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初恋のヒト
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家を発ってから一刻(2時間)がたった。
銕三郎は獣道を抜け、人が利用する道まで出る。
それから少し歩いて行き、堀で囲まれた屋敷に着くが、
忌々しい目でその屋敷を見る。
一見すると,武家造かと思われるが違う。
おそらく辺りに住んでいる者達は知っていると思うが。
ふと気づくと頭に蜘蛛がついていた。
しっしっ、と手で思い切り振り払う。
銕三郎は蜘蛛が嫌いなのだ。
そうなった理由は,この為事にある。
銕三郎の「為事」というのは,簡単に言うと,鬼退治のようなものだ。
鬼、と言ってもただの鬼ではない。
形状は個体それぞれが違う。
多くの個体が自我を持ち合わせておらず,本能のみで体を突き動かしている。
村の人間を平気で襲い,食い散らかし次の村を求めて群れで行動する。
だが数百年後,銃器の登場に彼らはこの世から姿を消すこととなる。
いつしかそれは「妖賀者」と呼ばれるようになっていた。
それらを牽制するために、結成された組織が誅伐隊だ。
元は,村自治の中で行われていた事がいつしか広がりを見せたのだった。
村の一部で発足した組織が今や室町殿の膝元だ。
その理由としては,応仁の乱が挙げられる。
次期将軍の跡目争い。
足利義視派の西軍と足利義尚派の東軍で二つに分かれた戦、
応仁の乱。
多くの武士がどちらかの肩を持ち,10年もの間争い続けた結果、京の都は焼け野原と成り果てた。
そんな中,誅伐隊は足利義尚派の西軍として戦に参加した。
もちろん武士としてではなく、足軽としての参戦だ。
妖賀者との戦いで培った身のこなしが非常に役に立ち,西軍に大きく貢献したことで、
誅伐隊は、御家人達よりも役に立ち,東軍と西軍の和睦に一役を買った。
略奪を繰り返し悪名高き者として恐れられていたが、誅伐隊はこうして名を上げていったのだ。
面白くないのは御家人達である。
10年もの長戦の中で,誅伐隊が活躍したのは、たったの一年ほどだ。
パッと出のよく分からない軍が名を上げれば面白くないだろう。
銕三郎も応仁の乱には参戦し、京へのぼった。
その際に,見つけた子供が仁なのであった。
この時代に子供一人を育てる事は、己の生活にも大きく関わってくる。
それでも,自分と同じような境遇の仁を見捨てられずに拾ったのだ。
今日も金を稼ぎ,仁を一人前にするという心意気で門へと歩み出す。
「おーい,開けてくれ
銕三郎です。浜さーん」
銕三郎は物見櫓(ものみやぐら)でくつろいでいる男にそう呼びかける。
人当たりの良さそうな爺さんで頭頂部はハゲている。
「おぅ、銕三郎か。
お松ちゃんならもうきてるよ」
「もうですか、相変わらずおはやい」
違いない,と言いながら浜さんこと浜口伊六は梯子を伝い下へ降り,門を開けた。
「さぁさ、いってらっしゃいな。
愛しのお松ちゃんが待っているよ、
別の意味での武運を祈る」
「な、別に俺はお松さんの事が好きだとは一言も言ったことはありませんが……」
「またまた、本当は、『恥ずかしいですから』
……へへ悪かったね」
銕三郎は頬を赤らめる。
「見てりゃぁ分かるよ、
あと、わしは一言もお前さんがお松ちゃんのことを好きだとは言っとらんぞ。
ケケケ、若人は言いたいこと言っちまった方が後で後悔はしないさ。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如きなり。」
銕三郎は、悔しそうな顔をし、
「この話は終いにしましょう、」
へへ、ウブだね、顔真っ赤にしちゃって、と浜口は銕三郎を揶揄する。
銕三郎は、母屋の戸を開ける。
帳付け役(事務、会計)の親父に挨拶をし、座敷へと向かう。
たどり着いたその場所には,一人の女が座っている。
居住まいからみても美しく、
銕三郎は、唾をごくりと飲み込む。
「お松さん、お待たせしました」
銕三郎は意を決して声をかける。
お松は、くるりとこちらを振り返り笑顔を見せる。
「銕三郎様、こんにちは。お久しぶりですね」
つり目がちの目に、柔らかそうで血色の良い頬。
化粧をしていなくても美しい顔立ち。
顔に傷があるもののそんなものは気にならない。
平然を装ってはいるが、心臓の高まりが止まらなかった。
あぁ,何と美しいのだろう。
一緒になりたい。
「待たせてしまいましたか?
その,少し足が赤くなっているので」
「大丈夫です、そんなやわな体ではありませんから」
「ならばよかった」
「はいはい、お二人ともそれでは今日の仕事の説明をしますよ」
ひょこっと,座敷へ現れた奉公人は二人を見てニヤニヤと笑っていた。
銕三郎は、周りからそのような目で見られても不思議と今だけは嫌な気持ちにはならなかった。
その頃,九郎と仁は何をしているのかというと。
「仁、腹が空いたろう
飯にせんか?」
九郎は出来るだけ仁に優しく問いかける。
銕三郎を育て上げたので子供の扱いには多少の自信があった。
のだが、うまくいかずもう3時間近くは同じ場所から動かない。
仕方ない,と思い一人で飯を食べる。
「美味いぞ、朝から何も食っとらんだろ、
意地を張ってないでこっちに来たらどうだ、
うむ,やはり肉入りは美味いな、
イナゴなんかより」
しかし嫌だ、という目で九郎を見てくる仁に嫌気が刺した。
言葉は分かっているはずだ。
少しばかり九郎は苛立つが子供相手に何を、と立ち上がる。
仕方がないが,自分がしばらく外にでるしかない。
飯を置いておけば勝手に食うだろう。
「しばし,出てくる
嫌でも、戻ってくるからな」
九郎は、山菜でも探しに行くかと森へ入っていった。
仁は、九郎がいなくってから少ししてようやく動き出した。
温かい玄米と汁が用意されており、箸に手をつけ汁から飲んだ。
仁は箸の持ち方が下手なので、上手く肉が掴めなかった。
ようやく肉を掴み口に入れる。
咀嚼を繰り返すと口の中に,鴨肉の旨味が広がって美味かった。
ちなみにこの時代にここまでしっかりした飯を食べられる家庭はごくわずかだ。
玄米も食べようと思い、器を取ろうとする。
その時、
外から鳥のけたたましい鳴き声が一斉に聞こえる。
それと同時に地響きが仁の耳に届いた。
何事か,と動揺する。
その瞬間、体が大きく揺さぶられる。
よろけて部屋の壁に追いやられて、立つことも叶わない。
汁の入った鍋が,囲炉裏に落ち、砂の中に水分は吸い込まれる。
鍋の蓋やら物干し竿が落下し,激しい音をたてた。
地震が起きたのだ。
「ひっ」と小さな悲鳴をあげ、今のこの状況を畏怖した。
そう遠くない過去に似たような状況に出くわした事があった。
記憶は曖昧だが地震が起き、物はたくさん倒れた。
家は崩壊し,それによって下敷きになった人があまたいた。
その時の事を思い出し,仁は震え始める。
まだ揺れはおさまっていない。
銕三郎は獣道を抜け、人が利用する道まで出る。
それから少し歩いて行き、堀で囲まれた屋敷に着くが、
忌々しい目でその屋敷を見る。
一見すると,武家造かと思われるが違う。
おそらく辺りに住んでいる者達は知っていると思うが。
ふと気づくと頭に蜘蛛がついていた。
しっしっ、と手で思い切り振り払う。
銕三郎は蜘蛛が嫌いなのだ。
そうなった理由は,この為事にある。
銕三郎の「為事」というのは,簡単に言うと,鬼退治のようなものだ。
鬼、と言ってもただの鬼ではない。
形状は個体それぞれが違う。
多くの個体が自我を持ち合わせておらず,本能のみで体を突き動かしている。
村の人間を平気で襲い,食い散らかし次の村を求めて群れで行動する。
だが数百年後,銃器の登場に彼らはこの世から姿を消すこととなる。
いつしかそれは「妖賀者」と呼ばれるようになっていた。
それらを牽制するために、結成された組織が誅伐隊だ。
元は,村自治の中で行われていた事がいつしか広がりを見せたのだった。
村の一部で発足した組織が今や室町殿の膝元だ。
その理由としては,応仁の乱が挙げられる。
次期将軍の跡目争い。
足利義視派の西軍と足利義尚派の東軍で二つに分かれた戦、
応仁の乱。
多くの武士がどちらかの肩を持ち,10年もの間争い続けた結果、京の都は焼け野原と成り果てた。
そんな中,誅伐隊は足利義尚派の西軍として戦に参加した。
もちろん武士としてではなく、足軽としての参戦だ。
妖賀者との戦いで培った身のこなしが非常に役に立ち,西軍に大きく貢献したことで、
誅伐隊は、御家人達よりも役に立ち,東軍と西軍の和睦に一役を買った。
略奪を繰り返し悪名高き者として恐れられていたが、誅伐隊はこうして名を上げていったのだ。
面白くないのは御家人達である。
10年もの長戦の中で,誅伐隊が活躍したのは、たったの一年ほどだ。
パッと出のよく分からない軍が名を上げれば面白くないだろう。
銕三郎も応仁の乱には参戦し、京へのぼった。
その際に,見つけた子供が仁なのであった。
この時代に子供一人を育てる事は、己の生活にも大きく関わってくる。
