3 / 10
第2話 SIXの標的
2 スケベ心のリスト
しおりを挟む
黒夢館の呼び込みを、うさぎはまだ続けていた。
屈託のないうさぎの笑顔を見て、皆が笑顔を返した。
(このお仕事も楽しいですね❣️
kameちゃん)
(そろそろ終わりにしてもいいんじゃない?
うさぎちゃん)
サポートAIと会話をしている時に、
「そこで何をしているのか報告してもらえるかね?
宇佐妓 アリス くん」
突然、課長から通話があった。
この時代の通話は、電脳やサポートAIを使って脳内で会話ができるようになっている。
いつもと比べて、課長は少し怒っているようだった。
(やっぱり課長に見つかっちゃったよ。うさぎちゃん)
サポートAIが心配した通りになった。
(大丈夫だよkameちゃん❣️)
「今、秋葉原にあるメイド喫茶、黒夢館の呼び込みのバイトをしています❣️
課長もご利用いたしますか❓
特別に、濃厚なサービスいたしますよ💕」
長いスカートの裾をヒラヒラとさせながら、悪びれた風もなく、うさぎは明るく返事をした。
「今回の指示は、SIXと思われる者達の行動を洗い出すことの筈だ。
それに、標的が誰か分からない以上、きみも狙われている可能性があるんだぞ。
AIを使ってできる仕事を与えたのに、なぜ街中で標的になるような行動をしているのか?」
課長は本気で怒っているようだ。
すれ違う男性に手を振りながら、うさぎは答えた。
「だって、そのリストは多分間違いですもの。
SIXはその中にいないと思います」
きっぱりと否定したうさぎは、自分の考えを課長に伝えた。
「その予測が正しいとしてだ、今の行動との整合性はあるのか?」
「もちろんありますよ❣️
スナイパーなら対象の外観や性格を確認するはずです。
もし、うさぎが標的ならば、このチャンスに観察する筈です。
ちなみにですけど、今日うさぎを見ていた人数は228人です。
うさぎと会話した人数は38人❣️
全員のリストを送りますね💕」
送られてきたリストに写っている顔写真は、みんな鼻の下を伸ばしてにやけている者達ばかりだった。
スケベ心が顔に出ると、こんな表情になるのだろうか?
「それで、SIXのと思われる者はいたのか?」
呆れた課長は、送られてきたリストを全て消去した。
「SIXである可能性のある者は3人です。
彼等は、全員3ヶ月以内に入国しています。
A :イギリスの商社マン。45歳です。
B :オーストラリアの水泳インストラクター。47歳。
C :カナダの退職した物理学の教師。65歳。
この3人ですね❣️
彼らが入国してからの足取りを探ってください。
そして、作戦があります.......」
うさぎは、SIXを探し出す方法を課長に伝えた。
「納得できる内容ではないな.....」
「餌は必要です❣️」
.....2人の沈黙が続いた。
西に傾いた太陽が、ビルの間からうさぎを照らした。
背後から照らされたうさぎは、まるで光の翼を広げているようだ。
「必ず仕留めます💕」
うさぎの表情から、少女っぽさが消えた。
屈託のないうさぎの笑顔を見て、皆が笑顔を返した。
(このお仕事も楽しいですね❣️
kameちゃん)
(そろそろ終わりにしてもいいんじゃない?
うさぎちゃん)
サポートAIと会話をしている時に、
「そこで何をしているのか報告してもらえるかね?
宇佐妓 アリス くん」
突然、課長から通話があった。
この時代の通話は、電脳やサポートAIを使って脳内で会話ができるようになっている。
いつもと比べて、課長は少し怒っているようだった。
(やっぱり課長に見つかっちゃったよ。うさぎちゃん)
サポートAIが心配した通りになった。
(大丈夫だよkameちゃん❣️)
「今、秋葉原にあるメイド喫茶、黒夢館の呼び込みのバイトをしています❣️
課長もご利用いたしますか❓
特別に、濃厚なサービスいたしますよ💕」
長いスカートの裾をヒラヒラとさせながら、悪びれた風もなく、うさぎは明るく返事をした。
「今回の指示は、SIXと思われる者達の行動を洗い出すことの筈だ。
それに、標的が誰か分からない以上、きみも狙われている可能性があるんだぞ。
AIを使ってできる仕事を与えたのに、なぜ街中で標的になるような行動をしているのか?」
課長は本気で怒っているようだ。
すれ違う男性に手を振りながら、うさぎは答えた。
「だって、そのリストは多分間違いですもの。
SIXはその中にいないと思います」
きっぱりと否定したうさぎは、自分の考えを課長に伝えた。
「その予測が正しいとしてだ、今の行動との整合性はあるのか?」
「もちろんありますよ❣️
スナイパーなら対象の外観や性格を確認するはずです。
もし、うさぎが標的ならば、このチャンスに観察する筈です。
ちなみにですけど、今日うさぎを見ていた人数は228人です。
うさぎと会話した人数は38人❣️
全員のリストを送りますね💕」
送られてきたリストに写っている顔写真は、みんな鼻の下を伸ばしてにやけている者達ばかりだった。
スケベ心が顔に出ると、こんな表情になるのだろうか?
「それで、SIXのと思われる者はいたのか?」
呆れた課長は、送られてきたリストを全て消去した。
「SIXである可能性のある者は3人です。
彼等は、全員3ヶ月以内に入国しています。
A :イギリスの商社マン。45歳です。
B :オーストラリアの水泳インストラクター。47歳。
C :カナダの退職した物理学の教師。65歳。
この3人ですね❣️
彼らが入国してからの足取りを探ってください。
そして、作戦があります.......」
うさぎは、SIXを探し出す方法を課長に伝えた。
「納得できる内容ではないな.....」
「餌は必要です❣️」
.....2人の沈黙が続いた。
西に傾いた太陽が、ビルの間からうさぎを照らした。
背後から照らされたうさぎは、まるで光の翼を広げているようだ。
「必ず仕留めます💕」
うさぎの表情から、少女っぽさが消えた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる