17 / 55
第2章 灰色の帳に包まれて
7.齟齬
しおりを挟む
「……ところで俺はまだ、隠邪を倒す術が使えるんだろうか?」
司が尋ねると、ユクミは頷く。
「大丈夫だと思う」
「そうか」
司は試しに右手で刀印を作り、いつものように体内の呪力を集めてみる。いつもと同じ感覚で、いつもと同じだけの力が集まった。
術が使えるのなら司はまだ祓邪師だ。あの隠邪とも戦える。ただ。
「ユクミ。ここを出た俺には、どのくらいの時間が残されてるんだ?」
司の言葉を聞いたユクミの表情が怪訝なものへと変わる。
「どのくらいの時間? とは、どういう意味だ?」
「言葉通りの意味だ。……俺は、俺がここへ来た理由を言ったか?」
「聞いた。強大な隠邪を殲滅したいと。あとは……聡一という人間も」
「その通りだ」
祓邪師たちを食った猿、加えて猿と行動を共にしている聡一。
奴らが何をしようとしているのかは分からないが、分かっていることが一つある。
隠邪は人間の敵だ。もちろん、その敵と行動を共にしている聡一も今は敵。
だから司は連中の思惑を止めなくてはいけない。
あの場の状況を知っているのは今や司ただ一人だ。友介のスマートフォンで送ったのは「強力な隠邪出現」という緊急連絡のみで聡一のことは何も触れていないのだから、他の祓邪師ともなるべく早く情報を共有する必要がある。そして出来ることなら聡一たちの目的を探り、阻止したい。
残念ながらそれは一日や二日で達成できるものではないだろうと司は覚悟していた。
「俺がやりたいことは時間がかかるかもしれない。だから、こうやって人間と同じように動き回れる時間はどのくらいあるのかを知りたいんだ」
「どのくらいって……お前が望む限りはずっとだ。司は何の心配をしているんだ?」
「なんていうかな。俺はユクミの術で動いてるわけだろ?」
司は立ち上がる。床の上で腕を回し、体をひねり、屈伸をする。――順調だ。すべては元の通り。隠邪の生気で動いていたときのようなズレはない。
「マンガとかで見たんだよ。蘇った死体が動けるのは夜だけに限定されるとか、十日後には魂が抜けてしまうとか、そういうの」
「ああ」
ようやくユクミはほんの少し表情を崩す。
「ならば安心していい。私が生きている間は力を分け与えてやる。行動の制約はないし、期間の条件もない」
「うん。……うん?」
今度は司が言葉にひっかかりを覚える番だった。
「力を“分け与えてやる”?」
「そうだ。お前は私の力で動いているんだから、当然だろう?」
「だよなあ……」
司はほんの少し落胆する。ただし、ほんの少しだ。このくらいなら想像の範疇内でもある。
「力を分けてもらうときは、どんな感じになるんだ?」
「司の体のどこかに私が触れるだけだ。手でもいいし、足でもいい」
「頻度は? 一度ユクミの力をもらったら俺はどのくらい動ける?」
「……一昼夜は持つはずだが……」
ユクミは一度、きゅっと唇を噛む。
「司は私に触られるのが嫌なのか?」
司を見上げるユクミの顔に表情はなかったが、声からは悲しみや寂しさという感情が窺えた。司は慌てて膝をつく。
「違う違う。ユクミに触られるのが嫌なんじゃなくて、ここへは何時間おきに戻ってくる必要があるのかって考えてたんだ」
「戻ってくるって、誰が?」
「俺が」
「どうして戻ってくるんだ?」
「……ユクミ」
真面目な調子で言って司は軽く布団を畳み、改めてユクミの前に膝をつく。彼女はどこか不安そうに瞬いた。
「俺を動けるようにしてくれてありがとう。俺はこのあと隠邪と聡一を探しにいくつもりだ。だから、俺は――」
ここから出て一人で行動する、と言いかけて司は気づいた。
ユクミはこれまでの間に「今後は行動を共にする」とは一言も言っていない。
(もしかするとユクミは、どっかから遠隔で俺を助けてくれるって可能性があるよな? で、必要なときだけ落ち合うと……)
そう思うと、「俺はこの先一人で行くから、ユクミとはお別れだ」とは言えなくなった。もしも「当り前じゃないか。何を言っているんだ」と返されてしまうとあまりに格好悪い。
「だから、俺は……あー……その……そうだ。ユクミはこの後、どこに行くんだ?」
「……どこに?」
司としてはさりげなく質問をしたつもりだったが、ユクミは再び怪訝そうな調子に戻った。
「そう。ほら、扉が開いてユクミは自由になったろ? 俺は力さえ分けてもらえたらそれで十分だから、ユクミに行きたいところがあるなら――」
ユクミからの返事はなかった。代わりに見える範囲の小さな顔がどんどん朱に染まる。これがどんな感情によるものか分からずに司は困惑するが、実は怒りによるものだと分かったのは彼女が司を睨みつけてからだ。
黄金の瞳が力を持って輝く。
ようやく司は、目の前にいるのが『見た目通りの幼い娘』ではないのだと理解した。確かに彼女は何百という年数を重ねて生きてきた妖だ。恐ろしいほどの力を持つ視線に射すくめられた司が今のユクミに抱く思いは、大いなる自然の力を目の当たりにしたとき抱く畏怖に似ている。司は言葉だけで分かったつもりになっていた「何百年の齢を重ねたユクミという妖」の存在を、このときようやく芯まで理解することになった。
「司。お前は私をどうみているのだ?」
低い山鳴りのような声を聞き、司は言葉もなく、ただ身を震わせる。
「私はそんなに疎放に見えるか。責を逃れそうな者なのか。――ふざけるな!」
眦を上げてユクミが立ち上がる。
「私は言ったはずだぞ、司! お前が『約束の者』だとな!」
ユクミが一歩足を踏み出した。雪崩が近づく時の気持ちはこのようなものかと司は思う。
「私は『約束の者』を助けるためにずっとここで待っていた! 私はお前を助ける! そして私のせいで死なせたお前が願いを叶えるその日まで、支障なく動けるようにしなくてはならない!」
座る司より高いところにいるユクミは、言葉を区切りながら高らかに叫んだ。
「だから、よく聞け、司! この後の私は、お前の傍にいる! お前の行くところへ、一緒に行――!」
そこまで言ってユクミは目を見開き口ごもった。気勢を失い、うつむき、着物の裾をぎゅっと握って唇をわななかせる。
その姿からは今しがたの威厳が消え去っており、どこから見ても姿どおりの幼女でしかなくなっていた。
「……そ、それとも……司は、私と一緒に居たくないのか……? ……私のことが……き、き……嫌い、で……仲間に、入れたくない……のか……?」
「違う!」
司は必死に首を横に振った。ユクミの突然の変化に関しての理由は不明だが、彼女に対して負の気持ちがないことは間違いないのだから、きちんと伝えなくてはいけない。
「いきなり現れた俺に力を与えてくれただけじゃなく、こうして介抱までしてくれたんだ。俺はユクミに心から感謝してる。もちろん嫌いなんかじゃない」
「だったら、どうして」
「それは……」
『幼い娘を戦いの場へ引き出してしまうのが申し訳ないから』だったが、ユクミが齢を重ねた存在だと思い知った今、真の理由を口に出すのは自分の考えの狭さを露呈するようで恥ずかしい。
しばらく迷って、司はある程度正直に答える。
「……ユクミは妖だからだよ」
妖というのは年を経た山野の獣や、あるいは自然の力が変化した存在だと伝わる。攻撃的であったという伝承もあるがそれらはすべて縄張りを守るための戦いであって、本来は好戦的ではないそうだ。
だから妖はもう人の世にいない。
縄張りから人間や、ときには隠邪も排除しなくてはならない日々にうんざりした妖たちは自分たちだけの世界を作って平和に暮らしており、もしも人の世で妖が生まれたときはそれを察知して迎えにまで来るのだと聞いたことがある。
「俺はこのあと隠邪と戦うんだ。だけどユクミは隠邪と戦うなんて嫌だろ?」
悪くはない理由だろうと司は思った。
しかし、床に尾を落としたユクミはぽつりと言う。
「……私はここへ来る前にずっと、隠邪と戦ってた。だから戦うのは嫌じゃない」
「嫌じゃないのか? 妖なのに?」
初めて聞く話に司は目を丸くした。
司が尋ねると、ユクミは頷く。
「大丈夫だと思う」
「そうか」
司は試しに右手で刀印を作り、いつものように体内の呪力を集めてみる。いつもと同じ感覚で、いつもと同じだけの力が集まった。
術が使えるのなら司はまだ祓邪師だ。あの隠邪とも戦える。ただ。
「ユクミ。ここを出た俺には、どのくらいの時間が残されてるんだ?」
司の言葉を聞いたユクミの表情が怪訝なものへと変わる。
「どのくらいの時間? とは、どういう意味だ?」
「言葉通りの意味だ。……俺は、俺がここへ来た理由を言ったか?」
「聞いた。強大な隠邪を殲滅したいと。あとは……聡一という人間も」
「その通りだ」
祓邪師たちを食った猿、加えて猿と行動を共にしている聡一。
奴らが何をしようとしているのかは分からないが、分かっていることが一つある。
隠邪は人間の敵だ。もちろん、その敵と行動を共にしている聡一も今は敵。
だから司は連中の思惑を止めなくてはいけない。
あの場の状況を知っているのは今や司ただ一人だ。友介のスマートフォンで送ったのは「強力な隠邪出現」という緊急連絡のみで聡一のことは何も触れていないのだから、他の祓邪師ともなるべく早く情報を共有する必要がある。そして出来ることなら聡一たちの目的を探り、阻止したい。
残念ながらそれは一日や二日で達成できるものではないだろうと司は覚悟していた。
「俺がやりたいことは時間がかかるかもしれない。だから、こうやって人間と同じように動き回れる時間はどのくらいあるのかを知りたいんだ」
「どのくらいって……お前が望む限りはずっとだ。司は何の心配をしているんだ?」
「なんていうかな。俺はユクミの術で動いてるわけだろ?」
司は立ち上がる。床の上で腕を回し、体をひねり、屈伸をする。――順調だ。すべては元の通り。隠邪の生気で動いていたときのようなズレはない。
「マンガとかで見たんだよ。蘇った死体が動けるのは夜だけに限定されるとか、十日後には魂が抜けてしまうとか、そういうの」
「ああ」
ようやくユクミはほんの少し表情を崩す。
「ならば安心していい。私が生きている間は力を分け与えてやる。行動の制約はないし、期間の条件もない」
「うん。……うん?」
今度は司が言葉にひっかかりを覚える番だった。
「力を“分け与えてやる”?」
「そうだ。お前は私の力で動いているんだから、当然だろう?」
「だよなあ……」
司はほんの少し落胆する。ただし、ほんの少しだ。このくらいなら想像の範疇内でもある。
「力を分けてもらうときは、どんな感じになるんだ?」
「司の体のどこかに私が触れるだけだ。手でもいいし、足でもいい」
「頻度は? 一度ユクミの力をもらったら俺はどのくらい動ける?」
「……一昼夜は持つはずだが……」
ユクミは一度、きゅっと唇を噛む。
「司は私に触られるのが嫌なのか?」
司を見上げるユクミの顔に表情はなかったが、声からは悲しみや寂しさという感情が窺えた。司は慌てて膝をつく。
「違う違う。ユクミに触られるのが嫌なんじゃなくて、ここへは何時間おきに戻ってくる必要があるのかって考えてたんだ」
「戻ってくるって、誰が?」
「俺が」
「どうして戻ってくるんだ?」
「……ユクミ」
真面目な調子で言って司は軽く布団を畳み、改めてユクミの前に膝をつく。彼女はどこか不安そうに瞬いた。
「俺を動けるようにしてくれてありがとう。俺はこのあと隠邪と聡一を探しにいくつもりだ。だから、俺は――」
ここから出て一人で行動する、と言いかけて司は気づいた。
ユクミはこれまでの間に「今後は行動を共にする」とは一言も言っていない。
(もしかするとユクミは、どっかから遠隔で俺を助けてくれるって可能性があるよな? で、必要なときだけ落ち合うと……)
そう思うと、「俺はこの先一人で行くから、ユクミとはお別れだ」とは言えなくなった。もしも「当り前じゃないか。何を言っているんだ」と返されてしまうとあまりに格好悪い。
「だから、俺は……あー……その……そうだ。ユクミはこの後、どこに行くんだ?」
「……どこに?」
司としてはさりげなく質問をしたつもりだったが、ユクミは再び怪訝そうな調子に戻った。
「そう。ほら、扉が開いてユクミは自由になったろ? 俺は力さえ分けてもらえたらそれで十分だから、ユクミに行きたいところがあるなら――」
ユクミからの返事はなかった。代わりに見える範囲の小さな顔がどんどん朱に染まる。これがどんな感情によるものか分からずに司は困惑するが、実は怒りによるものだと分かったのは彼女が司を睨みつけてからだ。
黄金の瞳が力を持って輝く。
ようやく司は、目の前にいるのが『見た目通りの幼い娘』ではないのだと理解した。確かに彼女は何百という年数を重ねて生きてきた妖だ。恐ろしいほどの力を持つ視線に射すくめられた司が今のユクミに抱く思いは、大いなる自然の力を目の当たりにしたとき抱く畏怖に似ている。司は言葉だけで分かったつもりになっていた「何百年の齢を重ねたユクミという妖」の存在を、このときようやく芯まで理解することになった。
「司。お前は私をどうみているのだ?」
低い山鳴りのような声を聞き、司は言葉もなく、ただ身を震わせる。
「私はそんなに疎放に見えるか。責を逃れそうな者なのか。――ふざけるな!」
眦を上げてユクミが立ち上がる。
「私は言ったはずだぞ、司! お前が『約束の者』だとな!」
ユクミが一歩足を踏み出した。雪崩が近づく時の気持ちはこのようなものかと司は思う。
「私は『約束の者』を助けるためにずっとここで待っていた! 私はお前を助ける! そして私のせいで死なせたお前が願いを叶えるその日まで、支障なく動けるようにしなくてはならない!」
座る司より高いところにいるユクミは、言葉を区切りながら高らかに叫んだ。
「だから、よく聞け、司! この後の私は、お前の傍にいる! お前の行くところへ、一緒に行――!」
そこまで言ってユクミは目を見開き口ごもった。気勢を失い、うつむき、着物の裾をぎゅっと握って唇をわななかせる。
その姿からは今しがたの威厳が消え去っており、どこから見ても姿どおりの幼女でしかなくなっていた。
「……そ、それとも……司は、私と一緒に居たくないのか……? ……私のことが……き、き……嫌い、で……仲間に、入れたくない……のか……?」
「違う!」
司は必死に首を横に振った。ユクミの突然の変化に関しての理由は不明だが、彼女に対して負の気持ちがないことは間違いないのだから、きちんと伝えなくてはいけない。
「いきなり現れた俺に力を与えてくれただけじゃなく、こうして介抱までしてくれたんだ。俺はユクミに心から感謝してる。もちろん嫌いなんかじゃない」
「だったら、どうして」
「それは……」
『幼い娘を戦いの場へ引き出してしまうのが申し訳ないから』だったが、ユクミが齢を重ねた存在だと思い知った今、真の理由を口に出すのは自分の考えの狭さを露呈するようで恥ずかしい。
しばらく迷って、司はある程度正直に答える。
「……ユクミは妖だからだよ」
妖というのは年を経た山野の獣や、あるいは自然の力が変化した存在だと伝わる。攻撃的であったという伝承もあるがそれらはすべて縄張りを守るための戦いであって、本来は好戦的ではないそうだ。
だから妖はもう人の世にいない。
縄張りから人間や、ときには隠邪も排除しなくてはならない日々にうんざりした妖たちは自分たちだけの世界を作って平和に暮らしており、もしも人の世で妖が生まれたときはそれを察知して迎えにまで来るのだと聞いたことがある。
「俺はこのあと隠邪と戦うんだ。だけどユクミは隠邪と戦うなんて嫌だろ?」
悪くはない理由だろうと司は思った。
しかし、床に尾を落としたユクミはぽつりと言う。
「……私はここへ来る前にずっと、隠邪と戦ってた。だから戦うのは嫌じゃない」
「嫌じゃないのか? 妖なのに?」
初めて聞く話に司は目を丸くした。
22
【作者からのお知らせ】
美麗な表紙絵も描いてくださっているベアしゅう様が、第2章「5.告げられた内容」のワンシーンをマンガにしてくださいました。
司とユクミがとっても魅力的なんです。
すごく素敵なので、ぜひぜひご覧ください!
★★ベアしゅう様のpixivページ★★
美麗な表紙絵も描いてくださっているベアしゅう様が、第2章「5.告げられた内容」のワンシーンをマンガにしてくださいました。
司とユクミがとっても魅力的なんです。
すごく素敵なので、ぜひぜひご覧ください!
★★ベアしゅう様のpixivページ★★
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
『霧原村』~少女達の遊戯が幽から土地に纏わる怪異を起こす~転校生渉の怪異事変~
潮ノ海月
ホラー
とある年の五月の中旬、都会から来た転校生、神代渉が霧野川高校の教室に現れる。彼の洗練された姿に女子たちは興味を示し、一部の男子は不満を抱く。その中、主人公の森月和也は、渉の涼やかな笑顔の裏に冷たさを感じ、彼に違和感を感じた。
渉の編入から一週間が過ぎ、男子達も次第に渉を受け入れ、和也の友人の野風雄二も渉の魅力に引き込まれ、彼の友人となった。転校生騒ぎが終息しかけたある日の学校の昼休み、女子二人が『こっくりさん』で遊び始め、突然の悲鳴が教室に響く。そしてその翌日、同じクラスの女子、清水莉子が体調不良で休み、『こっくりさん』の祟りという噂が学校中に広まっていく。その次の日の放課後、莉子を心配したと斉藤凪紗は、彼女の友人である和也、雄二、凪沙、葵、渉の五人と共に莉子の家を訪れる。すると莉子の家は重苦しい雰囲気に包まれ、莉子の母親は憔悴した姿に変わっていた。その異変に気づいた渉と和也が莉子の部屋へ入ると、彼女は霊障によって変わり果てた姿に。しかし、彼女の霊障は始まりでしかなく、その後に起こる霊障、怪異。そして元霧原村に古くから伝わる因習、忌み地にまつわる闇、恐怖の怪異へと続く序章に過ぎなかった。
《主人公は和也(語り部)となります。ライトノベルズ風のホラー物語です》
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる