし会った事の無い人達を、どう思うかと聞かれても何も思わないとしか…」
「それもそうだね」
お兄様はカミーユ様を気に入っているのかしら?
叔母様のせいで苦労しているカミーユ様も可哀想なのよね…。
「もし…お父様達が良いと言われたら、フェル兄様達には普通にお付き合いして欲しいです」
「良いのかい?」
「はい。フェル兄様達には確執はないのでしょう?お父様達も伯爵家を潰したい訳ではないでしょうし」
「ああ。1度父上と話してみるよ」
お兄様達がお友達になったら、私も会えるのかしら?
デビュタントして周りがどんどん変わっていくわ。お兄様とも色々な話をするようになった。
でも…時々知らない人みたいで、何となく落ち着かないわ。
応援ありがとうございます!
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