1 / 17
『運命の王子様』に出会いたい!
しおりを挟む
あたしには夢があるの。
それはね。
情熱的な恋をしてみたいってこと。
色んな物語には素敵な恋の話があるでしょ?
きっとあたしにだって、そんな相手がいるはずなの。
あたしだけを深く愛してくれて、あたしもその人だけを愛することができる。
そんな『運命の王子様』。
もしその人が本当に王子様だったら?
うーん、確かに物語みたいで憧れちゃうけど、でもあたしはただの村娘だもの。身分になんてこだわらない。
背の高さだって求めてないわ。
高ければキスを奪ってもらえそうだし、低い人なら逆にキスを奪える。どっちでも良し!
体形だって気にしないわ。
ふくよかなら抱き心地がいい癒し系ってことだし、細いなら思わず守ってあげたくなっちゃうもの。
年齢は上でも下でも構わないけど、あんまり離れすぎてないといいな。一緒に歩める人生が短すぎるもの。
でも離れてたら、そうね。その時は居られる限りの時間を堪能するわ。
とにかくあたしは絶対『運命の王子様』探してみせる!
と思って、まずは色んな人とお友達から始めてみたわけよ。
だけど残念ながら、故郷のグラス村にはあたしの『運命の王子様』がいなかった。
がっかりするあたしをよそに、一緒に『運命の王子様』の夢を語った女友達は、一人、また一人と村の男たちと付き合い始める。
しかもあたしに
「いい加減に現実を見なさいな。ローゼだってもう17歳なのよ? 早いとこ良い人見つけないと嫁き遅れちゃうんだから!」
なーんて、偉そうに言ってくるの。
まったく、余計なお世話よ。
あたしは皆みたいに諦めたりしない。
村にいないんだったら、村を出て『運命の王子様』を探してやるんだから!
なんて、言ってもね。
世の中には人を襲う怖い魔物がたくさんいる。か弱い村娘一人でそんな魔物に立ち向かうなんて絶対に無理。
つまり、あたしが一人旅するなんて無理。
極論を言えば、村から出ること自体無理。
結局このままだとあたしは『運命の王子様』を探すこと自体が無理になっちゃう。
悔しい。すごく悔しいわ。
ああ、あたしが村から出ることさえできれば、この世のどこかにいる『運命の王子様』を探しに行けるのに!
* * *
「ねえ、アーヴィン。『運命の王子様』を探すには、どうしたらいいと思う?」
あたしは神殿へ出かけて、村にいる唯一の神官・アーヴィンに相談してみた。
7つ年上のアーヴィンはあたしにとっては年上の友達なんだけど、同時にお兄ちゃんみたいな感じでも、先生みたいな感じでもある。
今じゃ村の中であたしの話を否定せずに聞いてくれるのは彼だけなのよね。
椅子に座ったあたしが机に頬杖をつきながら尋ねると、背後でお茶の準備をするアーヴィンはいつものように穏やかな声で答えた。
「そうだね。村の男性がローゼの好みに合わないなら、あとは村へ訪れる人から探すしかないと思うな」
「うーん、やっぱりそうなっちゃうよね……でも村へ来る人って言っても、だいたいは商人だし、その商人だってうちの村にはほとんど来ないし……」
ここ、グラス村は大陸の一番西にある辺境の村。住んでる人もそんなに多くない。たぶん、人よりも家畜の方が多いわね。
そのせいもあって、人の往来はびっくりするくらい少ないの。
こんな村でずーっと待ってても『運命の王子様』には出会えやしない。
ううん。もしかしたらこんな村で出会うからこそ『運命の王子様』なのかも。でも、一か月に何人もやってくるわけじゃない人の中に『運命の王子様』がいる確率なんて、ものすごく低いような気がしてた。
それはね。
情熱的な恋をしてみたいってこと。
色んな物語には素敵な恋の話があるでしょ?
きっとあたしにだって、そんな相手がいるはずなの。
あたしだけを深く愛してくれて、あたしもその人だけを愛することができる。
そんな『運命の王子様』。
もしその人が本当に王子様だったら?
うーん、確かに物語みたいで憧れちゃうけど、でもあたしはただの村娘だもの。身分になんてこだわらない。
背の高さだって求めてないわ。
高ければキスを奪ってもらえそうだし、低い人なら逆にキスを奪える。どっちでも良し!
体形だって気にしないわ。
ふくよかなら抱き心地がいい癒し系ってことだし、細いなら思わず守ってあげたくなっちゃうもの。
年齢は上でも下でも構わないけど、あんまり離れすぎてないといいな。一緒に歩める人生が短すぎるもの。
でも離れてたら、そうね。その時は居られる限りの時間を堪能するわ。
とにかくあたしは絶対『運命の王子様』探してみせる!
と思って、まずは色んな人とお友達から始めてみたわけよ。
だけど残念ながら、故郷のグラス村にはあたしの『運命の王子様』がいなかった。
がっかりするあたしをよそに、一緒に『運命の王子様』の夢を語った女友達は、一人、また一人と村の男たちと付き合い始める。
しかもあたしに
「いい加減に現実を見なさいな。ローゼだってもう17歳なのよ? 早いとこ良い人見つけないと嫁き遅れちゃうんだから!」
なーんて、偉そうに言ってくるの。
まったく、余計なお世話よ。
あたしは皆みたいに諦めたりしない。
村にいないんだったら、村を出て『運命の王子様』を探してやるんだから!
なんて、言ってもね。
世の中には人を襲う怖い魔物がたくさんいる。か弱い村娘一人でそんな魔物に立ち向かうなんて絶対に無理。
つまり、あたしが一人旅するなんて無理。
極論を言えば、村から出ること自体無理。
結局このままだとあたしは『運命の王子様』を探すこと自体が無理になっちゃう。
悔しい。すごく悔しいわ。
ああ、あたしが村から出ることさえできれば、この世のどこかにいる『運命の王子様』を探しに行けるのに!
* * *
「ねえ、アーヴィン。『運命の王子様』を探すには、どうしたらいいと思う?」
あたしは神殿へ出かけて、村にいる唯一の神官・アーヴィンに相談してみた。
7つ年上のアーヴィンはあたしにとっては年上の友達なんだけど、同時にお兄ちゃんみたいな感じでも、先生みたいな感じでもある。
今じゃ村の中であたしの話を否定せずに聞いてくれるのは彼だけなのよね。
椅子に座ったあたしが机に頬杖をつきながら尋ねると、背後でお茶の準備をするアーヴィンはいつものように穏やかな声で答えた。
「そうだね。村の男性がローゼの好みに合わないなら、あとは村へ訪れる人から探すしかないと思うな」
「うーん、やっぱりそうなっちゃうよね……でも村へ来る人って言っても、だいたいは商人だし、その商人だってうちの村にはほとんど来ないし……」
ここ、グラス村は大陸の一番西にある辺境の村。住んでる人もそんなに多くない。たぶん、人よりも家畜の方が多いわね。
そのせいもあって、人の往来はびっくりするくらい少ないの。
こんな村でずーっと待ってても『運命の王子様』には出会えやしない。
ううん。もしかしたらこんな村で出会うからこそ『運命の王子様』なのかも。でも、一か月に何人もやってくるわけじゃない人の中に『運命の王子様』がいる確率なんて、ものすごく低いような気がしてた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる