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13.いかにも秀才と言わざるを得ない青年

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彼について私は何だか雲の上にいるようで頭上にいるような、そんな存在だと思っている。(つまり遠そうに見えたのに案外近かったりするのである。)


彼の学校における学問の成績は超一流であり、エリート的勉強脳の持ち主と言っていいだろう。ただ優秀というだけではなく、機転のきく思考、その柔軟性、私には絶対に辿り着けない怪物レベルの数学力。彼の(特に数学の)頭脳を私は喉から手が出るほど欲しく、妬ましい。



彼の容姿を見て、その外見から驚異的頭脳を持っているとは感じ得ない。最初に彼を見たときのイメージは「冴えなさ」である。(その後、例の頭脳に圧倒されたわけだが)背の高さは平均くらいかそれよりも低い。目は一重、大きさはそこそこ大きいようにも感じるが、気にするほどでもない。つい最近までメガネを掛けていた。このメガネこそ彼のあの驚異的頭脳を象徴していたと思う。しかし、今日の彼はコンタクトに浮気してしまっている。(私見だが、私は彼のコンタクト姿よりもあの象徴的メガネ姿を支持したい。)あの純粋な青フレームのメガネは雰囲気を醸し出すには格好の要素であった。なんだか、魅力が減少した気分である。口、鼻、髪型ともに年代相応の、面白みは特にない無難なものである。総じて、彼の容姿はあのメガネくらいしか驚異的頭脳を表さなかった。



それでも彼の容姿で一つ妬ましいのが、これほどの優秀頭脳者でありながらも
私のように文弱青年か、はたまた青白いガリ勉(私はガリ勉ではないが、)かと思いきやこれはまったく違うのだ。腕にも足にも立派な筋肉がガッシリ強固にあるだ!彼はまったく文弱ガリ勉ではない。むしろ体育に進んで参加するような
運動青年の一面を持っている。なんだか、悔しくなるのである、私は、。


また、いつも気になる特徴に滑舌の微妙さがある。悪いとは言い切れないのだが、確実に良くはない。特に「ら、り、る、れ、ろ」が舌使いが回っていないことがある。さらに、そのラ行の質で少々早口なのもまた面白い。これらの事象からも私は「頭の良さ」をいつも連想してしまう。



ただ、彼に対して少し憤慨したくなることもある。それはいちいちあのあまりにも素晴らしすぎる、私の知っているこの小さな世界で有数の頭脳を自然体に誇示してくる部分である。「自然体に誇示」というのが重要である。大っぴらに自慢することも勿論多いが、さりげない「俺はこうだったけど、みんなくらいの普通でしょ?」みたいなニュアンスで高得点を言ってくる時など、憤慨したくなる。



まぁ、このような部分が彼の頭上にいる感じ、親近感、人間味を実感するところなのかもしれない。だから何故か禁止させたくはないような不思議な魅力があるのも事実である。


人間というのは妬ましいという相手が
いるからこそ、新たなステップへと進むことが可能である。

憧れなどという
      非現実的な妄想は捨てろ!
妬んで妬みまくって、
     現実に近づき、勝ちに行け!

   
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