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45話
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お兄様と婚約?
お兄様、とうとうシスコンを拗らせ過ぎたのかしら?
どうしましょう。妹と婚約するなんて、もう矯正不能じゃないかしら?
グルグルと考えていると、お兄様に顔を覗き込まれる。
「ミュリー、聞こえてる?」
「聞こえていますわ。でも、少し聞き間違えたみたいで…」
そう!きっと聞き間違いだわ。
「じゃあ、もう一度言うね。ミュリー、僕と婚約しよう」
うん…聞き間違いじゃ無かったわ…。
私とお兄様は血が繋がっていないから問題は無い。多分。
でも義理の兄妹でってどうなの?常識で考えてアリなのかしら?もしかして…偽装婚約?
お見合いをして正式に婚約するとしても、早くて半年ほどかかるのかしら?その間の偽装って事ね!
「ふふ。ミュリーが考えている事は何となく分かるけど違うからね」
「時間稼ぎの偽装ですよね?」
「違うよ。僕は女性としてミュリーの事が好きだからね」
女性として好き?
成長が遅いせいで、ささやか過ぎる胸元に視線が落ちる。
もしや…お兄様はロリコン?まだ成長途中だけれど、私は立派な幼児体型だわ。
自分で言っていて悲しいわね…。
「妙な事を考えていそうだけど違うからね」
お兄様には何故考えている事がバレるのかしら?
「多分、一目惚れだったんだよ。家に来た頃から可愛くて大切な妹である事も事実だけど、それ以上にミュリーは僕にとって大切な女の子だったからね」
一目惚れ?赤ちゃんに一目惚れ?
それもどうなのかしら…5歳の子供が赤ちゃんに一目惚れってするの?
えっと…どうしたら良いのかしら…。
「もう…フェリクス、ミュリエルが困っているじゃない」
「私達から話すと言ったのに…まったく」
両親とテランスも居たんだったわ。
え?私、両親の前でお兄様に告白されたの?というか…お父様達は知っていたの?
「ミュリエル、フェリクスが異性として貴女を好ましく思っていると気がついたのは、お茶会に出るようになってからなのよ」
お母様はお兄様が私への恋愛感情に気づいた頃の事を教えてくれる。
お兄様がお茶会に出てからなら問題無いのかしら?
「フェリクスが学園に入る時にお願いされてね。もし、ミュリエルが卒業するまでに好きな相手が居なければ、自分と結婚させて欲しいとね。今回の件で婚約が早くなってしまうが、ミュリエルは誰か好きな人は居るかな?」
「居ませんが…」
「そうよねぇ。デビュタントして、これから色々な出会いがあるはずだったのに」
「兄妹として育ってきたんだ。フェリクスの事をすぐに将来の相手として見られないだろうが、ミュリエルも考えてみてくれないかい?」
「はい」
お父様の言葉に返事はしたけれど、実感が湧かないわ。
お兄様の言動の数々は「妹」では無く「好きな女の子」に対するものだったのね。
あら?お兄様ってシスコンじゃないって事?
*****
ちょっと混乱し過ぎた私だけ部屋に戻されたわ。
「ねぇ…ミア、アン。お兄様は男の人だけれど、お兄様ではなく男の人として見るには、どうしたら良いのかしら?」
聞いておきながら、自分でも何を言っているのか分からない。
「お嬢様は兄妹として育ってきていますからね。急には難しいでしょうが、普通の兄妹はあんなにベタベタしませんよ」
「それは…お兄様が重度のシスコンなんだと…」
「お嬢様…鈍すぎます…」
私が鈍いの?だって義理とはいえ赤ちゃんの頃からの兄妹なのよ?
「まぁ、お茶会で周りを牽制するフェリクス様は面白かったですが」
「必要以上の会話と接触を遮っていましたからね」
「ちょっと待って…2人はお兄様の事いつから気がついていたの?」
「お嬢様がお茶会にデビューした頃です。着いて行きますから、すぐに気づきましたよ」
すぐに気がつくレベルだったの?
それは…鈍いと言われても仕方がないわね。
「アルベール様がお嬢様のために自重するようにと、何度も苦言を呈しておりましたが、着実に外堀を埋めていらっしゃいましたね」
「お嬢様が学園に入り落ち着かれましたが、半年しか持ちませんでしたものね。フェリクス様って独占欲が強いですね」
あれね…アルベール様も止めてくれなくなった頃ね。
「どうして教えてくれなかったの?」
「旦那様から最終学年までは、お嬢様に伝えず好きにさせるようにと」
最初の予定だと私に好きな相手が出来なければって、お父様とお兄様は約束したんだったわ。
「でも…急にお兄様を男の人として見るなんて…」
「お嬢様、フェリクス様にされる事で嫌な事はありましたか?」
お兄様にされる事?
撫でられて、膝に乗せられて、お菓子を食べさせられた事もあったわね。恥ずかしいけれど嫌ではなかったわ。
「恥ずかしいと思う事はあるけれど、お兄様は嫌がる事はしないわ」
「少なくとも、お嬢様はフェリクス様に触れられる事は平気なんですね?」
「ええ。膝に乗せられたりは恥ずかしいけれど…」
「では、それを他のご令嬢にされていたら?」
お兄様が?何処かの令嬢の頭を撫で、膝に乗せるの?
お兄様が令嬢と話している所も、あまり見た事が無いから想像が難しいわね。
頑張って想像したのに何かしら…モヤッとするわ。
「ちょっとモヤッとするわ」
「それは嫌だなという気持ちですか?」
「分からないわ。私…ブラコンだし…」
「そうでした。お嬢様がブラコンなのもあり、フェリクス様の過剰なスキンシップが成り立っていましたね…」
残念な目で見ないでよ。
子供の頃からそうだったし、皆も何も言わなかったじゃない?
お兄様、とうとうシスコンを拗らせ過ぎたのかしら?
どうしましょう。妹と婚約するなんて、もう矯正不能じゃないかしら?
グルグルと考えていると、お兄様に顔を覗き込まれる。
「ミュリー、聞こえてる?」
「聞こえていますわ。でも、少し聞き間違えたみたいで…」
そう!きっと聞き間違いだわ。
「じゃあ、もう一度言うね。ミュリー、僕と婚約しよう」
うん…聞き間違いじゃ無かったわ…。
私とお兄様は血が繋がっていないから問題は無い。多分。
でも義理の兄妹でってどうなの?常識で考えてアリなのかしら?もしかして…偽装婚約?
お見合いをして正式に婚約するとしても、早くて半年ほどかかるのかしら?その間の偽装って事ね!
「ふふ。ミュリーが考えている事は何となく分かるけど違うからね」
「時間稼ぎの偽装ですよね?」
「違うよ。僕は女性としてミュリーの事が好きだからね」
女性として好き?
成長が遅いせいで、ささやか過ぎる胸元に視線が落ちる。
もしや…お兄様はロリコン?まだ成長途中だけれど、私は立派な幼児体型だわ。
自分で言っていて悲しいわね…。
「妙な事を考えていそうだけど違うからね」
お兄様には何故考えている事がバレるのかしら?
「多分、一目惚れだったんだよ。家に来た頃から可愛くて大切な妹である事も事実だけど、それ以上にミュリーは僕にとって大切な女の子だったからね」
一目惚れ?赤ちゃんに一目惚れ?
それもどうなのかしら…5歳の子供が赤ちゃんに一目惚れってするの?
えっと…どうしたら良いのかしら…。
「もう…フェリクス、ミュリエルが困っているじゃない」
「私達から話すと言ったのに…まったく」
両親とテランスも居たんだったわ。
え?私、両親の前でお兄様に告白されたの?というか…お父様達は知っていたの?
「ミュリエル、フェリクスが異性として貴女を好ましく思っていると気がついたのは、お茶会に出るようになってからなのよ」
お母様はお兄様が私への恋愛感情に気づいた頃の事を教えてくれる。
お兄様がお茶会に出てからなら問題無いのかしら?
「フェリクスが学園に入る時にお願いされてね。もし、ミュリエルが卒業するまでに好きな相手が居なければ、自分と結婚させて欲しいとね。今回の件で婚約が早くなってしまうが、ミュリエルは誰か好きな人は居るかな?」
「居ませんが…」
「そうよねぇ。デビュタントして、これから色々な出会いがあるはずだったのに」
「兄妹として育ってきたんだ。フェリクスの事をすぐに将来の相手として見られないだろうが、ミュリエルも考えてみてくれないかい?」
「はい」
お父様の言葉に返事はしたけれど、実感が湧かないわ。
お兄様の言動の数々は「妹」では無く「好きな女の子」に対するものだったのね。
あら?お兄様ってシスコンじゃないって事?
*****
ちょっと混乱し過ぎた私だけ部屋に戻されたわ。
「ねぇ…ミア、アン。お兄様は男の人だけれど、お兄様ではなく男の人として見るには、どうしたら良いのかしら?」
聞いておきながら、自分でも何を言っているのか分からない。
「お嬢様は兄妹として育ってきていますからね。急には難しいでしょうが、普通の兄妹はあんなにベタベタしませんよ」
「それは…お兄様が重度のシスコンなんだと…」
「お嬢様…鈍すぎます…」
私が鈍いの?だって義理とはいえ赤ちゃんの頃からの兄妹なのよ?
「まぁ、お茶会で周りを牽制するフェリクス様は面白かったですが」
「必要以上の会話と接触を遮っていましたからね」
「ちょっと待って…2人はお兄様の事いつから気がついていたの?」
「お嬢様がお茶会にデビューした頃です。着いて行きますから、すぐに気づきましたよ」
すぐに気がつくレベルだったの?
それは…鈍いと言われても仕方がないわね。
「アルベール様がお嬢様のために自重するようにと、何度も苦言を呈しておりましたが、着実に外堀を埋めていらっしゃいましたね」
「お嬢様が学園に入り落ち着かれましたが、半年しか持ちませんでしたものね。フェリクス様って独占欲が強いですね」
あれね…アルベール様も止めてくれなくなった頃ね。
「どうして教えてくれなかったの?」
「旦那様から最終学年までは、お嬢様に伝えず好きにさせるようにと」
最初の予定だと私に好きな相手が出来なければって、お父様とお兄様は約束したんだったわ。
「でも…急にお兄様を男の人として見るなんて…」
「お嬢様、フェリクス様にされる事で嫌な事はありましたか?」
お兄様にされる事?
撫でられて、膝に乗せられて、お菓子を食べさせられた事もあったわね。恥ずかしいけれど嫌ではなかったわ。
「恥ずかしいと思う事はあるけれど、お兄様は嫌がる事はしないわ」
「少なくとも、お嬢様はフェリクス様に触れられる事は平気なんですね?」
「ええ。膝に乗せられたりは恥ずかしいけれど…」
「では、それを他のご令嬢にされていたら?」
お兄様が?何処かの令嬢の頭を撫で、膝に乗せるの?
お兄様が令嬢と話している所も、あまり見た事が無いから想像が難しいわね。
頑張って想像したのに何かしら…モヤッとするわ。
「ちょっとモヤッとするわ」
「それは嫌だなという気持ちですか?」
「分からないわ。私…ブラコンだし…」
「そうでした。お嬢様がブラコンなのもあり、フェリクス様の過剰なスキンシップが成り立っていましたね…」
残念な目で見ないでよ。
子供の頃からそうだったし、皆も何も言わなかったじゃない?
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