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『運命の王子様』に出会いたい!
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あたしには夢があるの。
それはね。
情熱的な恋をしてみたいってこと。
色んな物語には素敵な恋の話があるでしょ?
きっとあたしにだって、そんな相手がいるはずなの。
あたしだけを深く愛してくれて、あたしもその人だけを愛することができる。
そんな『運命の王子様』。
もしその人が本当に王子様だったら?
うーん、確かに物語みたいで憧れちゃうけど、でもあたしはただの村娘だもの。身分になんてこだわらない。
背の高さだって求めてないわ。
高ければキスを奪ってもらえそうだし、低い人なら逆にキスを奪える。どっちでも良し!
体形だって気にしないわ。
ふくよかなら抱き心地がいい癒し系ってことだし、細いなら思わず守ってあげたくなっちゃうもの。
年齢は上でも下でも構わないけど、あんまり離れすぎてないといいな。一緒に歩める人生が短すぎるもの。
でも離れてたら、そうね。その時は居られる限りの時間を堪能するわ。
とにかくあたしは絶対『運命の王子様』探してみせる!
と思って、まずは色んな人とお友達から始めてみたわけよ。
だけど残念ながら、故郷のグラス村にはあたしの『運命の王子様』がいなかった。
がっかりするあたしをよそに、一緒に『運命の王子様』の夢を語った女友達は、一人、また一人と村の男たちと付き合い始める。
しかもあたしに
「いい加減に現実を見なさいな。ローゼだってもう17歳なのよ? 早いとこ良い人見つけないと嫁き遅れちゃうんだから!」
なーんて、偉そうに言ってくるの。
まったく、余計なお世話よ。
あたしは皆みたいに諦めたりしない。
村にいないんだったら、村を出て『運命の王子様』を探してやるんだから!
なんて、言ってもね。
世の中には人を襲う怖い魔物がたくさんいる。か弱い村娘一人でそんな魔物に立ち向かうなんて絶対に無理。
つまり、あたしが一人旅するなんて無理。
極論を言えば、村から出ること自体無理。
結局このままだとあたしは『運命の王子様』を探すこと自体が無理になっちゃう。
悔しい。すごく悔しいわ。
ああ、あたしが村から出ることさえできれば、この世のどこかにいる『運命の王子様』を探しに行けるのに!
* * *
「ねえ、アーヴィン。『運命の王子様』を探すには、どうしたらいいと思う?」
あたしは神殿へ出かけて、村にいる唯一の神官・アーヴィンに相談してみた。
7つ年上のアーヴィンはあたしにとっては年上の友達なんだけど、同時にお兄ちゃんみたいな感じでも、先生みたいな感じでもある。
今じゃ村の中であたしの話を否定せずに聞いてくれるのは彼だけなのよね。
椅子に座ったあたしが机に頬杖をつきながら尋ねると、背後でお茶の準備をするアーヴィンはいつものように穏やかな声で答えた。
「そうだね。村の男性がローゼの好みに合わないなら、あとは村へ訪れる人から探すしかないと思うな」
「うーん、やっぱりそうなっちゃうよね……でも村へ来る人って言っても、だいたいは商人だし、その商人だってうちの村にはほとんど来ないし……」
ここ、グラス村は大陸の一番西にある辺境の村。住んでる人もそんなに多くない。たぶん、人よりも家畜の方が多いわね。
そのせいもあって、人の往来はびっくりするくらい少ないの。
こんな村でずーっと待ってても『運命の王子様』には出会えやしない。
ううん。もしかしたらこんな村で出会うからこそ『運命の王子様』なのかも。でも、一か月に何人もやってくるわけじゃない人の中に『運命の王子様』がいる確率なんて、ものすごく低いような気がしてた。
それはね。
情熱的な恋をしてみたいってこと。
色んな物語には素敵な恋の話があるでしょ?
きっとあたしにだって、そんな相手がいるはずなの。
あたしだけを深く愛してくれて、あたしもその人だけを愛することができる。
そんな『運命の王子様』。
もしその人が本当に王子様だったら?
うーん、確かに物語みたいで憧れちゃうけど、でもあたしはただの村娘だもの。身分になんてこだわらない。
背の高さだって求めてないわ。
高ければキスを奪ってもらえそうだし、低い人なら逆にキスを奪える。どっちでも良し!
体形だって気にしないわ。
ふくよかなら抱き心地がいい癒し系ってことだし、細いなら思わず守ってあげたくなっちゃうもの。
年齢は上でも下でも構わないけど、あんまり離れすぎてないといいな。一緒に歩める人生が短すぎるもの。
でも離れてたら、そうね。その時は居られる限りの時間を堪能するわ。
とにかくあたしは絶対『運命の王子様』探してみせる!
と思って、まずは色んな人とお友達から始めてみたわけよ。
だけど残念ながら、故郷のグラス村にはあたしの『運命の王子様』がいなかった。
がっかりするあたしをよそに、一緒に『運命の王子様』の夢を語った女友達は、一人、また一人と村の男たちと付き合い始める。
しかもあたしに
「いい加減に現実を見なさいな。ローゼだってもう17歳なのよ? 早いとこ良い人見つけないと嫁き遅れちゃうんだから!」
なーんて、偉そうに言ってくるの。
まったく、余計なお世話よ。
あたしは皆みたいに諦めたりしない。
村にいないんだったら、村を出て『運命の王子様』を探してやるんだから!
なんて、言ってもね。
世の中には人を襲う怖い魔物がたくさんいる。か弱い村娘一人でそんな魔物に立ち向かうなんて絶対に無理。
つまり、あたしが一人旅するなんて無理。
極論を言えば、村から出ること自体無理。
結局このままだとあたしは『運命の王子様』を探すこと自体が無理になっちゃう。
悔しい。すごく悔しいわ。
ああ、あたしが村から出ることさえできれば、この世のどこかにいる『運命の王子様』を探しに行けるのに!
* * *
「ねえ、アーヴィン。『運命の王子様』を探すには、どうしたらいいと思う?」
あたしは神殿へ出かけて、村にいる唯一の神官・アーヴィンに相談してみた。
7つ年上のアーヴィンはあたしにとっては年上の友達なんだけど、同時にお兄ちゃんみたいな感じでも、先生みたいな感じでもある。
今じゃ村の中であたしの話を否定せずに聞いてくれるのは彼だけなのよね。
椅子に座ったあたしが机に頬杖をつきながら尋ねると、背後でお茶の準備をするアーヴィンはいつものように穏やかな声で答えた。
「そうだね。村の男性がローゼの好みに合わないなら、あとは村へ訪れる人から探すしかないと思うな」
「うーん、やっぱりそうなっちゃうよね……でも村へ来る人って言っても、だいたいは商人だし、その商人だってうちの村にはほとんど来ないし……」
ここ、グラス村は大陸の一番西にある辺境の村。住んでる人もそんなに多くない。たぶん、人よりも家畜の方が多いわね。
そのせいもあって、人の往来はびっくりするくらい少ないの。
こんな村でずーっと待ってても『運命の王子様』には出会えやしない。
ううん。もしかしたらこんな村で出会うからこそ『運命の王子様』なのかも。でも、一か月に何人もやってくるわけじゃない人の中に『運命の王子様』がいる確率なんて、ものすごく低いような気がしてた。
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