2 / 7
1 せいぎの味方
しおりを挟む
令和の終わり頃から続いた大震災は、東京湾岸に甚大な被害をもたらした
被害を被った工場の多くは、それでも関東を離れることは選ばずに、関東平野の内陸部に拠点を移した
ここはその昔、両毛地区と呼ばれた場所だ
広大な稲作地帯だったことから、「稲穂」を意味する「毛」の国と呼ばれた
「かみつけ(群馬県)」と「しもつけ(栃木県)」の二つの毛の国にまたがる地域と言う意味で両毛と呼ばれた地域だ
JRの両毛線が通っている地域と言えばわかりやすいだろうか?
特に広くはないこの地域は、昭和の時代には工業生産が盛んであり、全国的に見ても工業生産高は突出した地域だった
その後、平成、令和と工業生産は落ち込む一方だったが、2085年にはかつての活況を取り戻しつつあった
国道50号沿いには、新たに巨大な工業団地がいくつも整備されていた
その中のひとつに、航空自衛隊の戦闘機のアビオニクスを研究開発している施設があった
外見は、大きな工場のような建物が並んでいる
サイレンが青空に響いている
巨大な工場の中が騒がしくなった
仕事が雑な産業スパイが、警備員に追われながら敷地外に出ようと逃げているところだった
大型の警備ロボが産業スパイの行手を遮った
「あれでは逃げられないな」
大型バイクに跨った男が、逃走劇を見ていた
男は国道50号の立体交差の上にバイクを停めて、眼下の逃走劇を見物していた
彼が跨っているバイクは、Kawasakiの最新鋭バイク《スーパーニンジャ H4-R》だ
近年、Kawasakiが開発した電動スーパーバイクだ
「バッテリー+方持ちスイングアーム+インホイルモーターを組み合わせたドライブトレーン」を、前後に180度回転させて2つも装備させた2WDマシンだ
システム出力は、他を圧倒する240馬力を誇る‼️
前後輪にステア機能があるので、CCVモード(同位相)での走行も可能だ
ブラックとメタリックグリーンのKawasakiらしいカラーリングだ
ヘルメットを被り、H4-RのキーをONにする
電動バイクなのでエンジンの始動音はない
その代わり、緑のランプが点灯して走行可能である事を示す
男は右手でブレーキレバーを握り、左足でギアチェンジペダルを走行モード《スポーツ》に入れた
アクセルを開けると猛然と飛び出すH4-R
さすがにトルクフルなモーターと2WDの組み合わせはスタートダッシュが凄まじい
ヘルメットには、小型のウェアラブルカメラが付いているようだ
走行動画を撮影しているらしい
一方工場では、逃走中の男が両足に車輪を着けた高機動警備ロボに追い詰められていた
もう絶対絶命だ
産業スパイと思われる者は、その工場で働く従業員と同じユニフォームを着ていた
おそらく、派遣社員のふりをして工場に侵入したのだろう
2体の警備ロボと2人の警備員に取り囲まれた産業スパイに、もう逃げ道はない
ジリジリと包囲網が狭められていく
自衛隊向けの新開発のアビオニクスならば、東の大陸の軍事国家に高く売れることだろう
取り囲まれた産業スパイは、意外にも冷静だった
警備ロボの1体が間合いを詰めてきた
そこに、突然割り込むモノがあった
ブラックとメタリックグリーンのロボット?
いや、パワードスーツが割って入ったのだ
極めて人のプロポーションに近いが、手足の長いフォルムをしている事と、膝の外側にタイヤが🛞着いている事が特徴的だった
頭部はショウエイのヘルメットのようだ
去年発売されたX twenty-oneだろうか?
ヘルメットの頭頂部にインスタ360oneX11が装着されている
自分の活躍を録画しているのか?
「逃してやる
約束の10万payを今渡せ」
パワードスーツが産業スパイに話し掛ける
「わかった」
事前に打ち合わせができていたのだろうか?
