Rabbit bride 2085 第5話 流体のなるぁ

まろうど

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1 鋼鉄のガルバルディ

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初夏の陽気が続くと、色とりどりの花が店先に飾られるようになった。

飾られた花を見ながら、街をぶらぶらするのも気持ちいいものだと思った。

今までは、花を見るよりも綺麗な女性を見る方が好きだったが、女性との会話が苦手な俺は、段々と女性への興味が薄れていったようだ。

彼女を見るまでは....

気晴らしに不味いコーヒーでも飲もうかと喫茶店に寄った時、彼女はウエイトレスの面接に来ていた。

俺の胸が締め付けられるほど、彼女は美しかった。

風になびくブロンドの髪。
穢れのない白い肌。
柔らかなピンクの唇。
そして、時々赤い色を反射する瞳。

彼女はアルビノだろうか?

水色と白のミニワンピースが可愛いらしい。

リボンの付いたパンプスが少女っぽさを引き立てる。

彼女の横顔に、俺の心がとろけそうだ。

俺は初めて、この店のコーヒーをお代わりした。

彼女は、いつからこの店で仕事を始めるのだろうか?

その時から、クソ不味いコーヒーが旨く感じた。

別段興味のなかった喫茶店だが、明日からは俺の馴染みの店にしてやろう。

彼女の名前....なんて言うんだろう?

俺はずっと彼女のことを見つめていた。

もっと近くに座っていたら、彼女の声が聞こえたはずだ。

他人とのコミュニケーションが嫌いな俺は、1番奥の椅子に座った事を後悔していた。

彼女が席を立った。

オーナーとの面接が終わったようだ。

俺は急いで支払いを済ませて店を出た。

辺りを見回した。

見つからない。

探した。

彼女のことを。

店先の花壇の回りをミツバチが飛んでいた。

そのうちの1匹が、俺の肩に留まった。

もし彼女が見ていたらと思い、俺はミツバチを払い除けずにいた。

俺は優しい男なんだと、彼女にわかって欲しいから。

柔らかな風が、街の中を過ぎて行った。

それは、うさぎの新兵器である3機のミツバチ型ドローンが対象者に取り付いた瞬間だった。

刑事達から仕入れた情報を元に、うさぎは対象者を捜索していた。

今回の任務は、戦闘用AI強化アプリを作成して、違法販売をしている鋼鉄のガルバルディと呼ばれる男を処分することだった。

鋼鉄のガルバルディは、名前に似合わない痩せっぽちな男だった。

ヒョロリとした体型で、大きく見開いた目が飛び出しているような顔立ちだった。

(この人では、ぜんぜんわくわくしませんね💦)

ガルバルディは、うさぎの性癖に刺さる相手ではなかったようだ。

(彼の生活拠点を確認するまで、ドローンで追尾しようか)

(そうね❣️)

光学迷彩で姿を隠しているうさぎが、彼から離れて歩き出した時、サイレンサーを付けたライフルの射撃音が僅かに聞こえた。

何者かにドローンが全て撃墜されたようだ。

(近くにいる彼に気付かれないように、ドローンを全部撃墜したよ)

(腕はいいみたいね❣️)

サポートAIが、射撃線から敵の居場所を割り出した。

(3つ向こうのビルの屋上だね)

(先手必勝ね❣️)

ビルからビルを飛び移り、屋上にいる敵の元へ降り立った。

「どちら様ですか⁉️

わたしの邪魔をしてくれたのは💕」

突然目の前に現れたウエディングドレスの美少女を見て、敵はライフルを捨てた。

「ワタシは格闘技が得意なのよ....
ブライドさん」

敵はブライドの事を知っているようだ。

(同業ですかね⁉️)

(そうみたいだね)

武器を使わず、素手の格闘戦を受けて立つブライド。

「たいした自信ね」

「おばさんに負けるモノは何も無いわ💕」

笑顔で返すブライド。

「可愛いく無い小娘ね💢」

「皆さん、可愛いって言ってくださいますが❣️」

おばさんは口をへの字に曲げて、凶々しい殺気を叩き付けてきた。

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