150 / 203
第三章 カモフ攻防戦
53 夜間の激戦(2)
しおりを挟む
――うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ・・・・
ユハニが迷いを見せたのは僅か一瞬だったが、その間にも敵兵が喊声を上げて迫ってきていた。
「くっ、全員迎撃だ! 急げ!」
闇の中から聞こえてくる声に、負傷者を退避させている時間は既になくなった事が嫌でも悟った。ほんの僅かの間に負傷者を含めて迎撃態勢を取らせるしかもう選択肢が残っていなかった。
ユハニは傍に落ちていたヨニの鉄砲を拾い上げると、付着していた土を軽く払って持ち主に差し出す。
「無理はするなよ」
「ああ、任せろ」
ヨニは無理矢理笑顔を見せると左手で鉄砲を受け取り、右肩に矢を突き刺したまま迎撃に加わった。
僅かな時間とはいえ迎撃態勢の乱れは、敵に絶好の機会を与えていた。それ以降、明らかに肉薄してくる兵が増え、敵の息遣いや殺気がより近くに感じられるようになったのだ。
「こ、このままでは!」
ユハニは早くも迎撃の判断を後悔していた。
ユーリ直属部隊として編成された彼らの部隊には、ヨニをはじめ抗夫時代からの見知った顔が多く配属されていた。
ユーリと共に馬鹿をやっていた頃から一緒だった奴らもいる。そんな旧知の仲間から懇願され、ユハニは僅かな時間だったが判断を一瞬躊躇った。その僅かな時間に迎撃しかできない状況へと追い込まれてしまったのだ。
負傷したヨニは、今も彼の隣で必死になって引き金を引き続けているが、銃撃のたびに右肩に加わる衝撃と激痛に顔を歪めていた。
彼以外の負傷者も多少の差はあれど同様だった。
塹壕まで敵が殺到するようなことになれば、満足に迎撃できず全滅するのが落ちだ。
『今からでも撤退するか?』
もたげてきた考えを首を振って即座に否定する。
先ほどで撤退のギリギリのタイミングだったのだ。今撤退すれば敵と乱戦となるのは必至。そのままカントまで敵を引き連れて行くことになってしまう。それだけは絶対に避けなければならなかった。
「皆すまない、覚悟してくれ!」
ユハニは迎撃を続けながら叫んだ。
遅かれ早かれ敵がここに殺到してくることだろう。
撤退するタイミングは既に逃し援軍もない彼らに残されているのは、玉砕のみだった。
彼の言葉に兵たちは射撃によって応えた。ユハニ同様こうなった以上、撤退することが難しいことは全員理解していた。
部隊長のひとりとして抜擢してくれたユーリには感謝しかなかった。
ただ折角右翼を任せて貰いながら、その期待に応えられず申し訳ないという思いだけがあった。
そのユーリ率いる中央にチラリと目をやる。
暗くて分かりにくいが、こちらほどではないにせよ同じように苦戦している様子が窺えた。それでも撤退の合図がないのを見ると、まだ戦えるという判断を下しているのかも知れない。
『ずっとユーリを支えたかったが、ここまでみたいだ』
平民から騎士となったユーリは叙任された当時部下が極端に少なく、しばらくはそれまでと変わらずトゥーレの護衛を務めていた。
そのため同じような立場だったオレクと一緒に『トゥーレ様の腰巾着』などと影で揶揄されていた。
ユーリがエステルと婚約してからはそれがエスカレートし、無視などはもちろん直接的に嫌がらせなどを受けることもあったのだ。
ただの嫉妬ややっかみだったのだが、特に古くから仕えている者からの仕打ちが酷く、トゥーレがいないときは殆ど孤立した状況だった。
そんなユーリの数少ない味方がユハニでありヨニだった。
同じ抗夫村出身という気安さもあるが、ジャハの乱でユーリと同じく家族を失うなど共通点が多く、村を出奔した時から二人はユーリに従ってきた。
トゥーレに心酔していったユーリと違って、二人はトゥーレの考えを理解できずに距離を置いていた。
それでもユーリから離れることはなく、彼の従者として従ってきた。そしてユーリも変わらず慕ってくれる彼らを信頼し重用してきたのだった。
銃撃をかいくぐった敵兵の姿が、篝火に浮かび上がるようになってきた。
喊声を上げて迫り来るその姿にも、容赦なく銃撃が加えられ敵の接近を阻む。しかし櫛の歯が欠けたように防衛網に穴がいくつも開いていて、敵を押し返すまでには至らなかった。
「来るなっ!!」
「くそっ! 止まらない!!」
「ああああああ・・・・」
目に見えて接近してくる敵の姿に、恐怖に目を見開きながら狂ったように鉄砲を撃ち続ける隊長格の男。涙を流し失禁しているのも気付かず、それでも敵から目を逸らすことなく鉄砲を構える若い兵たち。奇声を発し半ば錯乱しながらも、繰り返し叩き込まれた所作で機械のように射撃を繰り返す新兵。
生への望みが薄くなった中で、それでも絶望に染まることなく圧倒的な敵兵に立ち向かっていた。
「うわぁ!」
しかしそれも長くは続かず、遂に敵兵が塹壕へと到達してしまった。
最初の兵は勢いよく飛び込んで来たため体勢を崩してしまい、起き上がろうとしたところを素早く討ち取られた。
しかしホッとするのも束の間、敵兵は決壊した堤防のように次から次へと殺到し始め、塹壕内では血生臭い白兵戦が繰り広げられた。
「うわぁ・・・・」
敵兵と切り結ぶ者がいる一方で、銃撃を続ける者は敵兵に背中を晒していた。敵はそんな無防備な銃兵を次々に討ち取っていく。
「くそっ!」
「誰か来てくれ、手が足りない!」
味方は必死で迎撃しているが、敵兵は次々に雪崩れ込んでくる。たちまちのうちにその一角は敵兵に制圧されてしまった。
元々雪崩れ込まれた敵への対処はとられていなかった。戦況が不利になればカントへの撤退が基本線だった事もあり、取り回しのしやすい短槍を僅かばかり準備していたくらいだ。
しかし、侵入した敵への対処を優先すれば、攻め寄せてくる敵への対処がおろそかになる。逆もまたしかりだ。要するに兵力が足りないことに行き着くのだった。
「させるかよ!」
ヨハニが密集する敵に向けて魔砲を放つ。
魔砲弾は兵がひしめく塹壕内に着弾し、一瞬にして多くの敵を消滅させた。
狭い塹壕には逃げ場がなく、惨劇を目の当たりにした敵兵は恐慌をきたし、我先にと塹壕をよじ登ろうと藻掻く。しかし多くの味方が攻め寄せている中では混乱するだけだ。衝突や押し合いしながら塹壕へと落下し、負傷する兵が後を絶たなかった。
そこに向けてさらに数発の魔砲弾を撃ち込んだヨハニが、味方に落ち着いて対処するよう促す。
「落ち着け! 迎撃は継続だ! 侵入した敵には待機中の者が当たれ! 混乱すれば敵の思う壺だ!」
その声に落ち着きを取り戻した兵たちは、そこからは組織だった抵抗を見せはじめる。時折、突破されることもあるが冷静に対処して崩壊を防ぐ。
それでも苦しいことに変わりはなく、徐々に対処が難しくなってきていた。
――ドドド・・・・
「・・・・!? 何の音だ?」
ヨニが怪訝な表情を浮かべた。微かに騎馬の地響きのような音が聞こえていた。
正面の敵の音ではない。右方の闇の中から聞こえてきていたのだ。
「まさか敵の増援、なのか?」
「この忙しいときに!?」
喊声を上げて正面から迫る敵は、その音に気付いていないのか、それとも味方だと分かっているのか分からないが今のところ変化はなく、変わらず力攻めをしてきている。
今でもギリギリ対処できている状況だ。これ以上敵が増えれば対応どころの話ではなく、為す術もなく蹂躙される未来しか思い浮かばない。
そのうちに騎馬の地響きがはっきりと聞こえる程にまで近づいていた。
多くの兵たちも気付き始めたようで、右側を気にする素振りを見せ始めていた。
それは攻め寄せる敵も同様だった。突撃中の敵兵がしきりと左側を気にするようになっていた。中には無防備に棒立ちとなりこちらの恰好の標的となってしまう兵まで出ていた。
「敵、ではないのか!?」
敵も戸惑っている様子に、ユハニは思わずヨニと顔を見合わせた。
敵でないならありがたいが、昨日のように強引に間道を突破してきた敵軍ということもあり得る。
――ドドドドドド・・・・
闇の中、蹄の音がさらに近づいてくる。
正体不明の存在の接近に、敵も味方も固唾を飲んでその正体を注視していた。
「友軍だ!」
やがて騎馬の集団が姿を現すと、その正体を知ったヨハニたちから大歓声が上がり、敵の軍勢は慌てて迎撃しようと試みる。
軍勢はその勢いのまま迎撃準備の整っていない敵軍の横っ腹へと突撃を敢行した。
そのまま右から左へと横断していった軍勢は、勢いを保ったままぐるりと転進すると、今度は左から右へと再び突撃した。
そして悠々と塹壕陣へとやってくると、先頭の騎士が額当てを外して素顔を晒し、芝居じみた仕草で笑顔を見せた。
「皆の者、待たせたな!」
「イ、イザーク様!?」
顔を見せたのは長くギルド派としてザオラルと対立することの多かった老騎士イザークだった。
その後にはアレシュとベルナルトのウンダル亡命政府軍の二人も見える。イザークが彼らを率いて援軍として派遣されてきた理由が分からず、思わず動きを止めてしまった。
「これ、話は後じゃ! ここは儂らが食い止める。今のうちに負傷者を後方へ下げろ!」
「は、はい!」
イザークに一喝されたユハニらは、慌てて負傷者をカントへと移動させるのだった。
ユハニが迷いを見せたのは僅か一瞬だったが、その間にも敵兵が喊声を上げて迫ってきていた。
「くっ、全員迎撃だ! 急げ!」
闇の中から聞こえてくる声に、負傷者を退避させている時間は既になくなった事が嫌でも悟った。ほんの僅かの間に負傷者を含めて迎撃態勢を取らせるしかもう選択肢が残っていなかった。
ユハニは傍に落ちていたヨニの鉄砲を拾い上げると、付着していた土を軽く払って持ち主に差し出す。
「無理はするなよ」
「ああ、任せろ」
ヨニは無理矢理笑顔を見せると左手で鉄砲を受け取り、右肩に矢を突き刺したまま迎撃に加わった。
僅かな時間とはいえ迎撃態勢の乱れは、敵に絶好の機会を与えていた。それ以降、明らかに肉薄してくる兵が増え、敵の息遣いや殺気がより近くに感じられるようになったのだ。
「こ、このままでは!」
ユハニは早くも迎撃の判断を後悔していた。
ユーリ直属部隊として編成された彼らの部隊には、ヨニをはじめ抗夫時代からの見知った顔が多く配属されていた。
ユーリと共に馬鹿をやっていた頃から一緒だった奴らもいる。そんな旧知の仲間から懇願され、ユハニは僅かな時間だったが判断を一瞬躊躇った。その僅かな時間に迎撃しかできない状況へと追い込まれてしまったのだ。
負傷したヨニは、今も彼の隣で必死になって引き金を引き続けているが、銃撃のたびに右肩に加わる衝撃と激痛に顔を歪めていた。
彼以外の負傷者も多少の差はあれど同様だった。
塹壕まで敵が殺到するようなことになれば、満足に迎撃できず全滅するのが落ちだ。
『今からでも撤退するか?』
もたげてきた考えを首を振って即座に否定する。
先ほどで撤退のギリギリのタイミングだったのだ。今撤退すれば敵と乱戦となるのは必至。そのままカントまで敵を引き連れて行くことになってしまう。それだけは絶対に避けなければならなかった。
