70 / 70
閑話
10.キスがしたい話
しおりを挟む
早いもので成人式から丸一年が過ぎた。
成人を向けてからのシルはとにかく忙しい毎日を送っていた。
そこまで頑張らなくても…。と休むよう言うのだが、
「私もアレス様を幸せにしたいので」
と言われ、何も言えなくなってしまった。
まだ手を繋いだり、抱き締めても照れ臭そうにするのに、こういうときは直球で気持ちを伝えてくるのがなんとも心地よい。
でも倒れては俺の心が休まないので、テュールやフォルセティに調整してもらっている。
そして今日は、来年結婚式を挙げるための軽い打ち合わせの為、アティルナ邸へとやって来た。
「結婚式は皇城でって聞いたのですが本当ですか?」
「そうだよ。一応まだ王弟だからね」
「…そうでしたね。忘れていたわけではないのですが…」
「ただその一年後に皇籍を抜ける予定だけど」
「ぬ、抜けるのですか!?」
だって必要を感じない。
寧ろ帝国に何かあったとき皇族だと理由で振り回されるかもしれないし、政敵に狙われるかもしれない。
大公という三大公爵家より権力のある爵位を貰えているわけだし、それだけで十分。
あとはトラキアを平和な土地にして、シルに健やかに過ごしてもらいたい。
ついでに第二騎士団団長も辞職予定だと告げると、さらに目を見開いて驚く。
驚いた顔も可愛いなぁ。
この一年の間に色んな顔を見せてくれた。だけど何度見ても、もっと見たいと願ってしまう。
「魔導士部隊はさすがに辞めれないからそのまま続けるけど、第二騎士団はミリガンに任せるつもり」
「……そう…ですか…」
それになんたってシルとの時間が減ってしまう!それが一番重要だ!
だと言うのにシルは少し寂しそうな顔をして、持っていたティーカップを握り締める。
「もしかして勝手に決めたらまずかった?」
「いえ、そうではありません。ただ、前に皇帝陛下に夫婦で騎士団をまとめます。と言ったのにと…」
ああ、そんなこともあったな。
シルが気にするようなことじゃないのに…。
「大丈夫。ミリガンにはちゃんと仲良くするよう伝えているし、何より今そういう風に教育している」
「そうなのですか?」
「第一騎士団はフォルセティ卿がまとめるだろうし、最近ではミリガンとよく話してる」
「そうでしたか。私の力なんて必要ありませんでしたね」
「シルがいるからだよ」
シルがいなかったら、望まなかったら絶対に動かなかった。
幸いミリガンもフォルセティも協力的だから徐々に距離を縮めている。それでも何年もかかるし、反抗する奴は反抗するだろうけど。
苦笑するシルにそのことを伝えると、照れながら握り締めていた紅茶を飲み干した。
「じゃあ結婚式に話に戻っていい?」
「はい」
「とは言っても基本的に俺に任せてくれたらそれでいいよ」
「それは…」
「あ、こんな式にしたいとかあったら言ってくれたらその通りにする」
「いえ、そうではなく。普通の結婚式で十分です。……皇族だから普通ではない…?」
「んー…。式が行われる聖堂は親族のみしか入れないぐらいで、あとは普通かな」
「それは逆に嬉しいです。たくさんの人に見られるのは恥ずかしいので…」
「シルのキス顔を他人に見られたくねぇし、こういう時ばかりは皇族でよかったと思うよ」
「キッ…!?」
成人式から一年が経った。成人式まではハグで我慢した。
この一年でかなり距離を詰められるようになったし、シルから積極的に抱き着いてくれるようにもなった。
だから…。だから今度こそキスがしたいッ!
キスと言う言葉にあからさまに意識して、顔を真っ赤にさせる。
今からそんな顔するなら、キスをしたらどんな感じになるんだろう…。楽しみで仕方ない。
「え、まさかシル…。結婚式で誓いのキスをしないつもりだった…?」
「いえっ! そ、そこはきちんと儀式通りにしますが…」
「でもそんな顔を赤くしたら逆に恥ずかしくない?」
「すすすすみません! 解ってはいるのですが自然とこんなっ…」
慌てふためく彼女の姿を見るのも楽しい。楽しいが…。
「キスの練習もしといたほうがいいと思うんだけど、どう思う?」
「そ…そんなに顔が赤いですか?」
「それはもう見事に。遠くにいても解るぐらいには真っ赤だ」
「ううぅ…」
この様子であればいける。絶対にいけるッ!
「ほら恋愛中級者になって一年経つだろ? そろそろ卒業して上級者にならないと。結婚まであと一年しかないし」
「……っわかりました! ですが…あの、恥ずかしいので目を瞑って頂いても宜しいでしょうか?」
よっしゃあああああ!今度こそシルとキスができるッ!
顔を真っ赤にしたまま決意した目で俺を見つめてくる。
シルとキス。シルからのキス。
目を開けてどんな様子か見たいけど、さすがに言う通りにしておこう。
ソファから立ち上がり、俺の隣に座るのを確認してから目を瞑ると、小さな深呼吸が聞こえた。
嬉しいけど緊張する…。
「…」
「……どうでしたか!?」
「……え?」
感覚なかったんだが?
目を開けてシルを見ると顔だけじゃなく、耳まで真っ赤になったシルが既にソファに座っていた。
「アレス様…?」
「…シル。因みにどこにキスした?」
「え? 結婚の儀式通り額にしました…」
………はぁああ。
「よし、じゃあ練習も終わったし本番も頑張ろうか」
「えっ、ちょ、アレス様!?」
昨年のことを忘れていたわけじゃないけど、忘れていた。
腰を掴んで自分の膝の上に無理やり座らせ、困惑して逃げようとするシルを逃がさないよう強い力で捕まえる。
ここまできたら絶対にキスしてやる。
「知らないと思うけど皇族の結婚式では唇にキスするんだ」
「えッ!?」
「だから結婚式まで一年はあるし、それまでに恋愛上級者になっておきたい」
「いやっ! でもっ! きょ、今日はもうここまでが限界でッ…!」
「シルの言うことは聞いてあげたいけど今日はダメ。キスしてくれるまで絶対に離さない」
強い言葉で言うとピタリと動きを止めて、何か色々と考えている。
いける。絶対にキスできる。
逃げようとしているけど嫌っている様子には見えない。大丈夫。
「……死にそうです…」
「じゃあシルが目を瞑って。俺がするから」
右手で頬に触れて囁くとビクリと飛び跳ね、目に涙を浮かべる。
ああ恥ずかしさで泣きそうなシルも可愛い。もっと虐めたい。困らせたい。
顔を近づけると反射的に反らそうとするも、触れていた手で逃がさないようすると、覚悟を決めたかのようにギュッと強く目を瞑った。
あー可愛い。身体中震えてるのがまた余計に虐めたくなる。
「シル」
「…っ!」
「愛してる」
ジッと見つめたまま唇を重ねると、さらに身体が強張る。
……まだいけるか…?絶対にもう限界を超えているけど、少しばかり強引に進めておきたい。
キスでこれじゃあ初夜とかどうすんだよ…。さすがにお預けは嫌だ。
「ねぇシル」
「…」
「舌出せる?」
「お、終わりじゃないんですか…?!」
目を瞑ったまま逃げようとするのを力を加えて逃がさないようにする。
フルフルと震えながらゆっくりと目を開け、青い瞳を間近で見る。
どんな「青」より綺麗だ。涙で濡れて余計にそう感じてしまう。
逃げれないと解っているから「うん」としか言えないのに、シルはなかなか返事をしない。だけど俺も取り下げることはしない。
少しの間部屋に沈黙が流れ、観念したのか小さな舌を恐る恐る出した。
「ごめんな」
すぐに自分の舌を絡めると、目を見開いて今まで以上に抵抗された。
もっと長時間楽しみたいけど、とりあえずはこれぐらいでいいか。
一回はできたことだし、とりあえず山を越えた気がする。
「…? シル?」
「……」
「うわっ! やっちまった!」
途中で身体の力が抜けたと思ったら、まさか気絶しているとはッ!
