優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

揺るがない愛

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(1)

「おはよう冬夜君、朝だよ」
「おはよう愛莉」

冬夜君を呼ぶとすぐに起きてくれる。
私の声に呼応して目を開ける。
ベッドから出ると着替える。
ベンチコートはもう必要ないくらいまで気温は上がっていた。
パーカーを羽織るくらいで十分だ。
1時間くらい走ってストレッチすると家に帰る。
冬夜君がシャワーを浴びている間に朝食の準備をする。
冬夜君が戻ってくるころには冬夜君の両親も起きてくる。
皆で朝食を食べて食べ終えると私はシャワーを浴びる。
そしてコーヒーを注いで部屋に戻ると冬夜君はいつも通りテレビを見ている。
私に気がつくとありがとうと言ってコーヒーを受け取る。
コーヒーを飲み終えると体育館に急ぐ。
体育館の前で待っていると佐倉さんと水島君がやってくる。

「今日は早いんですね」

佐倉さんが玄関のカギを開けると二人は更衣室に急ぐ。
その間に軽く佐倉さんと雑談する。

「遠坂先輩週末はどう過ごされるんですか?」
「冬夜君のトレーニングに付き合って、あとは家でのんびりかな?」
「トレーニングの内容ちょっと変えようと思うんですけど……」

佐倉さんからメニューを渡される。
少し軽くなってた。
月末の遠征に向けての調整だろう。

「ピークを遠征に持って行きたいので」と佐倉さんは言う。

食事についても色々アドバイスを聞く。
それは私だって資格を取ってるから分かるよ。

「そうでしたね」と佐倉さんは笑う。

その間に二人がやってくる。他のメンバーもやってくる。
ストレッチをして個人練習を始めると女バスの皆もやってくる。
この5日間の間に随分打ち解けたものだ。
皆ではしゃいでいると女バスの監督がやってくる。

「さっさと練習する!」

監督さんがそう言うと女バスの皆は慌てて練習を始める。
昼休憩に入ると控室でミーティング。
来週の試合についての打ち合わせだ。

「相手は皆身長が高いです。センターも2M越えてます。しかもオールコートプレス仕掛けてきます。セットプレイも上手です」

DVDを見ながら解説する佐倉さん。

「対応策はあるのかい?」

木元先輩は聞く。

「基本戦術しかないでしょうね。パスランでいかに相手をかき回すかにかかってると思います。マークにつかれる前にパスを出す。マークがつかれないように走る。うちの基本戦術です」
「打ち合いの戦術か」
「片桐先輩ありきの戦術になるんですけど……」

佐倉さんが言葉を濁す。

「何か問題があるの?」
「先輩月末に3連戦でしょ?ピークをそこに持って行きたいからフル出場させるのはどうかと思って」
「それなら大丈夫だよ、愛莉がちゃんと見てくれる」
「遠坂先輩にはメニューを渡しました。軽めのトレーニングで調整に入ってください」
「……わかった。でも試合はでるよ。大分体力もついてきたし」

40分走るくらいわけないよと冬夜君は言う。

「木元先輩も入ってもらいます、藤間先輩はお休みです。木元先輩の動きよく見ててください」
「おっけ~」
「あとは、赤井先輩きついかもしれないけど……」
「体力的には問題ない。心配いらねーよ」
「じゃあ、木元先輩最後の引退試合です。皆さん勝ちに行きましょう」
「おう!」

自らを鼓舞すかのように雄たけびを上げる皆。
冬夜君も自分に気合を入れる。

「片桐先輩は軽く流す程度でいいですからね」と佐倉さんが指示するも
「皆テンション上がってるのに流すだけですまないでしょ」と言う。

来週が楽しみだ。

(2)

今日も春樹のお見舞いに行った。
電車で別府までやってきて、そこからタクシーで。
病室に入ると小柄な女の子が一緒にいた?
女の子は私に気がつくと挨拶した。

「あなたが咲良さん?兄がいつもお世話になってます。私春の妹の涼夏。よろしくお願いします」
「はじめまして~、神崎です~。よろしくお願いします~」
「じゃあ、二人でゆっくりしててください。私はそろそろ帰ります」
「待てよ涼夏。もう少しゆっくりしてけよ」
「受験生に遊んでいけって言うの?」
「私も少しお話したいし~、ケーキも買ってきたからどうです~?」
「……それなら」

少し色黒な女の子は椅子に座りなおす。

「涼夏さんは何か運動されてるんですか~?」
「硬式テニスを少し」
「こう見えてもインハイの常連なんだ」

よく見ると筋肉質の体形をしていた。

「将来はテニスで飯を食っていくんだよな」
「いけたらいいなとおもってるだけだよ」

妹には甘いらしい。
その後も妹自慢が続いた。
妹のことになると饒舌になるらしい。
涼夏さんの私に対する第一印象はどうなんだろう?

「それにしても春兄よくこんな可愛い彼女できたね?」
「そうだろう?咲良だけなんだ、俺の本音を言えるのは」

嬉しい事いってくれるじゃないですか~。
春樹の話は妹自慢から彼女自慢に変わった。
聞いてるこっちが恥ずかしい。

「私立大でプリンセスって言われてるんだぜ?去年のミスコンもグランプリになった」
「すごい!」

その事は振れないで欲しかった。誰にでも媚びていた自分を偶に呪う時がある。たった一人に愛されるだけでいい。そう思った時からミスコンもどうでもよくなっていた。

「ちょっと彼女借りてもいいかな?春兄」
「いいけど、あんまり変な事吹き込むなよ?」
「分かってるって。咲良さんちょっといいですか?」
「いいけど……」

そう言て病室を出る。
何があるんだろう?



ジュースを買うと涼夏に渡す。

「ありがとうございます」

涼夏さんは礼を言うとジュースを受け取り椅子に座った。

「単刀直入に聞きます。春兄のどこを好きになったんですか?」
「え?」
「誰に対しても、冷たくて。美人てだけじゃ靡かない。そんな春兄相手にどうやって口説き落としたんです?」
「う~ん、第一印象は最悪だった」
「え?」
「涼夏さんの言う通り、自信家で嫌な性格だった。口説かれたのは私」
「そうなんだ……春兄が口説くなんて……、どうやって口説かれたんですか?」

私は涼夏さんに春樹とのなれそめを話した。

「なるほど~。春兄らしいですね」

そう言って涼夏さんは納得した。

「春兄の悪い所なんです。自分はモテるって自信過剰になってるところ。どいつもこいつもウザいって思ってるところ。そんな春兄に恋人が出来たって時はびっくりしましたよ」
「自信過剰なところはありましたね~」
「若干中二病入ってるんですよね。クールぶりたいところとか特に。そんな春兄をあそこまで情熱的にさせた咲良さんて凄いと思いますよ」
「そうかな~?」
「そうですよ」

涼夏さんは空き缶をごみ箱に捨てるとスマホを取り出した。

「連絡先交換しませんか?春兄の事で何かあるかもしれないし」
「いいですよ~」

そう言って涼夏さんと連絡先を交換する。

「じゃあ、私帰りますね。後はお二人でごゆっくり~。春兄によろしく」

そう言って涼夏さんは帰って行った。
私は病室に戻ると春樹が一人テレビを見ていた。

「あれ?涼夏は?」
「帰りましたよ~」
「……何か言ってたか?」
「春樹によろしくって~」
「いや、そうじゃなくて……」
「女性同士の秘密です~」

春樹はテレビを消すと、私を見た。

「ところで毎日お見舞いに来て大丈夫なのか?」
「私の心配するより自分の心配したらどうですか~?」
「……すまんな」
「なにが?」
「色々世話になったらしいから、渡辺班に」

ああ、昨日のやり取りメッセージでみたんだな。

「気にすることないですよ~」
「そうか……」

その後春樹と面会時間ギリギリまで話をした。

「じゃあ、そろそろ帰りますね~」
「咲良!」
「どうしました~?」
「……ありがとうな」
「いえいえ、じゃあまた明日~」

そう言って病室を出て家に帰る。
タクシーを呼んで乗ると別府駅までお願いする。
春樹と出会った当時の頃を思い出していた。
その時の春樹に今の春樹の面影はなく。
私に振られて狼狽える春樹がいた。
どっちが等身大の春樹なのかは分からない。
でもどっちでもいいやと思う。
どっちの春樹も素敵だから。
私は……今の自分に満足してる。
たった一人、春樹のお姫さまでいられたらいい。
私も一年で随分変わったな。
一人笑いながら。家に帰った。

(3)

「ただいま~」

僕が帰ると咲が一人奮闘して夕ご飯を作っていた。

「手伝おうか?」
「こっちはいいから、着替えてきなさい。汚れたままで家の中うろうろしないで」
「じゃあ、着替えを……」
「着替えは私が用意しとくからそのままバスルーム行っちゃって」

そう言われたので脱衣室で服を脱ぐとそのまま洗濯機に放り込む。
そしてシャワーを浴びていると「着替えここに置いとくね」と咲が言う。
シャワーを浴びて用意されている着替えを着ると。夕ご飯の仕度が出来ている。

「いただきます」

そう言ってご飯を食べる。

「咲大丈夫?部活とバイトと家事の両立」
「家事は悠馬も手伝ってくれるから大丈夫だよ」
「それならいいんだけど……体壊されたら大変だから」
「心配してくれてるんだ。ありがとう」

春休みは稼ぎ時だ。バイトを目一杯入れられる。
でも休日は二人で合わせよう。
そう決めていた。

「ところで今度の休み大丈夫?」」
「ああ、明日から3連休とったよ」
「そう、じゃあ一緒に応援行けるね」
「そうだね」

応援て言うのは地元大バスケ部の引退試合の事だ。
木元先輩の最後の試合。皆で見に行こうって渡辺班で言ってた。
木元先輩は来月から晶さんの親の会社で働くらしい。
渡辺班に不可能は無いんじゃないかと思えて来た。
もちろん自分の努力も必要だけど。

「残りの二日はどうするの?」

そうだね……

「土曜日は家でのんびり過ごすとして、一日くらい遊びに行こうか?」
「私行きたいところあるんだけど」
「どこ?」
「津久見のイルカ島」
「なんで?」
「地元の水族館でもよかったんだけど、そこはいつでもいけるしさ」
「水族館に行きたいの?」
「好きな人と水族館って憧れるじゃない」

好きな人か……。
咲には今までいなかったのかな?

「咲は僕以外に付き合った人いなかったの?」
「居ることは要るけど、好きになったのは悠馬が初めてかな~。その好きな人と結婚までできるとは思わなかったけどね」

そう言って咲は笑う。

「僕は咲が初めてだった。そして初めての人と結婚した」
「あんたそういうの興味なさそうだったもんね。でも好きになった人はいるでしょ?」
「失恋したけどね」

自嘲気味に笑う。

「その顔止めなよ。今は幸せなんでしょ?」

幸せじゃないなんて言ったら喧嘩だな。

「幸せだよ」
「じゃあそれでいいじゃん、もっとにっこり笑いなよ」
「ごめん、上手く笑うのが苦手で……」

そう言うと咲は僕に近づいて来て僕の体をくすぐりだす。

「ちょっと、辞めなよ咲」
「これなら笑えるでしょ!」

笑い転げる僕。
こんな細やかな幸せを渡辺班は僕に運んでくれた。
僕も何かお返しがしてあげたい。

「そんなものは要らないよ。お前たち二人が作った幸せだ。どうしてもっていうならあるけど」
「なんですかそれは?」
「決して揺るがない愛を俺たちに見せてくれ。それがお前たちの最大の幸せだろ?」

そんな会話を渡辺君としていた。
揺るがない愛。
忘れないように。
消えない様に、病まないように。
それが最大の恩返しなのだろう。
そう考えると不思議と心は幸せに染まっていた。

(4)

五日目。

グラナダを出ると地中海を望む白い村ミハスを散策する。
その後マラガに移動しAVEにのってバルセロナまで移動。5時間半の移動だ。
移動が多いこの日は流石に疲れた。
ホテルに着くと二人して眠りにつく。
夜中に目が覚めるとテレビをつける。
何を言ってるか分からないけど。とりあえず眺めていた。
テレビの明るさに気がついたのか晶ちゃんも起きた。

「どうしたの?」
「いや、目が覚めてしまってね」
「時差ぼけ……には遅いわね」
「早く寝たから目が覚めただけだと思う」
「明日はゆっくりできるからゆっくり寝たらいいわ」
「そうするよ」

テレビの騒音にも負けずに明るさにも負けずに晶ちゃんは寝ていた。
晶ちゃんの寝顔を見ていると自分たちが旅行にきている事すら忘れてしまう。
そして自分たちが新婚旅行にきている事すら忘れてしまう。
新婚……僕たちは結婚した。
そんな実感すら湧いてこない。
同棲生活が長勝ったせいだろうか?
自分の左手の薬指を眺める。
そこに結婚の証が確かにある。
やっぱり僕たちは結婚したんだ。

幸せ?

正直なところまだ分からない。
まだ結婚生活を経験していないのだから。
どんな幸せが待っているんだろう?
もう結婚生活は送ってるじゃないか?って?
式を挙げてからはまだだよ。
3次会までやって、次の日寝てて。
次の日の旅行の出発が早いから早めに寝て準備して。
そして今に至る。
帰ってからきっと大変だな。
お礼に言ったり、お礼状書いたり。
今だけ忘れよう。
この現実からかけ離れた旅行に浸ろう。
考え事をしていたら眠くなってきた。
そろそろ寝るとしよう。
花嫁の隣に横になる。
お休み晶ちゃん。
そして瞼を閉じた。

(5)

「真鍋君その図面あとどれくらいで終わる?」
「そうですね、チェックも入れたら1時間もあれば」
「私がチェックする時間も入れて40分で仕上げて頂戴。そのあとに打ち合わせの準備!」
「はい」

真鍋君と原田さんのやりとりを見ている。
何か雰囲気が変わった。
たまに真鍋君がくだらない事を言って原田さんの冷笑を買ってる。
そして、その後に原田さんが笑い出す。
真鍋君も笑っている。
そういう笑顔を許される仲になったんだなぁと、見ていた。
だけどそこに苦しみはもうない。
私の心は真鍋君と言う鎖から解き放たれ椎名さんに包まれている。

「新名さん棚にある化粧板のカタログ全部新しいのに置き換えて」
「はい」
「新名さんこの前取り寄せたサンプルどこにある?」
「それなら備品室に」

その日は残業だった。
深夜に打ち合わせから帰ってくる真鍋君と原田さん。

「お疲れ様です」
「お疲れ様。社長、飯食ったら帰りますよ」
「大丈夫よ、昨日も帰ったじゃない」
「その後図面チェックしてたんですよね?ファイルの更新履歴見ましたよ。
「それは、急いでしないといけないと思ったから」
「明日は中津まで行かなきゃいけないんです。早く寝てください」
「今度はあなたの見張りがあるわけ?」
「それが出来るならそうしたいですね」
「私は構わないわよ」

そう言って原田さんは笑う。
そんな冗談を言える間柄になったんだ。

「皆は夜食とったの?」
「皆社長を待ってました」
「時間も時間だしどこも出前やってないわね。今日はみんなここまでにしてファミレスで食べましょうか?徹夜続いたし」

皆は帰り支度を始める。

「新名さんは俺が送ります」

そう言いながら椎名さんは電話をしている。多分私の家にかけているんだろう。

「分かりました」

真鍋君はそう言う。
ファミレスで夕食を食べて帰る人と再び事務所に戻って作業する人と別れた。
椎名さんも私を送ったら残業らしい。

「椎名さん体大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」

そう言いながら椎名さんは栄養ドリンクを飲んでいる。

「無理しないでくださいね」
「月曜日何かあるの?」

椎名さんが話題を変えてきた。

「渡辺班の人がバスケの試合あるんです。それの応援に」
「ああ、それで真鍋君も休みとってるのね。二人で遊びに行くのかと思ったよ」
「心配しなくても丹下夫妻も一緒ですよ」
「そうか、それなら安心だ」

冗談で言ってるのか本気で言ってるのか分からない椎名さん。
家に着くとお礼を言う、そして……。

「あの、これからは真鍋君じゃなくて椎名さんに送迎してもらってもいいですか?」
「……いいのかい?」
「私の気持ちはこの前お伝えしたつもりです」
「……わかったよ。社長には俺から伝えとく」
「はい、勝手な我儘言ってすいません」
「そういう我儘なら歓迎だよ。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」

そう言って椎名さんは去っていった。

家に帰ると真鍋君にメッセージで伝える。

「今度から送迎椎名さんに頼んだから」
「いいのか?」
「いいの」
「わかった。俺が言うのもなんだけど仲良くやってくれ」
「ありがとう、そっちも仲良くね」
「知ってたのか?」
「そりゃあれだけ見せつけられたら誰だって気づくよ」
「そうか、じゃあまた月曜に」
「おやすみなさい」

別に動揺もしない普通の会話。
やっとそれが出来るようになった。
許し許され、そして新しい恋を受け入れて。
私の恋は次のステップに踏み出す。

(6)

「ああ、またやられた!」

愛莉はゲーム機でRPGをしていた。
映像が綺麗な奴。
正直亀のモンスターを倒す方がはるかに難しいんだけどな。

「変わってやろうか?」
「うぅ、最後ぐらいは自分でやるの!」

今すぐ変わってやりたい。けどあれこれ口うるさく言うのも初心者の愛莉には可哀そうだ。
黙ってもどかしい時間を過ごす。
1時間くらいかかってやっと愛莉はあと一歩のところまで来る。
あと少しだ、頑張れ。
愛莉はやっとラスボスを倒すことが出来た。

「やった~」

愛莉折角だからちゃんとエンディング見ないと。
愛莉はエンディングに見とれている。

「お疲れ様」
「うん」

愛莉は画面から目を離すことのないままエンディングロールまでしっかり見ていた。
そしてエンディングロールが終わると愛莉は「終わった~」と大の字になる。
そんな愛莉に悪戯してやる。

「じゃ、次これだな」

愛莉にゲームソフトを見せる。

「……これ続きあるの!?」
「全部で3部作だよ」
「うