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4 四天降魔法
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この物語の中心にある内閣調査室について説明しておきます
昭和61年7月1日(wikiが編集されて日付けが変わりました)から内閣調査室は内閣情報調査室へと改編されたことになっていますが、実際には違います
その後もしばらく存在していた組織です
内閣情報調査室は国内機関ですが、その前身の内閣調査室はアメリカ中央情報局=CIAの下部組織の日本支部=JCIAのさらに下部組織でした
つまり、内閣調査室はアメリカの組織だったんです
ちなみに、内閣調査室をJCIAと呼ぶ小説や漫画の設定がありますが、残念ながら間違いです
内閣調査室は日本人で構成され、日本の税金で活動しますが、CIAの意のままに動く機関でした
主任務は天皇陛下の護衛と監視、そしてCIAへの報告だったのです
内閣調査室の護衛班が組織された経緯を説明します
日米安保条約を知っていると思います
第二次世界大戦終結後に、日本とアメリカで結ばれた平和条約ですが、実際には天皇陛下とアメリカ合衆国との間、つまり個人と国家の間で結ばれた異常な平和条約でした
この事実は国家機密として公開される事はありませんでした
ところが....
それからしばらくの後、この秘密を知るアメリカの議員が政財界の大物にこの事実を教えてしまったのです
もし天皇陛下を暗殺すれば、アメリカに有利な条件で安保条約を再締結できる
アメリカの政財界の中に、そう考え行動した者が幾人もいました
時代は日米経済摩擦の真っ只中でしたから、無理もありません
アメリカは事の重大さに気付き、天皇陛下の護衛の必要性を理解すると共に、天皇陛下の影響力を恐れ監視が必要と判断したのです
とは言え、公務員からエージェントを選出するにも限界があります
優秀な人材は、どこに行っても不足していたのです
そこで、日本の民間人の中から、並外れた格闘技術と正義感、特異能力や忠誠心を持つ者を選出し、数少ない合格者をエージェントとしてスカウトすることにしたのでした
だいたいですが、昭和50年から64年の間、10歳から65歳までの国民全員を対象に追跡調査をしていました
実際にスカウトされたのは、僅か十数名だけでした
残念ながら、スカウトされたエージェントの3名が内閣調査室を裏切り、暗殺者となりました
その暗殺者との攻防が、小説《鳳凰の爪》に書かれています
興味のある方はご一読ください
『内閣調査室、護衛班の訓示
天皇陛下、および自分自身に対して脅威と判断した者は、すみやかに処分すべし』
SPのような防衛行動は一切なく、先制攻撃で天皇陛下を守ることが護衛班の任務でした
天皇陛下の盾となる事を禁じられた、完全攻撃型の護衛スタイルです
少人数で護衛をするため、怪我をすれば任務に支障をきたすことから、個人の判断で先制攻撃が許可されていました
武器の使用は基本的に認められず、徒手空拳で武器を持った暗殺者を処分します
任務に支障をきたす道交法などの法律は、その一切が適用されません
以上が、公開されていない内閣調査室の護衛班のあらましです
昭和の終わりに、日米安保条約は国家と国家が締結した条約に変更になっているからご安心ください
そしてこの物語の内閣調査室は、令和の次の時代まで存続して、電脳空間に生き続ける天皇の意思=電皇陛下の護衛と、電脳空間に仇なす者を超法規的に対処する組織として活動を続けています
では、そろそろ物語の本題に入ります
4 四天降魔法
ロードペーサーを駆り、指定されたポイントに向かうマッスルシリンダーとくるみ(シークレットクリーミー)とつかさの3人
運転はもちろんマッスルシリンダーが行っている
内閣調査室独自の改造を施したロードペーサーのハンドルを、彼は嬉しそうに握っている
マッスルシリンダーは超魔伝導技術を使い、あらゆる物質を複数の結界に分けて閉じ込めることができる
そしてその結界は、形や大きさを自由に変化させたり、組み合わせて全く別の形状にすることもできる
肉体の格闘能力は高くはないが、超魔伝導技術を使うことで多彩な攻撃手段と圧倒的な火力を有する
くるみは父親の風の神通力と、母親の召喚魔法を使うことができる
格闘能力は低いが、仲間のサポートと中距離攻撃能力に特化している
そしてつかさは、2人に強制的に連行された一般人であった
「拒否権はないって言われて強制的に連れて行かれる事に納得できません」
くるみの行動に不満を言うつかさが、後部座席で口を尖らせている
「それ、すっごく分かる💦」
深く同意するマッスルシリンダー
彼の強制連行された過去を思い出して、くるみが笑っている
しばらく走ると、前方に人影が見えた
「ブライドさんだ💕」
少しうわずったマッスルシリンダーの声につかさが顔を上げる
そこには、淡い金色の髪の美少女の姿があった
プレステージシルバーの髪が、顔の輪郭を隠すように垂れている
触角ヘアが、まるで耳を垂らしたうさぎのように見える
くるんとした瞳が、つかさを見て笑っていた
ブライドを見るつかさの表情が途端に明るくなった
「今日は彼女の手伝いをお願いしたくて、つかさ君を呼んだんです
無理に連れて来てごめんなさい」
くるみの言葉に興奮を隠せないつかさ
鼻の穴が広がり、呼吸が荒くなっている
ロードペーサーが停車すると、率先して降車して行くつかさ
「僕はつかさです
今日は精一杯頑張ります」
真っ直ぐブライドの前に駆け寄り、元気に挨拶していた
手のひら返しのつかさを見たマッスルシリンダーはつぶやいた
「それ、すっごく分かる💦」
ひと通りの情報交換が終わった時、ブライドが地面に書いてある文字の事を尋ねた
アスファルトの上に「南」と赤いスプレーで書いてあったからだ
「方角を惑わされないように、1番最初に東西南北と書いておいたんです」
若い刑事が答える
「それでも、2週目には方角も距離も惑わされてしまったんだけどな....」
先輩刑事が頭をかいていた
「ならばその4箇所にこれを打ち込めば、僕の術を使って結界を破れます」
つかさが4本の真鍮製の法具を取り出した
それは独鈷杵だった
仏教の法具に金剛杵がある
先端が三つや五つに分かれている物もあるが、これは先端がひとつだった
つかさが連行される時に、どうしてもと言い持ち出した物だった
「結界を張ることはできませんが、他人の作った結界を壊せるのが僕の能力なんです」
そう言ってつかさは、ひとつの独鈷杵を「南」と書かれた地面に打ち込んだ
「後の3箇所は俺が打ち込んで来ます」
マッスルシリンダーがロードペーサーに左手をかざす
《ビルドアップ》
掛け声と共に、幾つもの結界に包み込まれ、ロードペーサーが分解されていく
初めて見る2人の刑事は、目と口が全開になっている
相当驚いているようだ
結界で分割されたパーツがマッスルシリンダーを包み込む
ガシン、ガシンと組み合わされるその姿は、だんだん人型になっていく
ガッキーン✨
全高、およそ4.8メートルの巨大なパワードスーツに変形した
パワードスーツ『マグネロボD3』を見上げる2人の刑事は、感動の余り叫び声を上げている
D3の頭部は鎧武者の兜のような形状をしており、その額には金色に輝く日輪があった
D3には顔があり、表情も変わるようだ
大きく盛り上がった肩が力強い
太く逞しい腕
D3の指先が動く
拳を握り、両腕を上げて決めのポーズを取る
「マグネロボ ディースリー‼️」
「うおぉー」
2人の刑事の拍手喝采が鳴り響く
「子供の頃にアマプラで見ていたダイ◯ーン3に似てますね」
「ほんとだな
3段変形するのかな⁉️」
童心に返った刑事達の会話に付き合ってる暇はないと、ブライドがつかさから独鈷杵をもらう
「はい、満足したら行ってください」
ブライドから独鈷杵を受け取るD3
「行ってきます💕」
その顔は鼻の下が伸びきっていた
「その表情を変える機能は必要だったの?」
くるみの言葉を聞き流して、D3が勢いよく走り出した
D3の膝とくるぶしの外側に、それぞれモーター内蔵のホイルが装着されている
D3は膝を突くような姿勢を取ると、4つのタイヤで走れるように設計されているのだった
「ダイタンクだ、ダイタンク❗️」
テンションが上がっている刑事達は楽しそうにはしゃいでいる
4輪のモーターを上手に制御して、東から北、そして西と法具を打ち込んで戻ってきた
1週目は、惑わされずに回れるようだ
マッスルシリンダーの超魔伝導技術で車が人型に変形した訳だが、車に搭載されているAIは、車の形状のまま走っていると認識している
数百の結界で車体が分割されている事も、その姿が人型になっている事も、AIは気付いていない
また、マグネロボの手足が動くのは機械的な仕組みではなく、結界の形状が変形する事で動いている
超魔伝導技術は電気をエネルギーとしているため、ロータリーエンジンが発電した電力で結界のコントロールをしている
万が一電力不足になった場合には、ブライドの発電能力で無限に電力が供給されるので、エンジンの発電能力を越える超強力な必殺技が使え、永久駆動が可能である
結界を壊せる特殊な攻撃でもない限り、マグネロボが破壊される事はない
また、魔術や気を使った攻撃は、搭載している武器《ミラクルタイフーン》で中和が可能だ
今回はD3のテストも兼ねて、ブライドのサポートに来ていた
そしてこれから、結界を破壊する呪法のデータを収集するのだった
くるみは、今まで一度も見たことのない神通力が間近で見られるとあって、数日前から楽しみにしていたイベントであった
「見ていてください❗️」
力強い言葉をブライドに伝えて、つかさが4本の法具に念を送る
風が慌ただしく渦巻き、空間を静電気が覆う
「行きます❗️
我が前方に多聞天
我が後方に増長天
我が右手に持国天
我が左手に広目天
今こそその力を解き放ち、かの敵を討ち滅ぼせ」
つかさが言葉に呪力を乗せて叫ぶ
《四天降魔法‼️》
響き渡る雷鳴とともに、4本の法具に雷が降る⚡️
バエルの城を取り巻く結界が震える
(ちょっとパワーが足りないみたいだよ)
kameの言葉に、そっと雷撃のお手伝いをするブライド
ガラスが割れたような音が響いて、バエルの城の結界が砕かれた
「すごいですね❣️」
ブライドの言葉に興奮を隠せないつかさ
露わになる結界石
高さ2メートルほどの大きな岩がそこにあった
バエルの城も、その姿を変えていた
トンガリ屋根の洋風の建物が、古い農家の屋敷になった
木造の大きな門の向こうに、巨大な瓦屋根の屋敷が見える
西洋の建物は壁が立派だが、東洋の建物は屋根が立派な印象がある
だが、まだまだ見た目通りの建物ではないようだ
「あとはこの岩をどかさないと....」
つかさの言葉にマッスルシリンダーが答える
「俺に任せろ❗️」
D3が大岩を掴む
さすがに大きすぎる岩を、マッスルシリンダーが結界で囲む
D3が大岩を持ち上げて、軽々と屋敷の門に叩き付ける
「皆さんすごいですね❣️
ここからは私の仕事なので、ここで待っていてください
超魔伝導技術のおかげで、私の戦闘服『ブライド』は転送できるようになったんです❣️」
良く分からないが、テンションが上がる男達
めちゃくちゃにやけるマッスルシリンダーは録画に余念がない
(なんか呪文みたいのがありましたよね、kameちゃん⁉️)
(このセリフを言えば、お着替えできるんだよ)
(なるほど❣️
じゃあ行きますね)
《ハニー・フラッシュ》
淡く白い光に包まれるワンピースとサンダル
「えっ⁉️
何か嫌な予感がするんですけど」
ブライドの予想が的中し、ワンピースとサンダルが消え去る
下着姿のブライドが宙に浮かんでいる
「よし❗️
作戦通りだ‼️」
力強くガッツポーズするマッスルシリンダー
ブライドの姿がパールホワイトのウエディングドレスに変わっていく
見惚れる男たち💕
「あなた達、帰ったらお仕置きですよ❗️」
ちょっと怒った言葉にも喜んで頷く男達を置いて、ブライドはバエルの屋敷に向かって歩き出した
昭和61年7月1日(wikiが編集されて日付けが変わりました)から内閣調査室は内閣情報調査室へと改編されたことになっていますが、実際には違います
その後もしばらく存在していた組織です
内閣情報調査室は国内機関ですが、その前身の内閣調査室はアメリカ中央情報局=CIAの下部組織の日本支部=JCIAのさらに下部組織でした
つまり、内閣調査室はアメリカの組織だったんです
ちなみに、内閣調査室をJCIAと呼ぶ小説や漫画の設定がありますが、残念ながら間違いです
内閣調査室は日本人で構成され、日本の税金で活動しますが、CIAの意のままに動く機関でした
主任務は天皇陛下の護衛と監視、そしてCIAへの報告だったのです
内閣調査室の護衛班が組織された経緯を説明します
日米安保条約を知っていると思います
第二次世界大戦終結後に、日本とアメリカで結ばれた平和条約ですが、実際には天皇陛下とアメリカ合衆国との間、つまり個人と国家の間で結ばれた異常な平和条約でした
この事実は国家機密として公開される事はありませんでした
ところが....
それからしばらくの後、この秘密を知るアメリカの議員が政財界の大物にこの事実を教えてしまったのです
もし天皇陛下を暗殺すれば、アメリカに有利な条件で安保条約を再締結できる
アメリカの政財界の中に、そう考え行動した者が幾人もいました
時代は日米経済摩擦の真っ只中でしたから、無理もありません
アメリカは事の重大さに気付き、天皇陛下の護衛の必要性を理解すると共に、天皇陛下の影響力を恐れ監視が必要と判断したのです
とは言え、公務員からエージェントを選出するにも限界があります
優秀な人材は、どこに行っても不足していたのです
そこで、日本の民間人の中から、並外れた格闘技術と正義感、特異能力や忠誠心を持つ者を選出し、数少ない合格者をエージェントとしてスカウトすることにしたのでした
だいたいですが、昭和50年から64年の間、10歳から65歳までの国民全員を対象に追跡調査をしていました
実際にスカウトされたのは、僅か十数名だけでした
残念ながら、スカウトされたエージェントの3名が内閣調査室を裏切り、暗殺者となりました
その暗殺者との攻防が、小説《鳳凰の爪》に書かれています
興味のある方はご一読ください
『内閣調査室、護衛班の訓示
天皇陛下、および自分自身に対して脅威と判断した者は、すみやかに処分すべし』
SPのような防衛行動は一切なく、先制攻撃で天皇陛下を守ることが護衛班の任務でした
天皇陛下の盾となる事を禁じられた、完全攻撃型の護衛スタイルです
少人数で護衛をするため、怪我をすれば任務に支障をきたすことから、個人の判断で先制攻撃が許可されていました
武器の使用は基本的に認められず、徒手空拳で武器を持った暗殺者を処分します
任務に支障をきたす道交法などの法律は、その一切が適用されません
以上が、公開されていない内閣調査室の護衛班のあらましです
昭和の終わりに、日米安保条約は国家と国家が締結した条約に変更になっているからご安心ください
そしてこの物語の内閣調査室は、令和の次の時代まで存続して、電脳空間に生き続ける天皇の意思=電皇陛下の護衛と、電脳空間に仇なす者を超法規的に対処する組織として活動を続けています
では、そろそろ物語の本題に入ります
4 四天降魔法
ロードペーサーを駆り、指定されたポイントに向かうマッスルシリンダーとくるみ(シークレットクリーミー)とつかさの3人
運転はもちろんマッスルシリンダーが行っている
内閣調査室独自の改造を施したロードペーサーのハンドルを、彼は嬉しそうに握っている
マッスルシリンダーは超魔伝導技術を使い、あらゆる物質を複数の結界に分けて閉じ込めることができる
そしてその結界は、形や大きさを自由に変化させたり、組み合わせて全く別の形状にすることもできる
肉体の格闘能力は高くはないが、超魔伝導技術を使うことで多彩な攻撃手段と圧倒的な火力を有する
くるみは父親の風の神通力と、母親の召喚魔法を使うことができる
格闘能力は低いが、仲間のサポートと中距離攻撃能力に特化している
そしてつかさは、2人に強制的に連行された一般人であった
「拒否権はないって言われて強制的に連れて行かれる事に納得できません」
くるみの行動に不満を言うつかさが、後部座席で口を尖らせている
「それ、すっごく分かる💦」
深く同意するマッスルシリンダー
彼の強制連行された過去を思い出して、くるみが笑っている
しばらく走ると、前方に人影が見えた
「ブライドさんだ💕」
少しうわずったマッスルシリンダーの声につかさが顔を上げる
そこには、淡い金色の髪の美少女の姿があった
プレステージシルバーの髪が、顔の輪郭を隠すように垂れている
触角ヘアが、まるで耳を垂らしたうさぎのように見える
くるんとした瞳が、つかさを見て笑っていた
ブライドを見るつかさの表情が途端に明るくなった
「今日は彼女の手伝いをお願いしたくて、つかさ君を呼んだんです
無理に連れて来てごめんなさい」
くるみの言葉に興奮を隠せないつかさ
鼻の穴が広がり、呼吸が荒くなっている
ロードペーサーが停車すると、率先して降車して行くつかさ
「僕はつかさです
今日は精一杯頑張ります」
真っ直ぐブライドの前に駆け寄り、元気に挨拶していた
手のひら返しのつかさを見たマッスルシリンダーはつぶやいた
「それ、すっごく分かる💦」
ひと通りの情報交換が終わった時、ブライドが地面に書いてある文字の事を尋ねた
アスファルトの上に「南」と赤いスプレーで書いてあったからだ
「方角を惑わされないように、1番最初に東西南北と書いておいたんです」
若い刑事が答える
「それでも、2週目には方角も距離も惑わされてしまったんだけどな....」
先輩刑事が頭をかいていた
「ならばその4箇所にこれを打ち込めば、僕の術を使って結界を破れます」
つかさが4本の真鍮製の法具を取り出した
それは独鈷杵だった
仏教の法具に金剛杵がある
先端が三つや五つに分かれている物もあるが、これは先端がひとつだった
つかさが連行される時に、どうしてもと言い持ち出した物だった
「結界を張ることはできませんが、他人の作った結界を壊せるのが僕の能力なんです」
そう言ってつかさは、ひとつの独鈷杵を「南」と書かれた地面に打ち込んだ
「後の3箇所は俺が打ち込んで来ます」
マッスルシリンダーがロードペーサーに左手をかざす
《ビルドアップ》
掛け声と共に、幾つもの結界に包み込まれ、ロードペーサーが分解されていく
初めて見る2人の刑事は、目と口が全開になっている
相当驚いているようだ
結界で分割されたパーツがマッスルシリンダーを包み込む
ガシン、ガシンと組み合わされるその姿は、だんだん人型になっていく
ガッキーン✨
全高、およそ4.8メートルの巨大なパワードスーツに変形した
パワードスーツ『マグネロボD3』を見上げる2人の刑事は、感動の余り叫び声を上げている
D3の頭部は鎧武者の兜のような形状をしており、その額には金色に輝く日輪があった
D3には顔があり、表情も変わるようだ
大きく盛り上がった肩が力強い
太く逞しい腕
D3の指先が動く
拳を握り、両腕を上げて決めのポーズを取る
「マグネロボ ディースリー‼️」
「うおぉー」
2人の刑事の拍手喝采が鳴り響く
「子供の頃にアマプラで見ていたダイ◯ーン3に似てますね」
「ほんとだな
3段変形するのかな⁉️」
童心に返った刑事達の会話に付き合ってる暇はないと、ブライドがつかさから独鈷杵をもらう
「はい、満足したら行ってください」
ブライドから独鈷杵を受け取るD3
「行ってきます💕」
その顔は鼻の下が伸びきっていた
「その表情を変える機能は必要だったの?」
くるみの言葉を聞き流して、D3が勢いよく走り出した
D3の膝とくるぶしの外側に、それぞれモーター内蔵のホイルが装着されている
D3は膝を突くような姿勢を取ると、4つのタイヤで走れるように設計されているのだった
「ダイタンクだ、ダイタンク❗️」
テンションが上がっている刑事達は楽しそうにはしゃいでいる
4輪のモーターを上手に制御して、東から北、そして西と法具を打ち込んで戻ってきた
1週目は、惑わされずに回れるようだ
マッスルシリンダーの超魔伝導技術で車が人型に変形した訳だが、車に搭載されているAIは、車の形状のまま走っていると認識している
数百の結界で車体が分割されている事も、その姿が人型になっている事も、AIは気付いていない
また、マグネロボの手足が動くのは機械的な仕組みではなく、結界の形状が変形する事で動いている
超魔伝導技術は電気をエネルギーとしているため、ロータリーエンジンが発電した電力で結界のコントロールをしている
万が一電力不足になった場合には、ブライドの発電能力で無限に電力が供給されるので、エンジンの発電能力を越える超強力な必殺技が使え、永久駆動が可能である
結界を壊せる特殊な攻撃でもない限り、マグネロボが破壊される事はない
また、魔術や気を使った攻撃は、搭載している武器《ミラクルタイフーン》で中和が可能だ
今回はD3のテストも兼ねて、ブライドのサポートに来ていた
そしてこれから、結界を破壊する呪法のデータを収集するのだった
くるみは、今まで一度も見たことのない神通力が間近で見られるとあって、数日前から楽しみにしていたイベントであった
「見ていてください❗️」
力強い言葉をブライドに伝えて、つかさが4本の法具に念を送る
風が慌ただしく渦巻き、空間を静電気が覆う
「行きます❗️
我が前方に多聞天
我が後方に増長天
我が右手に持国天
我が左手に広目天
今こそその力を解き放ち、かの敵を討ち滅ぼせ」
つかさが言葉に呪力を乗せて叫ぶ
《四天降魔法‼️》
響き渡る雷鳴とともに、4本の法具に雷が降る⚡️
バエルの城を取り巻く結界が震える
(ちょっとパワーが足りないみたいだよ)
kameの言葉に、そっと雷撃のお手伝いをするブライド
ガラスが割れたような音が響いて、バエルの城の結界が砕かれた
「すごいですね❣️」
ブライドの言葉に興奮を隠せないつかさ
露わになる結界石
高さ2メートルほどの大きな岩がそこにあった
バエルの城も、その姿を変えていた
トンガリ屋根の洋風の建物が、古い農家の屋敷になった
木造の大きな門の向こうに、巨大な瓦屋根の屋敷が見える
西洋の建物は壁が立派だが、東洋の建物は屋根が立派な印象がある
だが、まだまだ見た目通りの建物ではないようだ
「あとはこの岩をどかさないと....」
つかさの言葉にマッスルシリンダーが答える
「俺に任せろ❗️」
D3が大岩を掴む
さすがに大きすぎる岩を、マッスルシリンダーが結界で囲む
D3が大岩を持ち上げて、軽々と屋敷の門に叩き付ける
「皆さんすごいですね❣️
ここからは私の仕事なので、ここで待っていてください
超魔伝導技術のおかげで、私の戦闘服『ブライド』は転送できるようになったんです❣️」
良く分からないが、テンションが上がる男達
めちゃくちゃにやけるマッスルシリンダーは録画に余念がない
(なんか呪文みたいのがありましたよね、kameちゃん⁉️)
(このセリフを言えば、お着替えできるんだよ)
(なるほど❣️
じゃあ行きますね)
《ハニー・フラッシュ》
淡く白い光に包まれるワンピースとサンダル
「えっ⁉️
何か嫌な予感がするんですけど」
ブライドの予想が的中し、ワンピースとサンダルが消え去る
下着姿のブライドが宙に浮かんでいる
「よし❗️
作戦通りだ‼️」
力強くガッツポーズするマッスルシリンダー
ブライドの姿がパールホワイトのウエディングドレスに変わっていく
見惚れる男たち💕
「あなた達、帰ったらお仕置きですよ❗️」
ちょっと怒った言葉にも喜んで頷く男達を置いて、ブライドはバエルの屋敷に向かって歩き出した
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