179 / 262
幕間 2
彼女たち (ゲスト様企画短編)
しおりを挟む
アストラン王国南方は鮮やかだ。
空はくっきりと青く、陽光ですら黄金のように濃く思える。建物も赤や黄色、緑色と様々で、白い建物の場合も神殿に憚って屋根にだけは色を塗っているのが常だった。
ハスミンが産まれ育ったのはそんな南方にある小さな漁村だ。10歳の年に王都の大神殿へ行き、少し前に8年の修行を終えて南へ戻ってきた。
赴任先として選んだのが故郷の漁村ではなく3日ほど離れた町だったのは、せっかくなので他の地を見てみたいという気持ちからだった。
(おかげで大正解)
手に持つコップの中身をこぼさないよう注意しながら、ハスミンは鼻歌まじりに緩やかな坂を上る。灰色の石畳の途中に見えてきたのは、雲一つない青空に映える一際白い建物だ。門をくぐると前庭にはひとりの女性がいる。
門に背を向けて屈んでいるいる彼女が着ているのは神官服、そして頭には白い布を巻いて帽子を被っている。彼女はこの格好で前庭の手入れをするのが常だった。
「アマラさん、ただいまー」
ハスミンが背中に声をかけると、木の下で作業をしていたアマラはぱっと振り返る。
濃い陽光の南は影もまたくっきりと濃い。しかしそんな中でも、アマラの笑顔ははっきりとハスミンの目に映った。
「ハスミンちゃん、おっかえりー」
基本的に神官同士は互いを姓で呼びならす。これは大神殿はもちろん、どこの町や村の神殿でも同じだ。
しかし妙に気が合ったハスミンとアマラは、周囲に一般の人がいない時だけ互いを名で呼び合っていた。
「もしかしてアマラさん、ずっと前庭にいたんですか? お昼になっちゃってますよ?」
「あー、道理で日差しがきついわけだー!」
アマラは植物に関しての知識が豊富だ。彼女がこの町の神殿に来たのは数年前、以降は前庭の管理を一手に引き受けている。
しかし彼女は熱中すると他が見えなくなる癖があった。ハスミンが神殿の用事で出かけたのは朝の早いうちだったが、その頃にはもうアマラは前庭の手入れを始めていた。ハスミンは彼女の声に送られて出かけたのだ。
「もう、気を付けて下さいよね」
ハスミンが言うと、アマラは照れたように笑う。
一緒に小さく笑って、ハスミンは手の中のものを差し出した。
「はい、これ、どうぞ」
「ん? ……あ! もしかして果実水? うわあ、ありがとう!」
アマラはコップを見て目を輝かせた。
果実水は水に果実と砂糖、そして薬草を加えて作る、アストランの南方で特に好まれている飲み物だ。家庭でも作ることはあるが、店で買う方が一般的だった。
購入の意思を伝えると、店員は専用の計量器を使って客が持参した容器に入れてくれるので、客は入れてもらった分だけ支払いをする。材料の配合は店ごとに違うので、好みの味を探すのもまた楽しい。
今日のハスミンは町にある1軒の食堂にも用があった。
この食堂の前では美味しい果実水を売っているので、アマラへのお土産にするために、あらかじめコップを持って出かけたのだ。
「神殿の方は特に何もありませんでした?」
「なかったよー。だからずっと、前庭の手入れができたのさ!」
立ち上がったアマラは使っていた道具を抱え、木陰の長椅子にハスミンを誘う。日なたは暑いが、影の場所は良い具合に涼しい。
座って帽子を取り、布で汗をぬぐう彼女の前にハスミンが果実水を差し出すと、アマラは目を細めて受け取り、喉を鳴らしてコップの半分まであおった。
「っはー! 美味しーい! 体に沁みわたるー!」
実に良い笑みでそう声を上げたアマラは、続いてハスミンにコップを差し出した。
「はい、残りはハスミンちゃんの分!」
「えええ? 駄目ですよ。これはアマラさんに買ってきたんです」
「いいっていいって。ね!」
ほらほらと手渡され、仕方なくハスミンは少しだけのつもりで口をつける。
果実水は少しぬるくなっているものの、まだ十分に冷たい。
複数の果実による爽やかな風味に加えて砂糖の程よい甘さ、そして最後に来る薬草のごくわずかな苦みと鼻腔を抜ける香気がうまく調和している。その後口の良さからついつい飲んでしまい、気が付くとコップは空になってしまっていた。
「ああっ、飲んじゃった!」
「ハスミンちゃんも喉乾いてたんだね。美味しかった?」
隣のアマラはニコニコとしながらハスミンを見ている。
「……美味しかった、です。けど……」
うう、と小さくうめいてハスミンは恨めしげにコップを睨んだ。
「だってアマラさんに飲んでもらおうと思って、買ってきたのに……」
「うん。美味しくいただいたよー」
アマラは明るく言う。
「でもさ、美味しいものは、分かち合った方がずっと美味しくなるじゃん? だから飲んだ時にも果実水は美味しかったけど、ハスミンちゃんが飲んでる姿を見てたらもっと『美味しかったなー』って思えたよ」
ハスミンが顔を向けると、先輩神官の笑顔は今日の日差しのように眩しい。しばらくの間アマラを見て、ハスミンはようやく頬を緩めた。
「……そっか。アマラさんに喜んでもらえたなら、良かったです」
「もちろん喜んだに決まってるー! わざわざ買って来てくれて本当にありがとうね、ハスミンちゃん!」
ふたりで笑い合い、ハスミンは正面に顔を向けた。
前庭の花々は南の色彩を象徴するかのように明るく華やかだ。
しかしあまりくどく感じないのは、所々に配置されている柔らかな色合いをした花が中和してくれているおかげだった。
こういった色彩感覚もアマラの素晴らしいところだな、と感じ入りながら、ハスミンは自室にある描きかけの絵を思い浮かべる。
(私の絵にも、この前庭の綺麗なところがうまく写し取れているといいんだけど……)
そう考えながら風に揺れる花々を眺めていると、白い門をくぐるふたりの人物が目に入った。
ひとりは髭を生やした上背のある男性、もうひとりは小柄な10代半ばほどの少女だ。もしかすると父娘なのかもしれない。彼らが着ているのは旅に適した服なので、町の人ではないのだろう。
出迎えの神官補佐がふたりのもとへ小走りに近寄る。二言三言交わした後、神官補佐は驚いた様子を見せて深く頭を下げた。男性がさらに何かを言い、横の少女が神官補佐に声をかける。顔を上げた神官補佐は短い話の後、ふたりの客人に向かってハスミンたちを示した。
「何かあったのかな?」
「かもしれませんね」
続いて少女は男性に何かを言うと、ふわふわした鳶色の髪をなびかせてハスミンたちの方へ走り寄る。ハスミンとアマラが立ち上がると、上気した頬の少女は一礼の後に口を開いた。
「あ、あの。私、コーデリアと申します。えっと、さっき、食堂で、綺麗な花の絵を見ました」
食堂の花の絵、と胸の内でハスミンは繰り返す。
絵を描くのが趣味のハスミンは、正神官の許可を得て、描いたものをたまに神殿に飾っている。
先ほどまで出かけていたのは、その中の1枚を食堂の主人が大層気に入り、買い取らせてほしいと言ってくれたためだ。ハスミンは買ってくれた絵を食堂まで届けに行ったのだった。
「それで……食堂の人に、絵を描いたのは神官様だって、聞いて……」
コーデリアの話を聞いたアマラは微笑みを浮かべてハスミンを示す。
「花の絵を描いた神官は彼女です」
アマラの言葉を聞き、コーデリアは顔をほころばせた。
「飾ってあった絵、とっても、とっても、素敵でした」
「あ……ありがとうございます」
「それで、神殿には他にも、神官様の描かれた絵があると聞きました。あの……よろしければ、見せていただけませんか?」
「は、はい、もちろんです!」
ハスミンの返事を聞いたコーデリアは、もう一度頭を下げた後に門を振り返り、父親と思しき男性へ手を振る。遠くで男性がうなずくと、胸の前で手を握り合わせたコーデリアは嬉しげな顔をハスミンに向けて「お願いします」と言った。
彼女の草色の瞳からは、純粋な賞賛の輝きが見て取れる。
(絵、描いてて良かったな)
笑みを含んだ目配せをしたアマラが、庭を手入れする道具に加えてコップを持ってくれる。
微笑んで彼女へ会釈したハスミンは、絵に関して問いかけてくるコーデリアに答えながら、明るい日差しの中を神殿へと向かった。
空はくっきりと青く、陽光ですら黄金のように濃く思える。建物も赤や黄色、緑色と様々で、白い建物の場合も神殿に憚って屋根にだけは色を塗っているのが常だった。
ハスミンが産まれ育ったのはそんな南方にある小さな漁村だ。10歳の年に王都の大神殿へ行き、少し前に8年の修行を終えて南へ戻ってきた。
赴任先として選んだのが故郷の漁村ではなく3日ほど離れた町だったのは、せっかくなので他の地を見てみたいという気持ちからだった。
(おかげで大正解)
手に持つコップの中身をこぼさないよう注意しながら、ハスミンは鼻歌まじりに緩やかな坂を上る。灰色の石畳の途中に見えてきたのは、雲一つない青空に映える一際白い建物だ。門をくぐると前庭にはひとりの女性がいる。
門に背を向けて屈んでいるいる彼女が着ているのは神官服、そして頭には白い布を巻いて帽子を被っている。彼女はこの格好で前庭の手入れをするのが常だった。
「アマラさん、ただいまー」
ハスミンが背中に声をかけると、木の下で作業をしていたアマラはぱっと振り返る。
濃い陽光の南は影もまたくっきりと濃い。しかしそんな中でも、アマラの笑顔ははっきりとハスミンの目に映った。
「ハスミンちゃん、おっかえりー」
基本的に神官同士は互いを姓で呼びならす。これは大神殿はもちろん、どこの町や村の神殿でも同じだ。
しかし妙に気が合ったハスミンとアマラは、周囲に一般の人がいない時だけ互いを名で呼び合っていた。
「もしかしてアマラさん、ずっと前庭にいたんですか? お昼になっちゃってますよ?」
「あー、道理で日差しがきついわけだー!」
アマラは植物に関しての知識が豊富だ。彼女がこの町の神殿に来たのは数年前、以降は前庭の管理を一手に引き受けている。
しかし彼女は熱中すると他が見えなくなる癖があった。ハスミンが神殿の用事で出かけたのは朝の早いうちだったが、その頃にはもうアマラは前庭の手入れを始めていた。ハスミンは彼女の声に送られて出かけたのだ。
「もう、気を付けて下さいよね」
ハスミンが言うと、アマラは照れたように笑う。
一緒に小さく笑って、ハスミンは手の中のものを差し出した。
「はい、これ、どうぞ」
「ん? ……あ! もしかして果実水? うわあ、ありがとう!」
アマラはコップを見て目を輝かせた。
果実水は水に果実と砂糖、そして薬草を加えて作る、アストランの南方で特に好まれている飲み物だ。家庭でも作ることはあるが、店で買う方が一般的だった。
購入の意思を伝えると、店員は専用の計量器を使って客が持参した容器に入れてくれるので、客は入れてもらった分だけ支払いをする。材料の配合は店ごとに違うので、好みの味を探すのもまた楽しい。
今日のハスミンは町にある1軒の食堂にも用があった。
この食堂の前では美味しい果実水を売っているので、アマラへのお土産にするために、あらかじめコップを持って出かけたのだ。
「神殿の方は特に何もありませんでした?」
「なかったよー。だからずっと、前庭の手入れができたのさ!」
立ち上がったアマラは使っていた道具を抱え、木陰の長椅子にハスミンを誘う。日なたは暑いが、影の場所は良い具合に涼しい。
座って帽子を取り、布で汗をぬぐう彼女の前にハスミンが果実水を差し出すと、アマラは目を細めて受け取り、喉を鳴らしてコップの半分まであおった。
「っはー! 美味しーい! 体に沁みわたるー!」
実に良い笑みでそう声を上げたアマラは、続いてハスミンにコップを差し出した。
「はい、残りはハスミンちゃんの分!」
「えええ? 駄目ですよ。これはアマラさんに買ってきたんです」
「いいっていいって。ね!」
ほらほらと手渡され、仕方なくハスミンは少しだけのつもりで口をつける。
果実水は少しぬるくなっているものの、まだ十分に冷たい。
複数の果実による爽やかな風味に加えて砂糖の程よい甘さ、そして最後に来る薬草のごくわずかな苦みと鼻腔を抜ける香気がうまく調和している。その後口の良さからついつい飲んでしまい、気が付くとコップは空になってしまっていた。
「ああっ、飲んじゃった!」
「ハスミンちゃんも喉乾いてたんだね。美味しかった?」
隣のアマラはニコニコとしながらハスミンを見ている。
「……美味しかった、です。けど……」
うう、と小さくうめいてハスミンは恨めしげにコップを睨んだ。
「だってアマラさんに飲んでもらおうと思って、買ってきたのに……」
「うん。美味しくいただいたよー」
アマラは明るく言う。
「でもさ、美味しいものは、分かち合った方がずっと美味しくなるじゃん? だから飲んだ時にも果実水は美味しかったけど、ハスミンちゃんが飲んでる姿を見てたらもっと『美味しかったなー』って思えたよ」
ハスミンが顔を向けると、先輩神官の笑顔は今日の日差しのように眩しい。しばらくの間アマラを見て、ハスミンはようやく頬を緩めた。
「……そっか。アマラさんに喜んでもらえたなら、良かったです」
「もちろん喜んだに決まってるー! わざわざ買って来てくれて本当にありがとうね、ハスミンちゃん!」
ふたりで笑い合い、ハスミンは正面に顔を向けた。
前庭の花々は南の色彩を象徴するかのように明るく華やかだ。
しかしあまりくどく感じないのは、所々に配置されている柔らかな色合いをした花が中和してくれているおかげだった。
こういった色彩感覚もアマラの素晴らしいところだな、と感じ入りながら、ハスミンは自室にある描きかけの絵を思い浮かべる。
(私の絵にも、この前庭の綺麗なところがうまく写し取れているといいんだけど……)
そう考えながら風に揺れる花々を眺めていると、白い門をくぐるふたりの人物が目に入った。
ひとりは髭を生やした上背のある男性、もうひとりは小柄な10代半ばほどの少女だ。もしかすると父娘なのかもしれない。彼らが着ているのは旅に適した服なので、町の人ではないのだろう。
出迎えの神官補佐がふたりのもとへ小走りに近寄る。二言三言交わした後、神官補佐は驚いた様子を見せて深く頭を下げた。男性がさらに何かを言い、横の少女が神官補佐に声をかける。顔を上げた神官補佐は短い話の後、ふたりの客人に向かってハスミンたちを示した。
「何かあったのかな?」
「かもしれませんね」
続いて少女は男性に何かを言うと、ふわふわした鳶色の髪をなびかせてハスミンたちの方へ走り寄る。ハスミンとアマラが立ち上がると、上気した頬の少女は一礼の後に口を開いた。
「あ、あの。私、コーデリアと申します。えっと、さっき、食堂で、綺麗な花の絵を見ました」
食堂の花の絵、と胸の内でハスミンは繰り返す。
絵を描くのが趣味のハスミンは、正神官の許可を得て、描いたものをたまに神殿に飾っている。
先ほどまで出かけていたのは、その中の1枚を食堂の主人が大層気に入り、買い取らせてほしいと言ってくれたためだ。ハスミンは買ってくれた絵を食堂まで届けに行ったのだった。
「それで……食堂の人に、絵を描いたのは神官様だって、聞いて……」
コーデリアの話を聞いたアマラは微笑みを浮かべてハスミンを示す。
「花の絵を描いた神官は彼女です」
アマラの言葉を聞き、コーデリアは顔をほころばせた。
「飾ってあった絵、とっても、とっても、素敵でした」
「あ……ありがとうございます」
「それで、神殿には他にも、神官様の描かれた絵があると聞きました。あの……よろしければ、見せていただけませんか?」
「は、はい、もちろんです!」
ハスミンの返事を聞いたコーデリアは、もう一度頭を下げた後に門を振り返り、父親と思しき男性へ手を振る。遠くで男性がうなずくと、胸の前で手を握り合わせたコーデリアは嬉しげな顔をハスミンに向けて「お願いします」と言った。
彼女の草色の瞳からは、純粋な賞賛の輝きが見て取れる。
(絵、描いてて良かったな)
笑みを含んだ目配せをしたアマラが、庭を手入れする道具に加えてコップを持ってくれる。
微笑んで彼女へ会釈したハスミンは、絵に関して問いかけてくるコーデリアに答えながら、明るい日差しの中を神殿へと向かった。
0
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!
さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」
「はい、愛しています」
「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」
「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」
「え……?」
「さようなら、どうかお元気で」
愛しているから身を引きます。
*全22話【執筆済み】です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/09/12
※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください!
2021/09/20

〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる