Rabbit bride 2085 第3話 血の代償

第3話 血の代償

エピローグ

新しく接続された首都高を、いくつものヘッドライトが流れて行く。

令和の終わり頃から始まった3度の震災の影響で、東京湾の沿岸部は地盤沈下により水没している。

2085年の海岸線は、まるで江戸時代の頃の海岸線に戻ったように見える。

かつて東京駅のあった辺りを、この時代は新しい湾岸線が通っていた。

皇居西のランプを降りて、1台のセダンが路肩に駐車した。

クリスタルドラクーンの最上級セダン『レ・ディオス』だ。

エンジンは水平対向12気筒の『フラットクイーン』を積んでいるようだ。

レ・ディオスの後部座席に座っているのは、ブライド....うさぎだった。

「送ってくださってありがとうございます。

ですが、昨夜のこと....忘れてください」

強い口調でうさぎは前席に座る男達に釘を刺した。

「もちろん、誰にも言いませんよ」

鼻の下を伸ばした男達が後部座席を振り返った時には、うさぎは車の外に立っていた。

「いつの間に外に....？」

「誰にも言わない❓
違います‼️

思い出したら.....殺します‼️

それが、私の仕事ですから」

男達が返事をする前に、うさぎの姿は消えていた。

街の雑踏の中を、風が通り抜けていった。

(うさぎちゃん。
課長と連絡取れないよ。
どうしたんだろう⁉️)

(おかしいですね、kameちゃん⁉️
とりあえず、本部に戻りましょう)

動き出した歯車は、うさぎの知らないところで、人の命を回し始めた。


Rabbit bride 2085
第3話　　完