電脳を繋いで10万payを受け取るパワードスーツ
「よし
もらった分は仕事をする」
パワードスーツは大型の警備ロボに正面を向いた
《ミラクルハリケーン》
パワードスーツの胸から虹色の光が放たれると、警備ロボは動きを止めてしまった
パワードスーツが無抵抗の警備ロボを叩き潰す
大型の警備ロボを一撃で潰せるパワーを持っているようだ
警備員は、お互いの顔を見合わせた
「怪我をしたくなければ動くな」
産業スパイを抱えて、パワードスーツが工事の塀を軽々と飛び越えて行った
警備員は、ただ見ていることしか出来なかった
パワードスーツは両膝の車輪を使って走り去ってゆく
余裕の逃避行であった
「俺がせいぎの味方、マッスルシリンダーだ❗️」
パワードスーツの男は、勝ち誇るように叫んだ
⭐️登場人物紹介
超 電児 ヴィントホーゼ
(ちょう でんじ)
ヴィントホーゼは竜巻のドイツ語
コードネーム:マッスルシリンダー(自称)
一人称:俺
所属:フリーター
性別:男性
身長:169cm
年齢:28歳
サイボーグ比率:0%
特徴:魔導を研究していたドイツ人の父親の研究を受け継ぎ、魔導と超電動を合成した超魔伝導技術を完成させた
車やバイクをパワードスーツに変形させる能力を持つ
スーパーEVバイク ニンジャH4-Rに乗るモトブロガー
特技:空手。パワードスーツを使った戦闘を得意とする
性格:夢見るお調子者。悪の組織のお助けヒーローを目指している。名が売れたら、超魔伝導技術を販売して大金持ちになる予定
被害を被った工場の多くは、それでも関東を離れることは選ばずに、関東平野の内陸部に拠点を移した
ここはその昔、両毛地区と呼ばれた場所だ
広大な稲作地帯だったことから、「稲穂」を意味する「毛」の国と呼ばれた
「かみつけ(群馬県)」と「しもつけ(栃木県)」の二つの毛の国にまたがる地域と言う意味で両毛と呼ばれた地域だ
JRの両毛線が通っている地域と言えばわかりやすいだろうか?
特に広くはないこの地域は、昭和の時代には工業生産が盛んであり、全国的に見ても工業生産高は突出した地域だった
その後、平成、令和と工業生産は落ち込む一方だったが、2085年にはかつての活況を取り戻しつつあった
国道50号沿いには、新たに巨大な工業団地がいくつも整備されていた
その中のひとつに、航空自衛隊の戦闘機のアビオニクスを研究開発している施設があった
外見は、大きな工場のような建物が並んでいる
サイレンが青空に響いている
巨大な工場の中が騒がしくなった
仕事が雑な産業スパイが、警備員に追われながら敷地外に出ようと逃げているところだった
大型の警備ロボが産業スパイの行手を遮った
「あれでは逃げられないな」
大型バイクに跨った男が、逃走劇を見ていた
男は国道50号の立体交差の上にバイクを停めて、眼下の逃走劇を見物していた
彼が跨っているバイクは、Kawasakiの最新鋭バイク《スーパーニンジャ H4-R》だ
近年、Kawasakiが開発した電動スーパーバイクだ
「バッテリー+方持ちスイングアーム+インホイルモーターを組み合わせたドライブトレーン」を、前後に180度回転させて2つも装備させた2WDマシンだ
システム出力は、他を圧倒する240馬力を誇る‼️
前後輪にステア機能があるので、CCVモード(同位相)での走行も可能だ
ブラックとメタリックグリーンのKawasakiらしいカラーリングだ
ヘルメットを被り、H4-RのキーをONにする
電動バイクなのでエンジンの始動音はない
その代わり、緑のランプが点灯して走行可能である事を示す
男は右手でブレーキレバーを握り、左足でギアチェンジペダルを走行モード《スポーツ》に入れた
アクセルを開けると猛然と飛び出すH4-R
さすがにトルクフルなモーターと2WDの組み合わせはスタートダッシュが凄まじい
ヘルメットには、小型のウェアラブルカメラが付いているようだ
走行動画を撮影しているらしい
一方工場では、逃走中の男が両足に車輪を着けた高機動警備ロボに追い詰められていた
もう絶対絶命だ
産業スパイと思われる者は、その工場で働く従業員と同じユニフォームを着ていた
おそらく、派遣社員のふりをして工場に侵入したのだろう
2体の警備ロボと2人の警備員に取り囲まれた産業スパイに、もう逃げ道はない
ジリジリと包囲網が狭められていく
自衛隊向けの新開発のアビオニクスならば、東の大陸の軍事国家に高く売れることだろう
取り囲まれた産業スパイは、意外にも冷静だった
警備ロボの1体が間合いを詰めてきた
そこに、突然割り込むモノがあった
ブラックとメタリックグリーンのロボット?
