能覚人

ミライ164

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〜第五章〜

決着

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 一体誰なんだろう?この閉鎖空間に入って来れる人なんて、いないと思っていたのに。

 「くそ!!誰だ貴様は!私の計画を、邪魔しやがって!!」

 「能力警察だ・・・、といっても今はただの雇われ人だが。お前を、遺伝子改造兼傷害の疑いで逮捕する!」

 そうだった。遺伝子研究は、13年前に法律的に違反になった。

 13年前に、遺伝子研究者たちが実験台に虐殺されたと言うニュースがあったらしい。

 当時のことはあまりわからず、実験台も自害したためこの件は取りやめになった。

 でも、今回の件に証拠はない。あるとしたら、私を殺そうとしたくらいのことだ。

 「へっ、証拠なんてどこにもない。お前は、俺を捕まえれない。」

 「言っただろう、遺伝子改造兼の疑いで逮捕すると。つまり、どっちにせよ捕まるんだよ!お前は。」

 「こうなったら・・・、お前も殺してやる!!」

 白衣の研究者は、両手を前に突き出しそれを目の前でクロスさせた。

 「どうだ!苦しいだろ?痛いだろう?まぁ、もう生きてはいな・・・。」

 「これがどうした?」

 「何!?なぜ生きていられる。喉元を、絞めたんだぞ?呼吸を止めたんだぞ?」

 「呼吸が止まった?馬鹿か、お前は。そもそも、俺の口が閉まってない時点でお前の負けは決まっているんだよ!」

 「ふざけるな!そんなのあって、たまるか!お前は、邪魔なんだよ。そいつを片付ければ、俺の仕事は終わる。だからさ、早く死ねよ!」

 ・・・・・・。

 「言ったな?その言葉を口にしたら、お前の負けは決まる。『殺す』は、まだ自分の手が関与するが、『死ね』は自分の手が関与しなくてもそうなる。俺は、他力本願が大っ嫌いなんだ。つまり、どう言うことか分かるか?」

 研究者の動きが、止まった。いや、止めた。

 「お前は、永遠に動くができない。なぜなら、自分がそう望んだからだ。せいぜい、俺が死ぬまでそこで反省してるんだな。」

 そう言って、俺は倒れている人の頭を腕に乗せ、もう片方の腕に足をかけた。お姫様抱っこ?と言うのかどうかは知らないが、彼の情報によると彼女が絶対に必要らしい。
__________________________________________________

 私は、あの後気絶したらしい。

 意識が戻ったときには、彼の手の中だった。

 この瞬間、私の心臓だけがドクンドクンと、耳の奥にまで伝わってきた。まるで、それ以外を受け付けないような感じだった。今の時間を、永遠のものにするかのような・・・。

 私は、こんな感情になったことがなかったため、初めは理解に苦しんだが、すぐに分かった。

 『恋』だ。
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