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プロローグ
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この物語は、未発表作品『雨の翔太郎』をアレンジして、主人公の翔太郎にRabbit brideに登場してもらいました。
翔太郎も並みの人間ではありません。
身長は2メートルに届きそうなくらいの大男です。
岩を人型に削り出したら、きっと翔太郎のような男になるでしょう。
翔太郎が何者なのか、予想してみてください。
《プロローグ》
遠くに見える高原山の頂が、厚い雲に隠れている。
風に乗って雨の匂いが流れてくる。
もう少しすると、ここにも雨が降り出すだろう。
ここは旧奥州街道の宿場町、氏家の街中を流れる五行川のほとりだ。
宇都宮城を守る最期の砦、鬼怒川のほとりにある勝山城の東。
そして、宿場町の氏家の南に位置する。
五行川の周囲には、広大な水田が広がっていた。
南には、遠くに筑波山。
北には雄大な那須連峰が見える。
関東平野の北端に位置する耕作地帯だ。
「この町の風景って、きっと何十年も変わっていないんだろうね」
うさぎが、誰にともなく話しかける。
(多分、ずっと前からこの景色のままだと思うよ)
サポートAIのkameが答える。
2085年の未来になると、スマホ以上の機能が脳内に埋め込まれている。
そして、それをサポートするAIも組み込まれている。
任意の職種のアプリをダウンロードすれば、誰でもその道のエキスパートになれる時代だ。
うさぎは、大きなリボンの付いたピンクベージュの長袖のセーラー服を着ていた。
リボンと同じ濃紺のスカートと黒いニーハイソックスで絶対領域を作っている。
黒いローファー履いたうさぎは、まるで通学途中の女子高生のようだ。
プラチナブロンドの髪が風に揺れている。
本部から指令を受けたうさぎは、午前8時には最寄りの駅に到着していた。
駅から徒歩で30分。
そろそろ指示された場所に着くはずだ。
「もう近くに来てると思うんだけど」
本部から送られた地図データを、脳内アプリで確認する。
現場はすぐに分かった。
風に乗って血の匂いが流れてきたからだ。
水田の間を通る道が五行川を渡る橋がある。
その橋たもとが血で濡れていた。
白くて大きな犬が、そこで血塗れで倒れていた。
「この子が、ここで頑張ったのね」
周囲の水田の稲があちこちで薙ぎ倒されていた。
おそらく、この白い犬が何者かと争った跡だろう。
白い犬には、身体中に無数の傷があった。
爪で付けられた傷。
牙で付けられた傷。
だが相手も深手を負っているはずだ。
強く噛み合わされた犬の口が、食い千切ったであろう巨大な蛇の頭を咥えていたからだ。
複数の獣の臭い。
濃い蛇の臭い。
いろいろな臭いがするが、何者の臭いなのか見当がつかない。
「この犬さんは、今でも何かと戦っているのかな❓」
犬の目は何かを睨み付けていた。
(そうかもしれないね、うさぎちゃん)
「もう休んでいいですよ」
うさぎは白い犬に手を合わせた。
頬に当たる風が強くなってきた。
風と一緒に、雨も近づいているようだ。
首を垂れた稲穂が、雨に打たれる音が近付いてくる。
雨雲がとうとうここまで来たようだ。
雨の気配が、うさぎのすぐ近くに迫って来た。
強い雨音に包まれるうさぎ。
おや❓
濡れていない⁉️
いやそんなことはない。
ひとつふたつと雨粒がうさぎの髪を濡らしてゆく。
うさぎの見上げた空に、ボロボロの傘があった。
誰⁉️
気配がなかった‼️
振り返るうさぎを見て、大きな男は頭を下げた。
それでも男の頭は、傘よりも高いところにあった。
.....誰⁉️
「その犬の飼い主で、翔太郎と言います」
大きな男は、太い声でゆっくり話した。
丸太のような首の上に、ゴツゴツとした笑顔が乗っていた。
腕も太い。
脚も太い。
だがそれは、膨大な筋肉が凝縮された太さだった。
「その犬....風太郎のことを気にかけてくださってありがとうございます」
翔太郎と名乗る青年は、太い指で握っている傘を、黙ってうさぎに差し出した。
傘があっても、大きな翔太郎の身体の一部しか覆えないんだろうなと、うさぎは思った。
翔太郎は、白い犬...風太郎を抱き抱えると、雨の中を歩き出した。
「何か困ったことがあれば、おれの家に来てください。
この五行川に沿って歩けば、おれの家がありますから」
翔太郎は、視界を覆うほどの雨の中に消えていった。
「困ったことって言われても、この傘が穴だらけでびしょ濡れなんですけど💦」