「皆すまない、覚悟してくれ!」
ユハニは迎撃を続けながら叫んだ。
遅かれ早かれ敵がここに殺到してくることだろう。
撤退するタイミングは既に逃し援軍もない彼らに残されているのは、玉砕のみだった。
彼の言葉に兵たちは射撃によって応えた。ユハニ同様こうなった以上、撤退することが難しいことは全員理解していた。
部隊長のひとりとして抜擢してくれたユーリには感謝しかなかった。
ただ折角右翼を任せて貰いながら、その期待に応えられず申し訳ないという思いだけがあった。
そのユーリ率いる中央にチラリと目をやる。
暗くて分かりにくいが、こちらほどではないにせよ同じように苦戦している様子が窺えた。それでも撤退の合図がないのを見ると、まだ戦えるという判断を下しているのかも知れない。
『ずっとユーリを支えたかったが、ここまでみたいだ』
平民から騎士となったユーリは叙任された当時部下が極端に少なく、しばらくはそれまでと変わらずトゥーレの護衛を務めていた。
そのため同じような立場だったオレクと一緒に『トゥーレ様の腰巾着』などと影で揶揄されていた。
ユーリがエステルと婚約してからはそれがエスカレートし、無視などはもちろん直接的に嫌がらせなどを受けることもあったのだ。
ただの嫉妬ややっかみだったのだが、特に古くから仕えている者からの仕打ちが酷く、トゥーレがいないときは殆ど孤立した状況だった。
そんなユーリの数少ない味方がユハニでありヨニだった。
同じ抗夫村出身という気安さもあるが、ジャハの乱でユーリと同じく家族を失うなど共通点が多く、村を出奔した時から二人はユーリに従ってきた。
トゥーレに心酔していったユーリと違って、二人はトゥーレの考えを理解できずに距離を置いていた。
それでもユーリから離れることはなく、彼の従者として従ってきた。そしてユーリも変わらず慕ってくれる彼らを信頼し重用してきたのだった。
銃撃をかいくぐった敵兵の姿が、篝火に浮かび上がるようになってきた。
喊声を上げて迫り来るその姿にも、容赦なく銃撃が加えられ敵の接近を阻む。しかし櫛の歯が欠けたように防衛網に穴がいくつも開いていて、敵を押し返すまでには至らなかった。
「来るなっ!!」
「くそっ! 止まらない!!」
「ああああああ・・・・」
目に見えて接近してくる敵の姿に、恐怖に目を見開きながら狂ったように鉄砲を撃ち続ける隊長格の男。涙を流し失禁しているのも気付かず、それでも敵から目を逸らすことなく鉄砲を構える若い兵たち。奇声を発し半ば錯乱しながらも、繰り返し叩き込まれた所作で機械のように射撃を繰り返す新兵。
生への望みが薄くなった中で、それでも絶望に染まることなく圧倒的な敵兵に立ち向かっていた。
「うわぁ!」
しかしそれも長くは続かず、遂に敵兵が塹壕へと到達してしまった。
最初の兵は勢いよく飛び込んで来たため体勢を崩してしまい、起き上がろうとしたところを素早く討ち取られた。
しかしホッとするのも束の間、敵兵は決壊した堤防のように次から次へと殺到し始め、塹壕内では血生臭い白兵戦が繰り広げられた。
「うわぁ・・・・」
敵兵と切り結ぶ者がいる一方で、銃撃を続ける者は敵兵に背中を晒していた。敵はそんな無防備な銃兵を次々に討ち取っていく。
「くそっ!」
「誰か来てくれ、手が足りない!」
味方は必死で迎撃しているが、敵兵は次々に雪崩れ込んでくる。たちまちのうちにその一角は敵兵に制圧されてしまった。
元々雪崩れ込まれた敵への対処はとられていなかった。戦況が不利になればカントへの撤退が基本線だった事もあり、取り回しのしやすい短槍を僅かばかり準備していたくらいだ。
しかし、侵入した敵への対処を優先すれば、攻め寄せてくる敵への対処がおろそかになる。逆もまたしかりだ。要するに兵力が足りないことに行き着くのだった。
「させるかよ!」
ヨハニが密集する敵に向けて魔砲を放つ。
魔砲弾は兵がひしめく塹壕内に着弾し、一瞬にして多くの敵を消滅させた。
狭い塹壕には逃げ場がなく、惨劇を目の当たりにした敵兵は恐慌をきたし、我先にと塹壕をよじ登ろうと藻掻く。しかし多くの味方が攻め寄せている中では混乱するだけだ。衝突や押し合いしながら塹壕へと落下し、負傷する兵が後を絶たなかった。
そこに向けてさらに数発の魔砲弾を撃ち込んだヨハニが、味方に落ち着いて対処するよう促す。
「落ち着け! 迎撃は継続だ! 侵入した敵には待機中の者が当たれ! 混乱すれば敵の思う壺だ!」
その声に落ち着きを取り戻した兵たちは、そこからは組織だった抵抗を見せはじめる。時折、突破されることもあるが冷静に対処して崩壊を防ぐ。
それでも苦しいことに変わりはなく、徐々に対処が難しくなってきていた。
――ドドド・・・・
「・・・・!? 何の音だ?」
ヨニが怪訝な表情を浮かべた。微かに騎馬の地響きのような音が聞こえていた。
正面の敵の音ではない。右方の闇の中から聞こえてきていたのだ。
「まさか敵の増援、なのか?」
「この忙しいときに!?」
喊声を上げて正面から迫る敵は、その音に気付いていないのか、それとも味方だと分かっているのか分からないが今のところ変化はなく、変わらず力攻めをしてきている。
今でもギリギリ対処できている状況だ。これ以上敵が増えれば対応どころの話ではなく、為す術もなく蹂躙される未来しか思い浮かばない。
そのうちに騎馬の地響きがはっきりと聞こえる程にまで近づいていた。
多くの兵たちも気付き始めたようで、右側を気にする素振りを見せ始めていた。
それは攻め寄せる敵も同様だった。突撃中の敵兵がしきりと左側を気にするようになっていた。中には無防備に棒立ちとなりこちらの恰好の標的となってしまう兵まで出ていた。
「敵、ではないのか!?」
敵も戸惑っている様子に、ユハニは思わずヨニと顔を見合わせた。
敵でないならありがたいが、昨日のように強引に間道を突破してきた敵軍ということもあり得る。
――ドドドドドド・・・・
闇の中、蹄の音がさらに近づいてくる。
正体不明の存在の接近に、敵も味方も固唾を飲んでその正体を注視していた。
「友軍だ!」
やがて騎馬の集団が姿を現すと、その正体を知ったヨハニたちから大歓声が上がり、敵の軍勢は慌てて迎撃しようと試みる。
軍勢はその勢いのまま迎撃準備の整っていない敵軍の横っ腹へと突撃を敢行した。
そのまま右から左へと横断していった軍勢は、勢いを保ったままぐるりと転進すると、今度は左から右へと再び突撃した。
そして悠々と塹壕陣へとやってくると、先頭の騎士が額当てを外して素顔を晒し、芝居じみた仕草で笑顔を見せた。
「皆の者、待たせたな!」
「イ、イザーク様!?」
顔を見せたのは長くギルド派としてザオラルと対立することの多かった老騎士イザークだった。
その後にはアレシュとベルナルトのウンダル亡命政府軍の二人も見える。イザークが彼らを率いて援軍として派遣されてきた理由が分からず、思わず動きを止めてしまった。
「これ、話は後じゃ! ここは儂らが食い止める。今のうちに負傷者を後方へ下げろ!」
「は、はい!」
イザークに一喝されたユハニらは、慌てて負傷者をカントへと移動させるのだった。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる