能覚人

〜第七章〜

進

　「何のことだ？」

　「本当に気付いてないのか？何故、こいつがさっきから動いていないのか。」

　「何故？気まぐれでは、ないのか？」

　本当、ダメだな。こんな化け物が、気まぐれで静止するはずがないだろう。

　「お前、能力を意識を持たないもの、又は俺にしか使ったことがないな？」

　空気が変わった。図星だったか？

　「黙れ・・・。」

　「お前の能力は、自分の意思関係なく、操作しようとした相手の思考が読み取れる。だから、思考がないものか、俺にしか使わなかった、そうだろ？」

　顔色が変わった。どうやら、当たっていたようだ。

　「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ！！」

　「そろそろ、会話が続かなくなってきたな。じゃぁ、やれ！」

　そう言って、この化け物を動かした。

　「舐めるな！！」

　おっ、すごい。力が上がってる。

　「そこまでだ！」

　！？

　タイムキーパー？まさか、あの状態が解けたのか？

　「暦滅・返戻ストレイト・リターン。」

　光に包まれ、気づくと元の場所に戻っていた。

　次元の狭間では・・・ないか。

　「昴君！」

　「大丈夫だったか？莉愛。」

　「うん。」

　この調子だと、大丈夫そうだな。

　「ごめん、何もできなくて。」

　「貴方のせいじゃないです。私が、足手まといだったわけですし・・・。でも、なんでこの病気が治ったのかが分からなかったのが残念です。」

　「あぁ、それは俺が治しといた。この錠剤を見た時に、深刻さを知ったから。」

　それは、言霊を得るための錠剤？ということは、言霊を使ったわけじゃなかったんだ。

　「ありがとう、昴君。」

　莉愛の笑顔が見れてよかった。さて、あの光景にならないように、これから手助けに行くとしようか。
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　「くそっ、なんで僕がこんな目に遭わないといけないんだ。」

　「仕方ないだろ、お前は負けた。それだけだ。」

　それに、未来の俺はああなっているのか。だが、それが分かったおかげで対応策を練れた。そろそろ、動き始めても良いかもな。
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　このあと、八雲と分かれて帰路を辿った。

　「今日はすいません、私のせいで迷惑をかけて。」
　
　「いや、お前には死んでほしくなかったからだ。生きろよ？俺のために。」

　え？それって、そういうこと？

　私は、昴君に何もかもが救われた。向こうから歩み寄ってきてくれるまで、私は待ち続けよう。その日が、いつになるかわからないけど。

　昴君に、家まで送り届けてもらった。

　「今日は、ありがとうございました。」

　「こちらこそ、じゃあな。」

　あぁ、こんな平凡な毎日がずっと続きますように。