Rabbit bride 2085 第10話 バエルの城

まろうど

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あれほどうるさかった蝉の声が、少し遠くから聞こえるような気がする

いつの間にか立秋を過ぎ、季節は秋に代わっていた

忙しない仕事の合間に感じる季節は、どこか乾いた風のように通り過ぎていく

日本の季節の七十二侯では、今頃を蒙霧升降(ふかききりまとう)と言うそうだ

だが2085年の日本には、深い霧など降る事はない

ましてやこの大都会に降るのは、人の業と欲くらいだ

2020年代に発生したパンデミックで、日本人の多くが偽ワクチンを複数回接種させられた

その結果、免疫力が低下した状態で固定され、高額な海外の医薬品に頼る以外に生き延びる道はなくなった....

はずだった

そこから急速に発展した日本のサイボーグ技術は、薬品やナノマシン、機械等を適切に組み合わせて、身体機能を飛躍的に向上させた

少ない食料でも十分に活動でき、寿命は大幅に伸びた

それまでパソコンを使っていた仕事は、電脳にDLしたアプリと脳内AIでこなしてくれるので、世界中のデスクワークが日本に集中した

そして、AIに仕事をさせている本人は、趣味や欲望に時間とお金を使った

簡単に電脳化できて、簡単にお金が稼げる

サイボーグ化手術を受ける者がどんどん増えて、その異能力を使った犯罪も増えた

だから、日本の警察官は寝る暇もなく働いていた

50代の先輩刑事が、若い刑事と20時間ぶりの食事にありついていた

「精霊バエルって知ってるか?」

口いっぱいにグラコロを頬張りながら先輩刑事が尋ねた

テーブルの上には、ポテトのLが一つとナゲットが一つ、アイスコーヒーが2つあった

「悪霊を追い払う本物の霊能力者って評判ですね」

ビッグマックにかぶり付きながら、若い刑事が答える

「それがな....
実は事前に被害者に悪霊を取り憑かせてから、それを除霊するインチキって噂があって、不当に費用を請求されたって相談が多くなったそうだ」

ポテトを口いっぱいに頬張る先輩

「悪霊とか警察で対応するんですか❓」

残っているポテトを全て口に押し込む後輩

「それがな、対応しようにも、そいつの屋敷に辿り着けないそうだ」

ナゲットを3つ掴んで、バーベキューソースをたっぷり付けて、それを一度に頬張る先輩

「どういうことです❓」

残りのナゲットにソースをつけて、口に押し込む後輩

「なんでも、屋敷は見えるんだが入り口が見つからなくて、ぐるぐる回っている間に屋敷から離れてしまうらしい」

喉を鳴らしてアイスコーヒーを一気飲みする先輩

「面白いですね
行ってみたいです」

ほぼ同時に飲み切る後輩

「そうか❗️
ならよかった

次の捜査はそこだ」

後輩の動きが一瞬止まる

「え❓......」

ゴミをトレーに集める先輩

「辿り着くまで帰れないから覚悟しておけよ」

テーブルのゴミを片付ける後輩

「ならば、ハンバーガーを持って行きましょう」

元気に歩き出す

「そうだな」

そして2人は、もう一度レジに並んだ

「持ち帰りで‼️」

ーーーーーーーーー

西暦2085年の日本

サイボーグ犯罪に敢然と立ち向かう2人の刑事の物語.....

ではなく、電脳空間の絶対王『電皇陛下』の指示で重犯罪サイボーグを狩る、ウエディングドレスを着た美少女戦士『ブライド』の物語だ
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