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第一章

22.

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「折角第二騎士団の話も出ましたし、よければ遊びに来ませんか?」
「第二騎士団にですか?」

あまり合わせたくないが、あいつらにシルの顔を覚えてもらったほうがいい。
アティルナ卿を嫌悪している奴はいないと思うが、その娘だからと言って陰口を叩く馬鹿な奴もいるかもしれない。
だけどどいつもこいつも癖が強い・マナーが悪い・口が汚いの連中ばっかだからなぁ…。

「お父様の許可を得られたら是非お願いします」

また困った笑顔。
そうか、彼女は仲が悪いことは知っていたのか。まぁ当たり前か。

「あと魔法の勉強もしたいようなので魔導士部隊も紹介しますよ」
「是非。それまでにしっかり勉強して質問を考えておきますね」

真面目なシルも可愛い。絶対に教育係になって「先生」って呼ばれてぇなぁ。
シルが望むなら禁忌魔法だって教える。あ、その前に俺も「魔力吸収」について調べておくか。

「魔導士部隊は普段何をされているのですか?」

小さな口で一生懸命クッキーを食べる姿はまるで小動物のようだ。小さくて可愛い。

「ああ、あいつらは基本的に魔道具の作成だな。戦場に出ても防御と治療に当たってもらってる」
「魔導士部隊も選ばれた方々ですよね?」
「まぁ俺がやったほうが早いけどな」

俺ほどじゃないがあいつらも十分強い。
前皇帝時代に活躍した魔導士だってまだいるぐらいだし、ほとんどが紋章持ちだ。それでも俺のほうが知識はあるし魔力もある。

「なるほど…」
「防御と回復に専念してもらってるから俺も集中できるし、今のところバランスがいい関係だな。場所によっては違うこともさせているが大体はそんな感じだ」
「アレス様は普段そんな口調なのですね」
「…申し訳ない」

ついつい騎士団にいるときの口調で話してしまった。
怖いと思われたくないからできるだけ一般的な貴族の口調を心がけていたのに…。
いや前から多少はバレていたし、シルも気にしていないと言ってくれているが本当はもっと汚い。
別のことを考えるとついいつもの口調に戻ってしまうのは何とかしないとな。野蛮だと思われたくないし。

「前も言いましたが私も我が家の騎士団で慣れていますし気にしないで下さい」
「まぁ…それは追々で…」
「ふふっ」
「あー……魔道具の話をしていた……いましたが、シルも魔道具に興味ある…ありますか?」
「あはは!」

ダメだ。色々考えて少し混乱したせいで最高に格好悪いところを見せてしまった…。
シルが笑ってくれているのが唯一の救いだが、見せたくなかった。

「どうやらダメみたいだ」
「そのようですね」
「聞くに堪えなくなったら一言頼む」
「解りました。その際は遠慮なく言いますね」

とは言えできるだけ気を付けよう。
「軍神」「帝国の英雄」なんて言われているが、中身はただの殺人鬼だ。
中には敵を殺して笑うことから「狂人」や「悪魔」と呼ぶ奴もいる。
魔力消費して症状が楽になって笑ったことはあるが、人を殺して楽しいとは思ったことはない。
だけどシルには関係ない。そんな自分を見せたくないし、見てほしくない。シルには綺麗なもの、優しい俺だけを見ていてほしい。
とにかく彼女には快楽主義の殺人鬼の妻になるなんてバレたくない。

「魔道具でしたら興味ありますね。そう言えば魔導士を登録するのはアレス様が作成したと聞きました」
「ああ、あれか。それまでは手作業でやってたけど、とにかく何でもいいから魔力を発散したくて俺が作ったんだ。あれは登録されるたび俺の魔力を勝手に使用するからな」
「凄いですね…」
「知識があればシルにだってできるさ。俺の魔力も自由に使えるし」
「少しだけ本を読みましたが理解できませんでした。魔法契約書も兼ねたこの指輪の原理も調べましたがこっちもサッパリです」
「解らなくても欲しかったらいつでも言ってくれ。俺が作るし、贈る」

国が欲しいと言っても時間は多少かかるが用意できる。
…いやいいな、それ。帝国は兄上がいるし、こんな無駄にでかいだけの国は管理が大変そうだが小さな国だったら簡単だ。
あと数年もすればシルは大公妃になるし、公国を作ってシルが好きな自然に囲まれた国を作るのも悪くない。
領地にはトラキア城があるから見栄えもある。帝国の東部はほとんど俺の領地だし……いけるな。

