能覚人

ミライ164

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〜第六章〜

決着

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 この能力は、帝光輝の能力。

 たまたま、心眼の加護で覗いた時に、この能力が判明した。ただ、効果が分からなかったため、神王の子は使えなかったようだが、この力が有れば分かる。

 理を変える力。でも、その力は強すぎるがあまり、封印されてしまっている。しかし、なぜか知らないが封印が7つ解けている。何か、条件を満たしているのだろうか?

 分からないが、今は目の前に集中しよう。

 言霊の力は、何を原動力としているのか。

 それは簡単。能素だ。神王が与えた力なら、そう考えるのが合理的だろう。

 だとしたら、周りの能素を消せば良い。しかし、それは難しい。だから、取り込む。1分?1秒?そんなに時間をかけては、いられない。一瞬で、能素を取り込む。

 !!!

 「どうした?もう、終わりか?だったら、こちらから行くぞ。」

 多分、言霊は使えない。

 「火よ・・・何故だ!?何故でない?」

 「能素を吸収した。この空間には、能素は存在しない。」

 「なるほど。ならば、増やすまでだ。・・・増えろ。」

 能素が、増えていく・・・だったら全て取り込むまで。

 無能力者とはいえ、能素は多少溜め込める筈。しかし、言霊にどれくらい必要か分からない以上、対策のしようがない。

 まずい、これ以上取り込めない。くっ、そろそろ時間切れか。

 「一旦下がるぞ、小春。」

 「分かったわ。任せときなさい。」

 私は、昴が戦っている間、対抗策を練っていた。

 昴は、まるで別人のように強くなっていた。多分、本来の力に目覚めたのだろう。でも、私の場合は違う。これ自体が、本来の能力なのだから。

 だったら、これしかないか。

 「お願い、答えてサキ。」

 『しょうがないわね。いいの?本当に。私だったら、神王の子あいつに攻撃するかも知れないのに。』

 「大丈夫。私は、信じてるから。あなたが戦いたいのは、神王の子であって昴ではない。」

 『分かってるじゃない。良いわ。力を貸してあげる。』

 「ほう、先ほどとは違い、力が増したようだな。だが、私には勝てない。」

 「それはどうだろうか?この力は、使いようによっては色々なことができるのだぞ?例えば・・・」

 そう言って、サキはアルカリ金属を生み出した。

 「この金属に、水を触れさせれば爆発する。そして、この近くに硝石、硫黄、炭粉で作った火薬を置いておく。これで、ここも木っ端微塵だ。」

 「爆弾の周りに、結界を張れば大丈夫だが?」

 「さぁて、それはやってみないと、わからない。」

 これは、不可能に近い。もし、この状況をひっくり返すなら小春の覚醒が必要だ。私に、頼りっきりではいけない。自らの力で、窮地を打開しなければ。

 『小春、私に頼りっきりでいいの?昴は、自らの力で神王の子の力を操っているんだよ?』

 『そんなこと言ったって、制御なんて出来るわけない。私は、暴走を経験していないし、能素を大量に取り込む方法も分からない。』

 『だったら、一度だけチャンスをあげる。一回だけなら、暴走を止められる。その一回で、感覚を掴んで!』

 『わ・・・分かった!やってやるわ。』

 サキは、能素を取り込み始めた。

 「貴様も、同じ手を使うのか?対抗策なら、もうあると思った方がいいぞ。」

 「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 これが、暴走・・・何という感覚。思い通りに、いかない。こんな中で、昴は戦っていたのか・・・でも、出来る。

 『いい・・・よ・・。』

 そう言った瞬間、暴走は解けた。

 『大丈夫?次はないわよ?』

 『もちろん、やってやるわよ!』

 そう言って、もう一度能素を吸収し始めた。

 「分からないのか?そう、何度も何度も・・・。」

 「違うわよ!」

 「何?力がさらに、増している。それに、雰囲気も変わっている。」

 「はぁぁぁぁぁぁぁ!焼澄疾靂鉱しょうちょうしつれきこう。」

 火、水、風、雷、岩の五つの属性を合わせた力。

 「くっ、何という力。だが・・・防げ。」

 何!?

 全て、弾かれてしまった。やはり、一筋縄では行かないようだ。でも、そろそろ昴が能素を出し終えるから、ここからは優勢にいけるだろう。

 
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