能覚人

ミライ164

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〜第四章〜

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 早々と、1週間が過ぎてしまった。

 「なぁ、黒霧。本当にこれで、制御できるのか?」

 「なんなら、試してみるか?」

 「いやいいよ、冗談はよせって。」

 そう言って2人で笑っていた。しかし、すぐに黒霧の目つきが変わった。

 「来る!」

 来る?一体何が来るんだろう?だが、この雰囲気。敵だな。狙いはなんだ?黒闇闇の、霧を突破するだけの力があるということは、わかるが・・・。

 「総員、配置につけ。奴らを迎え撃つ。奴らの狙いは、だ!」

 俺!?俺を狙ってるのか?一体なんで。俺なんて、価値の・・・あった。でもなんで、奴らが知ってるんだ?てか、奴らって誰だよ。

 その時、黒闇闇の本拠地の壁に大きな穴が開いた。

 「よ~す。昴はいるか~?貰いたいんだが?」

 いやなんだよ!そんな入り方して、単刀直入に言うと言うセリフもなしかよ!!

 「居ないのか?まぁいい、暴れさせてくれよな~?」

 どんどん、建物が壊れてゆく。たった1人の力で・・・。

 あいつは、本物だ。本当の、真の能力者だ。

 「気を付けろ。あいつらは、風颯嵐だ。そして、今対峙してるのが風颯嵐第1颯、五十嵐 颯明いがらし そうめい。能力は、『疾風迅雷』だ。触れたものを、ものすごく速いスピードで飛ばしたり、自らも速く動くことができるが、制御が難しく早すぎると止まれなくなってしまう。だから、普段は対象にしか使わないのだ。しかも、恐ろしいことに砂ぼこりでも、早く飛ばせば殺傷能力がある投擲物と化す。まぁ、その分能素消費も多いわけだが・・・。」

 こんなことを聞いている間にも、破壊は続いていく。というか、何で風颯嵐が狙ってくるんだ?

 俺が狙いだとしたら、一体どうやって能力を知ったんだ?そんなことより、側近は5人いる。早く何とかしないと・・・。

 「お一人様か?」

 「ああそうだ。なんせ、今の風颯嵐はできてばっかだ。まだ、俺しかいないから。ボスの側近も俺1人だ。だから、強いやつを探してようやく見つけたのが昴ってわけだ。」

 「ああ、確か風颯嵐のボスは触れた相手の能力を色で見ることができるんだったな。」

 色で?というか、いつ触られたんだ?記憶がない・・・。でも、今の俺にできることは何かあるはずだ。

 黒霧に意識が向いている今、不意打ちをするか?でも、当たるより先に見つかったらかわされて、捕まってゲームオーバー。

 だったら・・・。

 俺は、走った。助けを呼びにいく。今この事態に気づいているのは俺たちだけ。みんな、少し離れた場所にいるし、ここは障害物が多くて音が伝わりにくい。

 だから、俺が呼ぶんだ。頼む、間に合ってくれ。

 「おかしいな?確か、組織情報には3人いるって言ってなかったか?」

 「あれ?そうだったかな。まぁ、ここ数日開けてたしその時に入ったんじゃないか?」

 そうとも知らず、俺が走った先に待っていた光景は・・・。

 「えっ・・・。」

 第5黒と第4黒が、風颯嵐と思われる敵と戦っていた。

 「嘘・・・だろ。1人じゃなかったのか?3人もいたのか?」

 向こうで、黒霧対颯明。こちらでは、黒紫対?。黒鬼対?。の戦闘が起きていた。

 勝負は互角と思われたが、

 「くっ、ここまでか。黒紫、あとは任せた。」

 そういえば、黒鬼って能力者なのか?能力を使っているところを見たことがないが・・・。何にせよ、非常にまずい事態になった。2対1。圧倒的不利だ。俺がいくか?でも足手まといになると、嫌だし・・・。

 考えるよりも、体が動いた。どうする、俺!!
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