能覚人

ミライ164

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〜第五章〜

敗北

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 昴が倒れ、魔光が立っていた。

 「ふっ、これでついに俺は最強だ!」

 「馬鹿言わないでください。あなたが取られた遺伝子を、もう一度結合させないと。」

 まずい、前より弱くしてくれたのに、これじゃまた振り出しに戻る。だったら、せめて昴を連れて逃げなきゃ。

 そう言っても、体が動かない。あぁ、このままじゃ・・・。

 「おや、もうですか。やはり、早いですね。」

 !?

 後ろに、女性を抱えた男性が立っていた。

 能力警察?

 「貴様らを、遺伝子改造の疑いで逮捕する。御同行、願おうか。」

 「まぁ、もう実験は最終フェーズを迎えた。今更、何をしようが意味がない。」

 そう言って、白衣のポケットから、注射を取り出し、魔光の腕に注入した。

 「くっ、うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 !?

 暴走だと?

 「貴様!一体何を、注入した?」

 「簡単な話さ。神王の子の遺伝子に、少しだけ能素を足しただけだ。それで、この威力。器が壊れない、ベストな量だ。さぁ、どうするかな?我々は、悲願を叶えたことだ。この命、捨てても惜しくない。わたしには、もう長くは生きられないし代わりがいる。」

 まさか、彼が炎爛火のボス。

 「わたしの部下たちは、皆逃した。さぁ、その力。わたしに見せてくれ。」

 まずい、この威力じゃ俺は歯が立たない。さっきより強く、意思がない。つまり、どんなことをしでかすか、分からないということだ。

 「俺が対処する。彼女たちを、任せた。」

 彼女

 俺は、あたりを見回した。

 いた、壁に貼り付けにされている。

 とにかく俺は、釘を抜いて鎖を取った。

 多分相当の量の、遺伝子を取られたんだろう。まだ、気を失っている。

 ・・・、待てよ?もし、さっきみたいに遺伝子を元の場所へ戻せたら勝てるんじゃないか?

 そのためには、スバルも必要だ。

 とりあえず・・・
 ____________

 こいつは、凄まじい。俺の能力でさえ、捌き切れねぇ。情報どうりであれば、これは浮島だ。島に落とすわけにはいかないから、海にだが・・・、こいつを倒してからじゃ時間がない。このままだと、後数分で島の上を通過する。しかも、それ以降は俺が耐えられない。なんとか、今ここで倒さないと。

 ふっ、あいつと出会ってから、こんな敵には会ったことがないな。

 俺は、今最高に楽しんでいる。

 楽しむには、それに似合った実力がいる。実力を手にするには、努力がいる。そうやってみんな強くなっていく。ただ、強くなりすぎると、いずれ周りが避けていくようになる。

 だから俺は、俺と対等に戦えるやつを探していたのかもしれない。
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