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第一章
急成長編
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「はぁはぁはぁはぁ、誰か・・・、誰か助けてー!」
「素晴らしい成果だ。これで・・・。」
「ちっ、またお前か。そういうお前こそどうしたのか?どうもこうも、お前もわかっておろうに。」
「兄さん、兄さーーーーーーーーん!!」
夢を見た。1人の人から、2人の声が聞こえてくる。そんな、おぞましい夢だ。でも、何も思い出せない。夢なのか?これは・・・。
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~2020年~
今日も退屈だ・・・と、何度思っただろう。俺の名前は、「蒼 昴」歳は16。札律次高校へ通っているのだが、今はゴールデンウィークの初日。暇すぎて課題も半日で終わらせてしまったし、遊ぶ友達もいない。いたとしても、みんなは部活をやっているから・・・退屈だ。(ちなみに俺は帰宅部)
その時、携帯から聞き慣れた音が鳴り響いた。電話だ。出ない意味もないので、通話ボタンを押すと。
「あんた今何やってんの?」
聞き慣れた声。王林寺 小春だ。彼女は、俺の幼なじみで幼稚園からずっと同じ学校に、通っている。昔は、おしとやかな性格だったのに今となっては口調や雰囲気がまるで違う。別人のようにだぞ?まぁ、中3くらいの頃からだけど・・・。
「何もしてないよ。課題も全部やったし・・・」
「それは、ちょうどよかった。これから『能発調査場』に行かない?」
能発調査場。ここでは、自分が能力者か否かを調べれる。高校生以上が調査対象者。もちろん俺もあいつも調査はできる。
「いいのか?お前の夢は能力者になることなのに・・・」
「だからよ!13時に現地集合ね。遅刻厳禁よ。それじゃあ。」
「・・・まぁいいか。別に俺はどちらでもいいんだけど。」
~10時~
今は、買い出しに出ていた。能力か。一体、どんなもんなのだろう。
商店街を歩いていると、1人のクラスメイトに会った。
御上也 魅崋
「どうしたん?そんな気難しい顔して。」
「いや、少し考え事をしていただけだ。」
「ふ~ん、まぁええ。気軽に考えた方が、いいこともあるかも知れんし、抱え込むといかんで~。そんじゃ、またな~。」
~13時~
俺は、検査をするために血を取ってもらっていた。現代には、血と混ぜるだけで能力者か分かる液体が開発されている。能力者とわかれば、世界が変わって見えるらしいけど・・・ その時扉が開いて研究者の人が入ってきた。
「え~と、君は能力者だったよ。ランクは[C中]何の能力かは、これから調べるからついておいで。」
言われたとうりについていくとそこには・・・
「あっ、あんたも能力者だったんだ~。」
「その様子だとお前もか。」
俺たち2人は何の能力か、調べてもらい。
「まず君の能力は、『身体強化』だ。まだランクが低いから効力も実感があまりないと思うけど、多分これからどんどん分かってくると思うよ。」
小春は、『土・水・火・風を生成・操れる』能力らしい。そっちの方が楽しそうだと思ったが、
「まぁ俺の能力も十分実用性があるか・・・」
と思ったら楽しい・・・ともいかない。とりあえず、ゴールデンウィーク中の目標を立てることが出来たと喜んでおこう。
~2日目~
俺と小春は、ある施設に来ていた。
「ここが能力特訓場か。」
そう、昨日自分たちが能力者だと分かりランクを上げるためにも特訓が必要だと考えていた。
←“遠距離” “近距離”→
「俺は近距離だしここからは別行動だな。」
そう言いつつ右にある通路を通って特訓場へ行くと。
「誰もいないな?」
「それはそのはず、聞いていなかったのか?お前は。」
そういえば研究員の人が、
「君たちはまだ能力を使いこなせていないから、明日は能力特訓場へ行くといい。直属のコーチもつけよう。あと、本来なら他の能力者もいるんだけど今回は特別貸切だ。十分特訓に励めるよ。」
と言っていたな。ありがたくいただくよその言葉。
「それじゃあまず能力を使ってみろ。」
「!!」
マジで言ってるのか?まだ一度も使ったこともないのに・・・
「どうした?まさか使ったこともないのか?」
「は・・・はい。」
当たり前だろ。昨日能力が分かったっていうのに、どう発想したらそうなるんだよ。
「分かった。では、右手に力を入れてみろ。」
言われたままにする。
「そして力を一点に集めるようにイメージしてみろ。」
その瞬間、かすかではあったが右手が光ったように見えた。
「おお、できたじゃないか。強化系能力は、強化しているところが光るんだ。よし、次は左手!」
あれから何時間たっただろう。もう夕方だ。コーチいわくランクの低い強化系能力は一点しか強化できないが、ランクが上がれば上がるほど強化できる場所・継続時間が増えるらしい。ゴールデンウィーク中に絶対ランクBまで行ってやる~。と、思った途端急に意識がなくなった。眠りについたのだ。深い深い眠りに・・・
「ん?ここは・・・」
気づいた時にはここがどこだか分からなかったが、感覚がないことで夢の中だと気づいた。
「夢の中なのに、なぜ意識があるんだ?」
そう思っていたら、ある声が聞こえてきた。
「能力者たちよ。気づいているものもおるかと思うが、ここは夢の世界だ。とわいっても僕の能力で作り上げた世界だから、みんなはこの世界から出られないよ。でもそれじゃあ面白くないから、チャンスをあげる。今から君たちには、感覚と能力を与えるからそれを使って目の前の試練に挑んでね。死にはしないけど、怪我は負うから気をつけて挑んでね。ああ、ここではみんなランクがC中になるから気をつけて~。それじゃあ。」
「試練・・・ねぇ~。」
俺は今、夢の中で試練を受けている。
「夢の中なのに感覚があり能力が使える・・・」
まさに不思議を感じている。
「さあ、準備が出来たら扉を開けて試練スタートだ!」
「どんな試練なのかねー?」
扉の先にあったのは・・・
『ランクをBまで上げろ』
「ランクをBまで上げる?」
不思議な試練だ。夢の中でランクをあげても意味がないのに・・・
と、考えていても仕方ないなと思い俺は特訓を始めた。
~5時間後~
「はぁ、はぁ」
コーチに教えてもらったことをこなすうちに、能力が上手く使えるようになった感じがする。その時
「ランクB下昇格おめでとう。でも試練はまだ序の口・・・ともいかないね。次で最後だ。ここは始めにも言ったとうり僕の作った世界だから、僕の自由がきくんだ。だから君には、今から作り出すゴーレムを倒してもらうよ。」
ゴーレム?そう思った瞬間目の前にゴーレムが生成されていた。
「この力、試すときが来たなぁ!」
手始めに、右手を強化してゴーレムめがけて攻撃をした。
「凄え、この力。」
そうはしゃいでいたのもつかの間・・・
「再生した!?おいおい冗談だろ。再生するなんて聞いてないぞ。」
「もちろん言ってないからね。」
どうすれば勝てるんだ?そんなこと考えていてもきりがない。
「くっそ~、どうしたらいいんだ?」
その時、頭にある言葉が入ってきた・・・
「そうか!そうすれば、」
ゴーレムの攻撃をかわしつつ、能力をためていった。再生しても、ゴーレムには人と同じような心臓(コア)は必ずあるはずだ。だから確実に仕留めるために力をためているんだ。
「逃げてもいみないよ~。ゴーレムを倒さないとここから出られないんだから。」
確かにそうだ。しかし、ランクが上がったことによって力も倍以上に増えている。だから
「くらえゴーレム。これが、ランクを上げた俺の力だ!」
俺の右手は、ゴーレムのコアを捉えた。すかさず左手でもコアを攻撃する。
「凄い。凄いよ君!!ゴーレムを倒したのは君が初めてだよ。」
そう聞こえた時・・・
「はっ!?」
夢から目覚めたのだ。
「いったい何だったんだ?今の夢。」
そう思いつつも、今日も特訓場へと向かうのでした。
~3日目~
俺は今日も、特訓場へ来ていた。そこには、小春もいた。
「お~い。昨日の変な夢、見た?」
「お前も見たのか?」
何かがおかしい。この街に、異変が起こっているとしか思えない。それが、何の異変なのか分からないのが俺のダメなとこなんだよな~。
そう思いつつも俺は、コーチの前に来ていた。
「お前、凄いな!」
「?」
コーチはどうしたんだ?何で凄いなんて・・・
「1日でランクがB下まで上がっているぞ!」
「!?」
夢の中のことが、現実になっている!?いったいどういうことなんだ?
「もう、私から教えることは何もないな。どうだ?風制委員に入らないか?」
「風制委員?」
「風紀制定委員の略称だ。」
聞いたことがある。学生だけで構成されているという組織。高大生なら誰でも入れるという組織だ。
「この名なら、聞いたことがあるだろ。」
風制委員は、警察では手の届かない学生同士の喧嘩を仲裁する組織だ。
この世界には、[警察][能力警察][風制委員]が存在する。因みに、風制委員は3年前に設立された、新たな組織だ。
[警察]は、能力者が関与していない事件を取り締まる組織。
[能力警察]は、能力者が関与している事件を取り締まる組織。
[風制委員]は、学生の喧嘩を仲裁する組織。
1つ違う点として、警察は、人 能力警察は、能力者 風制委員は、学生(人も能力者も存在する)だけで構成されているということだ。
「そうですね・・・分かりました。行ってみます。」
~風紀制定委員会議ビル~
ここか・・・入ってみるか。
「止まりなさい。あなた何者なの?」
誰だ?まぁ、風制委員だろう。風制委員には委員長という人もいるらしいんだけど・・
「風制委員に入りに来たんです。」
「ふむふむ・・・確かにあなたは、入るだけの素質を持っている・・・わかりました。ではテストといたしましょう。」
「テスト?」
「簡単に言えば、今からあなたにはうちの能力者と1:1の戦いをしてもらいます。」
そんなテストあんの!?と言いたかったのだが仕方がない。やるときはやるっていうのが俺の定義だ。
「それではこちらへ。」
言われたままについていくと・・・体育館?
俺は今、体育館でこいつと二人きり・・・
「誰と戦うんですか?」
「私だけどなにか?」
・・・
「分かりました。いいでしょう。」
「では、時間は3分です。その間に降参するまで続けます。それでは行きます。3・・2・・1・・スタート。」
その瞬間、俺の腹に急に痛みが襲ってきた。いったい何なんだ?こいつは、どんな能力を持っているんだ?今はまだ、分からないことばかりだった。
俺は今、風制委員と思われる人と戦っていた。現状況だけを見れば、圧倒的に力が足りない。能力を使っている間は、あいつの姿は見えるのだが・・・速すぎる。多分こいつの能力は、対象の動きを止めることだと思う。くっ、どうやったら勝てるんだ?(ランクが上がれば・・・)そうか!!
「どうしたの?反撃はしてこないの?そんなんじゃ、風制委員には入れないわよ?」
「さて、どうですかね?」
能力は、ためることができる。夢の中でわかったかとだ。まさか、夢の中での出来事が役に立つなんてな。でもあそこは本当に夢の中なのか?・・・まあいい、今は戦いに集中だ。
「さ、お遊びはここまでにしようか。」
「そうですね。私も本気で行きまs・・・!?」
「防御が甘いぞ。」
そう言った時には俺の拳は、こいつの腹を殴っていた。
「どうだ?まだやるか?」
「降参よ。合格ね。よく私の能力をすり抜けられたわね。」
「くぁっ」
「大丈夫!?」
~4時間後~
俺はベットの上で目が覚めた。そこには、あの時戦った人がいた。
「いてて、」
「無理しちゃダメよ。」
そうだ、俺は能力を全身にためて一気に解放したんだ。多分体が耐えきれなくなったんだろう。
「大丈夫ですよ。」
そう言いつつも体の所々が痛い。
「これで風制委員に入れるんですよね。」
「あなたには、第3制定委員になってもらうわ。」
制定委員とは、それぞれの学校のルールに従って取締りを行う組織。
風紀委員とは、社会のルールの従って取り締まりを行う組織。
この二つが合体したのが、風紀制定委員だ。
第3というのは、B下で構成されているという意味だ。流石に大人数をまとめ上げるのは、無理だと思ったのだろう。
「わかりました。」
「今日は、帰っていいよ。」
~家~
「ただいま~。」
誰もいない。当たり前のことだ。
「また昨日みたいに、夢の世界へ行ったらどうしよう?」
そう思っていても人は、眠りについてしまう・・・
~4日目~
特に何もなかった。いいことなんだろうが、心なしか少し期待していた自分が恥ずかしい。そんなことを思っていても、今日は仕事が入っている。制定委員と言ってもいつも、取り締まる訳ではない。今日は、書類整理をしなければいけない。前とは違って退屈しなさそうだな。その時、けたたましく電話が鳴り響く。
「一体どういった要件なんでしょうね。」
そう言いつつも電話に出る俺であった。
「やっぱ、退屈しないな~。」
今日は、初めて外に出ての仕事だ。
「そういえば、あいつ今何やってんのかな?」
昨日は、色んな出来事があったため小春とは会っていない。そんなことより、今回は仕事が最優先。さてどうしましょう。
~声律次高校~
「てめ、何やってんだよ!!」
「ひぃ~。」
そこには、1人の男子生徒がもう1人の男子生徒を殴っていた。初めてだったため、どんな内容の仕事が来るかとワクワクしていたが・・・まぁ、この程度だろう。能力者では無さそうだったので、能力は使用しない。俺は、2人の間に入り、
「ダメだぞ!」
と言った。
「ちっ、覚えていろよ!お前らなんて、ただの正義気取りの悪者ってこと覚えとけよ。」
「?」
俺にはよく理解できなかったが、
「心に刻んでおくとしよう。」
俺は、倒れていた生徒に手を差し出したのだが・・・振り払われてしまった。どうしてだろう?と思いつつも、風紀制定委員会議ビルへと戻るのであった。
~風紀制定委員会議ビル~
「どうしたの?浮かない顔して。」
「いや、何でも。」
もちろん何でもないはずもない。でも、それもこの組織に入った宿命だろう。やはりこの街は何かがおかしい。そう思っていると、けたたましく電話が鳴りある1人の声が響き渡った。
「今から言う3人には、ある組織の調査をしてきてもらうわ。」
組織の名は、“エルス”。指名されたのは、俺と早苗と・・・小春だった。
「小春!?」
「何?知り合いだったの?」
いつ入ったのだろう。まぁ、今は仕事に集中するか。
~江流水ビル~
ここは、水に関してとても有名な場所でエルスのボスがここを好んで組織を開設したらしい。
「行くわよ。」
「どうやって?」
「真正面からよ。準備はいい?小春ちゃん?」
真正面から!?何言ってんだこの人は。
「はい!」
いやいや、お前も何答えてんだよ。
「いけー!」
その瞬間、ビルの一回が弾け飛んだ・・・と思ったが無傷だった。
「罠にかかったようだね。」
後ろを振り向いても誰もいない。てか、破壊していいの!?
「大丈夫よ。」
何で声が聞こえているんだよ。まぁ、今はこの状況を打開しないと。そう思った時、みんながいなくなっていた。
私は1人、謎の空間にいた。
「何処ここ?」
「ここは、エルスが作り出した無の空間。その名称は・・・適当だ!!まぁ、助けを求めるのはよせ。あの2人は、ここと似た空間にいるからな。ここから出るには、俺を倒すしかないぜ。」
あいつを倒す!?て言うか、何であいつは脱出方法を教えたんだ?まあいい、倒すことには変わりないからね。
「は~!」
私は、彼に向かって火炎弾を放った。
「やった!」
だがしかし、そこに彼の姿はなかった。その瞬間、私の首に手がかけられ首を絞められそうになった。
「くっ!」
私は、上から岩石を降らせた。だが、彼は液体化して私の攻撃を避けた。彼の能力は、そうゆう能力なのだろう。ちょこまか逃げられてきりがない。どうしようかしら・・・
「!?」
「へっ、1人で考え込む時間があるならかかってきたほうがいいんじゃないかな?」
うざい・・・でもこいつを倒すには、今の実力じゃダメなのかもしれない・・・今の、力じゃね!
「おっ!やったやる気になったか。それじゃあ、再戦だ!」
彼がそう言い終えた時を目掛けて、私は1000度を超える火炎弾を放った。
「・・・」
「お得意の液体化してみたら~。蒸発するかもしれないけど。」
そう!これは、科学の力を借りた攻撃。彼は、どう対応するかしら。たのしみ~。
「お前、それは反則だぞ。俺の想定を超えるのは、ダメなんだぞ。」
「ん?想定?私が強くなっただけじゃない。(力借りたけど・・・)」
それにしてもなんでこんなことするんだろ~?心当たりがないな~。
「分かった。降参するから~。」
そう言った時、私は廊下に立っていた。何処だろうここ。私は、彼らを待つことにした。
この状況は、まずいと思った。相手の能力が、液体化だからだ。私の能力は、人として認識しないと時間を止められない。どうしよう。
「何を考えているんだ?かかってこいよ。」
分かっていることだが、挑発には乗らない。もしかしたら、何か隠しているかもしれないからだ。ん~、でもこんなこと考えていても勝つことはできない・・・!?
「へっ、首はもらっt・・・。」
馬鹿で助かった。私の能力は効果範囲も決められている。あいつ~、許さないからね。今度あったらコテンパンにしてやるんだから。さて、こいつ・・・どうしよう?あれっ?何処行ったの?
「ふ~、危なかったぜ。まっ、これでお前は俺に勝てないと自覚したか?」
何で!?待てよ、首を締められた時確か左手が無かったような・・・そうか!水を残しておけば、体を捨てて残った水から再生できるのか。だったら、
「やっとやる気になったか。さぁ、かかってこいよ。」
私は、相手を殴りかかった。もちろん相手は、液体化した。かかった!
「おいおい、変わってないじゃねか~。」
私を倒すために、液体化を解いた瞬間がチャンス!今だ!
「・・・」
止まったか。でも、時間が経てば戻られる。だからだ、万が一のために持ってきた瓶に残りの水を入れた。その瞬間私は、外にいた。私は不要か。
「おや、久しぶりだな~。」
!!?聞き覚えのある声。そう、私の能力を制限した。帝 光輝。元、風制委員長だった。なんでも、能力が暴走するものから能力を封印していってるらしい。くっ、思い出すだけでいらだたしい。
「どうした黙り込んで。さぁ、はじめよう。あの時の制限をどうするかの戦いをなぁ。」
・・・。無理だ。あいつの能力には、勝てない。だが、ここで引けば噂が流れ風制委員会が崩壊する。仕方ない・・・のか?どうしよう、勝ち目がない試合を受ける気はない。かと言って負けてしまうと、また制限されるかもしてない。あ~も~、決められない。勝利以外に、デメリットしかない。負けたら『触れた相手にしか発動できない』とか言われたら終わりだし・・・。仕方ないか。一か八にかけよう。天は、どちらに微笑むのか。
「いいさ。受けて立つよ。」
「やっとその気になったか。それじゃあ、スタートだ。」
この戦いは今後に関わってくる。上手くいってくれ。
何処だろう?あいつらだいじょうぶかな・・・。
「ところで、お前は誰だ?」
「おやおや、気づいていましたか。」
誰だ?まぁ、多分江流水の連中だろう。ランクAかもしれない。注意しないと。
「ここを通すわけにはいかないので、貴方を足止めさせていただきます。」
そう堂々と言われても、困るのだが。ただ見た限りここから出るには、あいつを倒さないといけないみたいだ。
そう思った瞬間相手は、目の前から消えていた。
何処言った?まさか瞬間移動系能力か?どっちにしろ天敵だ。だが、出てきた瞬間を一撃で仕留めればいい。
「どこを見ているんですか?」
あいつがそう言った瞬間俺は、回し蹴りをしたが相手は水になってかわした。
「なに!?」
「貴方は、私の能力を知らないので一撃はやめたほうがいいですよ。」
確かにあいつの能力を俺は知らない。だが、今ので分かった。あいつの能力は、液体化だ。その証拠に、あいつは反撃をしてこなかった。能力が分かったけれど、不利な状況なのは変わらない。液体化された状況では、多分気絶させることもできない。
「何処を見ている?」
「ぐはぁ」
「やはり、貴方はまだあの方に合わせるにははやいようですね。」
まずい。この状況は非常にまずい!だが、なぜ出てきるのにタイムラグがあったんだ?・・・そうか!それなら筋が通る。やってみる価値はあるな。いくぞ!
「何考えt」
「破滅破壊」
「何を考えているんですか?液体化すればそんなのかわせるんですよ。」
「それはどうかな?」
そう言った瞬間、俺は地面を殴った。地面はバッキバキに割れた。液体化した相手は、割れた地面の中に流れ込んでいった。あいつの能力は、液体が全部集まって人に戻る。
「天敵ではなかったな。」
そう言った瞬間、俺は知らない廊下にいてそこには小春がいた。
「よぉ、そっちは終わったのか?」
「もちろん。当たり前じゃない。」
早苗がいない。まだ終わってないのか?
「なぁ、早苗しらないか?」
「まだ終わってないんじゃない?そんな苦戦するとは思わないけど。」
確かにそうだ。早苗はこれでも、風制委員長なんだから。
その時、奥の扉が開き気づいた瞬間には部屋の中にいた。
「ようこそ、試練を乗り越えたものよ。」
「誰だ!早苗は何処にいる。」
「早苗?ああ、確か外にいるよ。来客が来ていたからね。それより始めようじゃないか。」
どうすれば、しかし今はこいつを倒すしかないな。
今は、謎の人物に勝負を挑まれて戦闘をしている真っ最中だ。こいつの能力はまだ分かっていない。だが、江流水の団員が同じ能力を使っていた。てことはこいつも・・・しかし、液体化する様子もないな。
「どうした?もしかすると私の能力が分からなくて困っているのか?」
くっ、その通り過ぎて反論できない。しかし、どうすれば・・・ここは1発ぶっ放してみるか。時間がいるな。ここは小春に任せよう。何処を狙う。もし液体化されたら。外したら。とっ、マイナスに考えすぎたか。急所を狙ってみるとしよう。
「小春、時間を稼いでくれ。」
よし、これで・・・ぐはぁ。
昴の腹に江流水ボスが放った水弾が当たっていた。
「なんだ、それ。」
「油断したな。」
まずい。今ので貯めていたのが消えて無くなってしまった。どうしよう。しかし今ので相手の能力が分かった。多分水を操る類だと思う。それも、四元操作よりも強力な。一体どうすれば・・・。
「きゃっ」
「!?」
「こいつは、いただいていこう。お前と違って可能性があるからな。」
その瞬間、あいつは水しぶきと共に闇の彼方に消えていった。そして、俺は外に立っていた。
「大丈夫?泣いてるけど。」
聞き覚えのある声。早苗だ。
「ごめん。俺のせいで小春が。」
これを聞いた時彼女がどんな顔をするのかと心配したが、優しく慰めてくれた。ごめんなさい・・・。
そのあと、ふたりで本部に戻っていた。
「そういえば、なぜ江流水に乗り込んだんだ?」
「中学生が組織と契約したという情報が入ったからよ。中学生が契約するのは、違反だから。」
そうか・・・。しかし、こちらにとっても痛手だった。犠牲が出てしまったからだ。何処に連れてかれた?あいつは誰だ?何もかもがわからない。どうしよう。
「皆さんお疲れ様でした。」
「あぁ、紹介してなかったね。彼女は、奈夏 莉愛。風制委員で唯一の無能力者よ。」
ん?どこか、見覚えのあるような・・・
「どこかで会ったことがあるか?」
「いえ、そのようなことは、なかったと思います。」
「そうだよな。これから、よろしく。」
「今回はすみません。こちらのミスです。依頼してきたのが江流水からだと気づかず。」
そうだったのか。てことは、江流水の手の上で踊らされていたのか。
「いいや。あの状況で正確な対応ができなった俺が悪い。」
「で、足取りは掴めてるの?」
「それがまだ・・・。」
「そうね。それまでは、休憩ね。昴君は体を休めてて。」
「分かりました。」
でも、何か引っかかるんだよな。どうしたものか・・・。
~5日目~
俺は今、札律次神社に来ていた。神頼みとは、落ちぶれたものだ。そもそもこの世界に神なんているのか?そう疑問を、思いつつ神社を後にするのだった。
しかし、鳥居をくぐろうとした瞬間
「あれ?」
目の前に鳥居・・・。なんともないと思いつつ、もう一度鳥居をくぐる。だめだ。また鳥居。
俺は、このループを20回繰り返したところで、
「待てよ?もしかして。」
そう言い、俺は振り向くと・・・。やっぱり。狛犬が1匹いなくなっていた。『札律次魔の七伝承』のうちの1つ、
時空歪み・狛犬
その狛犬は、毎日神社に座り人々を見守る。ただし、気に入った人物がいると時空の歪みに閉じ込めてしまう。帰る方法はない。閉じ込められたものは、時が進まず空腹にもならない。まさに不老不死となりうる。そして、次世代の神となる。
昔、こういう伝承を聞いたことがある。てことは、ここは元いた世界と似たようで違うのか・・・。さてどうやって出ようかな?しかし狛犬は何処に行ったんだ?1匹はいるけど、多分違う。でも待てよ?何かこの伝承おかしくないか?もしかしたら・・・試してみる価値はあるな。でもこの世界で、能力は使えるのか?
その時。
「貴様。この世界の真理に辿り着いてしまったか。」
何処かから、声が聞こえてくる。俺は後ろに振り向いた。鳥居の上に狛犬が座っていた?いや、あれは・・・。
「どうした?この姿が気に入らんのか?」
狛犬ではなく、紛れもない人が立っていた。
「どういうことだ?どうして閉じ込める?」
「それは、貴様に神になってもらうからだ。」
神に?ふざけんなよ。そんなものになるはけないだろ。
「嫌だと言ったら?」
「力尽くでねじ伏せる。しかし、今の貴様は能力が使えない。どうしたものか?」
確かにそうだ。どうやって勝とう?
「考えてる暇はないんじゃない?」
「!?」
後ろから声が聞こえてきた。まさか、瞬間移動系能力!
「ぐはぁ」
200回は叩かれた。しかし不老不死というだけで痛みだけしか感じない。
「もう諦めなよ。君には勝ち目なんてないんだから。」
確かに。しかし俺は諦めの悪い男だ。こんなところで蹲ってて、小春を助けることなんてできないんだよ!
「じゃあこれで、君の心をへし折るね。もう君は立ち直れない。僕のいうとうり神になってもらうよ!!」
その時、背後から強烈な痛みが・・・
痛くは無かった。
「大丈夫?」
「貴様ら!なぜ邪魔を。」
知り合いか?いや、対立しているということは敵同士なのか?
「おっと、名乗り忘れてたね。でも僕たちに名前はないから、五代神と読んでくれていいよ。」
五代神?まさか、狛犬が神にしたという人たちなのか?でもさすが神だ。こんな世界でも能力がつかえている。
「なぜだ!貴様らを神にしたのはこのわたしだぞ!」
「そういわれてもね~。神になっても用済みになったら別次元に飛ばしたじゃない。」
「そうそう、五代目の僕がきた時点でもう犠牲を出したくないとみんなで協力してここへきたのさ。」
神をもみすてるのか、この狛犬。自分で作り自分で切り捨てる。まさに外道だ。
「貴様らを神にしたのは、この街を守るためだ。いい素質の持ち主がいたら、旧神を切り捨て新神に乗り移るのは当たり前だろう?」
「確かにそうかもしれない。だが君が今ままでにしてきたことは決していいことではない。」
「君に力を授けよう。加護というものだ。」
加護
神が認めたものに、自分の力を分け与える。しかし、人間の体は貧弱なため1つしか持てない。さらに、1度使うと体力の10分の1を持っていかれる。
加護?確かこれも伝承と一緒に記載されていた。
「いいんですか?」
「もちろん。今の君には彼を倒して、ここから出るという目的がある。そのための協力だよ。」
「まず僕から。僕は、神になる前『予言予知』という能力を持っていた。予知の加護を授けよう。」
予知の加護
相手が次に取る行動がわかる
「僕からは、俊足の加護。」
俊足の加護
速力が上がる
「僕からは、天眼の加護。」
天眼の加護
相手の心情など肉眼で見れないものを見ることができる。
「僕からは、回避の加護。」
回避の加護
不意打ちは当たらない
「そして最後に、再生の加護。」
再生の加護
傷を負ってもすぐに治る
「さあ、これらを使いかれを倒すんだ。」
そういうと、彼らは消えていった。ありがとう。最後の力を振り絞ってここまできて、自分の力を託してくれた。絶対に倒してやる。
「遅い!」
後ろは取られていたが、回避の加護で不意打ちは当たらない。さらに、予知の加護で次に飛ぶ場所もわかる。俊足の加護で飛ぶ場所に思いっきり走り天眼の加護で急所を探りそこを叩く。完璧だ。
「何故だ・・・?何故貴様は、加護を複数持っている・・・?人間は、加護を2つ以上持つと、死ぬと言われているのに・・・。」
狛犬は消えていてもとの世界に戻ってきた。
「やっと終わったか。でもお前、1人になっちまったな。傷ついて可愛そうに・・・」
待てよ?再生の加護ってものにも使えるのかな。俺は狛犬に触り再生の加護を使った。思ったとうり傷はなくなった。心なしか笑っているようにも見えた。やっぱり笑顔は一番だな。そう思いながら神社を後にするのだった。
————————————————————————————————————————————————————————
僕は、もともと人間だった。今日は、札律次神社が完成した日だ。4年前くらいだったか、僕は妹と一緒にお参りをしにいった。夜も遅かったので、誰もいなかった。いや、1人いた。
その人は、こちらに振り向いて「犬はすきかい?」と、聞いてきた。妹は「だ~い好き。」と答えた。そう聞くと、その人は「じゃあ狛犬になって僕につかえてね。」そういうと、僕たちの体が光り出して気づいた時には狛犬として座っていた。
僕は、意識があり言葉は喋れないものの意思疎通はできた。妹と話せるので退屈ではなかった。
後々分かったことだが、僕たちには何かの素質があったらしい。だから、自分に支えさせたんだとか・・・。
ある時、僕たちを狛犬に変えたものが「神」と、名のってきた。そして、「君は、元能力者だから使えるけど君はつかえないね。でも犬好きには変わりないから、置いといてはあげるね。」
その日から妹は喋らなくなった。
僕は、神を恨んだ。
ある時から、僕の能力が進化していることに気づいた。
もともと『瞬間移動』だったのが、時空も移動できるようになった。神がいない時に、僕は時空を旅して回った。
そこで気づいたのが、まず時空は無数にあるということ。そして、時空の歪みに入ると別の時空に飛ばされる。
僕じゃないと、元の世界に戻ることはできない。
そこで僕は、神を別次元に飛ばした。思ったとうり神は、戻ってこなかった。しかし、神がいないと神社は意味を持たない。
そこで僕は、優秀な能力者を無理やり神にした。
最初はみんな嫌がった。でも、神になったら色々優遇が効くため嫌とは言わなくなった。
でも、みんな僕について聞いてきた。そこで妹のことを話すのが嫌だった僕は、用済みの神を別次元に飛ばしてまた新しい神を作り上げた。
何回やってもみんな聞いてくる。どうしてだ。なぜ聞いてくる。
そうだ、大人だったから心配していたんだ。ならいっそ、子供を神にしよう。子供と言っても、高校生くらいだけど・・・。おっ、あの子はいいんじゃないか?他に誰もいないし、そ~れー!
・・・。
なんで?僕は何も悪くない。悪いのはこの世界だ。この世界が神を作り出し、僕の妹を殺した。
あれ?僕は、いつから妹を見てなかった?最後に連れてきた子は、妹に入っていたひびを直してくれた。
なんで今まで僕は直さなかった?もしかしたら、僕はもう妹と一緒にいられないかもしれない。
僕は、この世界が嫌いだ。神も嫌いだ。僕も嫌いだ。
でも・・・あの子は、僕の妹を、僕を救ってくれた。天国には行けないけど、もう一度妹とあいたかったな~。
目の前に妹がいる。
「ごめんね。実は、私が神様にお願いして昇天させてもらったの。元はと言えば、私の責任だし・・・。でも、神様は正直に言わなかった。兄を、後悔させないために。でもね、私はもういいから。あなたは、自由に生きて・・・。さようなら。」
おい?ちょっと待てよ!待てってば!
「お前は僕の唯一の、拠り所だった。5年前に、僕が親を捨てた時も一緒にいてくれた。絶恨憎に入っていた時も、お前のおかげでやって行けたんだ。・・・これだけは言わせてくれ、ありがとう。」
僕は、結局何のために動いていたんだろう。僕は、この世界に生まれてこなければよかったのか?いや、人間なんてそんなものだ。
後悔は、いずれ力になる。ただ、その道をどう選ぶかによって、今後の生き方は変わるという事だけだったんだ。
ありがとう、そしてこれからに人生に祝福を。
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~6日目~
今日は、風制委員会議ビルに来ていた。なんでも、江流水の居場所が分かったらしい。
「江流水は、本拠地と仮拠点のどちらかにいると思われます。」
「てことは、私と昴で分担して両方を攻めましょう。」
確かにその方が効率がいい。本拠地は、早苗に任せて仮拠点を攻めようか。
「俺は、仮拠点を攻める。お前は、本拠地を全員で攻めてくれ。」
「昴は、1人でいいの?」
「本拠地の方が、設備が整ってるし確かめたいこともあるからな。」
「分かったわ。それじゃあ、今日の正午に攻め込むわよ。」
「おー!」
確かめたいこと。それは・・・。
~正午~
着いた。ここか。本拠地よりは、あまり離れていなかったな。ていうか、こんなことに警察はなぜ手を出さないんだ?まあいい、いくぞ。
誰もいない・・・。静かすぎる・・・。もしかして、こっちはフェイク?だとしても、進むしかないな。
ん?こんなところに扉なんてあったか?でも、今は入るしかない。
扉を開けると、そこには、1人の男が立っていた。
「誰だ!」
「やっとき~たかい。おそいじゃな~いの。」
なんだ、その独特な口調。でもこいつは、絶対敵だ。攻撃される前に、叩きのめす。
「だ~めだよ。そ~こからう~ごいたら。」
「なっ!」
こいつは、どんな能力持ってるのか?でも、『俊足の加護』
「な~にをし~たんだい?」
「それは、企業秘密ってやつだよ。」
前と同じで、『天眼の加護』を使って急所を叩く。
案外簡単に勝てたな。でも・・・、やっぱりデメリットがデカすぎるな。加護を使うと、体力の一部を持っていかれる。まぁ、能力より使いやすいからいいか。
「なぜなんだ~い?かごはふつ~、ひと~りひと~つのはず~なのに。まあ~いいや。きみ~はいま、ぼお~くにあし~どめされて~るから。」
「やっぱりか。どうせ今回の騒動、江流水が悪いと見せかけて・・・」
「そお~れいじょういう~なよ!」
思ったとうり、もともと江流水ボスがこんなことするはずない。江流水は、6大組織の中でも穏健派なはずだ。だから、今回の真の敵は・・・黒闇闇だ!!
その時、地面が揺れ建物が倒壊した。能力を使ったが、かなりの怪我を負ってしまった。今再生の加護を使うと体力がなくなってしまう。少しずつ回復していくしかないのか。
黒闇闇。ボスは、能力者の血を取り込むことで一時的にその能力者の能力が使えるらしい。それをつかい、江流水ボスになりすましたのだろう。そもそもボスが、一度本拠地から撤退するのはおかしいと思ったもんだ。それが分かったところで、どうするかは、知ったもんじゃない。多分向こうは、罠。今頃は、手下でも相手にしているのだろう。それが分かったところで、相手の本拠地がわからないことには攻めもできないんだが。黒闇闇には、霧を出して気配を消せる能力者がいると聞いたことがある。札律次魔の7伝承の1つ、『霧隠れ・黒闇』
霧隠れ・黒闇
黒闇様のお城には、深く濃い霧が漂っている。それは、身を隠すためだけではなく霧を吸った相手の記憶までも奪う。記憶を奪われたものは、周りからも存在を忘れられて1人でこの世を飛び立つ。
まさに恐ろしい。しかし、こんな話はあったもんじゃない。これじゃあ部下をどうやってここまで送り込んだ?
「おい貴様!!どうやってここまで来た!」
「ど~うもこ~うも、ふつ~にきち~からき~ただ~け。」
きち?城じゃないのか?もしかして、江流水みたいに仮拠点的な何かがあるのか?
「お前が支えているものの名前を教えろ。」
「し~らないね。み~んなしれ~いしょのと~りにしているだ~けだよ。」
司令書・・・。そうか!黒闇闇のボスは、配下を何人か持っていて手紙的なもので指示を出していたのか。もしかして、俺たちを襲ったのも配下のものなんじゃないのか?だとしたらそこに小春もいるはずだ。とりあえず向こうと合流しないと。こいつは警察に預けてっと。もちろん、負けてないよな。
~江流水ビル~
「そっちはどうだ?」
「空振りよ。」
やはり、こっちにはいなかったか。
「もしかしたら、黒闇闇の配下に襲われた可能性があるんだ。」
俺は、事情を話した。そして、今日は流石に遅いとのことで家に帰ることにした。小春。待っていろよ。そんなことを思いつつも、黒闇闇についても調べていく。奴らは何がしたいんだ?何が目的でこんなことを・・・。考えていても仕方ない。今日はもう、寝るとするか。
ここは何処だ?俺は、寝ていたはずだが。この世界は、1度経験したようなことがある世界だった。でも少し違う。夢の世界ではないのか?ん?あれは・・・。
目の前にいたのは、俺?それも子供の頃の。子供の頃の記憶はない。だから、兄弟がいたのか両親がどうなったかも知らない。誰も教えてくれないんだ。いや、教えてくれないのか?
~7日目~
その時、アラームが鳴り響き俺は目を覚ました。今のはなんだったのか?俺は、何を忘れた?それを思いながらも風制委員会議ビルへと向かうのであった。
~風制委員会議ビル~
なんと、配下がいる場所が分かったらしい。
「総員。小春救出のため、速やかに準備せよ。」
「莉愛、いませんね。」
「莉愛は、今別件で動いていてこれないのよ。」
莉愛も頑張っている。俺も気合入れなきゃな。
配下は山奥にいるらしい。衛星で見つけたらしい。今の時代すごいな。だが、今はこんなこと思ってる場合じゃないな。気を引き締めていかないと。
「ようこそ。我が主人のために作られた、ここ。黒煙城へ。あなたたちが探していたのはこちらの方ですか?」
「小春!!」
小春は十字架に縛りつけられていた。なんて事するんだ。
「私を倒せば、開放してあげるけどどうする?」
「もちろんやるに決まってるだろ。」
!?
気づいたら俺以外誰もいなくなっていた。
「主人は、あなたとの手合わせを楽しみにしておられる。邪魔者は、排除しただけのこと。」
「排除しただと。あいつらをどうしたんだ!」
「まぁ、あなたの意見は置いておいて主人はここへは来れない。主人よ。私のお身体をお使いくださいませ。」
その時、配下の体が光り出して。
「よく来たな。」
口調が変わった。多分あいつが、黒闇闇のボス。俺は、体にグッと力を込めて。
「無駄だよ。」
俺の攻撃は、かわされた。俊足の加護と脚力強化を使って予知の加護で見たところに蹴りに行ったのに・・・。
「君が思うほど、僕は強くない。無能力者だからね。」
無能力者だって!?じゃあ、今の攻撃そうかわしたんだ?
「これを使ったんだよ。これは、僕の部下が能力を込めて作ったものなんだ。さっきのをもう一度見せてあげるよ。」
さっき使ったの。一体何をしたっていうんだ。無能力者?本当にそうなのか?
「槍術 弍式 幻影」
槍術とは、なんなのか。俺にはわからないことばかりだった。
幻影が5体・・・。こうなったら、全部けすしかないか。
「ほう、やるね。でもそんなのじゃ、僕には届かないよ?」
声の方向。上か!
「破滅破壊」
「無駄だよ。槍術 伍式 混沌の渦」
槍先から渦が出現し、スバルの右腕を飲み込んだ。
「なに!?」
「おっと、左手は突っ込まない方がいいよ?抜けなくなるからね。」
どうする?どうすれば。加護を使ってこの渦の解除方法を調べるか?でもいまは・・・。
「何?なぜ渦が消えた?何をした?」
「『無能の加護』触れた能力を無効化する加護だ。」
無能の加護。それは、人々から恐れられていた加護だ。その加護を受けたものは、無能のになってしまうと思われていたからだ。だが本来は、違う。触れた能力を無効化する。だが、もちろんデメリットもある。体力をほとんど持っていかれる。だから、使うときは右腕などの一部を指定して使う。
「無能の加護ね。まさか、加護を6つも持っているとは・・・。君は、何者だ?」
「ただの人間だよ。」
もしかすると、俺の忘れている部分に何か謎があるかもしれないが。
「こうなったら。槍術 壱式 晦冥の霧」
目の前が真っ暗になってしまった。しかも霧で・・・。これでは、消したところで意味がない。
「さあ、終わりの時だ!槍術 漆式 常闇の棺」
!?
くっまずい。この棺、俺を宙に浮かしているのか。宙に浮いていれば触れることは、できない。
「あれ?痛てえ~。」
俺は、地面に落ちた。なぜなのかは、分からなかったが答えはすぐに分かった。
「大丈夫?」
早苗だ。確か、あいつは無能力者。早苗の能力は、完璧に効く。
「でもこいつ、なんで能力が効いてるんだろう?」
「無能力者だからだよ。」
「無能力者!?じゃあなんであなたは、そんなに苦戦したの?」
「槍で能力を・・・。」
槍がなくなっている。てことは、
「早苗!能力を解け」
「え?なんで。」
「いいから、早く!」
やっぱり。死んでる。あいつは、配下の命を代償にしてここへ来たんだ。
「なんで死んでるの?」
俺は、こいつの経緯を説明した。やはり、組織のボス。一筋縄では、いかないな。
!?
急に寒気がした。みんなどうしたんだ?
「ねぇ、昴。なんで私たちここに来たんだっけ?」
!?
記憶が書き換えられている。てことは、やはり黒闇闇のボスの仕業だろう。まあ、いまは小春が無事だったことを喜んでおくか。でもこれは、天敵だ。
この戦いは、GWの終わりと共に幕を閉じた。
この後、小春に聞いて分かったことだが黒闇闇は小春の能力に興味を持ったらしい。四元素を生み出せるからだと。今の時代、もっと便利な能力者もいるとおもうが・・・。
そして、『無能の加護』これは、狛犬を倒し鳥居をくぐったときに頭の中に入ってきたものだった。内容が内容で、とても恐ろしいと思い使わないようにしていた。でも、どの神様が与えてくれたんだろう?不思議だな。
とにかく、みんな無事でよかった。
だが、これで終わるはずもなく。今度はどんな事件が、昴にのしかかることやら。
~第一章~ 急成長編 完
「素晴らしい成果だ。これで・・・。」
「ちっ、またお前か。そういうお前こそどうしたのか?どうもこうも、お前もわかっておろうに。」
「兄さん、兄さーーーーーーーーん!!」
夢を見た。1人の人から、2人の声が聞こえてくる。そんな、おぞましい夢だ。でも、何も思い出せない。夢なのか?これは・・・。
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~2020年~
今日も退屈だ・・・と、何度思っただろう。俺の名前は、「蒼 昴」歳は16。札律次高校へ通っているのだが、今はゴールデンウィークの初日。暇すぎて課題も半日で終わらせてしまったし、遊ぶ友達もいない。いたとしても、みんなは部活をやっているから・・・退屈だ。(ちなみに俺は帰宅部)
その時、携帯から聞き慣れた音が鳴り響いた。電話だ。出ない意味もないので、通話ボタンを押すと。
「あんた今何やってんの?」
聞き慣れた声。王林寺 小春だ。彼女は、俺の幼なじみで幼稚園からずっと同じ学校に、通っている。昔は、おしとやかな性格だったのに今となっては口調や雰囲気がまるで違う。別人のようにだぞ?まぁ、中3くらいの頃からだけど・・・。
「何もしてないよ。課題も全部やったし・・・」
「それは、ちょうどよかった。これから『能発調査場』に行かない?」
能発調査場。ここでは、自分が能力者か否かを調べれる。高校生以上が調査対象者。もちろん俺もあいつも調査はできる。
「いいのか?お前の夢は能力者になることなのに・・・」
「だからよ!13時に現地集合ね。遅刻厳禁よ。それじゃあ。」
「・・・まぁいいか。別に俺はどちらでもいいんだけど。」
~10時~
今は、買い出しに出ていた。能力か。一体、どんなもんなのだろう。
商店街を歩いていると、1人のクラスメイトに会った。
御上也 魅崋
「どうしたん?そんな気難しい顔して。」
「いや、少し考え事をしていただけだ。」
「ふ~ん、まぁええ。気軽に考えた方が、いいこともあるかも知れんし、抱え込むといかんで~。そんじゃ、またな~。」
~13時~
俺は、検査をするために血を取ってもらっていた。現代には、血と混ぜるだけで能力者か分かる液体が開発されている。能力者とわかれば、世界が変わって見えるらしいけど・・・ その時扉が開いて研究者の人が入ってきた。
「え~と、君は能力者だったよ。ランクは[C中]何の能力かは、これから調べるからついておいで。」
言われたとうりについていくとそこには・・・
「あっ、あんたも能力者だったんだ~。」
「その様子だとお前もか。」
俺たち2人は何の能力か、調べてもらい。
「まず君の能力は、『身体強化』だ。まだランクが低いから効力も実感があまりないと思うけど、多分これからどんどん分かってくると思うよ。」
小春は、『土・水・火・風を生成・操れる』能力らしい。そっちの方が楽しそうだと思ったが、
「まぁ俺の能力も十分実用性があるか・・・」
と思ったら楽しい・・・ともいかない。とりあえず、ゴールデンウィーク中の目標を立てることが出来たと喜んでおこう。
~2日目~
俺と小春は、ある施設に来ていた。
「ここが能力特訓場か。」
そう、昨日自分たちが能力者だと分かりランクを上げるためにも特訓が必要だと考えていた。
←“遠距離” “近距離”→
「俺は近距離だしここからは別行動だな。」
そう言いつつ右にある通路を通って特訓場へ行くと。
「誰もいないな?」
「それはそのはず、聞いていなかったのか?お前は。」
そういえば研究員の人が、
「君たちはまだ能力を使いこなせていないから、明日は能力特訓場へ行くといい。直属のコーチもつけよう。あと、本来なら他の能力者もいるんだけど今回は特別貸切だ。十分特訓に励めるよ。」
と言っていたな。ありがたくいただくよその言葉。
「それじゃあまず能力を使ってみろ。」
「!!」
マジで言ってるのか?まだ一度も使ったこともないのに・・・
「どうした?まさか使ったこともないのか?」
「は・・・はい。」
当たり前だろ。昨日能力が分かったっていうのに、どう発想したらそうなるんだよ。
「分かった。では、右手に力を入れてみろ。」
言われたままにする。
「そして力を一点に集めるようにイメージしてみろ。」
その瞬間、かすかではあったが右手が光ったように見えた。
「おお、できたじゃないか。強化系能力は、強化しているところが光るんだ。よし、次は左手!」
あれから何時間たっただろう。もう夕方だ。コーチいわくランクの低い強化系能力は一点しか強化できないが、ランクが上がれば上がるほど強化できる場所・継続時間が増えるらしい。ゴールデンウィーク中に絶対ランクBまで行ってやる~。と、思った途端急に意識がなくなった。眠りについたのだ。深い深い眠りに・・・
「ん?ここは・・・」
気づいた時にはここがどこだか分からなかったが、感覚がないことで夢の中だと気づいた。
「夢の中なのに、なぜ意識があるんだ?」
そう思っていたら、ある声が聞こえてきた。
「能力者たちよ。気づいているものもおるかと思うが、ここは夢の世界だ。とわいっても僕の能力で作り上げた世界だから、みんなはこの世界から出られないよ。でもそれじゃあ面白くないから、チャンスをあげる。今から君たちには、感覚と能力を与えるからそれを使って目の前の試練に挑んでね。死にはしないけど、怪我は負うから気をつけて挑んでね。ああ、ここではみんなランクがC中になるから気をつけて~。それじゃあ。」
「試練・・・ねぇ~。」
俺は今、夢の中で試練を受けている。
「夢の中なのに感覚があり能力が使える・・・」
まさに不思議を感じている。
「さあ、準備が出来たら扉を開けて試練スタートだ!」
「どんな試練なのかねー?」
扉の先にあったのは・・・
『ランクをBまで上げろ』
「ランクをBまで上げる?」
不思議な試練だ。夢の中でランクをあげても意味がないのに・・・
と、考えていても仕方ないなと思い俺は特訓を始めた。
~5時間後~
「はぁ、はぁ」
コーチに教えてもらったことをこなすうちに、能力が上手く使えるようになった感じがする。その時
「ランクB下昇格おめでとう。でも試練はまだ序の口・・・ともいかないね。次で最後だ。ここは始めにも言ったとうり僕の作った世界だから、僕の自由がきくんだ。だから君には、今から作り出すゴーレムを倒してもらうよ。」
ゴーレム?そう思った瞬間目の前にゴーレムが生成されていた。
「この力、試すときが来たなぁ!」
手始めに、右手を強化してゴーレムめがけて攻撃をした。
「凄え、この力。」
そうはしゃいでいたのもつかの間・・・
「再生した!?おいおい冗談だろ。再生するなんて聞いてないぞ。」
「もちろん言ってないからね。」
どうすれば勝てるんだ?そんなこと考えていてもきりがない。
「くっそ~、どうしたらいいんだ?」
その時、頭にある言葉が入ってきた・・・
「そうか!そうすれば、」
ゴーレムの攻撃をかわしつつ、能力をためていった。再生しても、ゴーレムには人と同じような心臓(コア)は必ずあるはずだ。だから確実に仕留めるために力をためているんだ。
「逃げてもいみないよ~。ゴーレムを倒さないとここから出られないんだから。」
確かにそうだ。しかし、ランクが上がったことによって力も倍以上に増えている。だから
「くらえゴーレム。これが、ランクを上げた俺の力だ!」
俺の右手は、ゴーレムのコアを捉えた。すかさず左手でもコアを攻撃する。
「凄い。凄いよ君!!ゴーレムを倒したのは君が初めてだよ。」
そう聞こえた時・・・
「はっ!?」
夢から目覚めたのだ。
「いったい何だったんだ?今の夢。」
そう思いつつも、今日も特訓場へと向かうのでした。
~3日目~
俺は今日も、特訓場へ来ていた。そこには、小春もいた。
「お~い。昨日の変な夢、見た?」
「お前も見たのか?」
何かがおかしい。この街に、異変が起こっているとしか思えない。それが、何の異変なのか分からないのが俺のダメなとこなんだよな~。
そう思いつつも俺は、コーチの前に来ていた。
「お前、凄いな!」
「?」
コーチはどうしたんだ?何で凄いなんて・・・
「1日でランクがB下まで上がっているぞ!」
「!?」
夢の中のことが、現実になっている!?いったいどういうことなんだ?
「もう、私から教えることは何もないな。どうだ?風制委員に入らないか?」
「風制委員?」
「風紀制定委員の略称だ。」
聞いたことがある。学生だけで構成されているという組織。高大生なら誰でも入れるという組織だ。
「この名なら、聞いたことがあるだろ。」
風制委員は、警察では手の届かない学生同士の喧嘩を仲裁する組織だ。
この世界には、[警察][能力警察][風制委員]が存在する。因みに、風制委員は3年前に設立された、新たな組織だ。
[警察]は、能力者が関与していない事件を取り締まる組織。
[能力警察]は、能力者が関与している事件を取り締まる組織。
[風制委員]は、学生の喧嘩を仲裁する組織。
1つ違う点として、警察は、人 能力警察は、能力者 風制委員は、学生(人も能力者も存在する)だけで構成されているということだ。
「そうですね・・・分かりました。行ってみます。」
~風紀制定委員会議ビル~
ここか・・・入ってみるか。
「止まりなさい。あなた何者なの?」
誰だ?まぁ、風制委員だろう。風制委員には委員長という人もいるらしいんだけど・・
「風制委員に入りに来たんです。」
「ふむふむ・・・確かにあなたは、入るだけの素質を持っている・・・わかりました。ではテストといたしましょう。」
「テスト?」
「簡単に言えば、今からあなたにはうちの能力者と1:1の戦いをしてもらいます。」
そんなテストあんの!?と言いたかったのだが仕方がない。やるときはやるっていうのが俺の定義だ。
「それではこちらへ。」
言われたままについていくと・・・体育館?
俺は今、体育館でこいつと二人きり・・・
「誰と戦うんですか?」
「私だけどなにか?」
・・・
「分かりました。いいでしょう。」
「では、時間は3分です。その間に降参するまで続けます。それでは行きます。3・・2・・1・・スタート。」
その瞬間、俺の腹に急に痛みが襲ってきた。いったい何なんだ?こいつは、どんな能力を持っているんだ?今はまだ、分からないことばかりだった。
俺は今、風制委員と思われる人と戦っていた。現状況だけを見れば、圧倒的に力が足りない。能力を使っている間は、あいつの姿は見えるのだが・・・速すぎる。多分こいつの能力は、対象の動きを止めることだと思う。くっ、どうやったら勝てるんだ?(ランクが上がれば・・・)そうか!!
「どうしたの?反撃はしてこないの?そんなんじゃ、風制委員には入れないわよ?」
「さて、どうですかね?」
能力は、ためることができる。夢の中でわかったかとだ。まさか、夢の中での出来事が役に立つなんてな。でもあそこは本当に夢の中なのか?・・・まあいい、今は戦いに集中だ。
「さ、お遊びはここまでにしようか。」
「そうですね。私も本気で行きまs・・・!?」
「防御が甘いぞ。」
そう言った時には俺の拳は、こいつの腹を殴っていた。
「どうだ?まだやるか?」
「降参よ。合格ね。よく私の能力をすり抜けられたわね。」
「くぁっ」
「大丈夫!?」
~4時間後~
俺はベットの上で目が覚めた。そこには、あの時戦った人がいた。
「いてて、」
「無理しちゃダメよ。」
そうだ、俺は能力を全身にためて一気に解放したんだ。多分体が耐えきれなくなったんだろう。
「大丈夫ですよ。」
そう言いつつも体の所々が痛い。
「これで風制委員に入れるんですよね。」
「あなたには、第3制定委員になってもらうわ。」
制定委員とは、それぞれの学校のルールに従って取締りを行う組織。
風紀委員とは、社会のルールの従って取り締まりを行う組織。
この二つが合体したのが、風紀制定委員だ。
第3というのは、B下で構成されているという意味だ。流石に大人数をまとめ上げるのは、無理だと思ったのだろう。
「わかりました。」
「今日は、帰っていいよ。」
~家~
「ただいま~。」
誰もいない。当たり前のことだ。
「また昨日みたいに、夢の世界へ行ったらどうしよう?」
そう思っていても人は、眠りについてしまう・・・
~4日目~
特に何もなかった。いいことなんだろうが、心なしか少し期待していた自分が恥ずかしい。そんなことを思っていても、今日は仕事が入っている。制定委員と言ってもいつも、取り締まる訳ではない。今日は、書類整理をしなければいけない。前とは違って退屈しなさそうだな。その時、けたたましく電話が鳴り響く。
「一体どういった要件なんでしょうね。」
そう言いつつも電話に出る俺であった。
「やっぱ、退屈しないな~。」
今日は、初めて外に出ての仕事だ。
「そういえば、あいつ今何やってんのかな?」
昨日は、色んな出来事があったため小春とは会っていない。そんなことより、今回は仕事が最優先。さてどうしましょう。
~声律次高校~
「てめ、何やってんだよ!!」
「ひぃ~。」
そこには、1人の男子生徒がもう1人の男子生徒を殴っていた。初めてだったため、どんな内容の仕事が来るかとワクワクしていたが・・・まぁ、この程度だろう。能力者では無さそうだったので、能力は使用しない。俺は、2人の間に入り、
「ダメだぞ!」
と言った。
「ちっ、覚えていろよ!お前らなんて、ただの正義気取りの悪者ってこと覚えとけよ。」
「?」
俺にはよく理解できなかったが、
「心に刻んでおくとしよう。」
俺は、倒れていた生徒に手を差し出したのだが・・・振り払われてしまった。どうしてだろう?と思いつつも、風紀制定委員会議ビルへと戻るのであった。
~風紀制定委員会議ビル~
「どうしたの?浮かない顔して。」
「いや、何でも。」
もちろん何でもないはずもない。でも、それもこの組織に入った宿命だろう。やはりこの街は何かがおかしい。そう思っていると、けたたましく電話が鳴りある1人の声が響き渡った。
「今から言う3人には、ある組織の調査をしてきてもらうわ。」
組織の名は、“エルス”。指名されたのは、俺と早苗と・・・小春だった。
「小春!?」
「何?知り合いだったの?」
いつ入ったのだろう。まぁ、今は仕事に集中するか。
~江流水ビル~
ここは、水に関してとても有名な場所でエルスのボスがここを好んで組織を開設したらしい。
「行くわよ。」
「どうやって?」
「真正面からよ。準備はいい?小春ちゃん?」
真正面から!?何言ってんだこの人は。
「はい!」
いやいや、お前も何答えてんだよ。
「いけー!」
その瞬間、ビルの一回が弾け飛んだ・・・と思ったが無傷だった。
「罠にかかったようだね。」
後ろを振り向いても誰もいない。てか、破壊していいの!?
「大丈夫よ。」
何で声が聞こえているんだよ。まぁ、今はこの状況を打開しないと。そう思った時、みんながいなくなっていた。
私は1人、謎の空間にいた。
「何処ここ?」
「ここは、エルスが作り出した無の空間。その名称は・・・適当だ!!まぁ、助けを求めるのはよせ。あの2人は、ここと似た空間にいるからな。ここから出るには、俺を倒すしかないぜ。」
あいつを倒す!?て言うか、何であいつは脱出方法を教えたんだ?まあいい、倒すことには変わりないからね。
「は~!」
私は、彼に向かって火炎弾を放った。
「やった!」
だがしかし、そこに彼の姿はなかった。その瞬間、私の首に手がかけられ首を絞められそうになった。
「くっ!」
私は、上から岩石を降らせた。だが、彼は液体化して私の攻撃を避けた。彼の能力は、そうゆう能力なのだろう。ちょこまか逃げられてきりがない。どうしようかしら・・・
「!?」
「へっ、1人で考え込む時間があるならかかってきたほうがいいんじゃないかな?」
うざい・・・でもこいつを倒すには、今の実力じゃダメなのかもしれない・・・今の、力じゃね!
「おっ!やったやる気になったか。それじゃあ、再戦だ!」
彼がそう言い終えた時を目掛けて、私は1000度を超える火炎弾を放った。
「・・・」
「お得意の液体化してみたら~。蒸発するかもしれないけど。」
そう!これは、科学の力を借りた攻撃。彼は、どう対応するかしら。たのしみ~。
「お前、それは反則だぞ。俺の想定を超えるのは、ダメなんだぞ。」
「ん?想定?私が強くなっただけじゃない。(力借りたけど・・・)」
それにしてもなんでこんなことするんだろ~?心当たりがないな~。
「分かった。降参するから~。」
そう言った時、私は廊下に立っていた。何処だろうここ。私は、彼らを待つことにした。
この状況は、まずいと思った。相手の能力が、液体化だからだ。私の能力は、人として認識しないと時間を止められない。どうしよう。
「何を考えているんだ?かかってこいよ。」
分かっていることだが、挑発には乗らない。もしかしたら、何か隠しているかもしれないからだ。ん~、でもこんなこと考えていても勝つことはできない・・・!?
「へっ、首はもらっt・・・。」
馬鹿で助かった。私の能力は効果範囲も決められている。あいつ~、許さないからね。今度あったらコテンパンにしてやるんだから。さて、こいつ・・・どうしよう?あれっ?何処行ったの?
「ふ~、危なかったぜ。まっ、これでお前は俺に勝てないと自覚したか?」
何で!?待てよ、首を締められた時確か左手が無かったような・・・そうか!水を残しておけば、体を捨てて残った水から再生できるのか。だったら、
「やっとやる気になったか。さぁ、かかってこいよ。」
私は、相手を殴りかかった。もちろん相手は、液体化した。かかった!
「おいおい、変わってないじゃねか~。」
私を倒すために、液体化を解いた瞬間がチャンス!今だ!
「・・・」
止まったか。でも、時間が経てば戻られる。だからだ、万が一のために持ってきた瓶に残りの水を入れた。その瞬間私は、外にいた。私は不要か。
「おや、久しぶりだな~。」
!!?聞き覚えのある声。そう、私の能力を制限した。帝 光輝。元、風制委員長だった。なんでも、能力が暴走するものから能力を封印していってるらしい。くっ、思い出すだけでいらだたしい。
「どうした黙り込んで。さぁ、はじめよう。あの時の制限をどうするかの戦いをなぁ。」
・・・。無理だ。あいつの能力には、勝てない。だが、ここで引けば噂が流れ風制委員会が崩壊する。仕方ない・・・のか?どうしよう、勝ち目がない試合を受ける気はない。かと言って負けてしまうと、また制限されるかもしてない。あ~も~、決められない。勝利以外に、デメリットしかない。負けたら『触れた相手にしか発動できない』とか言われたら終わりだし・・・。仕方ないか。一か八にかけよう。天は、どちらに微笑むのか。
「いいさ。受けて立つよ。」
「やっとその気になったか。それじゃあ、スタートだ。」
この戦いは今後に関わってくる。上手くいってくれ。
何処だろう?あいつらだいじょうぶかな・・・。
「ところで、お前は誰だ?」
「おやおや、気づいていましたか。」
誰だ?まぁ、多分江流水の連中だろう。ランクAかもしれない。注意しないと。
「ここを通すわけにはいかないので、貴方を足止めさせていただきます。」
そう堂々と言われても、困るのだが。ただ見た限りここから出るには、あいつを倒さないといけないみたいだ。
そう思った瞬間相手は、目の前から消えていた。
何処言った?まさか瞬間移動系能力か?どっちにしろ天敵だ。だが、出てきた瞬間を一撃で仕留めればいい。
「どこを見ているんですか?」
あいつがそう言った瞬間俺は、回し蹴りをしたが相手は水になってかわした。
「なに!?」
「貴方は、私の能力を知らないので一撃はやめたほうがいいですよ。」
確かにあいつの能力を俺は知らない。だが、今ので分かった。あいつの能力は、液体化だ。その証拠に、あいつは反撃をしてこなかった。能力が分かったけれど、不利な状況なのは変わらない。液体化された状況では、多分気絶させることもできない。
「何処を見ている?」
「ぐはぁ」
「やはり、貴方はまだあの方に合わせるにははやいようですね。」
まずい。この状況は非常にまずい!だが、なぜ出てきるのにタイムラグがあったんだ?・・・そうか!それなら筋が通る。やってみる価値はあるな。いくぞ!
「何考えt」
「破滅破壊」
「何を考えているんですか?液体化すればそんなのかわせるんですよ。」
「それはどうかな?」
そう言った瞬間、俺は地面を殴った。地面はバッキバキに割れた。液体化した相手は、割れた地面の中に流れ込んでいった。あいつの能力は、液体が全部集まって人に戻る。
「天敵ではなかったな。」
そう言った瞬間、俺は知らない廊下にいてそこには小春がいた。
「よぉ、そっちは終わったのか?」
「もちろん。当たり前じゃない。」
早苗がいない。まだ終わってないのか?
