都市伝説と呼ばれて

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第一章 都市伝説と呼ばれて

25 カレル・ベルカ

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 お茶会からちょうど一ヵ月後、シルベストルは早朝からフォレスへと出発していった。
 フォレスはかつてミラーの騎士最強の名を誇った、オリヤン・ストランドが治めるウンダルの領都だ。
 ウンダルは地理的に近く、カモフの北に隣接している。そのフォレスへはサザンから船でわずか三日の距離にあった。
 サザンを発ったシルベストルは午前中にネアンに立ち寄り、オイヴァと会談し政策の摺り合わせをおこない、昼食後に再び船上の人となりセラーナ川を下っていく。
 船上からカモフを振り返れば、万年雪を抱いたンガマトの山が白い峰を快晴の空に聳えさせていた。その手前には氷河によってU字に抉られたカモフの谷が、美しい景観を見せている。
 岩塩が出るとはいえ荒野が多く決して豊かとはいえないカモフだが、遠くから眺める分には誇らしく思えるほどの絶景が広がっていた。
 カモフの谷を抜けると左右の視界が大きく開け、開放感のある広い空が広がった。
 彼を乗せた船もやがて大河と合流し、風景は草原や森が多くなり、どこまでも緑が広がる豊かな土地となる。
 これがオリヤンの治めるウンダルだ。
 かつて氾濫を繰り返していた大河フェイルは、何世代にも渡る治水事業の成果もあって、現在ではウンダルを肥沃な土地に生まれ変わらせていた。
 見た目だけでなく、実際にフォレス周辺の土地はアルテミラの中でも一、二を争う穀倉地帯となっているのだ。
 カモフではまだ葉を落とした木々が寒々とした冬を色濃く残しているが、ウンダルでは新緑の緑が、目に心地よい景色を見せてくれる。

「いつ見ても豊かな土地だのう」

 目の前にはウンダルの豊かな田園風景が広がっていた。
 シルベストルは船の舷側に立ち、春の心地よい風を全身に受けて、目を細めながら独りごちた。
 ザオラルの代理として使者に就いているが、オリヤンとは三十年来の仲だ。ウンダルとの関係は良好なため護衛は少なく三名のみ。あとは補佐として彼の息子たちや身の回りの世話をする側勤めなど、わずか五十名あまりの使節団だった。

「そんなに気に入ったのなら、ウンダルに住んでもいいのだぞ?」

 シルベストルが心地よさそうに目を細めていると、傍に控えていた騎士が振り向いてシルベストルに話し掛けた。
 聞こえてきた声は馴染みのあるトゥーレのものだ。しかし振り返って確認した騎士は、顔こそ似ているものの黒髪の騎士だった。

「えっ!? まさかト、トゥーレ様!? うわっ!」

 思いがけず聞き慣れた声を聞いたシルベストルは、思わず二度見した際に、揺れる船にバランスを崩し危うく舷側から転落するところだった。

「揺れる船でそんなに暴れると落ちるぞ!」

「誰のせいで落ちそうになったと思ってるんですか!?」

 騎士に左腕を掴まれてどうにか転落を免れたシルベストルは、思わずそう叫びながらその騎士の顔をまじまじと見つめる。髪の色こそ黒いが赤と紫のオッドアイは紛うことなくトゥーレ本人のものだ。

「若様!? どうしてここに? というかその頭は?」

「バーレク卿、私は今回護衛に就いておりますカレル・ベルカにございます。決してトゥーレ様ではございませんので、お間違えなきようお願いいたします」

 取り乱し、頭の上に幾つものクエスチョンマークを浮かべたようなシルベストルに対し、恭しく振る舞うその騎士は自らをカレル・ベルカと名乗った。
 だが彼の後ろでは、顔を逸らして肩を振るわせ、笑いを必死で堪えるユーリたちの姿が見えた。
 もちろんカレルと名乗った騎士はトゥーレその人だ。
 どうしても目立つ白銀金髪プラチナブロンドを黒く染めて隠し、チュニックは目立たない濃い灰緑色、護身用のレイピアもわざわざ質素なサーベルに取り替えている。
 頭髪を黒く染めただけだが随分と雰囲気が変わり、一見しただけではトゥーレだと誰も気が付かないほどだ。

「しかし!」

「心配するな。父上の許可は取ってある」

 トゥーレからそう言われれば、彼らを降ろす理由はなくなってしまう。船も既にカモフを出てしまっている以上、シルベストルは渋々ながら同行を許可するしかなかった。

「・・・・致し方ございませんな」

「フォレスまでよろしく頼みます。それとサザンに帰るまで私の事は、カレルあるいはベルカ卿とお呼びいただけますようお願いいたします」

 悪戯が成功した子供のような笑顔を浮かべながら、トゥーレはまだ納得がいかず溜息を吐いているシルベストルに念を押した。
 すっかりカレルが気に入ってるのか、道中もトゥーレは言葉遣いどころか、態度まで部下のように接することを徹底していた。シルベストルたちが恐縮する中、船室すらも護衛用の四人部屋に泊まるほどだった。



 一行を乗せた船は大河フェイルを、帆走しながらゆっくりと下っていく。
 フェイル川は全長約三五〇〇キロメートルにおよぶ、この大陸最長となる河川だ。ンガマト山脈を水源とし、無数の支流を束ねながら下った河口には王都アルテがある。
 王都アルテまでは遠く、帆走しても下りは十五日、上りなら二十五日ほどの行程となる。
 天候にも恵まれ順調に行程を消化した一行は、一日目、二日目と中継地となっている街で投宿し、三日目の午後には予定通りフォレスの街に投錨することができた。
 フォレスは丘の上に聳える城に向かって、積み上げるように建物が連なる街だ。丘の城からは、放射状に大小八本の道が広がる美しい街並みを誇っている。
 サザンのような城壁はないが、アルテミラでは城郭都市の方が珍しく、通常はフォレスのように領主の住まう城を中心に市街が広がっているのだ。
 フォレスの城は、特徴的な二つの尖塔が空に伸び、外壁は薄いベージュ、屋根は青で統一されている。城の周りはサザンよりも高い十五メートルにおよぶ三重の城壁で囲まれ、その外側に街並みが広がっていた。
 もちろん中央に建つ城が、ウンダルの領主オリヤンの居城である。
 かつて国の首都として栄えた時代もあるフォレスは、豊かな農作物と貿易により栄える豊かな街であり、市街だけでサザンを遙かに超える十三万人もの人が暮らす。
 フェイル川から丘を回り込むように大きな入り江があり、そこに港が整備されている。港には大小様々な商船が停泊し、桟橋近くには倉庫群が幾つも軒を連ねていた。
 港の反対側に当たる入り江の対岸には、商船よりも小さな漁船が何十艘と並び、漁師達の住まう家々が漁師町を作っていた。

「か、数え切れねぇ! いったいどれほど船があるんだ!?」

「すげぇ! まるで城みたいだ! こんなでかい船本当に浮いているのか?」

 港に降り立ったユーリたちは、初めて目にする光景に圧倒されていた。サザンやネアンで岩塩の運搬船は見ているが、その船の何倍もの大きさと何十倍もの数に、彼らは先程から目を白黒させていた。

「そういえば、先輩方はカモフを出たことがないんでしたね?」

 巨大な帆船を見上げて惚けたように口を開いているユーリたちに向かって、ルーベルトがからかうような口調で笑った。
 塩坑で育った彼らは、当然ながらカモフを出たことはない。トゥーレに出会わなければ、一生をカモフから出ることなく終えていたに違いなかった。
 彼らの中では唯一オレクが商人時代に何度か父に連れられてフォレスを訪れていたが、サトルトの事業が忙しく今回の訪問にオレクは同行していなかった。
 一方ルーベルトは、かつて父に連れられてフォレスを訪れていたため、ここぞとばかりにマウントを取っているが、実際にはたった一回訪問しただけだ。
 もちろん本気で馬鹿にしたのではなく冗談である。普段弄られることが多かったのでちょっとした意趣返しだ。
 ちなみにトゥーレもカモフの外にでるのは二度目だが、ルーベルトのように自慢することなく、ユーリたちと一緒に無邪気に騒いでいた。

「ルーベルトてめぇ! 後で覚えてろよ!」

 ユーリたちがルーベルトを捕まえようとするが、彼は素早くシルベストルを盾にするように移動したため、彼等は歯ぎしりし悪態を吐くしかできない。

「これ、いつまで騒いでいる。さっさと行くぞ!」

 彼らの到着は知らされているため、迎えの馬車が既に待機している。港独特の活気ある喧噪に包まれる中、迎えの使者と挨拶を交わしていたシルベストルは、トゥーレらを促すようにして歩き出す。

「バーレイ卿、先に向かってください。我らはのんびりと街を見物がてら、徒歩で城に向かうことにします」

「なっ!? トゥ、ベルカ卿! お待ちください。夕刻よりオリヤン様主催の晩餐会が開かれます。ひとまず本日は城に向かいましょう」

 動転して危うくトゥーレの名を叫びそうになったシルベストルは、慌てながらもトゥーレに翻意を促すが、彼は当然ながら聞く耳を持たなかった。

「晩餐までは時間があります。それまでには到着いたしますので、どうかお気遣いなさらずに」

 そもそも護衛の任務を放り出して、自由行動することは許される訳がないはずだが、どうやら彼等はフォレスの見物を優先するようだ。初めからそうするつもりだったのか、シルベストルが止める間もなくトゥーレは仲間を引き連れてさっさと人混みに紛れていった。
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