それでも,自分と同じような境遇の仁を見捨てられずに拾ったのだ。
今日も金を稼ぎ,仁を一人前にするという心意気で門へと歩み出す。
「おーい,開けてくれ
銕三郎です。浜さーん」
銕三郎は物見櫓(ものみやぐら)でくつろいでいる男にそう呼びかける。
人当たりの良さそうな爺さんで頭頂部はハゲている。
「おぅ、銕三郎か。
お松ちゃんならもうきてるよ」
「もうですか、相変わらずおはやい」
違いない,と言いながら浜さんこと浜口伊六は梯子を伝い下へ降り,門を開けた。
「さぁさ、いってらっしゃいな。
愛しのお松ちゃんが待っているよ、
別の意味での武運を祈る」
「な、別に俺はお松さんの事が好きだとは一言も言ったことはありませんが……」
「またまた、本当は、『恥ずかしいですから』
……へへ悪かったね」
銕三郎は頬を赤らめる。
「見てりゃぁ分かるよ、
あと、わしは一言もお前さんがお松ちゃんのことを好きだとは言っとらんぞ。
ケケケ、若人は言いたいこと言っちまった方が後で後悔はしないさ。
人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如きなり。」
銕三郎は、悔しそうな顔をし、
「この話は終いにしましょう、」
へへ、ウブだね、顔真っ赤にしちゃって、と浜口は銕三郎を揶揄する。
銕三郎は、母屋の戸を開ける。
帳付け役(事務、会計)の親父に挨拶をし、座敷へと向かう。
たどり着いたその場所には,一人の女が座っている。
居住まいからみても美しく、
銕三郎は、唾をごくりと飲み込む。
「お松さん、お待たせしました」
銕三郎は意を決して声をかける。
お松は、くるりとこちらを振り返り笑顔を見せる。
「銕三郎様、こんにちは。お久しぶりですね」
つり目がちの目に、柔らかそうで血色の良い頬。
化粧をしていなくても美しい顔立ち。
顔に傷があるもののそんなものは気にならない。
平然を装ってはいるが、心臓の高まりが止まらなかった。
あぁ,何と美しいのだろう。
一緒になりたい。
「待たせてしまいましたか?
その,少し足が赤くなっているので」
「大丈夫です、そんなやわな体ではありませんから」
「ならばよかった」
「はいはい、お二人ともそれでは今日の仕事の説明をしますよ」
ひょこっと,座敷へ現れた奉公人は二人を見てニヤニヤと笑っていた。
銕三郎は、周りからそのような目で見られても不思議と今だけは嫌な気持ちにはならなかった。
その頃,九郎と仁は何をしているのかというと。
「仁、腹が空いたろう
飯にせんか?」
九郎は出来るだけ仁に優しく問いかける。
銕三郎を育て上げたので子供の扱いには多少の自信があった。
のだが、うまくいかずもう3時間近くは同じ場所から動かない。
仕方ない,と思い一人で飯を食べる。
「美味いぞ、朝から何も食っとらんだろ、
意地を張ってないでこっちに来たらどうだ、
うむ,やはり肉入りは美味いな、
イナゴなんかより」
しかし嫌だ、という目で九郎を見てくる仁に嫌気が刺した。
言葉は分かっているはずだ。
少しばかり九郎は苛立つが子供相手に何を、と立ち上がる。
仕方がないが,自分がしばらく外にでるしかない。
飯を置いておけば勝手に食うだろう。
「しばし,出てくる
嫌でも、戻ってくるからな」
九郎は、山菜でも探しに行くかと森へ入っていった。
仁は、九郎がいなくってから少ししてようやく動き出した。
温かい玄米と汁が用意されており、箸に手をつけ汁から飲んだ。
仁は箸の持ち方が下手なので、上手く肉が掴めなかった。
ようやく肉を掴み口に入れる。
咀嚼を繰り返すと口の中に,鴨肉の旨味が広がって美味かった。
ちなみにこの時代にここまでしっかりした飯を食べられる家庭はごくわずかだ。
玄米も食べようと思い、器を取ろうとする。
その時、
外から鳥のけたたましい鳴き声が一斉に聞こえる。
それと同時に地響きが仁の耳に届いた。
何事か,と動揺する。
その瞬間、体が大きく揺さぶられる。
よろけて部屋の壁に追いやられて、立つことも叶わない。
汁の入った鍋が,囲炉裏に落ち、砂の中に水分は吸い込まれる。
鍋の蓋やら物干し竿が落下し,激しい音をたてた。
地震が起きたのだ。
「ひっ」と小さな悲鳴をあげ、今のこの状況を畏怖した。
そう遠くない過去に似たような状況に出くわした事があった。
記憶は曖昧だが地震が起き、物はたくさん倒れた。
家は崩壊し,それによって下敷きになった人があまたいた。
その時の事を思い出し,仁は震え始める。
まだ揺れはおさまっていない。
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