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4thSEASON
廻りだす運命の車輪
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(1)
「冬夜君時間だよ~」
愛莉に言われて目を覚ませばまだ深夜じゃないか。時計を見ても間違いなかった。
愛莉は服を脱ぎ捨て外行き用のカーゴパンツとロングTシャツを着ている。
そんな愛莉をぼーっと見てると愛莉から叱られる。
「ちゃんと準備しないとダメだよ!遅刻しちゃう。運転手が遅刻なんて洒落にならないよ」
愛莉に言われて。思い出したかのように着替えを始める僕。
今日は作戦の決行日。
僕達はそっと外に出ると新條さんに付き添われて夜道を歩く。
すると近所の公園に不釣り合いな装甲車が止まっている。
「君が片桐君?運転任せるよ。テクニックは聞いてる」
装甲車の運転なんてしたことないぞ。
それでもエンジンをかけると、アクセルを軽く吹かす。
……なるほどね。
「もう出ますよ」
「ああ、こっちの準備は問題ない」
兵隊の人が言うとゆっくりと目的地に向かった。
運転をしている間も、警察の無線を傍受したリ、やりたい放題の面々。
摘発の時刻も決められていた。
2400丁度にうちの攻撃を先導に検挙が行われるそうだ。
目的に着いた。
主だった見張りはついてない。
石原君が敵とサイトカメラ。を全て潰したらしい。
てことはこっちの存在は読まれているわけか。
班ごとに陣取って入るらしい。
後はGOサインが出れば行ける。
そう兵隊の人は言う。
空にはこんな時間にジェット機?と思われるものが辺りを周回してる。
今回の作戦の目玉であるAC-130UスプーキーⅡだ。
これによる敵陣の精密射撃を行う。
その時に指示を飛ばすであろうネットワークを誠が乗っとる手はずだ。
出来れば敵のサーバーを丸ごと掻っ攫いたいという思惑もあって皆やってきた。
そしてやってくるであろう、石原君の最大の敵「アズライール」も潜伏してるはずだ。
石原君は集中していた。
全神経を尖らせて標的の索敵を試みる。
此方の動きはまだ気取られていない。
2359。皆に緊張が高まる。
渡辺君がスコープを手に相手の様子を探っている。
内通者でもいるのだろうか?敵の警戒が極度に高い。
2400。時間になった
「じゃあ、はじめようか」
渡辺君が開始の合図を送る。
25㎜ガトリング砲の掃射が始まる。
慌てふためくアーバニティ・紅会のメンバーたち。
そりゃ真夜中に空襲なんて戦前の日本じゃあるまいし誰も予想しないよね。
むしろよく飛んでいられるよなと思うけどあまり深く考えないことにした。
テンションの上がる晶さんと恵美さん。
「いいよ、そのまま敵を壊滅させちゃいなさいな」
恵美さんはそう指示を飛ばす。
愛莉も気分が高揚しているようだ。
ここが敵陣だという事も忘れて浮かれている女性陣とは対照的に緊張感の走る男性陣。
「皆さん伏せてください!装甲車に戻って!」
石原君が叫ぶ。
敵にここを察知されたらしい。
数にして2個小隊が襲い掛かってくる。
石原君はアサルトライフルを手に応戦する。
酒井君も応戦する。
僕達は銃を持った相手に何もすることが出来ないので走行車両に乗り込み待機する。
夜目になれた石原君たちは暗視スコープを持たずに次々と敵を仕留めていく。
防戦に回る石原君は放られた手榴弾を空中で狙撃するほど。
逆に酒井君は闇夜を駆け抜け敵を強襲し一人ずつ仕留めていく。
誠は一人電波の傍受を担当する。
エシュロンを乗っ取り電波の傍受をする。
だが、誠は気づく。
アーバニティに関係した検索ワードが次々と消されてそして「くたばれ」と残されたメッセージに。
誠はすぐにエシュロンから逃亡し足跡を消す。
「ここはまずい!場所を変えた方が良い!」
誠が言う。
「皆さんは先に行ってください!ここで足止めします!あとで合流しましょう」
石原君が言うと、皆を乗せた装甲車を走らせ逃走を図る。
山に向かって逃走する。
「皆揺れるから捕まって」
お前に命を吹き込んでやる!
逃走しながらも搭載された機銃で応戦する兵隊たち。
粗方一掃すると車を反転させ。石原君達の下に戻る。
戻った先に残っていたのは石原君と酒井君、それに兵隊の何人かだった。
こっちの人的被害はないらしい。
掃射は粗方終わっていたらしい。
爆発炎上する数台の車両に建物の残骸。
「とどめよ!例のあれをぶち込んでやって!」
恵美さんが叫ぶ。
例のアレ?
何のことだ?
まだなにかするつもりか?