「なぁ、早苗しらないか?」
「まだ終わってないんじゃない?そんな苦戦するとは思わないけど。」
確かにそうだ。早苗はこれでも、風制委員長なんだから。
その時、奥の扉が開き気づいた瞬間には部屋の中にいた。
「ようこそ、試練を乗り越えたものよ。」
「誰だ!早苗は何処にいる。」
「早苗?ああ、確か外にいるよ。来客が来ていたからね。それより始めようじゃないか。」
どうすれば、しかし今はこいつを倒すしかないな。
今は、謎の人物に勝負を挑まれて戦闘をしている真っ最中だ。こいつの能力はまだ分かっていない。だが、江流水の団員が同じ能力を使っていた。てことはこいつも・・・しかし、液体化する様子もないな。
「どうした?もしかすると私の能力が分からなくて困っているのか?」
くっ、その通り過ぎて反論できない。しかし、どうすれば・・・ここは1発ぶっ放してみるか。時間がいるな。ここは小春に任せよう。何処を狙う。もし液体化されたら。外したら。とっ、マイナスに考えすぎたか。急所を狙ってみるとしよう。
「小春、時間を稼いでくれ。」
よし、これで・・・ぐはぁ。
昴の腹に江流水ボスが放った水弾が当たっていた。
「なんだ、それ。」
「油断したな。」
まずい。今ので貯めていたのが消えて無くなってしまった。どうしよう。しかし今ので相手の能力が分かった。多分水を操る類だと思う。それも、四元操作よりも強力な。一体どうすれば・・・。
「きゃっ」
「!?」
「こいつは、いただいていこう。お前と違って可能性があるからな。」
その瞬間、あいつは水しぶきと共に闇の彼方に消えていった。そして、俺は外に立っていた。
「大丈夫?泣いてるけど。」
聞き覚えのある声。早苗だ。
「ごめん。俺のせいで小春が。」
これを聞いた時彼女がどんな顔をするのかと心配したが、優しく慰めてくれた。ごめんなさい・・・。
そのあと、ふたりで本部に戻っていた。
「そういえば、なぜ江流水に乗り込んだんだ?」
「中学生が組織と契約したという情報が入ったからよ。中学生が契約するのは、違反だから。」
そうか・・・。しかし、こちらにとっても痛手だった。犠牲が出てしまったからだ。何処に連れてかれた?あいつは誰だ?何もかもがわからない。どうしよう。
「皆さんお疲れ様でした。」
「あぁ、紹介してなかったね。彼女は、奈夏 莉愛。風制委員で唯一の無能力者よ。」
ん?どこか、見覚えのあるような・・・
「どこかで会ったことがあるか?」
「いえ、そのようなことは、なかったと思います。」
「そうだよな。これから、よろしく。」
「今回はすみません。こちらのミスです。依頼してきたのが江流水からだと気づかず。」
そうだったのか。てことは、江流水の手の上で踊らされていたのか。
「いいや。あの状況で正確な対応ができなった俺が悪い。」
「で、足取りは掴めてるの?」
「それがまだ・・・。」
「そうね。それまでは、休憩ね。昴君は体を休めてて。」
「分かりました。」
でも、何か引っかかるんだよな。どうしたものか・・・。
~5日目~
俺は今、札律次神社に来ていた。神頼みとは、落ちぶれたものだ。そもそもこの世界に神なんているのか?そう疑問を、思いつつ神社を後にするのだった。
しかし、鳥居をくぐろうとした瞬間
「あれ?」
目の前に鳥居・・・。なんともないと思いつつ、もう一度鳥居をくぐる。だめだ。また鳥居。
俺は、このループを20回繰り返したところで、
「待てよ?もしかして。」
そう言い、俺は振り向くと・・・。やっぱり。狛犬が1匹いなくなっていた。『札律次魔の七伝承』のうちの1つ、
時空歪み・狛犬
その狛犬は、毎日神社に座り人々を見守る。ただし、気に入った人物がいると時空の歪みに閉じ込めてしまう。帰る方法はない。閉じ込められたものは、時が進まず空腹にもならない。まさに不老不死となりうる。そして、次世代の神となる。
昔、こういう伝承を聞いたことがある。てことは、ここは元いた世界と似たようで違うのか・・・。さてどうやって出ようかな?しかし狛犬は何処に行ったんだ?1匹はいるけど、多分違う。でも待てよ?何かこの伝承おかしくないか?もしかしたら・・・試してみる価値はあるな。でもこの世界で、能力は使えるのか?
その時。
「貴様。この世界の真理に辿り着いてしまったか。」
何処かから、声が聞こえてくる。俺は後ろに振り向いた。鳥居の上に狛犬が座っていた?いや、あれは・・・。
「どうした?この姿が気に入らんのか?」
狛犬ではなく、紛れもない人が立っていた。
「どういうことだ?どうして閉じ込める?」
「それは、貴様に神になってもらうからだ。」
神に?ふざけんなよ。そんなものになるはけないだろ。
「嫌だと言ったら?」
「力尽くでねじ伏せる。しかし、今の貴様は能力が使えない。どうしたものか?」
確かにそうだ。どうやって勝とう?
「考えてる暇はないんじゃない?」
「!?」
後ろから声が聞こえてきた。まさか、瞬間移動系能力!
「ぐはぁ」
200回は叩かれた。しかし不老不死というだけで痛みだけしか感じない。
「もう諦めなよ。君には勝ち目なんてないんだから。」
確かに。しかし俺は諦めの悪い男だ。こんなところで蹲ってて、小春を助けることなんてできないんだよ!
「じゃあこれで、君の心をへし折るね。もう君は立ち直れない。僕のいうとうり神になってもらうよ!!」
その時、背後から強烈な痛みが・・・
痛くは無かった。
「大丈夫?」
「貴様ら!なぜ邪魔を。」
知り合いか?いや、対立しているということは敵同士なのか?
「おっと、名乗り忘れてたね。でも僕たちに名前はないから、五代神と読んでくれていいよ。」
五代神?まさか、狛犬が神にしたという人たちなのか?でもさすが神だ。こんな世界でも能力がつかえている。
「なぜだ!貴様らを神にしたのはこのわたしだぞ!」
「そういわれてもね~。神になっても用済みになったら別次元に飛ばしたじゃない。」
「そうそう、五代目の僕がきた時点でもう犠牲を出したくないとみんなで協力してここへきたのさ。」
神をもみすてるのか、この狛犬。自分で作り自分で切り捨てる。まさに外道だ。
「貴様らを神にしたのは、この街を守るためだ。いい素質の持ち主がいたら、旧神を切り捨て新神に乗り移るのは当たり前だろう?」
「確かにそうかもしれない。だが君が今ままでにしてきたことは決していいことではない。」
「君に力を授けよう。加護というものだ。」
加護
神が認めたものに、自分の力を分け与える。しかし、人間の体は貧弱なため1つしか持てない。さらに、1度使うと体力の10分の1を持っていかれる。
加護?確かこれも伝承と一緒に記載されていた。
「いいんですか?」
「もちろん。今の君には彼を倒して、ここから出るという目的がある。そのための協力だよ。」
「まず僕から。僕は、神になる前『予言予知』という能力を持っていた。予知の加護を授けよう。」
予知の加護
相手が次に取る行動がわかる
「僕からは、俊足の加護。」
俊足の加護
速力が上がる
「僕からは、天眼の加護。」
天眼の加護
相手の心情など肉眼で見れないものを見ることができる。
「僕からは、回避の加護。」
回避の加護
不意打ちは当たらない
「そして最後に、再生の加護。」
再生の加護
傷を負ってもすぐに治る
「さあ、これらを使いかれを倒すんだ。」
そういうと、彼らは消えていった。ありがとう。最後の力を振り絞ってここまできて、自分の力を託してくれた。絶対に倒してやる。
「遅い!」
後ろは取られていたが、回避の加護で不意打ちは当たらない。さらに、予知の加護で次に飛ぶ場所もわかる。俊足の加護で飛ぶ場所に思いっきり走り天眼の加護で急所を探りそこを叩く。完璧だ。
「何故だ・・・?何故貴様は、加護を複数持っている・・・?人間は、加護を2つ以上持つと、死ぬと言われているのに・・・。」
狛犬は消えていてもとの世界に戻ってきた。
「やっと終わったか。でもお前、1人になっちまったな。傷ついて可愛そうに・・・」
待てよ?再生の加護ってものにも使えるのかな。俺は狛犬に触り再生の加護を使った。思ったとうり傷はなくなった。心なしか笑っているようにも見えた。やっぱり笑顔は一番だな。そう思いながら神社を後にするのだった。
————————————————————————————————————————————————————————
僕は、もともと人間だった。今日は、札律次神社が完成した日だ。4年前くらいだったか、僕は妹と一緒にお参りをしにいった。夜も遅かったので、誰もいなかった。いや、1人いた。
その人は、こちらに振り向いて「犬はすきかい?」と、聞いてきた。妹は「だ~い好き。」と答えた。そう聞くと、その人は「じゃあ狛犬になって僕につかえてね。」そういうと、僕たちの体が光り出して気づいた時には狛犬として座っていた。
僕は、意識があり言葉は喋れないものの意思疎通はできた。妹と話せるので退屈ではなかった。
後々分かったことだが、僕たちには何かの素質があったらしい。だから、自分に支えさせたんだとか・・・。
ある時、僕たちを狛犬に変えたものが「神」と、名のってきた。そして、「君は、元能力者だから使えるけど君はつかえないね。でも犬好きには変わりないから、置いといてはあげるね。」
その日から妹は喋らなくなった。
僕は、神を恨んだ。
ある時から、僕の能力が進化していることに気づいた。
もともと『瞬間移動』だったのが、時空も移動できるようになった。神がいない時に、僕は時空を旅して回った。
そこで気づいたのが、まず時空は無数にあるということ。そして、時空の歪みに入ると別の時空に飛ばされる。
僕じゃないと、元の世界に戻ることはできない。
そこで僕は、神を別次元に飛ばした。思ったとうり神は、戻ってこなかった。しかし、神がいないと神社は意味を持たない。
そこで僕は、優秀な能力者を無理やり神にした。
最初はみんな嫌がった。でも、神になったら色々優遇が効くため嫌とは言わなくなった。
でも、みんな僕について聞いてきた。そこで妹のことを話すのが嫌だった僕は、用済みの神を別次元に飛ばしてまた新しい神を作り上げた。
何回やってもみんな聞いてくる。どうしてだ。なぜ聞いてくる。
そうだ、大人だったから心配していたんだ。ならいっそ、子供を神にしよう。子供と言っても、高校生くらいだけど・・・。おっ、あの子はいいんじゃないか?他に誰もいないし、そ~れー!
・・・。
なんで?僕は何も悪くない。悪いのはこの世界だ。この世界が神を作り出し、僕の妹を殺した。
あれ?僕は、いつから妹を見てなかった?最後に連れてきた子は、妹に入っていたひびを直してくれた。
なんで今まで僕は直さなかった?もしかしたら、僕はもう妹と一緒にいられないかもしれない。
僕は、この世界が嫌いだ。神も嫌いだ。僕も嫌いだ。
でも・・・あの子は、僕の妹を、僕を救ってくれた。天国には行けないけど、もう一度妹とあいたかったな~。
目の前に妹がいる。
「ごめんね。実は、私が神様にお願いして昇天させてもらったの。元はと言えば、私の責任だし・・・。でも、神様は正直に言わなかった。兄を、後悔させないために。でもね、私はもういいから。あなたは、自由に生きて・・・。さようなら。」
おい?ちょっと待てよ!待てってば!
