能覚人

ミライ164

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〜第三章〜

現存

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 この世界は、不思議だ。もう、1週間も過ごした。でも、何も変わらない。見た目上はな。この世界のことは、何となくわかってきた気がする。

 第一に、住民はいる。人工知能では、ないと思う。感情豊かで、会話も自然だ。1日目と2日目では、話の入りは同じだったけど俺がどう返すかによって会話も変わってくる。

 あと、施設もあった。学校やスーパー、図書館、駅等などいろいろあった。

 俺と黒霧の家もあった。お金も、もちろん。彼女は、俺と黒霧に干渉できない。つまり、空腹には逆らえないというわけだ。もちろん、死んだら終わりだ。でも、なぜか歳はとっていない。何でだろう?よくわからないな~。もう少し、調べてみるか。

 「お~い、昴~。図書館行ってみようよ~。」

 「そうだな。少し、調べてみるか。」

 この世界は、異様に出来すぎている。歴史も、建造物も。一体どういうことなんだ?

 その点も、調べていかないと。それに、どうやって1日過ごすか。そして、他の方法も気になる。調べることは、山積みだ。こりゃ、大変だぞ。

 図書館では、この世界について、さらにいろんなことがわかった。

 現在は、異暦174年。日本で言う、和暦みたいなもんだろう。

 ループしてるのに、何で異暦なんて作ったのか。

 あいつの思考は、読めないな。

 とにかく、今は生きることを考えよう。幸いにも、無限ループの世界だから1日経つと物が戻る。つまり、お金には困らないと言うことだ。

 あとは、どう出るか・・・だ。さっきも言ったが、この世界から出る方法は2つある。1つは、1日過ごす。もう1が分からないのが、難点だ。

 そこで、俺と黒霧は、まず住民から情報を得ることから始めた。

 そうしているうちに、また分かってきたことがある。彼らは、気づき始めている。この世界が、ループしている事に。

 そして、色々試す事にした。

 何日も、何日も・・・。思いついた事は、何でもした。

 異世界での定番。魔王みたいな存在も、探した。

 また、赤の扉も探した。魔の7伝承に、乗っていたからだ。異世界で、またその扉を潜り別の世界へ行く。

 結果は、どれもダメだった。

 魔王はいない。扉もない。おまけに、この世界の創造主ともあれ以来会えていない。

 一体どうなっているんだ?

 さて、どうしたものか・・・。

 「ねぇ、昴。僕たちは、これから別行動しない?どうせ、出られないんだし。連絡は、取り合えるしで。悪いことなんて一つもないじゃないか。」

 「そうだな。ここからは、別行動としよう。さて、探しますか。ここから出る方法を。」

 俺は、図書館に篭った。何度も、何度も、通って歴史をたたき込んだ。分かったのは、創造主のあいつ以外に、神がいたことだ。

 もしかすると、世界が出来てから始めて来た人たちかもしれない。

 その人たちに会えれば、均衡を破れるかもしれない。

 生きていたら・・・だが。

 俺は、黒霧に相談した。黒霧は、同時進行で探してくれるらしい。

 見つかると、いいな。

 また、何日かが過ぎた。

 体内時間では、もう1年が過ぎた。

 「実際に、過ぎているのはまだ1日か・・・。」

 辛い。

 もしかすると、これが試練なのかもしれないし。
 
 俺の精神を破壊するために、閉じ込めているのか?

 やっぱり、分からない。

 俺は、裏路地にも足を運んでみたんだが・・・。誰もいない・・・。

 安全すぎる。魔王もいなければ、王に反逆する者もいない。

 でも、1つ知りたいことがあった。

 「能素が・・・ない!?ちょっと待て、能力が使えるって・・・。」

 マジか・・・。これじゃ、不利すぎる。

 さて、どうしたものか・・・。

 しかし、唯一この世界にいる敵とすれば・・・。魔獣だ。

 この国は、鉄に囲まれている。外から入るには、門を通るしかないから魔獣は入って来れない。

 俺は始め、魔獣は倒す必要がないと思った。どうせ、1日経つと復活するから。

 でも、一回だけ討伐しに行ったことがあった。能力は使えないが、武器は補給されたから何とかなった。

 魔獣を倒すと、能素が手に入った。

 能力が、使えるようになったのはありがたい。もしもの時の、保険だ。保険。

 黒霧にも、教えた。黒霧は、ありがたいと言っていた。

 さて、どうしたものか・・・。まだ、分かりそうにないな。

 この世界は。

 
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