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月
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「もっとお眠りよ、ぼうや。」
今日も月はぼうやに話しかけます。
「目がさめてしまったんだ。」とぼうやは言います。
「起きたらこんなにも部屋が薄暗くて、怖くてとても眠れないよ。」
「大丈夫。目をつむれば同じこと。もっとお眠りよ、ぼうや。」
「でも、外で嫌な音がするよ。」
「大丈夫。あれは風のお話しする声。木立との噂話に夢中になっているだけ。さあお眠りよ、ぼうや。」
「眠ったら最後、にどと起きられないかもしれないよ。」
「大丈夫。太陽がぼうやを起こしにくるまで、わたしが見ていてあげるから。さあさ、お眠りよ、ぼうや。」
「なぜ、きみがぼくを見ているの。ママやパパはどこにいるの。」
「どこって、もちろんぼうやのすぐそばに。ママもパパも、夢の中で待っているに違いないよ。安心してお眠りよ、ぼうや。」
ママとパパに会いたくて、ぼうやはついに目をつむります。
「ねえ、きみは一人でさびしくないの。」
目をつむったまま、ぼうやがききました。
「さびしくないよ。さびさくないよ。なぜってぼうやがいるんだもの。お眠りよ、ぼうや。」
同じ夜をいく度もこえて、月はぼうやに一つ嘘をつきました。
太陽がぼうやの安らかな寝顔を照らします。
月は太陽にかくれて涙をひとすじ流しました。
今日も月はぼうやに話しかけます。
「目がさめてしまったんだ。」とぼうやは言います。
「起きたらこんなにも部屋が薄暗くて、怖くてとても眠れないよ。」
「大丈夫。目をつむれば同じこと。もっとお眠りよ、ぼうや。」
「でも、外で嫌な音がするよ。」
「大丈夫。あれは風のお話しする声。木立との噂話に夢中になっているだけ。さあお眠りよ、ぼうや。」
「眠ったら最後、にどと起きられないかもしれないよ。」
「大丈夫。太陽がぼうやを起こしにくるまで、わたしが見ていてあげるから。さあさ、お眠りよ、ぼうや。」
「なぜ、きみがぼくを見ているの。ママやパパはどこにいるの。」
「どこって、もちろんぼうやのすぐそばに。ママもパパも、夢の中で待っているに違いないよ。安心してお眠りよ、ぼうや。」
ママとパパに会いたくて、ぼうやはついに目をつむります。
「ねえ、きみは一人でさびしくないの。」
目をつむったまま、ぼうやがききました。
「さびしくないよ。さびさくないよ。なぜってぼうやがいるんだもの。お眠りよ、ぼうや。」
同じ夜をいく度もこえて、月はぼうやに一つ嘘をつきました。
太陽がぼうやの安らかな寝顔を照らします。
月は太陽にかくれて涙をひとすじ流しました。
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