「あ、でしたらお願いしたいことがあるのですが」
「国が欲しい?」
「えッ!?」
「すまない、何でもない。何が欲しい?」
「えっと…。アレス様の邸で用意して頂いた温室のお花を枯らせないようにはできませんか?」
「(今日一日何回可愛いって思えばいいんだ…!)大丈夫、元々かけてる」
「ありがとうございます。特に色とりどりのチューリップが可愛くて枯れるのが心配だったんですよ」
「喜んでもらえてよかった」

本望だから構わないがシルの可愛さで浄化しそう。







「では授業を始めましょうか」
「宜しくお願い致します」
「宜しくお願いします」
「ちっ」

先日アレス様の提案もあり、魔法に関する授業の先生をお母様に推薦したところ二つ返事で承諾してくれた。
忙しいのに申し訳ないと何度も謝ったけど、今は忙しくないので問題ないと。
そして今日はその初日。
セティお兄様、私、テュールお兄様の順番で横に並び頭を下げる。
アレス様は珍しく軍服でも普段着るような恰好でもなく、神官が着るローブ姿だった。
何でも神官も魔導士も言い方が違うだけで中身はほぼ一緒らしく、制服の色が白か黒かだけの違いらしく今アレス様が着ている黒のローブは魔導士部隊の正装らしい。
まるで第一騎士団と第二騎士団のようだ。

「テュールお兄様、真面目にしないと」
「何でこいつが先生なんだよ…」
「帝国一の魔導士ですから」
「だからってお前みたいな奴から教わりたくねぇんだよ! 兄さんから聞いたぞ。シルを魔導士登録しようとしたら断った挙句、するとしても別の紋章を作って刻むって! しかもその紋章の内容が通常の紋章と内容が違っててシルがお前から離れられないとか、シルが他の男に好意を抱かないとか、下心ある奴が近づいたら血を吐き続けて死ぬとか! 下心ある奴が近づくのを阻止するのはいいが、目の前で死んだらシルが怖がるだろ! 何より束縛が気持ち悪すぎてほんっと婚約破棄してくれ! シルもそう思うよな!?」
「……あの、途中から何を言ってるのか聞こえなくて…。ごめんなさいテュールお兄様、なんて言いましたか?」
「っお前消音魔法使っただろ!」
「いいえ?」
「テュール。時間が勿体ないから落ち着こうか」

ニコリと笑うセティお兄様にテュールお兄様はまだ何か言いたそうにしていたけど、大人しく席に座ってペンを持つ。
なんだかんだ真面目なお兄様なんだよね。
それにしても今さっきはなんて言ってたんだろう?セティお兄様も舌打ちしていたし内容が気になる…。
気になるからあとで聞くとして、まずは私も授業に集中しないと。

「では最初は簡単に魔導士についてお話します」

魔導士とは、大雑把に言えば魔力を保有し自由自在に活用できる人のことを差す。
しかしそれには必要な知識と技術を要し、試験にクリアした者だけが「魔導士」と名乗ることができる。
魔力があるも試験にクリアできなかった人は登録はされるものの、魔導士としての地位は低いらしい。
それが解るように指輪に文字が彫られているとのこと。
だから文字が彫られていない黒い指輪は「魔導士として登録はするけど知識はない」と認識される。
でもこれだと差別しているのでは?と今も議論されている。元々魔導士の指輪はここ最近に作られたものだから改良の余地はたくさんあるし、問題もあるとアレス様は言っていた。
それに人は多少なりとも魔力を有している。そういう人達はどうするんだろう…。

「セティお兄様はすぐに試験にクリアしたのですね」
「勿論。勉強はそんなに嫌いじゃないし、そもそも基礎知識は知っていたからね」
「騎士団に努めていれば指輪持ちの奴らと戦うことがありますしね」
「第二騎士団に比べると遥かに少ないですが」

ああ、居心地が悪い…。
セティお兄様も第二騎士団のことあまり好きじゃないのね。言い方が冷たい…。

「では今度合同訓練でもしませんか? 魔導士部隊も連れて来ます」
「それはいい経験になりますね。是非お願いします」

冷たい空気にテュールお兄様すら黙っている。
いや今はとりあえず無視して、しっかりメモを残しておこう。
これを聞く限り私もきちんと試験を受けたほうがいいのでは?
陛下が直接登録してくれたって聞いたけど不公平だもんね。魔導士証明書もどこにあるか解らないし、授業が終わったら今度こそ見つけて一度返してちゃんと試験を受けよう。

「あ、そうだ。先生、聞きたいことがあります」
「「「先生?」」」
「ち、違いましたか?」

いくら婚約者であってもアレス様は今、先生として我が家に来ている。
それに解りやすい言葉、解りやすい流れで教えてくれるし、きちんと本も用意してくれている。
先生でなければなんと呼べばいいのでしょうか?三人の反応はそれぞれで何が正解か解らない…。

「先生で構いません。シルは素直でいい生徒ですね」
「臨時の先生だからトラキア大公殿下と呼べばいいよ」
「そうそう、兄さんの言う通り! 先生じゃねぇよこんな奴」

そしてまた始まるいつもの口喧嘩。
興奮して言葉が荒くなるテュールお兄様と、それに便乗して上品に嫌味を言うセティお兄様。そんな二人を軽くあしらうアレス様。
いつもの流れで楽しそうに喧嘩をするのはいいのですが…。

「あの…質問、宜しいでしょうか…?」

今は授業中ですし。と、付け加えると三人は一瞬だまり、溜息を吐いて大人しくなった。

「何でしょうか?」
「神殿にいる神官と魔導士部隊にいる魔導士に違いはあるのですか?」
「違いはありません。第一騎士団と第二騎士団のように働く場所が違うだけで呼び名が変わる程度です」
「それだけですか?」
「あとは適正と性格に関係します。気が弱すぎる人や血が苦手すぎる人は戦場に向いてないでしょう?」
「なるほど…」
「だから神殿には女性が多いんですよ。他に質問は?」
「いえ、今のところは大丈夫です。続きをお願いします」

知らないことを学ぶのは大変だけど少しだけ面白い。
それに私は帝国一の魔導士アレス様の妻になるのだから人一倍理解しないといけない。
寝る前に予習復習しないとダメね。頑張ろう。

「―――と、サラッと色々説明しましたがご理解頂けたでしょうか?」

お昼前にしてようやく魔導士や魔法、神殿について簡単な説明が終わった。
途中休憩を挟んだにも関わらず頭の仲は既に限界を迎えそうだった…。
でもアレス様は本当に要点だけを簡潔に伝えるのが上手で解りやすかった。
テュールお兄様は頭から煙が出ていたけど、セティお兄様はいつもと変わらない表情で真面目にメモを残し、自分の中で噛み砕いて整理中。

「先生、今日はありがとうございました」
「シルの為ならこれぐらいどうってことありませんよ。次は今日説明した事を掘り下げて説明していきますので忘れないで下さいね」
「頑張りますっ」
「ああそれと、最後に言うのを忘れていました。アティルナ小侯爵とシルが使う「魔力吸収」についてです」

その言葉にピリッと空気が張り詰めた。
魔法には色々と種類がある。
まずタイプ別に攻撃魔法・防御魔法・治癒魔法。そして禁忌魔法があり、これに加えて属性が存在する。
属性には、火・水・土・風・光・闇があり、一人一つの属性を持って生まれるらしい。詳細はまた今度。属性の中にも上級属性?というものがあるとか。
ただ解ったことはアレス様は全属性を持ち、どのタイプも扱える。さすがアレス様。
だけど「魔力吸収」だけはどのタイプにもどの属性にも当てはまらない。

「どの属性の気配も感じない。どのタイプにも当てはまらない。この魔法に関しては資料も少なく、まだ俺も詳しくは解りません」
「隠されている、と言うことはありませんか?」
「十分あり得るかと。もう少し調べてみますので解り次第お話しますね。それと、魔法実践にも力を入れたほうが良さそうですね」

アレス様はどのタイプ、どの属性でも魔法を使用することができる。そしてそれは私達もだ。
勿論知識がないと意味のないものだけど、他の魔導士に比べて危険だからしっかりと扱えるようになっておかないと。

「この魔法、誰にも言わないほうがいいですよね?」
「そうだねシル。俺達だけの秘密にしておこう」
「まぁ何があっても俺が兄さんもシルも守るから安心しろって!」
「ありがとうございます。でも私も騎士の娘、自分の身は自分で守れるよう精進します!」





▼以外補足
長くなるので省きましたが魔法については以下の通り。

攻撃魔法⇒火・水・土・風・光・闇の属性が存在する。さらにその属性の練度をあげると、炎・氷・地・雷も扱える。光・闇は元々上級魔法に属する。
防御魔法⇒攻撃魔法のような属性は存在しない。魔力量によってその強度が変化する。
治癒魔法⇒攻撃魔法のような属性は存在しない。魔力量によって回復量が変化する。光属性と勘違いされるが違う。
禁忌魔法⇒精神魔法、従属魔法、逆行魔法が存在する。
※精神魔法は相手の精神を支配することができる。但しそれにはかなりの時間を有するが、銀指輪以上を持っている魔導士であれば使用可能。但し発動した際はすぐにバレる。
※従属魔法は強制的に相手を操ることができる。操られている人物の意識はある。但し相手より魔力量が多くなければ効力がない。さらに銀指輪以上の魔導士であれば使用可能。勿論すぐにバレる。
※逆行魔法⇒書物に文字しか書かれていない存在しているのか不明な魔法。
その他⇒人道に反した魔法は基本的に禁止されている。
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