その意味を理解していた石原君が叫ぶ。
「皆撤収してください!ここも危険だ!」
残っていた兵も慌てて逃げ出す。
M102 105mm榴弾砲
これだけ大きな施設も一撃で吹き飛ばす危険な兵器。
いやいや、さすがにまずいでしょ。
落とされた榴弾は爆発し金属片をばらまきながら辺りを焼き尽くす。
こうして夜間の襲撃は無事に成功に終わった。
(2)
「いや、昨夜のあれはすごかったな」
渡辺君はそう言って学食に現れた。
凄いの一言で済ませるあたりが凄いけどね。
「ユニティに逆らっても割にあわない。まさにその通りになったわね」
恵美さんは得意顔で言っている。
原因不明の爆発事故。
世間ではそう報道されている。
しかしネットではアーバニティに対するユニティの報復攻撃と噂されている。
もうただの縁結びのグループではなくなったな。
僕は一人苦笑する。
ただ気になることが一つある。
石原君の言っていたアズライールが現れなかったこと。
そして赤い髪の悪魔も出てこなかった。
それは一斉摘発でも炙り出せなかったらしい。
奴らの本拠地はまだ他にある?
赤い髪の悪魔については誠と恵美さんがスマホを使って身元を確認中だけどアズライールに関しては全く情報が無い。
いまさらながら思えばあんな山奥に司令部があるという事自体が不自然だ。
機動性にどうしても劣るはず。
設備も誠に確認させたけど大した設備はなかった。
ただの武器格納庫。そう表現した方がいいだろう。
やつらはまだ生き残っている。
それは間違いないだろう。
そしてそれはこれからも攻撃が止むことは無いことを意味する。
まだ僕達の平和は保証されていない。
「冬夜君どうしたの?」
愛莉が聞いてくる。
「うん?ちょっと考え事してただけ?」
「話せよトーヤ。お前の考え事はろくなことじゃないんだから」
カンナが言うので正直に答えた。
「いや、敵の本拠地まだ別にあるんじゃないのか?と思っただけ」
そう言うと皆に表情が強張る。
「それってまだ戦いは終わらないってことですか?」
真鍋君が言う。
「そうなるね」
「でも一時的に敵の機能を麻痺させたんじゃ……」
竹本君が言う。
「誠にも確認した。指示系統の通信は一切なかった。あそこから指示を飛ばしていたとは考えにくいってさ」
だからこそ誠も逆にこっちを察知された。
「そうですか……」
真鍋君の表情が暗い。
「そう悲観することもないさ。ネットの噂を過信してるわけじゃないがユニティを敵に合わすのは割にあわねくらいには思わせただろ」
渡辺君は言う。
「そうですよね。これでユニティへの攻撃の抑止力にはなりますよ」
花菜さんが言う。
部外者にはそう思わせたかもしれない。
だがアーバニティの連中はどう考えているか?
それがどうしても気になって仕方なかった。
(3)
「こっぴどくやられた様だね」
目の前に鎮座する男がそう言う。
返す言葉が無かった。
地元の全支部を検挙されそして仮とはいえ本部を空爆された。
ネットやマスコミ関係ではIRISの存在を仄めかすコメントもされている。
俺は消されるな。
ここまで作戦を悉く失敗させたんだ
それも仕方ない。
だが、男は言った。
「ユニティの力をまだ侮っていたのかもしれないね」
ただの一サークル、その実態は全容を解明されていない。
江藤家と志水家、それに地元銀行と白鳥家。
一度に相手するだけでも骨を折る作業だ。
しかし今はそれどころじゃないはず。
IRISがマスコミに渡ってしまった。
その事をどう隠蔽するかだ。
「IRISの件は俺に任せて。君はIRISの奪取に尽力して、あれの真意に彼らはまだ到達してない」
「わかった。あんたの言う通りにしよう『賢者』」
となるとやはり狙いは森羅と香崎か……。
「まだ彼等は知らない。隠者は一人だという事を」
「ドラゴンはなんて言ってるんだ?」
「父さんは今それどころじゃないよ。マスコミの恰好の餌だからね」
「あんたはこれからどうするつもりなんだ?アーバニティを」
「どうもしない、これまで通り運営していくさ」
君もこれまで通りでいい。と賢者は言う。
しかしIRISはどうするつもりだ。
「IRISの始末の仕方もこれまで通りでいい。奴らに感づかれないことが重要だ。どれだけIRISに秘密が詰まっているのかを」
その重要なファイルに辿り着かせないことが最重要だと賢者は言う。
「ユニティの報復はこっちの体制が復旧してから考えるよ。彼等の事もう一度調べる時間も欲しいしね」
この期に及んでまだ何か隠し持っていることがあるというのか?
「死神は何度でも鎌を向ける。運命は変えられない。彼等の待つ未来は破滅の未来。そうだね?」
「……そうだな」
「アズライールも動き出すだろう。活躍を期待しているよ」
「わかった」
そうして俺は退室した。
地元の基盤を根底から覆しかねない重要ファイルIRIS。
処分を急がねば。
俺は車に乗ると電話をかける。
「俺だ、頼みたい事があるんだが……」
誰も手出し出来ないと思い込んでるユニティ。
油断している今がいい機会だ。
手段はいくらでもある。
俺がするべきことはIRISの真意を気取られない事。
望むことはIRISの消失。
それは皇帝や女帝、教皇や女教皇にも知られていない真実。
その為の多少の被害はやむを得ない。
むしろ被害がデカければデカい方が良い。
それはIRISの真意に比べたら致命傷には至らない。
多少厄介事を押し付けらえたが俺はそれを淡々とこなすのみ。
死神の鎌は今も貴様の喉元を狙っているぞユニティ。
(4)
「なんだこれ?」
私は恵美が用意したコスチュームのような物を手にしていた。
「サイズ合わせしたいから皆一度着てみて」
私の他に来てるのは愛莉、神奈、亜依、白鳥の計6人。
それぞれが服を着てそして笑い合ってる。
「何のつもりだよ恵美。こんな時にコスプレ大会か!?」
「私は大まじめのつもりよ?美嘉」
恵美が真顔で言う。
「こんなのを着て何をしようというのですか?」
「そうね、まずはこれを見て」
プロジェクターに映し出されたのはここからそう遠くない場所にある小さな建物。
「これは、アーバニティの活動拠点の一つよ」
恵美が説明する。
「それがどうしたんだ?」
私が聞くと恵美はにやりと笑って答えた。
「簡単に言うと私達6人でここに乗り込む」
本当に簡単な説明だな。
「相手は銃装備してるんだよ?そこに私達だけで乗り込むなんて危険だよ」
愛莉が言う。
「そこでその衣裳の出番なわけ」
「どういうことだ?」
私が聞くと恵美が説明を始める。
「そのスーツ銃弾も弾く特殊な素材で出来ていてね。それだけじゃない、暗視装置やバイタルサインをモニターしたり泡で傷口を密封する機能なんかも備えているの」
「デザインはなんか関係あるのか?」
「適当にアニメ見てからデザインしたわ」
やっぱコスプレじゃねーか!
「彼等はユニティの弱点は女性陣だと思ってる。違う?」
「そうだね」
愛莉が答える。
「だから私達もそれに対抗する手段があってもいいと思うの。ここら辺で力を示しておく必要があると思う」
恵美は真面目に考えているようだ。だけど……。
「正志は承諾したのか?」
「それはもちろんよ。念のため新條も連れて行くし」
あくまで女性だけに拘るんだな。
「これは私達の今後に関わる戦い。これ以上女性に的を絞らせないためにも」
「私はいいよ~。これなんか可愛いし」
愛莉は乗り気だ。
「どんなポーズがいいかな~?」と決めポーズを考えている。
「まあ、これなら素性もばれないしいいか」
神奈も乗り気だ。
白鳥と亜依もなんだかんだ言ってスーツを気に入ってるらしい。
まあ、女性だけ舐められっぱなしってのも癪だしな。
「いっちょやてみようか?」
私が言うと皆が頷いた。
「決行はいつだ?」
「今夜よ!」
恵美は力強く言う。
「潜入手段は?」
「それなら私がつてを使ってパーティチケット人数分確保しておいた。恵美に頼まれていたから」
亜依が言う。
「向こうについてから着替えるのか?」
私が聞くと恵美が「手元のスイッチを押して」という。
言われたとおりに押すとそれは一瞬にしてブレスレットに替わった。
もう恋愛物でもなんでもないただのヒーロー物のノリだな。
まあ、スプーキーなんてものを一個人が所有してる時点でとんでも物だけど。
「じゃ今夜20時に現地集合で」
恵美がそう言うと皆うなずいた。
女の意地見せてやるぜ。
(5)
冬夜君に現地まで連れて行ってもらう。
「愛莉本当に大丈夫なのか?」
冬夜君が心配している。
「ちょっと行ってくるね」
私はそう言うと車を降りる。
私達の『開演』の時間は20分。
その時間を過ぎたら警察が踏み込むことになっている。
私達6人はパーティチケットを見せて中に入る。
みんながみだらな行為をしている。
表現するのも嫌なくらい。
私達に手を出してくる者もいる。
全員退けたけど。
新條さんは別行動にでた。
彼女には別の任務が待っている。
パーティの会場に行くと大音量のトランスと呼ばれる曲が流れていた。
みんなハイテンションになっていてやりたい放題の状態の中私達はステージに向かう。
そしてステージに上がろうとするとアーバニティのメンバーに肩を掴まれた。
咄嗟にその男を投げ飛ばしてしまった。
すると会場の電源が落ちる。
「皆今よ!変身!」
特にポーズは決めてなかったけど手元の腕輪のボタンを押す。
それぞれに割り当てられていた色のスーツが身を包む。
私はピンク、神奈はグリーン、恵美は赤、白鳥さんは黄色、美嘉さんは青、そして亜依は白。
衣裳にフリフリがついていたりするのは恵美の趣味らしい。
後露出が多い。
タイツのような素材で覆われているけど。
「てめーらの悪事もここまでだ!」
美嘉さんが怒鳴るけど、皆なんかのサプライズだと思っているのだろう?誰も気にも留めず盛り上がっていた。
顔色を変えたアーバニティのメンバーが掴みかかってくるとそれを蹴り飛ばす。
機械骨格が威力を底上げしていて、相手は思いっきり吹き飛ぶ。ちょっと加減しないとダメかな?
一人蹴飛ばすとさすがに静まり返りそして悲鳴を上げて客が一目散に逃げだす。
向かってくるのはアーバニティの連中。
棍棒やスタンガン等で応戦してくるが、拳銃じゃないだけまだましか?
格闘術は各々会得していた。
神奈もこんなコスプレをして吹っ切れたのか思いっきり暴れている。
手元に仕込まれてあるスタンガンで気絶させたり、冬夜君が良くゲームで言ってた無双状態ってやつかな?
しかしそんな時間もすぐに終わる。
相手が拳銃を持ち出してきた。
問題ない。それが私達の計画なのだから。
敵は発砲してくる。
だけどリキッドアーマーがそれを防いでくれた。
私達6人は拳銃を持った6人に飛び掛かりそれぞれ敵を倒す。
そうこうしている間に予定の20分を過ぎた。
「警察だ!全員その場を動くな!!」
私達は一目散に舞台裏に隠れる。
誰もいないところで変身をとくと何事もなかったように建物を出る。
建物の外も騒然としていた。
検挙されていた客と店員。その中を混ざって冬夜君達の下に駆け寄る。
「怪我してないかい?」
「大丈夫だよ~」
冬夜君に抱き着く。
「皆お疲れ様」
恵美がそう言う。
「結構面白かったな。またやろうぜ!」
美嘉さんが言う。
「おいおい、心配するこっちの身にもなってくれよ」
渡辺君が美嘉さんを窘める。
「神奈もだぞ。変身姿見て見たいけど」
「絶対お前の前ではしないから安心しろ」
誠と神奈が話してる。
「春奈。けがないっすか?」
「問題ないよ。スーツが無くても楽勝だった」
白鳥さんは汗すら書いてない。
「亜依!俺にも見せてくれよ変身姿!」
「蹴飛ばされてもいいなら見せてやるけど」
そう言えば桐谷君はそういうの好きだったね。
「皆さん無事で何よりでした」
石原君がそう言うと、体が突然重くなったかのようにその場に座り込む。
「長時間使用にはまだ研究不足ようね」
そういう恵美もへとへとのようだ。
「じゃ。今日はもう帰るぞ」
「なんだよ!打ち上げくらいさせろよ!」
「お前もうへとへとじゃないか!ダメだ!また今度な」
渡辺夫妻はそう言って帰っていった。
「愛莉立てる?」
平気だよ~って言いたいけど体に力が入らない。
そんな私をお姫様抱っこしてくれる冬夜君。
「あんまり無理するなよ?見ててハラハラする」
「は~い」
冬夜君と家に帰る頃には少しはましになっていた。
事件は早速ニュースになっていた。
アーバニティの実態と称されたそのニュースは特集を組まれてあった。
冬夜君はそのニュースを険しい表情で見ている。
「どうしたの?」
「愛莉は気にならない?」
「なにが?」
「アーバニティの実態をあれだけ隠蔽してきたのにどうぞと言わんばかりに公開している」
「もう隠しきれないからなじゃないの?」
「だといいんだけどな……」
冬夜君は難しい顔をしている。
そんな冬夜君に私は魔法をかけるの。
冬夜君に思いっきり抱き着く。
「ど、どうしたんだ愛莉?」
「お嫁さんがへとへとなんだよ~。構ってよ~」
「あ、ああそうだな」
冬夜君は私をベッドに寝かせるとマッサージを始める。
「これでもう女性陣が弱点なんて言わせないね?」
「どうかな?」
「ほえ?」
「もっとピンポイントで狙ってくる気がするんだ」
私達のやったことは無意味って事?
「いや、女性にも自衛の手段があるって思わせたことは確かだと思うよ」
「うん」
冬夜君のマッサージは優しくて上手で気持ちよくて。
疲れがやはり溜まっていたのだろうか?
そのまま寝てしまった。
この日の冬夜君は優しくて。
そんな私を抱きしめたまま眠ってくれた。
「冬夜君時間だよ~」
愛莉に言われて目を覚ませばまだ深夜じゃないか。時計を見ても間違いなかった。
愛莉は服を脱ぎ捨て外行き用のカーゴパンツとロングTシャツを着ている。
そんな愛莉をぼーっと見てると愛莉から叱られる。
「ちゃんと準備しないとダメだよ!遅刻しちゃう。運転手が遅刻なんて洒落にならないよ」
愛莉に言われて。思い出したかのように着替えを始める僕。
今日は作戦の決行日。
僕達はそっと外に出ると新條さんに付き添われて夜道を歩く。
すると近所の公園に不釣り合いな装甲車が止まっている。
「君が片桐君?運転任せるよ。テクニックは聞いてる」
装甲車の運転なんてしたことないぞ。
それでもエンジンをかけると、アクセルを軽く吹かす。
……なるほどね。
「もう出ますよ」
「ああ、こっちの準備は問題ない」
兵隊の人が言うとゆっくりと目的地に向かった。
運転をしている間も、警察の無線を傍受したリ、やりたい放題の面々。
摘発の時刻も決められていた。
2400丁度にうちの攻撃を先導に検挙が行われるそうだ。
目的に着いた。
主だった見張りはついてない。
石原君が敵とサイトカメラ。を全て潰したらしい。
てことはこっちの存在は読まれているわけか。
班ごとに陣取って入るらしい。
後はGOサインが出れば行ける。
そう兵隊の人は言う。
空にはこんな時間にジェット機?と思われるものが辺りを周回してる。
今回の作戦の目玉であるAC-130UスプーキーⅡだ。
これによる敵陣の精密射撃を行う。
その時に指示を飛ばすであろうネットワークを誠が乗っとる手はずだ。
出来れば敵のサーバーを丸ごと掻っ攫いたいという思惑もあって皆やってきた。
そしてやってくるであろう、石原君の最大の敵「アズライール」も潜伏してるはずだ。
石原君は集中していた。
全神経を尖らせて標的の索敵を試みる。
此方の動きはまだ気取られていない。
2359。皆に緊張が高まる。
渡辺君がスコープを手に相手の様子を探っている。
内通者でもいるのだろうか?敵の警戒が極度に高い。
2400。時間になった
「じゃあ、はじめようか」
渡辺君が開始の合図を送る。
25㎜ガトリング砲の掃射が始まる。
慌てふためくアーバニティ・紅会のメンバーたち。
そりゃ真夜中に空襲なんて戦前の日本じゃあるまいし誰も予想しないよね。
むしろよく飛んでいられるよなと思うけどあまり深く考えないことにした。
テンションの上がる晶さんと恵美さん。
「いいよ、そのまま敵を壊滅させちゃいなさいな」
恵美さんはそう指示を飛ばす。
愛莉も気分が高揚しているようだ。
ここが敵陣だという事も忘れて浮かれている女性陣とは対照的に緊張感の走る男性陣。
「皆さん伏せてください!装甲車に戻って!」
石原君が叫ぶ。
敵にここを察知されたらしい。
数にして2個小隊が襲い掛かってくる。
石原君はアサルトライフルを手に応戦する。
酒井君も応戦する。
僕達は銃を持った相手に何もすることが出来ないので走行車両に乗り込み待機する。
夜目になれた石原君たちは暗視スコープを持たずに次々と敵を仕留めていく。
防戦に回る石原君は放られた手榴弾を空中で狙撃するほど。
逆に酒井君は闇夜を駆け抜け敵を強襲し一人ずつ仕留めていく。
誠は一人電波の傍受を担当する。
エシュロンを乗っ取り電波の傍受をする。
だが、誠は気づく。
アーバニティに関係した検索ワードが次々と消されてそして「くたばれ」と残されたメッセージに。
誠はすぐにエシュロンから逃亡し足跡を消す。
「ここはまずい!場所を変えた方が良い!」
誠が言う。
「皆さんは先に行ってください!ここで足止めします!あとで合流しましょう」
石原君が言うと、皆を乗せた装甲車を走らせ逃走を図る。
山に向かって逃走する。
「皆揺れるから捕まって」
お前に命を吹き込んでやる!
逃走しながらも搭載された機銃で応戦する兵隊たち。
粗方一掃すると車を反転させ。石原君達の下に戻る。
戻った先に残っていたのは石原君と酒井君、それに兵隊の何人かだった。
こっちの人的被害はないらしい。
掃射は粗方終わっていたらしい。
爆発炎上する数台の車両に建物の残骸。
「とどめよ!例のあれをぶち込んでやって!」
恵美さんが叫ぶ。
例のアレ?
何のことだ?
まだなにかするつもりか?
その意味を理解していた石原君が叫ぶ。
「皆撤収してください!ここも危険だ!」
残っていた兵も慌てて逃げ出す。
M102 105mm榴弾砲
これだけ大きな施設も一撃で吹き飛ばす危険な兵器。
いやいや、さすがにまずいでしょ。
落とされた榴弾は爆発し金属片をばらまきながら辺りを焼き尽くす。
こうして夜間の襲撃は無事に成功に終わった。
(2)
「いや、昨夜のあれはすごかったな」
渡辺君はそう言って学食に現れた。
凄いの一言で済ませるあたりが凄いけどね。
「ユニティに逆らっても割にあわない。まさにその通りになったわね」
恵美さんは得意顔で言っている。
原因不明の爆発事故。
世間ではそう報道されている。
しかしネットではアーバニティに対するユニティの報復攻撃と噂されている。
もうただの縁結びのグループではなくなったな。
僕は一人苦笑する。
ただ気になることが一つある。
石原君の言っていたアズライールが現れなかったこと。
そして赤い髪の悪魔も出てこなかった。
それは一斉摘発でも炙り出せなかったらしい。
奴らの本拠地はまだ他にある?
赤い髪の悪魔については誠と恵美さんがスマホを使って身元を確認中だけどアズライールに関しては全く情報が無い。
いまさらながら思えばあんな山奥に司令部があるという事自体が不自然だ。
機動性にどうしても劣るはず。
設備も誠に確認させたけど大した設備はなかった。
ただの武器格納庫。そう表現した方がいいだろう。
やつらはまだ生き残っている。
それは間違いないだろう。
そしてそれはこれからも攻撃が止むことは無いことを意味する。
まだ僕達の平和は保証されていない。
「冬夜君どうしたの?」
愛莉が聞いてくる。
「うん?ちょっと考え事してただけ?」
「話せよトーヤ。お前の考え事はろくなことじゃないんだから」
カンナが言うので正直に答えた。
「いや、敵の本拠地まだ別にあるんじゃないのか?と思っただけ」
そう言うと皆に表情が強張る。
「それってまだ戦いは終わらないってことですか?」
真鍋君が言う。
「そうなるね」
「でも一時的に敵の機能を麻痺させたんじゃ……」
竹本君が言う。
「誠にも確認した。指示系統の通信は一切なかった。あそこから指示を飛ばしていたとは考えにくいってさ」
だからこそ誠も逆にこっちを察知された。
「そうですか……」
真鍋君の表情が暗い。
「そう悲観することもないさ。ネットの噂を過信してるわけじゃないがユニティを敵に合わすのは割にあわねくらいには思わせただろ」
渡辺君は言う。
「そうですよね。これでユニティへの攻撃の抑止力にはなりますよ」
花菜さんが言う。
部外者にはそう思わせたかもしれない。
だがアーバニティの連中はどう考えているか?
それがどうしても気になって仕方なかった。
(3)
「こっぴどくやられた様だね」
目の前に鎮座する男がそう言う。
返す言葉が無かった。
地元の全支部を検挙されそして仮とはいえ本部を空爆された。
ネットやマスコミ関係ではIRISの存在を仄めかすコメントもされている。
俺は消されるな。
ここまで作戦を悉く失敗させたんだ
それも仕方ない。
だが、男は言った。
「ユニティの力をまだ侮っていたのかもしれないね」
ただの一サークル、その実態は全容を解明されていない。
江藤家と志水家、それに地元銀行と白鳥家。
一度に相手するだけでも骨を折る作業だ。
しかし今はそれどころじゃないはず。
IRISがマスコミに渡ってしまった。
その事をどう隠蔽するかだ。
「IRISの件は俺に任せて。君はIRISの奪取に尽力して、あれの真意に彼らはまだ到達してない」
「わかった。あんたの言う通りにしよう『賢者』」
となるとやはり狙いは森羅と香崎か……。
「まだ彼等は知らない。隠者は一人だという事を」
「ドラゴンはなんて言ってるんだ?」
「父さんは今それどころじゃないよ。マスコミの恰好の餌だからね」
「あんたはこれからどうするつもりなんだ?アーバニティを」
「どうもしない、これまで通り運営していくさ」
君もこれまで通りでいい。と賢者は言う。
しかしIRISはどうするつもりだ。
「IRISの始末の仕方もこれまで通りでいい。奴らに感づかれないことが重要だ。どれだけIRISに秘密が詰まっているのかを」
その重要なファイルに辿り着かせないことが最重要だと賢者は言う。
「ユニティの報復はこっちの体制が復旧してから考えるよ。彼等の事もう一度調べる時間も欲しいしね」
この期に及んでまだ何か隠し持っていることがあるというのか?
