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幼少期
第二話 ~猫耳妹~
しおりを挟むラミオスはしゃがみ、両手で俺の肩に手を置いてきやがった。
めちゃくちゃ痛い。
「やめてあげてください。怖がってるじゃないですか」
そうだそうだ。にゃーにゃー言ってろ。
よし。グレイスと、ミリエットがラミオスに視線が向いている間に、少しからかってやるとしよう。
ぐへへへへ
「べー」
「おい! コイツ今俺を馬鹿にしてきやがった!」
「はい? この子はまだ一歳ですよ。確かに頭がいいと思いますが、そんなことをするような歳じゃないです」
頭がいいだって! ぐふふ。
嬉しいなぁ!
ちなみに、精神年齢は君たちより上なんだ!
「チッ。人間の子供なのに、何故そいつを庇うんだ」
グレイスは、俺を守るようにして立った。
筋肉は無いが、その背中は頼もしい。惚れてしまいそうだ。
「この子は俺たちの子どもだ。何回お前に言われようと、変わらない」
「ハッ、長がなんで人間の子どもを受け入れたのか不思議でしょうがねぇよ」
ここまでの話を聞いて分かった。
ラミオスは明らかに俺を嫌っている。その理由は、俺が人間だから。
そして小説の主人公が猫族なのに対し、俺は人間。
故に、ラミオスは小説のストーリーと異なるキャラクターになっているのだろう。
それに、どうやら俺の存在は猫族の間で既に知られているらしい。
俺は不安になり、ミリエットの顔を見る。
「大丈夫だよ、ディザー君」
そういって、ミリエットが俺の頭を撫でた瞬間のことだった。
「何を騒いでいるんだ」
「お、村長」
階段から、数人の猫族が歩いてきた。
だが長が誰なのか、すぐにわかった。
というのも、長だけまとっているオーラが違う。このオーラはスキルの可能性がある、オートスキルというやつだ。
明らかに頭が良さそうな顔面をしている。
「グレイス、説明を」
村長が言うと、視線がグレイスに集まる。
「はい。魔物を倒した後、少々世間話をしておりました」
今ここで猫族と人間の話にならないようにしようとしているのだろうか。
しかし、ラミオスは真実を告げる。
「違う! このガキの話をしてたんだ。きっと最近魔物が多いのもこのガキのせいですよ!」
長の後ろにいる猫族がざわつき始める。
しかし、丸聞こえだ。
俺がこの村にいることに対しての愚痴を言っている。
どうやら、俺はこの村にはいてはいけない存在らしい。
「ちょっと、そんな言い方は無いのでは――」
ミリエットが我慢できなくて発言をした瞬間、長が片手を上げた。
すると全員が黙り、自然の美しい音が耳に入る――
やがて、村長は話始めた。
「……人間を嫌う気持ちは良く分かる。しかし、この子に罪は無い」
「村長!」
ラミオスは激怒し、思わず村長の名前を呼ぶ。
村長はため息をついた。
「はぁ。今日の夜、男はいつもの場所にくるんだ。女は家のドアをしっかり閉めろ。いいな」
「「「はい」」」
そして、解散をした。
猫族は人間を嫌いだなんて知らなかった。
小説では一切そのような描写は無い。
グレイスとミリエット。
二人も、人間が嫌いなのだろうか?
――――それから3年が経過し、俺は四歳。めでたく妹が生まれた。
あいつら、いつの間にか「にゃんにゃん」してたんだな……。
例の無〇転生という小説では、主人公が両親の行為を音を聞いてぐへぐへしてたが、全く気付かなかった。
いつの間にか、という感じだ。
その妹の名前は、小説通りミアと名付けられた。
そう、この物語の主人公だ。
この子をそのままにしておけば、将来信じられない程の苦痛が彼女を襲うだろう。
そんな思いなんて、絶対にさせたくない。
「俺がこの子を必ず……助ける」
なんとしてでも俺が自ら行動し、この子を運命から救うのだ。
「――それにしても」
可愛いなぁ……!
不思議なもので生まれたばかりなのに、もうサラサラした髪も生えている。
それにこの猫耳、白髪のミアの毛と全く同じ色で、繋がっている。
可愛い、可愛すぎるぜぇぇ!!
やばいまだ生まれたばかりの赤ちゃんなのに1万発は余裕でイける。
何故かというと、答えは単純明快。
俺が小説、アニメの中で一番好きなキャラクターこそがミアだからだ。
前世では、お世話になったものだ。"仕事中"から”おかず”まで。
ふっふっふ、成長が楽しみで仕方が無い。
いつか、あの成長していい肉付きのミアを血のつながっていない妹という最高のシチュエーションで拝めるのだ。
あまりにも理想的すぎないか!? おい!
さて、この時の俺は自分の好きな小説の世界を楽しみつつ、同時にある大きな問題について考えていた。
今もっとも問題視すべきなのは2つだ。
1、この集落の地形、また、人間関係を完全に把握する。
2、俺が16歳の頃、両親とこの集落が魔王軍によって滅びるのを回避する(妹12歳)
つまり、俺がやるべきこと。
――それは強くなることだ。
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