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5 マグネロボ vs バルキリー

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「いいバイクだね

ニンジャH4-R、さすがに切れ味のいいコーナリングだったよ」

最初に声を掛けたのはルカの方だった

だが、マッスルシリンダーは警戒心を緩めない

「どこの組織か知らないが、俺を逃がし屋と知っているなら敵だ❗️」

臨戦体制で構えを崩さない

それに引き換え、ルカは両手をだらりと下げ、警戒心がまるで感じられない

「燕尾服を着てバイクに乗る男が普通じゃないことくらい分かるからな❗️」

それは、マッスルシリンダーの言う通りだった

「自己紹介が遅れて申し訳ない

オレはバルキリー
電皇陛下直属の内閣調査室のエージェントだ

今日は超魔伝導技術を持つマッスルシリンダーのスカウトに来たんだ

書類を送るから確認して欲しい」

ルカがサポートAI同士を繋いでデータを送る

マッスルシリンダーは電脳内で書類を確認する

「内閣調査室のスカウトとは面白い

俺をエージェントとして使いたいって事か❓

国家からのスカウトであれば、逃がし屋として箔がつく❗️」

ルカが残念な人を見るような目に変わった

「君はエージェントとしては使えないよ

だって、弱いから」

「なんだと💢」

マッスルシリンダーの殺気が膨れ上がると同時に、一気に間合いを詰めてきた

マッスルシリンダーが着込んでいるのはニンジャH4-Rと言うバイクだった

バイクを着るとはどう言う事か❓

電気によって増幅された超魔伝導技術を使って、ニンジャH4-Rを複数の結界で区切る

それぞれの結界の形状を変えることで、バイクをパワードスーツのように着込んでいるのだ

スーパーEVバイクが搭載している大型のバッテリーが、超魔伝導技術を実現させたのだ

マッスルシリンダーは、そのパワードスーツを『マグネロボ』と呼称していた

パワードスーツ『マグネロボ』の攻撃をかわすルカ

マグネロボの拳は階段の鉄製の手すりを大きく歪ませていた

戦闘用として十分なパワーだ

「これでも弱いと言うのか⁉️」

「あぁ、弱いね」

落ち着いて話すルカに対して、今にも噛みつきそうなマッスルシリンダー

「ならば、お前を叩き潰して逃がし屋としてのステータスを上げてやる💢」

「内閣調査室のスカウトに、拒否権は無いんだけどな....」

困ったような表情が、マッスルシリンダーの怒りを増幅させる

ルカは公園内で決着を付けるために、マグネロボの頭上を飛び越え、公園中央に降りたった

《ミラクルハリケーン》

マグネロボの胸に装備されているH4-Rのヘッドライトが虹色の光を放つ

「この光の中では、電力も魔法も気も威力が半減する❗️

お前の能力はこれで封じた‼️

今、俺とマグネロボが強い事を証明してやる💢」

マグネロボは膝を折り曲げ、両膝の外側に装備しているH4-Rのタイヤを接地させた

インホイルモーターを装備する両輪を回し、マグネロボが突進する

《カウンターナイフ》

マグネロボの手の甲の装甲が一部反転して、鋭利なナイフになった

両手のカウンターナイフで切り掛かるマグネロボは、左右のホイルを反転させることで超信地旋回も可能だった

意外にも機動力が高いマグネロボ

重心移動でバランスを崩さないマッスルシリンダーも良い感覚を持っている

加速もタイトターンも想像以上だ

樹木の幹やトイレの外壁も使って一気に向きを変えて襲い掛かる

回転するタイヤごとぶつける《大車輪アタック》も織り混ぜて、多彩な攻撃を仕掛けるマグネロボだが、ルカはその全てを見切っていた

「君の弱点を教えてあげるよ」

優しくルカが伝える

「君のマグネロボのボディは、バイクの強度しかないって事だ」

リィィィィーーーン🎵

小さな鈴の音が聞こえた

ルカが左手に音叉剣を持ち、超振動ブレードを発動させた音だ

「ほらね」

すれ違い様にマグネロボのカウンターナイフを切り落とすルカ

「君の超魔伝導技術でも、空気を伝播する音は消せないだろう❓」

キィィィィヤァァァァァアアア

甲高い女性の悲鳴のような音が響く

ルカの音叉剣が発している音だ

超振動ブレードの比ではない

これは、ブランドブレードだ

音叉剣の先端から空気に伝播する超振動が、見えない刃を形成している

剣を頭上に構え、無造作に振り下ろす

音が消えた....

周囲を見回すマッスルシリンダー

切られたのか❓
切られていないのか❓

「後ろを見てごらん」

ルカの声にゆっくり振り返るマッスルシリンダー

「......何もないぞ」

トイレの外壁に小さな線が入っているのに気が付いた

その線に沿って、トイレの外壁が滑り落ちる

「うおっ💦」

驚いて自分の身体の無事を確認するマッスルシリンダー

「君のマグネロボは切っていないよ

もう一度言う
内閣調査室が君をスカウトしたいと言ってる

来てくれるかな❓」

「拒否権は、無いんですよね❓」

一応確認するマッスルシリンダー

「無いね」

「伺います❗️
なんでも協力致します‼️」

直立不動で答えるマッスルシリンダー

「ありがとう

じゃあ、一緒に行こうか」

(トイレの屋根がなくなっちゃったよ💢)

サポートAIのwaniは不機嫌だった

(大丈夫だよ
だってあそこは男子トイレだから)

青空の向こうで、お日様もにっこり笑っていた
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