「死神は何度でも鎌を向ける。運命は変えられない。彼等の待つ未来は破滅の未来。そうだね?」
「……そうだな」
「アズライールも動き出すだろう。活躍を期待しているよ」
「わかった」
そうして俺は退室した。
地元の基盤を根底から覆しかねない重要ファイルIRIS。
処分を急がねば。
俺は車に乗ると電話をかける。
「俺だ、頼みたい事があるんだが……」
誰も手出し出来ないと思い込んでるユニティ。
油断している今がいい機会だ。
手段はいくらでもある。
俺がするべきことはIRISの真意を気取られない事。
望むことはIRISの消失。
それは皇帝や女帝、教皇や女教皇にも知られていない真実。
その為の多少の被害はやむを得ない。
むしろ被害がデカければデカい方が良い。
それはIRISの真意に比べたら致命傷には至らない。
多少厄介事を押し付けらえたが俺はそれを淡々とこなすのみ。
死神の鎌は今も貴様の喉元を狙っているぞユニティ。
(4)
「なんだこれ?」
私は恵美が用意したコスチュームのような物を手にしていた。
「サイズ合わせしたいから皆一度着てみて」
私の他に来てるのは愛莉、神奈、亜依、白鳥の計6人。
それぞれが服を着てそして笑い合ってる。
「何のつもりだよ恵美。こんな時にコスプレ大会か!?」
「私は大まじめのつもりよ?美嘉」
恵美が真顔で言う。
「こんなのを着て何をしようというのですか?」
「そうね、まずはこれを見て」
プロジェクターに映し出されたのはここからそう遠くない場所にある小さな建物。
「これは、アーバニティの活動拠点の一つよ」
恵美が説明する。
「それがどうしたんだ?」
私が聞くと恵美はにやりと笑って答えた。
「簡単に言うと私達6人でここに乗り込む」
本当に簡単な説明だな。
「相手は銃装備してるんだよ?そこに私達だけで乗り込むなんて危険だよ」
愛莉が言う。
「そこでその衣裳の出番なわけ」
「どういうことだ?」
私が聞くと恵美が説明を始める。
「そのスーツ銃弾も弾く特殊な素材で出来ていてね。それだけじゃない、暗視装置やバイタルサインをモニターしたり泡で傷口を密封する機能なんかも備えているの」
「デザインはなんか関係あるのか?」
「適当にアニメ見てからデザインしたわ」
やっぱコスプレじゃねーか!
「彼等はユニティの弱点は女性陣だと思ってる。違う?」
「そうだね」
愛莉が答える。
「だから私達もそれに対抗する手段があってもいいと思うの。ここら辺で力を示しておく必要があると思う」
恵美は真面目に考えているようだ。だけど……。
「正志は承諾したのか?」
「それはもちろんよ。念のため新條も連れて行くし」
あくまで女性だけに拘るんだな。
「これは私達の今後に関わる戦い。これ以上女性に的を絞らせないためにも」
「私はいいよ~。これなんか可愛いし」
愛莉は乗り気だ。
「どんなポーズがいいかな~?」と決めポーズを考えている。
「まあ、これなら素性もばれないしいいか」
神奈も乗り気だ。
白鳥と亜依もなんだかんだ言ってスーツを気に入ってるらしい。
まあ、女性だけ舐められっぱなしってのも癪だしな。
「いっちょやてみようか?」
私が言うと皆が頷いた。
「決行はいつだ?」
「今夜よ!」
恵美は力強く言う。
「潜入手段は?」
「それなら私がつてを使ってパーティチケット人数分確保しておいた。恵美に頼まれていたから」
亜依が言う。
「向こうについてから着替えるのか?」
私が聞くと恵美が「手元のスイッチを押して」という。
言われたとおりに押すとそれは一瞬にしてブレスレットに替わった。
もう恋愛物でもなんでもないただのヒーロー物のノリだな。
まあ、スプーキーなんてものを一個人が所有してる時点でとんでも物だけど。
「じゃ今夜20時に現地集合で」
恵美がそう言うと皆うなずいた。
女の意地見せてやるぜ。
(5)
冬夜君に現地まで連れて行ってもらう。
「愛莉本当に大丈夫なのか?」
冬夜君が心配している。
「ちょっと行ってくるね」
私はそう言うと車を降りる。
私達の『開演』の時間は20分。
その時間を過ぎたら警察が踏み込むことになっている。
私達6人はパーティチケットを見せて中に入る。
みんながみだらな行為をしている。
表現するのも嫌なくらい。
私達に手を出してくる者もいる。
全員退けたけど。
新條さんは別行動にでた。
彼女には別の任務が待っている。
パーティの会場に行くと大音量のトランスと呼ばれる曲が流れていた。
みんなハイテンションになっていてやりたい放題の状態の中私達はステージに向かう。
そしてステージに上がろうとするとアーバニティのメンバーに肩を掴まれた。
咄嗟にその男を投げ飛ばしてしまった。
すると会場の電源が落ちる。
「皆今よ!変身!」
特にポーズは決めてなかったけど手元の腕輪のボタンを押す。
それぞれに割り当てられていた色のスーツが身を包む。
私はピンク、神奈はグリーン、恵美は赤、白鳥さんは黄色、美嘉さんは青、そして亜依は白。
衣裳にフリフリがついていたりするのは恵美の趣味らしい。
後露出が多い。
タイツのような素材で覆われているけど。
「てめーらの悪事もここまでだ!」
美嘉さんが怒鳴るけど、皆なんかのサプライズだと思っているのだろう?誰も気にも留めず盛り上がっていた。
顔色を変えたアーバニティのメンバーが掴みかかってくるとそれを蹴り飛ばす。
機械骨格が威力を底上げしていて、相手は思いっきり吹き飛ぶ。ちょっと加減しないとダメかな?
一人蹴飛ばすとさすがに静まり返りそして悲鳴を上げて客が一目散に逃げだす。
向かってくるのはアーバニティの連中。
棍棒やスタンガン等で応戦してくるが、拳銃じゃないだけまだましか?
格闘術は各々会得していた。
神奈もこんなコスプレをして吹っ切れたのか思いっきり暴れている。
手元に仕込まれてあるスタンガンで気絶させたり、冬夜君が良くゲームで言ってた無双状態ってやつかな?
しかしそんな時間もすぐに終わる。
相手が拳銃を持ち出してきた。
問題ない。それが私達の計画なのだから。
敵は発砲してくる。
だけどリキッドアーマーがそれを防いでくれた。
私達6人は拳銃を持った6人に飛び掛かりそれぞれ敵を倒す。
そうこうしている間に予定の20分を過ぎた。
「警察だ!全員その場を動くな!!」
私達は一目散に舞台裏に隠れる。
誰もいないところで変身をとくと何事もなかったように建物を出る。
建物の外も騒然としていた。
検挙されていた客と店員。その中を混ざって冬夜君達の下に駆け寄る。
「怪我してないかい?」
「大丈夫だよ~」
冬夜君に抱き着く。
「皆お疲れ様」
恵美がそう言う。
「結構面白かったな。またやろうぜ!」
美嘉さんが言う。
「おいおい、心配するこっちの身にもなってくれよ」
渡辺君が美嘉さんを窘める。
「神奈もだぞ。変身姿見て見たいけど」
「絶対お前の前ではしないから安心しろ」
誠と神奈が話してる。
「春奈。けがないっすか?」
「問題ないよ。スーツが無くても楽勝だった」
白鳥さんは汗すら書いてない。
「亜依!俺にも見せてくれよ変身姿!」
「蹴飛ばされてもいいなら見せてやるけど」
そう言えば桐谷君はそういうの好きだったね。
「皆さん無事で何よりでした」
石原君がそう言うと、体が突然重くなったかのようにその場に座り込む。
「長時間使用にはまだ研究不足ようね」
そういう恵美もへとへとのようだ。
「じゃ。今日はもう帰るぞ」
「なんだよ!打ち上げくらいさせろよ!」
「お前もうへとへとじゃないか!ダメだ!また今度な」
渡辺夫妻はそう言って帰っていった。
「愛莉立てる?」
平気だよ~って言いたいけど体に力が入らない。
そんな私をお姫様抱っこしてくれる冬夜君。
「あんまり無理するなよ?見ててハラハラする」
「は~い」
冬夜君と家に帰る頃には少しはましになっていた。
事件は早速ニュースになっていた。
アーバニティの実態と称されたそのニュースは特集を組まれてあった。
冬夜君はそのニュースを険しい表情で見ている。
「どうしたの?」
「愛莉は気にならない?」
「なにが?」
「アーバニティの実態をあれだけ隠蔽してきたのにどうぞと言わんばかりに公開している」
「もう隠しきれないからなじゃないの?」
「だといいんだけどな……」
冬夜君は難しい顔をしている。
そんな冬夜君に私は魔法をかけるの。
冬夜君に思いっきり抱き着く。
「ど、どうしたんだ愛莉?」
「お嫁さんがへとへとなんだよ~。構ってよ~」
「あ、ああそうだな」
冬夜君は私をベッドに寝かせるとマッサージを始める。
「これでもう女性陣が弱点なんて言わせないね?」
「どうかな?」
「ほえ?」
「もっとピンポイントで狙ってくる気がするんだ」
私達のやったことは無意味って事?
「いや、女性にも自衛の手段があるって思わせたことは確かだと思うよ」
「うん」
冬夜君のマッサージは優しくて上手で気持ちよくて。
疲れがやはり溜まっていたのだろうか?
そのまま寝てしまった。
この日の冬夜君は優しくて。
そんな私を抱きしめたまま眠ってくれた。
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