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②ー光樹Sideー

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石橋くん兄弟が喧嘩して殴り合いにまで発展しそうだったから思わず声を出した。

そしたら翔斗くんは舌打ちした後、会議室を出て行った。

「…………久野さん。」

「なに?」

「すいません。
俺たち、頭に血が上ってました。」

「ううん。
謝るのは翔斗くんにでしょ?」

「ですね。
………久野さん、翔斗の傍に居てあげて下さい。
多分フロア奥の椅子の所に居るはずですから。
アイツ、久野さんの大ファンだから今、1番傍にいて欲しいと思います。」

「……わかった。」

俺は会議室を出た。

(はぁ、
段々、俺、あの親父に似てきてしまった。)

フロア奥に行くと翔斗くんが居た。

「翔斗くん。」

「……久野さん。」

「隣、いいかな?」

「はい。」

俺は翔斗くんの隣に座った。

「……翔斗くん、キミは本当に仕事をやめてもいいと思ってるの?」

「……分かりません。
確かに仕事を辞めれば気にせず女遊びができます。
でも、『仕事を辞める。』って考えは今までなかった。
頭に血が上ってつい出た言葉だったんです。
オレ、結構この仕事好き、なのかもしれない。
人形に、感情なんか必要ないのに……。」  

(……人形?)

「オレも、翔真も普通じゃない。
狂ってるんです。
他人とは分かち合えない。決して…。」

そういう翔斗くんの表情は悲しげだった。

「翔斗くん。
俺はなにがあったのか分からないけど、話し合えば分かち合えると思っている。
だから、何かあるのなら話して欲しい。
今すぐじゃなくてもいいから、話したい時に話してくれたらいいよ。
俺はキミの言葉をちゃんと聴くから。」

「…………オレは、久野さんの大ファンだけど、信用出来ません。
どうせ、人は裏切る生き物だから。」

俺はその言葉を聞いて、翔斗くんの頭に手を置いた。

「……久野、さん?」

「『信用して。』って言っても無理だと思うけど、これだけは覚えてて?
俺は、キミの味方だよ。」

「…………」 

翔斗くんはただ大人しく俺に頭を撫でられていた。

しばらくしたら翔斗くんが俺に体を預けてきた。

「……光樹、さん……。」

「ん?」

「……スゥースゥー、」

「なんだ、寝たのか。」

俺は翔斗くんの頭を撫でたまま寝かせた。
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