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生きる
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桜の姿は変わり果てていた。
真っ白な面に黒い唇。
目の周りも黒い化粧をしている様だ。
髪は下ろして赤いバラの花を飾っている。
服装も同様だった。
黒い露出の激しい衣装で長靴を履いている。
変わり果てた姿でもそれが桜だとすぐに分かった。
「桜!!」
桜に声をかける。
しかしその反応は酷く冷淡な物だった。
「死にたくないならそこをどきなさい」
声は間違いなく桜だった。
天の国の物が桜に何かした?
「桜に何をした!?」
すると天の国の当主天都美琴が答えた。
「この子の本来のあるべき姿を教えてあげただけよ」
桜に何かを吹き込んだらしい。
「桜!俺が分からないのか。竜樹だ」
「竜樹……」
まだ俺の事を覚えていてくれたのだろうか?
「こんな馬鹿な事は止めて一緒に帰ろう。美味しいご飯を食べさせてくれ」
桜に声をかける。だけど……。
「それは無理。私と竜樹じゃ済む世界が違う。最初から相容れないものだったの」
桜は桜の役目を果たすという。
役目?
その疑問に答えたのは結芽だった。
「聞いてないの?桜の役目」
そしてここがどういう場所であるのか?
鬼を解き放つつもりか。
「援軍が来ると面倒になる。こっちもお喋りをしている時間はないんだ。小僧、邪魔をするなら容赦はせんぞ」
西藤と女が構える。
桜を止めなければならないけど、楓一人で二人は無理だ。
……仕方ない。
俺も構える。
「女の方は楓様に任せます」
「……わかった」
そういうと楓は俺と反対の方に女を誘導する。
「いつぞやの決着つけるとしようか……?」
西藤が何かを言おうとした時、俺はとっくに行動に移していた。
東神流奥義・青龍。
俺は分身で西藤の四方を囲む。
だが、西藤は俺の本体が後ろであることを悟っていた。
「舐めるな小僧」
西藤は後ろを振り向いて刀を振り降ろす。
「お前と遊んでる暇はないんだ!!」
西藤の刀が振り降ろされる前に俺の刀は西藤の首を飛ばしていた。
西藤の首から血を吹き出しながら、西藤の胴体は倒れる。
それを少しだけ確認すると桜と結界の間に割って入る。
「邪魔をしないで。私本気だよ?邪魔をするならあなたを殺す」
俺は耳を傾けることなくじっとその場に立つ。
「いい加減にして!これ以上私を苦しめないで」
「苦しいのなら止めたらいいじゃないか?」
「言ったでしょ!私はこの国にいてはいけない人間なの」
「……誰が決めたんだ?そんな事?」
「え?」
桜は俺の顔を見る。
「桜がどこにいようと桜の自由だ。それを邪魔する奴がいるなら俺が振り払ってやる」
だから心配するな。
桜は桜のままでいいんだ。
世界中が桜の敵なら俺が全部切り払ってやる。
桜の動きが止まった。
「竜樹……私……!?」
また桜が動き出した。
どうしたんだ。
「そんなくさい芝居見てる暇はないんでね。力づくで行くよ」
「桜に何をした!?」
「その小娘の持ってる鋏は桜にしか所持できないけど、同時に桜の意思をコントロールすることもできるのよ」
美琴がにやりと笑う。
桜は抵抗を試みている様だけど無理矢理動かされている。
「竜樹……私を殺して……このままだとこの国が大変な事になる」
桜は泣いている。
俺の手にかかるなら本望だという。
「竜樹!止むを得ん。……桜の望み通りにしてやってくれ」
楓が言う。
でもそれじゃダメだ。
俺は納刀する。
「竜樹!?」
「俺は桜を守る」
「本当に鬱陶しい男だね」
美琴が言うと、桜は手に持つ短刀を振り降ろす。
それを俺は左手でしっかり握りしめた。
「竜樹!!」
左手から流れる血をみて桜が青ざめる。
多少の苦痛はあったけど、桜が背負い込んでる苦しみに比べたらこのくらい……。
「桜は俺と生きてくれるんじゃないのか?」
俺と生きたくないのか?
「だからって竜樹が死んだら意味ないよ」
「俺だって同じだ。桜が死んだら意味がない」
桜が再び動きを止めた。
「結芽!」
美琴が結芽に命ずると、結芽は結界の力を使って俺を拘束する。
すると再び桜が動き出す。
ゆっくりと結界に近づいて、そして短刀を振り上げる。
桜が手に持った短刀を振り降ろすと、耳をつんざくような音がして、そして禍々しい気配が辺りを包み込む。
美琴がにやりと笑った。
「さあ、お愉しみの時間だよ。鬼の最初の贄はその小娘にしようか」
なんだと!?
「ふざけるなぁ!!」
俺は全身に力を籠めると結界を振りほどく。
その場に座り込む桜に近づいて思い切り抱きしめる。
「桜、無事か!?」
桜は俺にしがみついて泣きじゃくる。
「竜樹、ごめんなさい!」
「大丈夫だよ。無事でよかった。後は俺に任せろ」
「任せるってどうするの?」
俺は笑って桜に答える。
「この場でこの化け物を片付けたら終わりだろ?」
「そんなの無理だよ!」
「桜のためならどんな無理でも無理矢理通してやる」
俺と桜が共に生きる為に。
その時花梨様から預かった秘刀・八咫烏が光を放つ。
これを使えと言う事か?
俺は武器を持ち替え、結界の向こうから現れるであろう大鬼に備える。
最後の決戦が始まろうとしていた。
真っ白な面に黒い唇。
目の周りも黒い化粧をしている様だ。
髪は下ろして赤いバラの花を飾っている。
服装も同様だった。
黒い露出の激しい衣装で長靴を履いている。
変わり果てた姿でもそれが桜だとすぐに分かった。
「桜!!」
桜に声をかける。
しかしその反応は酷く冷淡な物だった。
「死にたくないならそこをどきなさい」
声は間違いなく桜だった。
天の国の物が桜に何かした?
「桜に何をした!?」
すると天の国の当主天都美琴が答えた。
「この子の本来のあるべき姿を教えてあげただけよ」
桜に何かを吹き込んだらしい。
「桜!俺が分からないのか。竜樹だ」
「竜樹……」
まだ俺の事を覚えていてくれたのだろうか?
「こんな馬鹿な事は止めて一緒に帰ろう。美味しいご飯を食べさせてくれ」
桜に声をかける。だけど……。
「それは無理。私と竜樹じゃ済む世界が違う。最初から相容れないものだったの」
桜は桜の役目を果たすという。
役目?
その疑問に答えたのは結芽だった。
「聞いてないの?桜の役目」
そしてここがどういう場所であるのか?
鬼を解き放つつもりか。
「援軍が来ると面倒になる。こっちもお喋りをしている時間はないんだ。小僧、邪魔をするなら容赦はせんぞ」
西藤と女が構える。
桜を止めなければならないけど、楓一人で二人は無理だ。
……仕方ない。
俺も構える。
「女の方は楓様に任せます」
「……わかった」
そういうと楓は俺と反対の方に女を誘導する。
「いつぞやの決着つけるとしようか……?」
西藤が何かを言おうとした時、俺はとっくに行動に移していた。
東神流奥義・青龍。
俺は分身で西藤の四方を囲む。
だが、西藤は俺の本体が後ろであることを悟っていた。
「舐めるな小僧」
西藤は後ろを振り向いて刀を振り降ろす。
「お前と遊んでる暇はないんだ!!」
西藤の刀が振り降ろされる前に俺の刀は西藤の首を飛ばしていた。
西藤の首から血を吹き出しながら、西藤の胴体は倒れる。
それを少しだけ確認すると桜と結界の間に割って入る。
「邪魔をしないで。私本気だよ?邪魔をするならあなたを殺す」
俺は耳を傾けることなくじっとその場に立つ。
「いい加減にして!これ以上私を苦しめないで」
「苦しいのなら止めたらいいじゃないか?」
「言ったでしょ!私はこの国にいてはいけない人間なの」
「……誰が決めたんだ?そんな事?」
「え?」
桜は俺の顔を見る。
「桜がどこにいようと桜の自由だ。それを邪魔する奴がいるなら俺が振り払ってやる」
だから心配するな。
桜は桜のままでいいんだ。
世界中が桜の敵なら俺が全部切り払ってやる。
桜の動きが止まった。
「竜樹……私……!?」
また桜が動き出した。
どうしたんだ。
「そんなくさい芝居見てる暇はないんでね。力づくで行くよ」
「桜に何をした!?」
「その小娘の持ってる鋏は桜にしか所持できないけど、同時に桜の意思をコントロールすることもできるのよ」
美琴がにやりと笑う。
桜は抵抗を試みている様だけど無理矢理動かされている。
「竜樹……私を殺して……このままだとこの国が大変な事になる」
桜は泣いている。
俺の手にかかるなら本望だという。
「竜樹!止むを得ん。……桜の望み通りにしてやってくれ」
楓が言う。
でもそれじゃダメだ。
俺は納刀する。
「竜樹!?」
「俺は桜を守る」
「本当に鬱陶しい男だね」
美琴が言うと、桜は手に持つ短刀を振り降ろす。
それを俺は左手でしっかり握りしめた。
「竜樹!!」
左手から流れる血をみて桜が青ざめる。
多少の苦痛はあったけど、桜が背負い込んでる苦しみに比べたらこのくらい……。
「桜は俺と生きてくれるんじゃないのか?」
俺と生きたくないのか?
「だからって竜樹が死んだら意味ないよ」
「俺だって同じだ。桜が死んだら意味がない」
桜が再び動きを止めた。
「結芽!」
美琴が結芽に命ずると、結芽は結界の力を使って俺を拘束する。
すると再び桜が動き出す。
ゆっくりと結界に近づいて、そして短刀を振り上げる。
桜が手に持った短刀を振り降ろすと、耳をつんざくような音がして、そして禍々しい気配が辺りを包み込む。
美琴がにやりと笑った。
「さあ、お愉しみの時間だよ。鬼の最初の贄はその小娘にしようか」
なんだと!?
「ふざけるなぁ!!」
俺は全身に力を籠めると結界を振りほどく。
その場に座り込む桜に近づいて思い切り抱きしめる。
「桜、無事か!?」
桜は俺にしがみついて泣きじゃくる。
「竜樹、ごめんなさい!」
「大丈夫だよ。無事でよかった。後は俺に任せろ」
「任せるってどうするの?」
俺は笑って桜に答える。
「この場でこの化け物を片付けたら終わりだろ?」
「そんなの無理だよ!」
「桜のためならどんな無理でも無理矢理通してやる」
俺と桜が共に生きる為に。
その時花梨様から預かった秘刀・八咫烏が光を放つ。
これを使えと言う事か?
俺は武器を持ち替え、結界の向こうから現れるであろう大鬼に備える。
最後の決戦が始まろうとしていた。
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