「お前は僕の唯一の、拠り所だった。5年前に、僕が親を捨てた時も一緒にいてくれた。絶恨憎に入っていた時も、お前のおかげでやって行けたんだ。・・・これだけは言わせてくれ、ありがとう。」
僕は、結局何のために動いていたんだろう。僕は、この世界に生まれてこなければよかったのか?いや、人間なんてそんなものだ。
後悔は、いずれ力になる。ただ、その道をどう選ぶかによって、今後の生き方は変わるという事だけだったんだ。
ありがとう、そしてこれからに人生に祝福を。
————————————————————————————————————————————————————————
~6日目~
今日は、風制委員会議ビルに来ていた。なんでも、江流水の居場所が分かったらしい。
「江流水は、本拠地と仮拠点のどちらかにいると思われます。」
「てことは、私と昴で分担して両方を攻めましょう。」
確かにその方が効率がいい。本拠地は、早苗に任せて仮拠点を攻めようか。
「俺は、仮拠点を攻める。お前は、本拠地を全員で攻めてくれ。」
「昴は、1人でいいの?」
「本拠地の方が、設備が整ってるし確かめたいこともあるからな。」
「分かったわ。それじゃあ、今日の正午に攻め込むわよ。」
「おー!」
確かめたいこと。それは・・・。
~正午~
着いた。ここか。本拠地よりは、あまり離れていなかったな。ていうか、こんなことに警察はなぜ手を出さないんだ?まあいい、いくぞ。
誰もいない・・・。静かすぎる・・・。もしかして、こっちはフェイク?だとしても、進むしかないな。
ん?こんなところに扉なんてあったか?でも、今は入るしかない。
扉を開けると、そこには、1人の男が立っていた。
「誰だ!」
「やっとき~たかい。おそいじゃな~いの。」
なんだ、その独特な口調。でもこいつは、絶対敵だ。攻撃される前に、叩きのめす。
「だ~めだよ。そ~こからう~ごいたら。」
「なっ!」
こいつは、どんな能力持ってるのか?でも、『俊足の加護』
「な~にをし~たんだい?」
「それは、企業秘密ってやつだよ。」
前と同じで、『天眼の加護』を使って急所を叩く。
案外簡単に勝てたな。でも・・・、やっぱりデメリットがデカすぎるな。加護を使うと、体力の一部を持っていかれる。まぁ、能力より使いやすいからいいか。
「なぜなんだ~い?かごはふつ~、ひと~りひと~つのはず~なのに。まあ~いいや。きみ~はいま、ぼお~くにあし~どめされて~るから。」
「やっぱりか。どうせ今回の騒動、江流水が悪いと見せかけて・・・」
「そお~れいじょういう~なよ!」
思ったとうり、もともと江流水ボスがこんなことするはずない。江流水は、6大組織の中でも穏健派なはずだ。だから、今回の真の敵は・・・黒闇闇だ!!
その時、地面が揺れ建物が倒壊した。能力を使ったが、かなりの怪我を負ってしまった。今再生の加護を使うと体力がなくなってしまう。少しずつ回復していくしかないのか。
黒闇闇。ボスは、能力者の血を取り込むことで一時的にその能力者の能力が使えるらしい。それをつかい、江流水ボスになりすましたのだろう。そもそもボスが、一度本拠地から撤退するのはおかしいと思ったもんだ。それが分かったところで、どうするかは、知ったもんじゃない。多分向こうは、罠。今頃は、手下でも相手にしているのだろう。それが分かったところで、相手の本拠地がわからないことには攻めもできないんだが。黒闇闇には、霧を出して気配を消せる能力者がいると聞いたことがある。札律次魔の7伝承の1つ、『霧隠れ・黒闇』
霧隠れ・黒闇
黒闇様のお城には、深く濃い霧が漂っている。それは、身を隠すためだけではなく霧を吸った相手の記憶までも奪う。記憶を奪われたものは、周りからも存在を忘れられて1人でこの世を飛び立つ。
まさに恐ろしい。しかし、こんな話はあったもんじゃない。これじゃあ部下をどうやってここまで送り込んだ?
「おい貴様!!どうやってここまで来た!」
「ど~うもこ~うも、ふつ~にきち~からき~ただ~け。」
きち?城じゃないのか?もしかして、江流水みたいに仮拠点的な何かがあるのか?
「お前が支えているものの名前を教えろ。」
「し~らないね。み~んなしれ~いしょのと~りにしているだ~けだよ。」
司令書・・・。そうか!黒闇闇のボスは、配下を何人か持っていて手紙的なもので指示を出していたのか。もしかして、俺たちを襲ったのも配下のものなんじゃないのか?だとしたらそこに小春もいるはずだ。とりあえず向こうと合流しないと。こいつは警察に預けてっと。もちろん、負けてないよな。
~江流水ビル~
「そっちはどうだ?」
「空振りよ。」
やはり、こっちにはいなかったか。
「もしかしたら、黒闇闇の配下に襲われた可能性があるんだ。」
俺は、事情を話した。そして、今日は流石に遅いとのことで家に帰ることにした。小春。待っていろよ。そんなことを思いつつも、黒闇闇についても調べていく。奴らは何がしたいんだ?何が目的でこんなことを・・・。考えていても仕方ない。今日はもう、寝るとするか。
ここは何処だ?俺は、寝ていたはずだが。この世界は、1度経験したようなことがある世界だった。でも少し違う。夢の世界ではないのか?ん?あれは・・・。
目の前にいたのは、俺?それも子供の頃の。子供の頃の記憶はない。だから、兄弟がいたのか両親がどうなったかも知らない。誰も教えてくれないんだ。いや、教えてくれないのか?
~7日目~
その時、アラームが鳴り響き俺は目を覚ました。今のはなんだったのか?俺は、何を忘れた?それを思いながらも風制委員会議ビルへと向かうのであった。
~風制委員会議ビル~
なんと、配下がいる場所が分かったらしい。
「総員。小春救出のため、速やかに準備せよ。」
「莉愛、いませんね。」
「莉愛は、今別件で動いていてこれないのよ。」
莉愛も頑張っている。俺も気合入れなきゃな。
配下は山奥にいるらしい。衛星で見つけたらしい。今の時代すごいな。だが、今はこんなこと思ってる場合じゃないな。気を引き締めていかないと。
「ようこそ。我が主人のために作られた、ここ。黒煙城へ。あなたたちが探していたのはこちらの方ですか?」
「小春!!」
小春は十字架に縛りつけられていた。なんて事するんだ。
「私を倒せば、開放してあげるけどどうする?」
「もちろんやるに決まってるだろ。」
!?
気づいたら俺以外誰もいなくなっていた。
「主人は、あなたとの手合わせを楽しみにしておられる。邪魔者は、排除しただけのこと。」
「排除しただと。あいつらをどうしたんだ!」
「まぁ、あなたの意見は置いておいて主人はここへは来れない。主人よ。私のお身体をお使いくださいませ。」
その時、配下の体が光り出して。
「よく来たな。」
口調が変わった。多分あいつが、黒闇闇のボス。俺は、体にグッと力を込めて。
「無駄だよ。」
俺の攻撃は、かわされた。俊足の加護と脚力強化を使って予知の加護で見たところに蹴りに行ったのに・・・。
「君が思うほど、僕は強くない。無能力者だからね。」
無能力者だって!?じゃあ、今の攻撃そうかわしたんだ?
「これを使ったんだよ。これは、僕の部下が能力を込めて作ったものなんだ。さっきのをもう一度見せてあげるよ。」
さっき使ったの。一体何をしたっていうんだ。無能力者?本当にそうなのか?
「槍術 弍式 幻影」
槍術とは、なんなのか。俺にはわからないことばかりだった。
幻影が5体・・・。こうなったら、全部けすしかないか。
「ほう、やるね。でもそんなのじゃ、僕には届かないよ?」
声の方向。上か!
「破滅破壊」
「無駄だよ。槍術 伍式 混沌の渦」
槍先から渦が出現し、スバルの右腕を飲み込んだ。
「なに!?」
「おっと、左手は突っ込まない方がいいよ?抜けなくなるからね。」
どうする?どうすれば。加護を使ってこの渦の解除方法を調べるか?でもいまは・・・。
「何?なぜ渦が消えた?何をした?」
「『無能の加護』触れた能力を無効化する加護だ。」
無能の加護。それは、人々から恐れられていた加護だ。その加護を受けたものは、無能のになってしまうと思われていたからだ。だが本来は、違う。触れた能力を無効化する。だが、もちろんデメリットもある。体力をほとんど持っていかれる。だから、使うときは右腕などの一部を指定して使う。
「無能の加護ね。まさか、加護を6つも持っているとは・・・。君は、何者だ?」
「ただの人間だよ。」
もしかすると、俺の忘れている部分に何か謎があるかもしれないが。
「こうなったら。槍術 壱式 晦冥の霧」
目の前が真っ暗になってしまった。しかも霧で・・・。これでは、消したところで意味がない。
「さあ、終わりの時だ!槍術 漆式 常闇の棺」
!?
くっまずい。この棺、俺を宙に浮かしているのか。宙に浮いていれば触れることは、できない。
「あれ?痛てえ~。」
俺は、地面に落ちた。なぜなのかは、分からなかったが答えはすぐに分かった。
「大丈夫?」
早苗だ。確か、あいつは無能力者。早苗の能力は、完璧に効く。
「でもこいつ、なんで能力が効いてるんだろう?」
「無能力者だからだよ。」
「無能力者!?じゃあなんであなたは、そんなに苦戦したの?」
「槍で能力を・・・。」
槍がなくなっている。てことは、
「早苗!能力を解け」
「え?なんで。」
「いいから、早く!」
やっぱり。死んでる。あいつは、配下の命を代償にしてここへ来たんだ。
「なんで死んでるの?」
俺は、こいつの経緯を説明した。やはり、組織のボス。一筋縄では、いかないな。
!?
急に寒気がした。みんなどうしたんだ?
「ねぇ、昴。なんで私たちここに来たんだっけ?」
!?
記憶が書き換えられている。てことは、やはり黒闇闇のボスの仕業だろう。まあ、いまは小春が無事だったことを喜んでおくか。でもこれは、天敵だ。
この戦いは、GWの終わりと共に幕を閉じた。
この後、小春に聞いて分かったことだが黒闇闇は小春の能力に興味を持ったらしい。四元素を生み出せるからだと。今の時代、もっと便利な能力者もいるとおもうが・・・。
そして、『無能の加護』これは、狛犬を倒し鳥居をくぐったときに頭の中に入ってきたものだった。内容が内容で、とても恐ろしいと思い使わないようにしていた。でも、どの神様が与えてくれたんだろう?不思議だな。
とにかく、みんな無事でよかった。
だが、これで終わるはずもなく。今度はどんな事件が、昴にのしかかることやら。
~第一章~ 急成長編 完
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