いや、パワードスーツが割って入ったのだ
極めて人のプロポーションに近いが、手足の長いフォルムをしている事と、膝の外側にタイヤが🛞着いている事が特徴的だった
頭部はショウエイのヘルメットのようだ
去年発売されたX twenty-oneだろうか?
ヘルメットの頭頂部にインスタ360oneX11が装着されている
自分の活躍を録画しているのか?
「逃してやる
約束の10万payを今渡せ」
パワードスーツが産業スパイに話し掛ける
「わかった」
事前に打ち合わせができていたのだろうか?
電脳を繋いで10万payを受け取るパワードスーツ
「よし
もらった分は仕事をする」
パワードスーツは大型の警備ロボに正面を向いた
《ミラクルハリケーン》
パワードスーツの胸から虹色の光が放たれると、警備ロボは動きを止めてしまった
パワードスーツが無抵抗の警備ロボを叩き潰す
大型の警備ロボを一撃で潰せるパワーを持っているようだ
警備員は、お互いの顔を見合わせた
「怪我をしたくなければ動くな」
産業スパイを抱えて、パワードスーツが工事の塀を軽々と飛び越えて行った
警備員は、ただ見ていることしか出来なかった
パワードスーツは両膝の車輪を使って走り去ってゆく
余裕の逃避行であった
「俺がせいぎの味方、マッスルシリンダーだ❗️」
パワードスーツの男は、勝ち誇るように叫んだ
⭐️登場人物紹介
超 電児 ヴィントホーゼ
(ちょう でんじ)
ヴィントホーゼは竜巻のドイツ語
コードネーム:マッスルシリンダー(自称)
一人称:俺
所属:フリーター
性別:男性
身長:169cm
年齢:28歳
サイボーグ比率:0%
特徴:魔導を研究していたドイツ人の父親の研究を受け継ぎ、魔導と超電動を合成した超魔伝導技術を完成させた
車やバイクをパワードスーツに変形させる能力を持つ
スーパーEVバイク ニンジャH4-Rに乗るモトブロガー
特技:空手。パワードスーツを使った戦闘を得意とする
性格:夢見るお調子者。悪の組織のお助けヒーローを目指している。名が売れたら、超魔伝導技術を販売して大金持ちになる予定
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
歴史改変大作戦
高木一優
SF
※この作品は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』第一部を増補・改稿したものです。
タイムマシンによる時間航行が実現した近未来、歴史の謎は次々に解明されていく。歴史の「もしも」を探求する比較歴史学会は百家争鳴となり、大国の首脳陣は自国に都合の良い歴史を作り出す歴史改変実験に熱中し始めた。歴史学者である「私」はひとつの論文を書き上げ、中国政府は私の論文を歴史改変実験に採用した。織田信長による中華帝国の統一という歴史改変を目的とした「碧海作戦」が発動されたのだ。これは近代において、中華文明を西欧文明に対抗させるための戦略であった。神の位置から歴史改変の指揮を執る私たちは、歴史の創造者なのか。それとも非力な天使なのか。もうひとつの歴史を作り出すという思考実験を通じて、日本、中国、朝鮮の歴史を、おちょくりつつ検証する、ちょっと危ないポリティカル歴史改変コメディー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. )
あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。
この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。
パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!
ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる