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第6章
余話:小さな村の波紋
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大陸の最も西にあるグラス村には、15歳以上の未婚女性だけが参加できる集会がある。
『未来を目指す乙女の会』、通称を乙女の会というこの集まりは、実は思いのほか昔から続いているものらしい。
どのくらいの間隔で開催するのはその時々によって変わっていたようだが、現在は週に1回だ。結婚すれば脱退となるこの会に明確な主催者などはいないが、なんとなくまとめ役のようになる人物はいつもいるらしい。
15歳になったエーファ・グレーザーが会に参加している今は、村長の娘であるディアナ・ランセルがまとめ役を務めていた。
ディアナは22歳になった。20歳で結婚することの多いグラス村では珍しいことに、彼女は未だ結婚をしていない。
「そうねぇ、あと2~3年は結婚できないと思うわ」
だが、そう言って笑う彼女の表情に翳りはなかった。既に婚約をしているためだ。
相手はディアナの5歳下のテオ・ファラーという人物で、ローゼ・ファラーの弟でもある。
このローゼというのは、グラス村でも特に名の上がることが多い人物だ。
以前はその、類稀な容姿で。
更には聖剣を手にしたために。
今ではもう、グラス村どころか大陸中でその名を語られる人物となっているようだ。
神官たちがローゼのことを吹聴することはほぼ無いが、たまに訪れる商人たちが興奮気味に語る彼女の功績はエーファも何度か耳にしている。
また、商人たちの中には家まで押し掛ける者もいるようで、ファラー家の末っ子イレーネが渋い顔をしている姿を見かけることもあった。
しかし、商人たちで実際にローゼと会えたものはいない。
ローゼがこの村へ帰ってきたのは、この3年間で3回しかないためだ。
しかも彼女の最後の帰郷からもうじき2年の歳月が流れようとしている。
最初の内は、もしや彼女の身に何かあったのでは、と皆も心配した。しかし神官たち、特にアーヴィンがいつも「それはありえない」と否定をしていた。
やがていつから、誰からだろうか。
村の中では「ローゼは故郷のことなど忘れてしまった」という話が出始めた。
「煌びやかな王都で、貴族たちと一緒に華やかな舞踏会にも出席できる身分になったローゼが、こんな田舎の村に帰ってくるはずがない」
始めは一部の人だけが囁いていたその言葉も、2年経った今ではかなりの人が信じている。
他にも、
「ローゼはどこかの貴族に言い寄られて、アーヴィン様のことなんて忘れてしまった」
という話があり、これは今は乙女の会での定説となっていた。
もちろんエーファも信じている。むしろ、早いうちに信じたほうかもしれない。それというのも、別の村へ嫁いだ姉の影響だ。
エーファの姉は、アーヴィンのことが好きだった。
家業の手伝いで与えられる駄賃を大事に貯めて、一定の金額に達したら「ついうっかり」どこかを怪我して神殿へ駆け込む。
貯めた金を払って、自分だけに神聖術を使うアーヴィンの顔を間近で見つめた後、自分だけにもらえる「心配の言葉」と「少しの小言」を胸に秘めて帰宅する。
その嬉しそうな表情を、エーファは何度見たことだろう。
しかし、姉の想いがアーヴィンに届くことはなかった。
姉だけではない。
アーヴィンがこの村へ来てからもうじき9年、果たしてどれほどの女性が同じように想いを彼に向け、そして恋破れて泣いただろうか。
姉が打ちひしがれる姿もエーファは見た。エーファは姉のことが好きだったが、それでも最初のうちは「姉さんが選ばれなかったのは残念だけど、仕方がないことだわ」と思っていた。
(村祭りでアーヴィン様とローゼが踊ってた姿は本当に素敵で、本当にお似合いだったもの)
実を言えばエーファは密かに、ローゼに対して憧れの気持ちを持っていた。
はっきりと自分の意見を言えるその気性に、困った人を放っておけない面倒見の良さに、凛と前を見つめる瞳の美しさに、何度も目を奪われた。
しかしローゼは、思いが通じた後のアーヴィンを放ったきりだ。
「好きな人とは一緒に居たいものよ? こんなに長いあいだ離れていて平気なはずがないわ。だからローゼはきっと、他の人に……そう、例えば、お金持ちの貴族の男性に言い寄られて、そちらを好きになったに違いないわ」
真っ赤な目をした姉は、悔しそうに何度も呟いた。
「……心変わりしたのなら、アーヴィン様を私に譲ってくれても良かったのに……」
やがてそれは姉だけではなく、数々の女性たちの声を代表しているかのようにエーファは思えてきた。だからこそ、村に同様の話が流れてきた時はきっとそれが正しいのだと考えた。
その頃になると、ローゼという人物のイメージは、エーファの中でだいぶ悪いものとなっていた。
はっきりと自分の意見を言う姿は、傲慢な姿に取って代わる。
面倒見の良さは、自分の取り巻きを作るしたたかさのように。
凛と前を見つめる姿は、周囲を無視する冷酷さではないかとも。
やがては、村の娘たちの流した涙を平気で踏みにじり、自身は貴族と共に華やかな暮らしを送る、そんなローゼの姿が見えるような気すらした。
(……本性があらわれたってことなのかな。なんだか、がっかり……)
一方で、彼女に捨てられてしまったアーヴィンはいつか目を覚ましてくれるのではないか、とエーファは期待していたのだが、残念ながらそれは裏切られてしまった。
* * *
乙女の会が開催されたこの日、集会所の端で友人と話をしながら、エーファは中央付近へちらりと視線を向けた。
そこではひとりの女性が、難しい顔をしてレース編みをしていた。
――今回もやってるんだ。
眉を寄せたエーファがこっそりため息を吐いた時、別の娘が中央へ近寄る。
「今日もレース編みをしてるのね、ディアナ」
その声はヒヤリとするくらいの冷たさを含んでいた。
皆が思わずといった具合に息をのんだせいで、集会所はしんとする。
中でひとり気にしない様子なのが、当のディアナだった。
「うん。私、レース編みが苦手だから、早めに取り掛からないといけなくて……やだ、また失敗しちゃった」
ディアナが手にしている糸の色は、紫。
普段なら数ある色のひとつであるが、時々最も重要となる色だ。
本来なら今までの”こういった”時期は、多くの娘たちがこの会でも紫のものを作ろうとしていたようだが、今はディアナくらいしか見かけない。
――それというのも。
「この調子だと、夏までに間に合うか分からないわ。結婚式ギリギリになっちゃいそう……」
呟いてわずかに眉を寄せたディアナは、小さな声で編み目を数えながら慎重に糸を解いて行く。その様子を見ながらエーファは心にもやもやとした気持ちが生まれるのを感じた。皆も同じ気持ちなのだろう、ところどころで生まれ始めた好意的ではない様子の小さな声が、それを物語っていた。
紫は、愛を司る女神メルディアを象徴する色。結婚式で使われる色だ。
新郎新婦はもちろんのこと、式に参加する人々も紫の小物を身に着けることになっている。
この小さなグラス村において、結婚式という大きな行事は多くない。
そして、夏に挙げられる結婚式はひとつ。本来なら村を上げて祝うほどのものだ。
何しろ、神官アーヴィンの結婚式なのだから。
アーヴィンが夏に結婚式を挙げることになった話が村を駆け巡ったのは先月のこと。アーヴィンの相手はもちろんローゼだ。
「ローゼはね、ちゃんと夏に戻ってくるわ。大神殿から鳥文が来ているから間違いのないことよ」
グラス村にいる3人の神官のうち、最も年長の神官――ミシェラ・セルザムは皆にそう話してはいるが、信じている人はどれほどいるだろうか。
逆に「あまりにローゼが帰ってこないから、アーヴィン様はついに気が触れてしまった。他の神官様方にも作り話をなさっているに違いない」と言われてしまうほどに、この村でのローゼに対する信頼は落ちている。
そのせいもあって乙女の会でも、結婚式の出席者が身に着ける『紫の小物』を作る娘はほとんどいなかった。
「結婚式、本当にするかどうか分かんないのにね」
エーファが話しかけると、横の友人はうなずく。
「そうよね。小物を作ったって――」
「いい加減にしてよ、ディアナ!」
集会所の中に突然声が響き渡って、エーファも、友人も、そちらへ目を向ける。声を上げたのは先ほどの娘だ。
「ローゼなんてもう帰ってこないのよ! そんなものを見せられるこっちの気分にもなって!」
彼女の叫びはこの場に居る娘たち大半の思いを代弁していた。うなずく者や、こっそり小さな拍手を送る者もある。
だが、ディアナは動じない。相変わらず真剣な眼差しで針を動かしながら答える。
「帰ってくるわ。ローゼは絶対に帰ってくる」
「絶対?」
「ええ、絶対」
「なんでそう言い切れるのよ!?」
だって、とディアナは朗らかに笑う。
「ローゼは、レスター神官様のことが大好きだもの」
馴染みのない呼び名が出てきて、エーファは誰のことだろうかと考え、数瞬の後に思い出す。ディアナはアーヴィンのことを名では呼ばない。
叫んでいた娘もエーファと同じだったのだろう。わずかに間を開けてから、衰えた気勢を再度上げるためか思い切り机を叩いた。その暴力的な音にエーファは身をすくめる。
「ローゼがアーヴィン様を好き? 馬鹿を言わないで! だったらこんなに長い間、アーヴィン様を放っておくはずないでしょう!?」
動じた様子もなく彼女を見上げ、ディアナはふと微笑んだ。
「あのね。私も一時期、レスター神官様のことが好きだったの」
「え?」
意外なことを言われたためだろう、娘は呆気にとられた様子を見せる。
彼女だけではない。誰も何も言わない集会所の中で、エーファも、エーファの友人も、他の娘たちも。場に居る全員が揃ってディアナへ視線を送った。
「だって、見た目もお声もとても素敵なんだもの。しかもお優しくて、知識だって豊富にお持ちなんていったら、好きになっちゃうのも当然よね」
皆が自分に注目しているのは分かっているだろうが、ディアナはあくまで横の娘を見上げたまま、彼女にだけ話している体で続ける。
「でも、ある日気が付いたの。ローゼはレスター神官様のことをよく、『意地悪だ』って言ってるけど、私はそんなお姿を拝見したことが無いなって」
「それは……ローゼが悪いんでしょう? ローゼが問題を起こすから」
「私もそう思ったわ。だけど問題を起こした他の子からも『レスター神官様が意地悪だ』なんて言葉を聞いたことはなかったのよね。『叱られた』『怖かった』は聞いたことはあったけれど」
ディアナの言葉を聞いて一部の娘は納得した様子を見せる。エーファもなんとなく分かるような気がした。アーヴィンの叱る姿を見たことはあるが、意地悪をする姿など想像できない。
「その時に考えちゃったの。私は本当にレスター神官様のことが好きなのかしら。好きだとしたら、どこが好きなのかしら、って」
「どこが……?」
「ええ。例えば……もしも……もしもよ。レスター神官様がうちのお父さんみたいにガサツでドジで、自分で服を脱ぎ散らかした直後に足を取られて転んで机で肘を打って、しゃがんでイテテって言いながら涙を流すような人でも好きになれるのかなって」
「……村長ってそんな人なの?」
「そんな人なのよ。本人には内緒にしてあげてね」
片目をつぶったディアナは唇の前に人差し指を立てる。横の娘は小さく笑った。彼女を見ながら、ディアナはひとつ息を吐いて話を続ける。
「でもね、そんな姿は全然思い浮かばなかったの。私の中のレスター神官様は、いつでも穏やかで優しくて、泣いたり取り乱したりなんてなさらない方だったのよ。――それが分かって、私はあの方を好きになるのをやめたの」
横の娘はハッとした様子を見せ、唇を噛んで黙った。
他の娘たちもどこか気まずそうな顔をしたり、納得したような表情であったりする。
エーファもぎゅっと両手を握り合わせた。
確かにアーヴィン・レスターという人物のことをエーファは、どこか浮世離れした、人ではない相手として考えていたような気がする。
だが彼も人である以上は、エーファたちに見せるような面ばかりではないはずだ。
今までアーヴィンを好きだと言っていた女性たちは、果たして見えている面以外の彼も想像して好きだと言っていたのだろうか、とエーファは考える。
(……だからなの……?)
初対面の時、ローゼはアーヴィンと一悶着あったらしい。
後に彼と和解したローゼは「アーヴィンはあたしの友達よ」と言い放ち、敬称をつけず、敬語も使わなかった。アーヴィンもそんな彼女を許していたのは、もしかすると互いに惹かれ合う何かがあったためとも考えられる。
実はアーヴィンも、目の前の女性に対して『自分自身を曝け出した時に、受け入れてくれる相手かどうか』を考えたことがあったのだろうか。それが彼にとっては、ローゼだったのだろうか。
「私ね。この2年の間で、ローゼから1度だけ手紙が届いたことがあるの。そこに書いてあったんだけど、ローゼは今、フィデル王国にいるんですって。フィデルって、知ってる?」
「ええと……隣の国……だっけ?」
「そう。名前くらいは知ってるっていう程度の場所よね。きっと、私たちと関わることなんて一生ない。――でもね。ローゼは実際に、そこへ行ってるの」
集会所は、しん、とする。
「すごく遠くて、そのぶん行き来するのも時間がかかるみたい。手紙には『帰ってしまったら次にいつ行けるか分からないんで、ある程度用事を済ませた後にフィデルを出るつもり』って書いてあったもの」
ディアナはまた顔を下に向け、針を少しずつ動かし始める。
「ローゼはレスター神官様を……ううん、この村のことだって、嫌いになってない。ただ、帰りたくてもなかなか帰れなくて……でも、レスター神官様を信じてるから。故郷はいつでも同じように迎えてくれるって思ってるから、ずっと離れていられるだけよ」
勝手な憶測ではなく、きちんと相手の状況を知った上で語るディアナの言葉は、村の噂の何倍もの説得力でエーファの胸を打った。
おそらくこの場にいる娘たちの大半が同じような気分なのだろう。誰も何も言わないが、皆の空気が変わりつつあることにエーファは気付いた。
「レスター神官様もそんなローゼのことを理解してらっしゃるから、いつも通りの暮らしをなさりつつ、あの子が帰ってくる日を待っておられるんだと思うわ。だからふたりがようやく結婚式を挙げるって聞いて、私は本当に嬉しくて――ああ、嫌だ! また間違えてた!」
「……馬鹿ね」
天を仰ぐディアナに向け、横の娘が顰め面を見せる。
「苦手だって分かってるくせに、そんな難しい柄を組もうとするからよ」
「だって――」
「しょうがないわね。どうしてもやりたいって言うなら……つ、次の乙女の会から、私が手本を見せてあげるわ。でもまずは……ほら、ちょっと貸して。いい? この部分はね――」
わずかに頬を赤らめた娘がディアナの針を手にした辺りで、エーファは深く息を吐く。思いもよらない話を聞いてまだ頭が追いつかない。
「エーファ。聞いた? 今の話」
横の友人が顔を寄せて来る。
「なんか、すっごく馬鹿馬鹿しいって感じよねえ?」
彼女の眉間にはくっきりとした皺があった。うーん、と小さくうなった後でエーファは答える。
「……私は、そんなに悪いとは思わなかった……けど」
「ええーっ? エーファったらローゼの味方をするの?」
「味方……うーん、味方……?」
エーファが首を傾げると、友人は「付き合ってられない」と呟いて席を立ち、彼女と同じように眉間に皺を刻んで顔を突き合わせる娘たちの方へ移動する。
それを見ながらエーファは「味方」ともう一度繰り返してみた。
心の中に生まれたこの気持ちがどういうものかはよく分からない。
ただなんとなく、何日もぐずついていた空に久々の青さを見たような、そんな感じがする。
(神々がおられるという空だって、あっという間に雲が広がることも、雨が降ったって思ったらすぐ上がるときだってあるんだし……)
人の心が移り変わったって、きっと悪くはないだろう。
ひとつ頷いたエーファは椅子から立ち上がると、近くで話す『晴れ空』の表情をした友人たちの方へ歩いて行った。
『未来を目指す乙女の会』、通称を乙女の会というこの集まりは、実は思いのほか昔から続いているものらしい。
どのくらいの間隔で開催するのはその時々によって変わっていたようだが、現在は週に1回だ。結婚すれば脱退となるこの会に明確な主催者などはいないが、なんとなくまとめ役のようになる人物はいつもいるらしい。
15歳になったエーファ・グレーザーが会に参加している今は、村長の娘であるディアナ・ランセルがまとめ役を務めていた。
ディアナは22歳になった。20歳で結婚することの多いグラス村では珍しいことに、彼女は未だ結婚をしていない。
「そうねぇ、あと2~3年は結婚できないと思うわ」
だが、そう言って笑う彼女の表情に翳りはなかった。既に婚約をしているためだ。
相手はディアナの5歳下のテオ・ファラーという人物で、ローゼ・ファラーの弟でもある。
このローゼというのは、グラス村でも特に名の上がることが多い人物だ。
以前はその、類稀な容姿で。
更には聖剣を手にしたために。
今ではもう、グラス村どころか大陸中でその名を語られる人物となっているようだ。
神官たちがローゼのことを吹聴することはほぼ無いが、たまに訪れる商人たちが興奮気味に語る彼女の功績はエーファも何度か耳にしている。
また、商人たちの中には家まで押し掛ける者もいるようで、ファラー家の末っ子イレーネが渋い顔をしている姿を見かけることもあった。
しかし、商人たちで実際にローゼと会えたものはいない。
ローゼがこの村へ帰ってきたのは、この3年間で3回しかないためだ。
しかも彼女の最後の帰郷からもうじき2年の歳月が流れようとしている。
最初の内は、もしや彼女の身に何かあったのでは、と皆も心配した。しかし神官たち、特にアーヴィンがいつも「それはありえない」と否定をしていた。
やがていつから、誰からだろうか。
村の中では「ローゼは故郷のことなど忘れてしまった」という話が出始めた。
「煌びやかな王都で、貴族たちと一緒に華やかな舞踏会にも出席できる身分になったローゼが、こんな田舎の村に帰ってくるはずがない」
始めは一部の人だけが囁いていたその言葉も、2年経った今ではかなりの人が信じている。
他にも、
「ローゼはどこかの貴族に言い寄られて、アーヴィン様のことなんて忘れてしまった」
という話があり、これは今は乙女の会での定説となっていた。
もちろんエーファも信じている。むしろ、早いうちに信じたほうかもしれない。それというのも、別の村へ嫁いだ姉の影響だ。
エーファの姉は、アーヴィンのことが好きだった。
家業の手伝いで与えられる駄賃を大事に貯めて、一定の金額に達したら「ついうっかり」どこかを怪我して神殿へ駆け込む。
貯めた金を払って、自分だけに神聖術を使うアーヴィンの顔を間近で見つめた後、自分だけにもらえる「心配の言葉」と「少しの小言」を胸に秘めて帰宅する。
その嬉しそうな表情を、エーファは何度見たことだろう。
しかし、姉の想いがアーヴィンに届くことはなかった。
姉だけではない。
アーヴィンがこの村へ来てからもうじき9年、果たしてどれほどの女性が同じように想いを彼に向け、そして恋破れて泣いただろうか。
姉が打ちひしがれる姿もエーファは見た。エーファは姉のことが好きだったが、それでも最初のうちは「姉さんが選ばれなかったのは残念だけど、仕方がないことだわ」と思っていた。
(村祭りでアーヴィン様とローゼが踊ってた姿は本当に素敵で、本当にお似合いだったもの)
実を言えばエーファは密かに、ローゼに対して憧れの気持ちを持っていた。
はっきりと自分の意見を言えるその気性に、困った人を放っておけない面倒見の良さに、凛と前を見つめる瞳の美しさに、何度も目を奪われた。
しかしローゼは、思いが通じた後のアーヴィンを放ったきりだ。
「好きな人とは一緒に居たいものよ? こんなに長いあいだ離れていて平気なはずがないわ。だからローゼはきっと、他の人に……そう、例えば、お金持ちの貴族の男性に言い寄られて、そちらを好きになったに違いないわ」
真っ赤な目をした姉は、悔しそうに何度も呟いた。
「……心変わりしたのなら、アーヴィン様を私に譲ってくれても良かったのに……」
やがてそれは姉だけではなく、数々の女性たちの声を代表しているかのようにエーファは思えてきた。だからこそ、村に同様の話が流れてきた時はきっとそれが正しいのだと考えた。
その頃になると、ローゼという人物のイメージは、エーファの中でだいぶ悪いものとなっていた。
はっきりと自分の意見を言う姿は、傲慢な姿に取って代わる。
面倒見の良さは、自分の取り巻きを作るしたたかさのように。
凛と前を見つめる姿は、周囲を無視する冷酷さではないかとも。
やがては、村の娘たちの流した涙を平気で踏みにじり、自身は貴族と共に華やかな暮らしを送る、そんなローゼの姿が見えるような気すらした。
(……本性があらわれたってことなのかな。なんだか、がっかり……)
一方で、彼女に捨てられてしまったアーヴィンはいつか目を覚ましてくれるのではないか、とエーファは期待していたのだが、残念ながらそれは裏切られてしまった。
* * *
乙女の会が開催されたこの日、集会所の端で友人と話をしながら、エーファは中央付近へちらりと視線を向けた。
そこではひとりの女性が、難しい顔をしてレース編みをしていた。
――今回もやってるんだ。
眉を寄せたエーファがこっそりため息を吐いた時、別の娘が中央へ近寄る。
「今日もレース編みをしてるのね、ディアナ」
その声はヒヤリとするくらいの冷たさを含んでいた。
皆が思わずといった具合に息をのんだせいで、集会所はしんとする。
中でひとり気にしない様子なのが、当のディアナだった。
「うん。私、レース編みが苦手だから、早めに取り掛からないといけなくて……やだ、また失敗しちゃった」
ディアナが手にしている糸の色は、紫。
普段なら数ある色のひとつであるが、時々最も重要となる色だ。
本来なら今までの”こういった”時期は、多くの娘たちがこの会でも紫のものを作ろうとしていたようだが、今はディアナくらいしか見かけない。
――それというのも。
「この調子だと、夏までに間に合うか分からないわ。結婚式ギリギリになっちゃいそう……」
呟いてわずかに眉を寄せたディアナは、小さな声で編み目を数えながら慎重に糸を解いて行く。その様子を見ながらエーファは心にもやもやとした気持ちが生まれるのを感じた。皆も同じ気持ちなのだろう、ところどころで生まれ始めた好意的ではない様子の小さな声が、それを物語っていた。
紫は、愛を司る女神メルディアを象徴する色。結婚式で使われる色だ。
新郎新婦はもちろんのこと、式に参加する人々も紫の小物を身に着けることになっている。
この小さなグラス村において、結婚式という大きな行事は多くない。
そして、夏に挙げられる結婚式はひとつ。本来なら村を上げて祝うほどのものだ。
何しろ、神官アーヴィンの結婚式なのだから。
アーヴィンが夏に結婚式を挙げることになった話が村を駆け巡ったのは先月のこと。アーヴィンの相手はもちろんローゼだ。
「ローゼはね、ちゃんと夏に戻ってくるわ。大神殿から鳥文が来ているから間違いのないことよ」
グラス村にいる3人の神官のうち、最も年長の神官――ミシェラ・セルザムは皆にそう話してはいるが、信じている人はどれほどいるだろうか。
逆に「あまりにローゼが帰ってこないから、アーヴィン様はついに気が触れてしまった。他の神官様方にも作り話をなさっているに違いない」と言われてしまうほどに、この村でのローゼに対する信頼は落ちている。
そのせいもあって乙女の会でも、結婚式の出席者が身に着ける『紫の小物』を作る娘はほとんどいなかった。
「結婚式、本当にするかどうか分かんないのにね」
エーファが話しかけると、横の友人はうなずく。
「そうよね。小物を作ったって――」
「いい加減にしてよ、ディアナ!」
集会所の中に突然声が響き渡って、エーファも、友人も、そちらへ目を向ける。声を上げたのは先ほどの娘だ。
「ローゼなんてもう帰ってこないのよ! そんなものを見せられるこっちの気分にもなって!」
彼女の叫びはこの場に居る娘たち大半の思いを代弁していた。うなずく者や、こっそり小さな拍手を送る者もある。
だが、ディアナは動じない。相変わらず真剣な眼差しで針を動かしながら答える。
「帰ってくるわ。ローゼは絶対に帰ってくる」
「絶対?」
「ええ、絶対」
「なんでそう言い切れるのよ!?」
だって、とディアナは朗らかに笑う。
「ローゼは、レスター神官様のことが大好きだもの」
馴染みのない呼び名が出てきて、エーファは誰のことだろうかと考え、数瞬の後に思い出す。ディアナはアーヴィンのことを名では呼ばない。
叫んでいた娘もエーファと同じだったのだろう。わずかに間を開けてから、衰えた気勢を再度上げるためか思い切り机を叩いた。その暴力的な音にエーファは身をすくめる。
「ローゼがアーヴィン様を好き? 馬鹿を言わないで! だったらこんなに長い間、アーヴィン様を放っておくはずないでしょう!?」
動じた様子もなく彼女を見上げ、ディアナはふと微笑んだ。
「あのね。私も一時期、レスター神官様のことが好きだったの」
「え?」
意外なことを言われたためだろう、娘は呆気にとられた様子を見せる。
彼女だけではない。誰も何も言わない集会所の中で、エーファも、エーファの友人も、他の娘たちも。場に居る全員が揃ってディアナへ視線を送った。
「だって、見た目もお声もとても素敵なんだもの。しかもお優しくて、知識だって豊富にお持ちなんていったら、好きになっちゃうのも当然よね」
皆が自分に注目しているのは分かっているだろうが、ディアナはあくまで横の娘を見上げたまま、彼女にだけ話している体で続ける。
「でも、ある日気が付いたの。ローゼはレスター神官様のことをよく、『意地悪だ』って言ってるけど、私はそんなお姿を拝見したことが無いなって」
「それは……ローゼが悪いんでしょう? ローゼが問題を起こすから」
「私もそう思ったわ。だけど問題を起こした他の子からも『レスター神官様が意地悪だ』なんて言葉を聞いたことはなかったのよね。『叱られた』『怖かった』は聞いたことはあったけれど」
ディアナの言葉を聞いて一部の娘は納得した様子を見せる。エーファもなんとなく分かるような気がした。アーヴィンの叱る姿を見たことはあるが、意地悪をする姿など想像できない。
「その時に考えちゃったの。私は本当にレスター神官様のことが好きなのかしら。好きだとしたら、どこが好きなのかしら、って」
「どこが……?」
「ええ。例えば……もしも……もしもよ。レスター神官様がうちのお父さんみたいにガサツでドジで、自分で服を脱ぎ散らかした直後に足を取られて転んで机で肘を打って、しゃがんでイテテって言いながら涙を流すような人でも好きになれるのかなって」
「……村長ってそんな人なの?」
「そんな人なのよ。本人には内緒にしてあげてね」
片目をつぶったディアナは唇の前に人差し指を立てる。横の娘は小さく笑った。彼女を見ながら、ディアナはひとつ息を吐いて話を続ける。
「でもね、そんな姿は全然思い浮かばなかったの。私の中のレスター神官様は、いつでも穏やかで優しくて、泣いたり取り乱したりなんてなさらない方だったのよ。――それが分かって、私はあの方を好きになるのをやめたの」
横の娘はハッとした様子を見せ、唇を噛んで黙った。
他の娘たちもどこか気まずそうな顔をしたり、納得したような表情であったりする。
エーファもぎゅっと両手を握り合わせた。
確かにアーヴィン・レスターという人物のことをエーファは、どこか浮世離れした、人ではない相手として考えていたような気がする。
だが彼も人である以上は、エーファたちに見せるような面ばかりではないはずだ。
今までアーヴィンを好きだと言っていた女性たちは、果たして見えている面以外の彼も想像して好きだと言っていたのだろうか、とエーファは考える。
(……だからなの……?)
初対面の時、ローゼはアーヴィンと一悶着あったらしい。
後に彼と和解したローゼは「アーヴィンはあたしの友達よ」と言い放ち、敬称をつけず、敬語も使わなかった。アーヴィンもそんな彼女を許していたのは、もしかすると互いに惹かれ合う何かがあったためとも考えられる。
実はアーヴィンも、目の前の女性に対して『自分自身を曝け出した時に、受け入れてくれる相手かどうか』を考えたことがあったのだろうか。それが彼にとっては、ローゼだったのだろうか。
「私ね。この2年の間で、ローゼから1度だけ手紙が届いたことがあるの。そこに書いてあったんだけど、ローゼは今、フィデル王国にいるんですって。フィデルって、知ってる?」
「ええと……隣の国……だっけ?」
「そう。名前くらいは知ってるっていう程度の場所よね。きっと、私たちと関わることなんて一生ない。――でもね。ローゼは実際に、そこへ行ってるの」
集会所は、しん、とする。
「すごく遠くて、そのぶん行き来するのも時間がかかるみたい。手紙には『帰ってしまったら次にいつ行けるか分からないんで、ある程度用事を済ませた後にフィデルを出るつもり』って書いてあったもの」
ディアナはまた顔を下に向け、針を少しずつ動かし始める。
「ローゼはレスター神官様を……ううん、この村のことだって、嫌いになってない。ただ、帰りたくてもなかなか帰れなくて……でも、レスター神官様を信じてるから。故郷はいつでも同じように迎えてくれるって思ってるから、ずっと離れていられるだけよ」
勝手な憶測ではなく、きちんと相手の状況を知った上で語るディアナの言葉は、村の噂の何倍もの説得力でエーファの胸を打った。
おそらくこの場にいる娘たちの大半が同じような気分なのだろう。誰も何も言わないが、皆の空気が変わりつつあることにエーファは気付いた。
「レスター神官様もそんなローゼのことを理解してらっしゃるから、いつも通りの暮らしをなさりつつ、あの子が帰ってくる日を待っておられるんだと思うわ。だからふたりがようやく結婚式を挙げるって聞いて、私は本当に嬉しくて――ああ、嫌だ! また間違えてた!」
「……馬鹿ね」
天を仰ぐディアナに向け、横の娘が顰め面を見せる。
「苦手だって分かってるくせに、そんな難しい柄を組もうとするからよ」
「だって――」
「しょうがないわね。どうしてもやりたいって言うなら……つ、次の乙女の会から、私が手本を見せてあげるわ。でもまずは……ほら、ちょっと貸して。いい? この部分はね――」
わずかに頬を赤らめた娘がディアナの針を手にした辺りで、エーファは深く息を吐く。思いもよらない話を聞いてまだ頭が追いつかない。
「エーファ。聞いた? 今の話」
横の友人が顔を寄せて来る。
「なんか、すっごく馬鹿馬鹿しいって感じよねえ?」
彼女の眉間にはくっきりとした皺があった。うーん、と小さくうなった後でエーファは答える。
「……私は、そんなに悪いとは思わなかった……けど」
「ええーっ? エーファったらローゼの味方をするの?」
「味方……うーん、味方……?」
エーファが首を傾げると、友人は「付き合ってられない」と呟いて席を立ち、彼女と同じように眉間に皺を刻んで顔を突き合わせる娘たちの方へ移動する。
それを見ながらエーファは「味方」ともう一度繰り返してみた。
心の中に生まれたこの気持ちがどういうものかはよく分からない。
ただなんとなく、何日もぐずついていた空に久々の青さを見たような、そんな感じがする。
(神々がおられるという空だって、あっという間に雲が広がることも、雨が降ったって思ったらすぐ上がるときだってあるんだし……)
人の心が移り変わったって、きっと悪くはないだろう。
ひとつ頷いたエーファは椅子から立ち上がると、近くで話す『晴れ空』の表情をした友人たちの方へ歩いて行った。
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そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
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