(ほんとだね、うさぎちゃん)
見上げる空は、穴の空いた傘の向こうに広がっていた。
翔太郎も並みの人間ではありません。
身長は2メートルに届きそうなくらいの大男です。
岩を人型に削り出したら、きっと翔太郎のような男になるでしょう。
翔太郎が何者なのか、予想してみてください。
《プロローグ》
遠くに見える高原山の頂が、厚い雲に隠れている。
風に乗って雨の匂いが流れてくる。
もう少しすると、ここにも雨が降り出すだろう。
ここは旧奥州街道の宿場町、氏家の街中を流れる五行川のほとりだ。
宇都宮城を守る最期の砦、鬼怒川のほとりにある勝山城の東。
そして、宿場町の氏家の南に位置する。
五行川の周囲には、広大な水田が広がっていた。
南には、遠くに筑波山。
北には雄大な那須連峰が見える。
関東平野の北端に位置する耕作地帯だ。
「この町の風景って、きっと何十年も変わっていないんだろうね」
うさぎが、誰にともなく話しかける。
(多分、ずっと前からこの景色のままだと思うよ)
サポートAIのkameが答える。
2085年の未来になると、スマホ以上の機能が脳内に埋め込まれている。
そして、それをサポートするAIも組み込まれている。
任意の職種のアプリをダウンロードすれば、誰でもその道のエキスパートになれる時代だ。
うさぎは、大きなリボンの付いたピンクベージュの長袖のセーラー服を着ていた。
リボンと同じ濃紺のスカートと黒いニーハイソックスで絶対領域を作っている。
黒いローファー履いたうさぎは、まるで通学途中の女子高生のようだ。
プラチナブロンドの髪が風に揺れている。
本部から指令を受けたうさぎは、午前8時には最寄りの駅に到着していた。
駅から徒歩で30分。
そろそろ指示された場所に着くはずだ。
「もう近くに来てると思うんだけど」
本部から送られた地図データを、脳内アプリで確認する。
現場はすぐに分かった。
風に乗って血の匂いが流れてきたからだ。
水田の間を通る道が五行川を渡る橋がある。
その橋たもとが血で濡れていた。
白くて大きな犬が、そこで血塗れで倒れていた。
「この子が、ここで頑張ったのね」
周囲の水田の稲があちこちで薙ぎ倒されていた。
おそらく、この白い犬が何者かと争った跡だろう。
白い犬には、身体中に無数の傷があった。
爪で付けられた傷。
牙で付けられた傷。
だが相手も深手を負っているはずだ。
強く噛み合わされた犬の口が、食い千切ったであろう巨大な蛇の頭を咥えていたからだ。
複数の獣の臭い。
濃い蛇の臭い。
いろいろな臭いがするが、何者の臭いなのか見当がつかない。
「この犬さんは、今でも何かと戦っているのかな❓」
犬の目は何かを睨み付けていた。
(そうかもしれないね、うさぎちゃん)
「もう休んでいいですよ」
うさぎは白い犬に手を合わせた。
頬に当たる風が強くなってきた。
風と一緒に、雨も近づいているようだ。
首を垂れた稲穂が、雨に打たれる音が近付いてくる。
雨雲がとうとうここまで来たようだ。
雨の気配が、うさぎのすぐ近くに迫って来た。
強い雨音に包まれるうさぎ。
おや❓
濡れていない⁉️
いやそんなことはない。
ひとつふたつと雨粒がうさぎの髪を濡らしてゆく。
うさぎの見上げた空に、ボロボロの傘があった。
誰⁉️
気配がなかった‼️
振り返るうさぎを見て、大きな男は頭を下げた。
それでも男の頭は、傘よりも高いところにあった。
.....誰⁉️
「その犬の飼い主で、翔太郎と言います」
大きな男は、太い声でゆっくり話した。
丸太のような首の上に、ゴツゴツとした笑顔が乗っていた。
腕も太い。
脚も太い。
だがそれは、膨大な筋肉が凝縮された太さだった。
「その犬....風太郎のことを気にかけてくださってありがとうございます」
翔太郎と名乗る青年は、太い指で握っている傘を、黙ってうさぎに差し出した。
傘があっても、大きな翔太郎の身体の一部しか覆えないんだろうなと、うさぎは思った。
翔太郎は、白い犬...風太郎を抱き抱えると、雨の中を歩き出した。
「何か困ったことがあれば、おれの家に来てください。
この五行川に沿って歩けば、おれの家がありますから」
翔太郎は、視界を覆うほどの雨の中に消えていった。
「困ったことって言われても、この傘が穴だらけでびしょ濡れなんですけど💦」
(ほんとだね、うさぎちゃん)
見上げる空は、穴の空いた傘の向こうに広がっていた。
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