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第一章
33.
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「シル」
声の余韻に浸っているとアレス様の声とともに目の前で指をパチンと鳴らされた。
さすがは主人公…。圧倒的なオーラを放って魅了されていた。
「ロキ、いくら年が近いからって馴れ馴れしくするなよ」
「解ってますよ叔父上。さすがに叔父上から婚約者をうばうような命知らずなことはしません」
変わらない天使の笑顔のまま自身も椅子に座り、私も再度腰をおろす。
皇帝陛下に王弟殿下。さらに皇太子殿下にまで囲まれて心臓が痛い。できることなら先程のような口喧嘩はなく平和に終わってほしい…。
「でも叔父上の婚約者がこんなにキレイな方だとは思っていませんでした」
「舌の根も乾かぬうちにとはまさにこのことだな」
「や、やめてくださいよ! そんなつもり一切ありませんから!」
ギロリと睨むアレス様に涙目になるロキ皇太子。
涙が帯びる姿さえ美しいとは。
髪と目の色はアレス様と同じだけど顔は全く似ていない。誰も見たことがないと言われる皇后陛下に似ているのかな?
「シルッ、ロキにも既に婚約者がいるからな!?」
「え?」
「お前のことで頭いっぱいでまだおらんわ」
「婚約者がいても駄目だからな!?」
「あの…」
「いくらアティルナ公女が可愛らしい方とは言え、さすがに叔父上からは奪えないですって…」
「そういう言い方は止めろって言ってんだろ!」
「うわぁ!」
ガシガシと両肩を揺さぶるアレス様と悲鳴をあげるロキ皇太子。その二人を見て笑う陛下とこの場は割と混沌状態…。
それにしてもアレス様はロキ皇太子に対しても砕けた態度とっているし、仲はいいのほうなのかしら?
悲鳴をあげているけど、二人はどこか楽しそうな雰囲気。
本にはどんな心情が書かれていた思い出せないけど、こんなにも慕っているのに殺してしまうなんて…。きっと苦しかっただろう。
何故あんな状況になってしまったか解らないけど、殺されるという問題は解決できたから、今度は彼らにそんな不幸が訪れないよう気を付けよう。
「まぁお前なら口説かない限りシルに近づくのは許してやる」
「げほっ…。あ、ありがとうございます叔父上」
「相変わらずロキにだけは甘いな。アティルナ嬢、アレスもこう言っているしロキとも仲良くしてやってくれ」
「光栄です。こちらこそ宜しくお願い致します」
「―――ところで。叔父上の顔色がいいのを見るのは初めてですが、病気は完治されたのですか?」
先程とは打って変わってピリッとした声。
一瞬「バレた」と思ってしまったけど相手はアレス様の親族。何も悪いことはない。それにいずれ知ること。
それなのに変に心臓が騒ぐ。皇城に到着して感じた不快感が一気に押し寄せてくる…。凄く不快だ。
いやきっと深刻な問題だったから、ロキ皇太子も聞くのに緊張しているんだろう。家族同士でこんな空気を出すのは我が家では滅多にないからそう感じるだけだ。
「まだ詳しいことは言えんが「とりあえず」とは言っておく」
「そんな心配そうな声を出すなロキ。お前の叔父はほぼ無敵だ。首を落とすか心臓を刺すしか死なん!」
「まぁ無駄だけどな」
「さすが英雄と言われるだけありますね! 尊敬しています、叔父上」
心配そうな声、だった……だろうか…?
何だろうこの違和感。不快感とは別の居心地悪い……いや、逃げ出したい?何かを言いたい?とにかくモヤモヤした複雑な感情が溢れてくる。
三人を見るも仲良く軽口を叩きながら雰囲気はいい。常に警戒しているアレス様も今だけはそれを解いているように見える。
「シル?」
「―――えっ…?」
「すまない、シルを無視していたわけじゃないがロキと喋りすぎてしまった…」
「いえいえ、大事なご家族ですから私のことなど気にしないで下さい」
「いや、久しぶりとは言え気遣えなかった俺が悪い」
「本当に気にしないで下さい。いつもと違うアレス様が見れて楽しかったです」
「それは嬉しいが…。いやいい、ともかく帰ろう。いいよな、兄上」
「そんな睨まれたら「どうぞ」としか言えないだろ…」
「叔父上、アティルナ公女。今度時間が合いましたらお伺いさせてください」
「ああ。但し二人揃っているときな」
「お待ちしております、ロキ皇太子殿下」
アレス様に促され立ち上がり、二人に深く頭を下げてその場を立ち去る。
本当に気にしなくていいのに…。家族が仲良しなのはいいことだし、会話に入れなくて拗ねていたわけでもない。
それ以上にあの感情が気にかかる。今はもうなんともない。寧ろあの場から離れてホッとしている自分がいる。
もしかして忘れている本の内容が関係している?ああもう本当にもどかしい。
「ごめんなシル」
「本当に気にしないで下さい。何とも思っていませんし、仲が良さそうでほっこりして見守っていただけです」
「いや俺が逆の立場だったらテュールを殴ってでも止めていた」
「それはさすがに止めて頂きたいですが…」
「仲がいいとは言っても俺が一番大事なのはシルだけだ。それだけは絶対に忘れないでくれ」
「はい、十分理解しているつもりです」
過去のことはどうあれ、今はとても大切にしてくれている。
出会ってからずっと優しいしその言葉に嘘がないのは解っているつもりだ。
それに憶測だけど、本のアレス様は「彼女に裏切られたから殺してしまった」からだと思う。だから彼からの愛情は疑っていない。
……あれ?そしたらやはり本の通りに進んでいる?やはり婚約破棄しておくべきだった?
ううん、指輪があるから大丈夫なはず……。
どうしよう、本当に解らなくなってきた。
「やっぱり不快にさせてしまったようだ…」
「違います違います!」
ああ、また私が考え込んで黙っていたせいで!
その場に立ち尽くし俯くアレス様に謝罪し、顔を覗き込むも彼は本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
「あの、本当に気にしていません…。ただ緊張していただけです…」
今にも泣き出しそうなアレス様の手を握って言い訳をするも、彼の表情は明るくならない。
普段の穏やかな表情と比べてしまい余計に良心が痛んでしまう…。
「アレス様が幸せなら私も幸せなのです。だから御三方が楽しそうに会話されていて嬉しかっただけです。信じて頂けないでしょうか?」
「本当に?」
「本当です。あ、でも緊張していて口数が少なかったのはお許し下さい」
「そう。なら安心した」
「っあ、アレス様…!」
握っていた手を握り返し、そのまま自身の口元に引っ張り手の平に軽くキスをされる。
い、いつもの意地悪をするときの目だ…!もしかして今さっきの態度はわざと?
「わざとじゃないから安心してくれ」
「心まで読まない下さい…」
ご満悦のアレス様と一緒に馬車へと向かった。
声の余韻に浸っているとアレス様の声とともに目の前で指をパチンと鳴らされた。
さすがは主人公…。圧倒的なオーラを放って魅了されていた。
「ロキ、いくら年が近いからって馴れ馴れしくするなよ」
「解ってますよ叔父上。さすがに叔父上から婚約者をうばうような命知らずなことはしません」
変わらない天使の笑顔のまま自身も椅子に座り、私も再度腰をおろす。
皇帝陛下に王弟殿下。さらに皇太子殿下にまで囲まれて心臓が痛い。できることなら先程のような口喧嘩はなく平和に終わってほしい…。
「でも叔父上の婚約者がこんなにキレイな方だとは思っていませんでした」
「舌の根も乾かぬうちにとはまさにこのことだな」
「や、やめてくださいよ! そんなつもり一切ありませんから!」
ギロリと睨むアレス様に涙目になるロキ皇太子。
涙が帯びる姿さえ美しいとは。
髪と目の色はアレス様と同じだけど顔は全く似ていない。誰も見たことがないと言われる皇后陛下に似ているのかな?
「シルッ、ロキにも既に婚約者がいるからな!?」
「え?」
「お前のことで頭いっぱいでまだおらんわ」
「婚約者がいても駄目だからな!?」
「あの…」
「いくらアティルナ公女が可愛らしい方とは言え、さすがに叔父上からは奪えないですって…」
「そういう言い方は止めろって言ってんだろ!」
「うわぁ!」
ガシガシと両肩を揺さぶるアレス様と悲鳴をあげるロキ皇太子。その二人を見て笑う陛下とこの場は割と混沌状態…。
それにしてもアレス様はロキ皇太子に対しても砕けた態度とっているし、仲はいいのほうなのかしら?
悲鳴をあげているけど、二人はどこか楽しそうな雰囲気。
本にはどんな心情が書かれていた思い出せないけど、こんなにも慕っているのに殺してしまうなんて…。きっと苦しかっただろう。
何故あんな状況になってしまったか解らないけど、殺されるという問題は解決できたから、今度は彼らにそんな不幸が訪れないよう気を付けよう。
「まぁお前なら口説かない限りシルに近づくのは許してやる」
「げほっ…。あ、ありがとうございます叔父上」
「相変わらずロキにだけは甘いな。アティルナ嬢、アレスもこう言っているしロキとも仲良くしてやってくれ」
「光栄です。こちらこそ宜しくお願い致します」
「―――ところで。叔父上の顔色がいいのを見るのは初めてですが、病気は完治されたのですか?」
先程とは打って変わってピリッとした声。
一瞬「バレた」と思ってしまったけど相手はアレス様の親族。何も悪いことはない。それにいずれ知ること。
それなのに変に心臓が騒ぐ。皇城に到着して感じた不快感が一気に押し寄せてくる…。凄く不快だ。
いやきっと深刻な問題だったから、ロキ皇太子も聞くのに緊張しているんだろう。家族同士でこんな空気を出すのは我が家では滅多にないからそう感じるだけだ。
「まだ詳しいことは言えんが「とりあえず」とは言っておく」
「そんな心配そうな声を出すなロキ。お前の叔父はほぼ無敵だ。首を落とすか心臓を刺すしか死なん!」
「まぁ無駄だけどな」
「さすが英雄と言われるだけありますね! 尊敬しています、叔父上」
心配そうな声、だった……だろうか…?
何だろうこの違和感。不快感とは別の居心地悪い……いや、逃げ出したい?何かを言いたい?とにかくモヤモヤした複雑な感情が溢れてくる。
三人を見るも仲良く軽口を叩きながら雰囲気はいい。常に警戒しているアレス様も今だけはそれを解いているように見える。
「シル?」
「―――えっ…?」
「すまない、シルを無視していたわけじゃないがロキと喋りすぎてしまった…」
「いえいえ、大事なご家族ですから私のことなど気にしないで下さい」
「いや、久しぶりとは言え気遣えなかった俺が悪い」
「本当に気にしないで下さい。いつもと違うアレス様が見れて楽しかったです」
「それは嬉しいが…。いやいい、ともかく帰ろう。いいよな、兄上」
「そんな睨まれたら「どうぞ」としか言えないだろ…」
「叔父上、アティルナ公女。今度時間が合いましたらお伺いさせてください」
「ああ。但し二人揃っているときな」
「お待ちしております、ロキ皇太子殿下」
アレス様に促され立ち上がり、二人に深く頭を下げてその場を立ち去る。
本当に気にしなくていいのに…。家族が仲良しなのはいいことだし、会話に入れなくて拗ねていたわけでもない。
それ以上にあの感情が気にかかる。今はもうなんともない。寧ろあの場から離れてホッとしている自分がいる。
もしかして忘れている本の内容が関係している?ああもう本当にもどかしい。
「ごめんなシル」
「本当に気にしないで下さい。何とも思っていませんし、仲が良さそうでほっこりして見守っていただけです」
「いや俺が逆の立場だったらテュールを殴ってでも止めていた」
「それはさすがに止めて頂きたいですが…」
「仲がいいとは言っても俺が一番大事なのはシルだけだ。それだけは絶対に忘れないでくれ」
「はい、十分理解しているつもりです」
過去のことはどうあれ、今はとても大切にしてくれている。
出会ってからずっと優しいしその言葉に嘘がないのは解っているつもりだ。
それに憶測だけど、本のアレス様は「彼女に裏切られたから殺してしまった」からだと思う。だから彼からの愛情は疑っていない。
……あれ?そしたらやはり本の通りに進んでいる?やはり婚約破棄しておくべきだった?
ううん、指輪があるから大丈夫なはず……。
どうしよう、本当に解らなくなってきた。
「やっぱり不快にさせてしまったようだ…」
「違います違います!」
ああ、また私が考え込んで黙っていたせいで!
その場に立ち尽くし俯くアレス様に謝罪し、顔を覗き込むも彼は本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
「あの、本当に気にしていません…。ただ緊張していただけです…」
今にも泣き出しそうなアレス様の手を握って言い訳をするも、彼の表情は明るくならない。
普段の穏やかな表情と比べてしまい余計に良心が痛んでしまう…。
「アレス様が幸せなら私も幸せなのです。だから御三方が楽しそうに会話されていて嬉しかっただけです。信じて頂けないでしょうか?」
「本当に?」
「本当です。あ、でも緊張していて口数が少なかったのはお許し下さい」
「そう。なら安心した」
「っあ、アレス様…!」
握っていた手を握り返し、そのまま自身の口元に引っ張り手の平に軽くキスをされる。
い、いつもの意地悪をするときの目だ…!もしかして今さっきの態度はわざと?
「わざとじゃないから安心してくれ」
「心まで読まない下さい…」
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