やっぱり強引すぎたかッ! 今まで我慢しすぎて若干暴走してしまった!
とりあえず兄二人にバレないよう俺の邸に連れて行こう!
✿
「シル、おはよう。さあ今日もキスの練習をしよう」
「……」
「シル?」
「舌を出すやつですか…?」
「どちらも」
「い、嫌です。舌を出すのまだ無理です…」
「じゃあ普通のキスはできるよね」
「それでしたら…」
「じゃあ今日はそれで!」
「(……あれ? いつの間にかキスすることになってる…?)」
「(いやぁ相変わらず丸め込みやすい。単純なシルも可愛いけど俺以外には十分注意するよう言っておこう)」
成人を向けてからのシルはとにかく忙しい毎日を送っていた。
そこまで頑張らなくても…。と休むよう言うのだが、
「私もアレス様を幸せにしたいので」
と言われ、何も言えなくなってしまった。
まだ手を繋いだり、抱き締めても照れ臭そうにするのに、こういうときは直球で気持ちを伝えてくるのがなんとも心地よい。
でも倒れては俺の心が休まないので、テュールやフォルセティに調整してもらっている。
そして今日は、来年結婚式を挙げるための軽い打ち合わせの為、アティルナ邸へとやって来た。
「結婚式は皇城でって聞いたのですが本当ですか?」
「そうだよ。一応まだ王弟だからね」
「…そうでしたね。忘れていたわけではないのですが…」
「ただその一年後に皇籍を抜ける予定だけど」
「ぬ、抜けるのですか!?」
だって必要を感じない。
寧ろ帝国に何かあったとき皇族だと理由で振り回されるかもしれないし、政敵に狙われるかもしれない。
大公という三大公爵家より権力のある爵位を貰えているわけだし、それだけで十分。
あとはトラキアを平和な土地にして、シルに健やかに過ごしてもらいたい。
ついでに第二騎士団団長も辞職予定だと告げると、さらに目を見開いて驚く。
驚いた顔も可愛いなぁ。
この一年の間に色んな顔を見せてくれた。だけど何度見ても、もっと見たいと願ってしまう。
「魔導士部隊はさすがに辞めれないからそのまま続けるけど、第二騎士団はミリガンに任せるつもり」
「……そう…ですか…」
それになんたってシルとの時間が減ってしまう!それが一番重要だ!
だと言うのにシルは少し寂しそうな顔をして、持っていたティーカップを握り締める。
「もしかして勝手に決めたらまずかった?」
「いえ、そうではありません。ただ、前に皇帝陛下に夫婦で騎士団をまとめます。と言ったのにと…」
ああ、そんなこともあったな。
シルが気にするようなことじゃないのに…。
「大丈夫。ミリガンにはちゃんと仲良くするよう伝えているし、何より今そういう風に教育している」
「そうなのですか?」
「第一騎士団はフォルセティ卿がまとめるだろうし、最近ではミリガンとよく話してる」
「そうでしたか。私の力なんて必要ありませんでしたね」
「シルがいるからだよ」
シルがいなかったら、望まなかったら絶対に動かなかった。
幸いミリガンもフォルセティも協力的だから徐々に距離を縮めている。それでも何年もかかるし、反抗する奴は反抗するだろうけど。
苦笑するシルにそのことを伝えると、照れながら握り締めていた紅茶を飲み干した。
「じゃあ結婚式に話に戻っていい?」
「はい」
「とは言っても基本的に俺に任せてくれたらそれでいいよ」
「それは…」
「あ、こんな式にしたいとかあったら言ってくれたらその通りにする」
「いえ、そうではなく。普通の結婚式で十分です。……皇族だから普通ではない…?」
「んー…。式が行われる聖堂は親族のみしか入れないぐらいで、あとは普通かな」
「それは逆に嬉しいです。たくさんの人に見られるのは恥ずかしいので…」
「シルのキス顔を他人に見られたくねぇし、こういう時ばかりは皇族でよかったと思うよ」
「キッ…!?」
成人式から一年が経った。成人式まではハグで我慢した。
この一年でかなり距離を詰められるようになったし、シルから積極的に抱き着いてくれるようにもなった。
だから…。だから今度こそキスがしたいッ!
キスと言う言葉にあからさまに意識して、顔を真っ赤にさせる。
今からそんな顔するなら、キスをしたらどんな感じになるんだろう…。楽しみで仕方ない。
「え、まさかシル…。結婚式で誓いのキスをしないつもりだった…?」
「いえっ! そ、そこはきちんと儀式通りにしますが…」
「でもそんな顔を赤くしたら逆に恥ずかしくない?」
「すすすすみません! 解ってはいるのですが自然とこんなっ…」
慌てふためく彼女の姿を見るのも楽しい。楽しいが…。
「キスの練習もしといたほうがいいと思うんだけど、どう思う?」
「そ…そんなに顔が赤いですか?」
「それはもう見事に。遠くにいても解るぐらいには真っ赤だ」
「ううぅ…」
この様子であればいける。絶対にいけるッ!
「ほら恋愛中級者になって一年経つだろ? そろそろ卒業して上級者にならないと。結婚まであと一年しかないし」
「……っわかりました! ですが…あの、恥ずかしいので目を瞑って頂いても宜しいでしょうか?」
よっしゃあああああ!今度こそシルとキスができるッ!
顔を真っ赤にしたまま決意した目で俺を見つめてくる。
シルとキス。シルからのキス。
目を開けてどんな様子か見たいけど、さすがに言う通りにしておこう。
ソファから立ち上がり、俺の隣に座るのを確認してから目を瞑ると、小さな深呼吸が聞こえた。
嬉しいけど緊張する…。
「…」
「……どうでしたか!?」
「……え?」
感覚なかったんだが?
目を開けてシルを見ると顔だけじゃなく、耳まで真っ赤になったシルが既にソファに座っていた。
「アレス様…?」
「…シル。因みにどこにキスした?」
「え? 結婚の儀式通り額にしました…」
………はぁああ。
「よし、じゃあ練習も終わったし本番も頑張ろうか」
「えっ、ちょ、アレス様!?」
昨年のことを忘れていたわけじゃないけど、忘れていた。
腰を掴んで自分の膝の上に無理やり座らせ、困惑して逃げようとするシルを逃がさないよう強い力で捕まえる。
ここまできたら絶対にキスしてやる。
「知らないと思うけど皇族の結婚式では唇にキスするんだ」
「えッ!?」
「だから結婚式まで一年はあるし、それまでに恋愛上級者になっておきたい」
「いやっ! でもっ! きょ、今日はもうここまでが限界でッ…!」
「シルの言うことは聞いてあげたいけど今日はダメ。キスしてくれるまで絶対に離さない」
強い言葉で言うとピタリと動きを止めて、何か色々と考えている。
いける。絶対にキスできる。
逃げようとしているけど嫌っている様子には見えない。大丈夫。
「……死にそうです…」
「じゃあシルが目を瞑って。俺がするから」
右手で頬に触れて囁くとビクリと飛び跳ね、目に涙を浮かべる。
ああ恥ずかしさで泣きそうなシルも可愛い。もっと虐めたい。困らせたい。
顔を近づけると反射的に反らそうとするも、触れていた手で逃がさないようすると、覚悟を決めたかのようにギュッと強く目を瞑った。
あー可愛い。身体中震えてるのがまた余計に虐めたくなる。
「シル」
「…っ!」
「愛してる」
ジッと見つめたまま唇を重ねると、さらに身体が強張る。
……まだいけるか…?絶対にもう限界を超えているけど、少しばかり強引に進めておきたい。
キスでこれじゃあ初夜とかどうすんだよ…。さすがにお預けは嫌だ。
「ねぇシル」
「…」
「舌出せる?」
「お、終わりじゃないんですか…?!」
目を瞑ったまま逃げようとするのを力を加えて逃がさないようにする。
フルフルと震えながらゆっくりと目を開け、青い瞳を間近で見る。
どんな「青」より綺麗だ。涙で濡れて余計にそう感じてしまう。
逃げれないと解っているから「うん」としか言えないのに、シルはなかなか返事をしない。だけど俺も取り下げることはしない。
少しの間部屋に沈黙が流れ、観念したのか小さな舌を恐る恐る出した。
「ごめんな」
すぐに自分の舌を絡めると、目を見開いて今まで以上に抵抗された。
もっと長時間楽しみたいけど、とりあえずはこれぐらいでいいか。
一回はできたことだし、とりあえず山を越えた気がする。
「…? シル?」
「……」
「うわっ! やっちまった!」
途中で身体の力が抜けたと思ったら、まさか気絶しているとはッ!
やっぱり強引すぎたかッ! 今まで我慢しすぎて若干暴走してしまった!
とりあえず兄二人にバレないよう俺の邸に連れて行こう!
✿
「シル、おはよう。さあ今日もキスの練習をしよう」
「……」
「シル?」
「舌を出すやつですか…?」
「どちらも」
「い、嫌です。舌を出すのまだ無理です…」
「じゃあ普通のキスはできるよね」
「それでしたら…」
「じゃあ今日はそれで!」
「(……あれ? いつの間にかキスすることになってる…?)」
「(いやぁ相変わらず丸め込みやすい。単純なシルも可愛いけど俺以外には十分注意するよう言っておこう)」
20
お気に入りに追加
2,079
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(17件)
あなたにおすすめの小説
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令嬢の残した毒が回る時
水月 潮
恋愛
その日、一人の公爵令嬢が処刑された。
処刑されたのはエレオノール・ブロワ公爵令嬢。
彼女はシモン王太子殿下の婚約者だ。
エレオノールの処刑後、様々なものが動き出す。
※設定は緩いです。物語として見て下さい
※ストーリー上、処刑が出てくるので苦手な方は閲覧注意
(血飛沫や身体切断などの残虐な描写は一切なしです)
※ストーリーの矛盾点が発生するかもしれませんが、多めに見て下さい
*HOTランキング4位(2021.9.13)
読んで下さった方ありがとうございます(*´ ˘ `*)♡
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
久々に読み返しておりました。
この後、原作になっていくと思うのですが、いつ頃更新されるでしょうか?
凄く楽しみに待っています。
もと様
ご返信大変遅くなり申し訳御座いません。
転職やら引越しやらで私生活がとても慌ただしく、またその際にデータが飛んでしまいモチベがかなりさがっておりました…。
まさかまだ読んで下さっている方がいるとは思っておらず、とても嬉しいです。コメントとても嬉しいです!
少しモチベがあがってきましたので、もう一度骨組みを作るところからはじめます!きっとかなり時間がかかるかと思いますが、いつの日か更新できるよう頑張ります!
変態がいる…(笑)
でも、シルに実害が出てないので、一応セーフ(笑)
このお話がどこに転がっていくのか、楽しみです♪
更新、お待ちしております♪
咲樹莉様
お久しぶりです、咲樹莉様!
読み続けて頂いてるだけじゃなく、再度ご感想嬉しいです😌
はい、変態であろうともちろんシルに実害はでません。これからも出ることはないのでご安心を!
ヤンデレというより病んでる感じですが笑
テンポは遅いですがお付き合いお願いします😊
ナンシー様
ご感想ありがとうございます!
家族関係には気をつけて書いているので好感を持ってもらえ安心しました😌
あまりハッキリとは言えませんがアレスのあの自分勝手の病みが第二章に関わってきます。なので色々とご安心下さい!
まぁそうでなくとも割とクズだと思っています笑
個人的にはああいった病んでるクズが好きなのでそう書いている部分もあり、合わない方には申し訳ないです💦