転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行

第1章 異世界へようこそ

疑惑

帰りの馬車でフレディと2人きり。


前に馬使いが1人いるだけ。二匹の馬を操っている。







「ミチルほんと無防備って言うか馬鹿だよね」



「お前だってたまにアホみたいなことするだろ！！」



「はぁ？僕は全部計算した上で行動してるの。分かる？」





と、俺を哀れむような目で見て来て、溜息をつかれた。





「順を追って説明しようか。ニコラスさんについてだけど、僕たちの馬車を出させるように王に言いにいったよね？その時、僕たち何かした？何もしないでずっと付いていっただけだよね。ってことは、外で待ってても同じなんだよ。わざわざ宮殿の中に入らせて、王様に合わせる必要がない。危険が及ぶだけでしょ。しかも、廊下も含めて、王室の前にすら警備がいなかった。ありえると思う？その気になれば僕たちで王様殺すことできちゃうんだよ。いくらニコラスさんが強くても被害は少なくなはず、宮殿の警備がいませんなんて有り得ない事だよ。」





確かに、言われてみれば宮殿に入ってから王以外に誰ともすれ違ってもなかった。
警備がないのにも何も思わなかったが、いるのが当然であるのには納得せざる負えない。




「し・か・も、王室に行くまで僕たちどれだけ王宮の中回ったと思う？距離感覚のないミチルには分からなかったかもれないけど、無駄な道のりばっかりだったからね。そして、最後の決め手の『こっちが近道』。近道なら最初からそこを通れば良いでしょ？そもそも、ニコラスさんはスキル【道導みちしるべ】の持ち主なんだから、最初から近道通って王室まで行けるはずなんだよ。ぐねぐね王宮を周らせて、距離感覚を鈍らせてから、『近道』へ誘い込むまでが作戦でしょ。」



そうか、スキル・・・

フレディが言う事全て現実味を帯びていて急に背筋が凍ってくる。




「僕が無理やり『近道』から遠ざけてあげたから良いけどさ、あのまま食われるつもりだったの？ほんと馬鹿。」



「食われっ・・・！？」



「大袈裟に言っただけだよ、そこだけ反応しないでよね。ま、本当に冗談にもならなかったかもね。ミチルえろいもん。」



「えろ！？ふざけるのも大概にしろよ！！！！感謝はしてるけど、そこだけだからな！！！！！いらんことばっか言うな！！！！！！！」




心から恐怖を覚えることを連発するもんだから、俺は半ばキレ気味に口論している。



「そこだけなら、尚更ちゃんとお礼言えないの？生意気だなこの口は・・・また塞ぐぞ」



そんなことを言われたので、言い返すわけにもいかなくなった。
俺は勢いを失って完全失速した。






そして少しの間の後、









「うーーーー、ありがとうございました・・・」



下を向きながら言うと、よしよし、可愛いね～って言いながら頭を撫でて来た。


咄嗟に、可愛くない！！って口からこぼれそうになったが、キスされたくないので、必死で耐えた。






フレディは頭に置いていた手を離すと、真面目な顔になって話し始めた。






「あれは絶対僕たちを捕らえようとしてたよ。恐らくミツルの回復魔法目当てだとは思うんだけど、それだと色々納得いかない点が出てくるんだよね・・・護衛や見張りがいなかったのは、多分『近道』の方に人を集めていたんだと思う。でも、人員を集めるためには連絡が必要でしょ？僕たちと一緒にいた時、そんな連絡をしている様子はなかった。もしかしたら、テレパシー能力でも持ってるのかな・・・」



「いや、ニコラスさんのスキルにそんなのはなかったよ。【道導みちしるべ】と【魔力消費軽減】だけだった。」






「んー、ならどうやって・・・」






いくら考えても謎は深まるばかりで、結局フレディにすら分からなかった。






評判の良かったノービリス王国は、闇があることが、俺たちの中で発覚したのだった。