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05話

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どうやら私は2歳になったらしい。

赤ちゃんから幼児へとレベルアップ!

お兄様が頻繁に来てくれるし、乳母のエマ、メイドのミアとアンのお陰でそこそこ楽しい毎日を過ごしている。

最近少しだけど体が動くし、視界も前より良くなったわ。やっと馴染んできたのかな?

体は寝たきりの生活だし、多分リハビリしないと歩くなんて出来ないと思うけれど、視界はかなり良くなったわ。目の凄く悪い人のメガネ無しくらいまで見えてきたのよ。

以前は例えると…更にすりガラス越しに見ているような感じだったから。ガラスが無くなっただけで、視界が全然違うのよ。

時々微熱を出すけど高熱にうなされる事は無くなったの。

女神様ざっくりで良いから馴染むまで、どのくらいかかるか教えておいて欲しかったなぁ…。



*****



「ミュリエル、起きてる?」

声のする方を少し向けるようになってから、お兄様は色んな話をしてくれるようになった。まだ視界はぼやけているから、お兄様の顔は分からないけれど、髪は金髪で青い瞳だと思う。

黄色じゃなかったわ…奇抜な髪の世界かと思っていたからほっとしたわ。

最近は魔法の練習の話とアルベールという幼馴染の話が多い。お母様のお兄様の息子らしい。同じ歳で良いライバルみたい。

「ミュリエルも話せるようになると良いのにね」

私の意識がこの体で目を覚ましてから泣くことも無く、声を発したことは無いわ。食事の為に口は開けるのに、喋ることが出来ない不思議。

指1本動かせなかったから声が出なくても不思議じゃなかったけれど、馴染めば喋れるのかな?

それにしても魔法のある世界かぁ…元気になったら私も使えるのかな?ちょっとワクワクするよね。

お兄様から聞く魔法のお話は、とっても心を刺激してくるわ。見ることが出来ないと想像はどんどん膨らむのよね。

厨二病的な刺激じゃないからね!

目も腕も疼いてないから大丈夫…大丈夫よね?前世の記憶が中途半端だから、前世の私が拗らせていなければ大丈夫なはずよ!



*****



数ヶ月経ち、目がちゃんと見えるようになった。

初めて見たお兄様は金髪碧眼の美少年だった。キラキラしてて眩しいわ…。

そこから少し声が出るようになった。最近は熱も出なくなって油断してたら、高熱が出て1週間も寝込んだ。


夢の中に女神様が出てきて熱が下がれば、体と魂は完全に一体化して普通に暮らせると言われたのは嬉しかったけど…久しぶりの高熱はキツいなぁ…。

『ただ、ずっと私の力を宿していたから…普通の人には無い力を持つ事になるわ』

『人間の言葉を借りると…女神の加護とか愛し子と呼ばれる存在ね』

元気になったら何か使命を背負った人になるのか…面倒くさいな…。

『そういうのは無いの。もちろん、使命があって力を与える事もあるけれど、貴女には無いわ。女神の愛し子だけれど今まで辛い思いをした分、この世界を楽しんで欲しいわ』

使命が無い?使命が無い女神の愛し子って大丈夫なの?

『そうね、分からないと不安よね。貴女には守護精霊をつけるわ。その子に分からない事は聞いてね』


目が覚めたら真っ暗で夜中なのかな?熱は引いたみたいで体が軽い。この世界に来てから1番体調が良いかもしれない。

女神様は「今まで辛い思いをした分、この世界を楽しんで欲しいわ」と言ったわね…つまり前世の私は幸せでは無かったのかしら?

そう思っていると目の前に15cmくらいの小人が現れた。

真珠のような光沢のある長い髪に金色の瞳、ドレスみたいな物を着ているけれど、性別はよく分からないわね。

『フェーリだよ。今日からよろしくね』

声が頭の中に響いて不思議な感じ。

『君の頭の中で答えてくれれば良いよ』

頭の中で…テレパシーみたい。

『フェーリが女神様の言ってた守護精霊なの?』
『そうだよ。分からない事は何でも聞いてね。愛し子の力は体が元通りになってから教えるよ』
『分かった。これからよろしくね、フェーリ』
『もう少し眠った方が良い。朝になれば君は元気になっているよ』
『うん。おやすみなさい』

視界ぼんやり寝たきり状態からやっと解放されて、私はこの世界に来てから初めてちゃんと眠った気がする。



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