Rabbit bride 2085 第2話 SIXの標的

まろうど

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第2話 SIXの標的

2 スケベ心のリスト

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黒夢館の呼び込みを、うさぎはまだ続けていた。

屈託のないうさぎの笑顔を見て、皆が笑顔を返した。

(このお仕事も楽しいですね❣️
kameちゃん)

(そろそろ終わりにしてもいいんじゃない?
うさぎちゃん)

サポートAIと会話をしている時に、

「そこで何をしているのか報告してもらえるかね?
宇佐妓 アリス くん」

突然、課長から通話があった。

この時代の通話は、電脳やサポートAIを使って脳内で会話ができるようになっている。

いつもと比べて、課長は少し怒っているようだった。

(やっぱり課長に見つかっちゃったよ。うさぎちゃん)

サポートAIが心配した通りになった。

(大丈夫だよkameちゃん❣️)

「今、秋葉原にあるメイド喫茶、黒夢館の呼び込みのバイトをしています❣️

課長もご利用いたしますか❓
特別に、濃厚なサービスいたしますよ💕」

長いスカートの裾をヒラヒラとさせながら、悪びれた風もなく、うさぎは明るく返事をした。

「今回の指示は、SIXと思われる者達の行動を洗い出すことの筈だ。

それに、標的が誰か分からない以上、きみも狙われている可能性があるんだぞ。

AIを使ってできる仕事を与えたのに、なぜ街中で標的になるような行動をしているのか?」

課長は本気で怒っているようだ。

すれ違う男性に手を振りながら、うさぎは答えた。

「だって、そのリストは多分間違いですもの。

SIXはその中にいないと思います」

きっぱりと否定したうさぎは、自分の考えを課長に伝えた。

「その予測が正しいとしてだ、今の行動との整合性はあるのか?」

「もちろんありますよ❣️

スナイパーなら対象の外観や性格を確認するはずです。

もし、うさぎが標的ならば、このチャンスに観察する筈です。

ちなみにですけど、今日うさぎを見ていた人数は228人です。

うさぎと会話した人数は38人❣️

全員のリストを送りますね💕」

送られてきたリストに写っている顔写真は、みんな鼻の下を伸ばしてにやけている者達ばかりだった。

スケベ心が顔に出ると、こんな表情になるのだろうか?

「それで、SIXのと思われる者はいたのか?」

呆れた課長は、送られてきたリストを全て消去した。

「SIXである可能性のある者は3人です。

彼等は、全員3ヶ月以内に入国しています。

A :イギリスの商社マン。45歳です。

B :オーストラリアの水泳インストラクター。47歳。

C :カナダの退職した物理学の教師。65歳。

この3人ですね❣️

彼らが入国してからの足取りを探ってください。

そして、作戦があります.......」

うさぎは、SIXを探し出す方法を課長に伝えた。

「納得できる内容ではないな.....」

「餌は必要です❣️」

.....2人の沈黙が続いた。

西に傾いた太陽が、ビルの間からうさぎを照らした。

背後から照らされたうさぎは、まるで光の翼を広げているようだ。

「必ず仕留めます💕」

うさぎの表情から、少女っぽさが消えた。
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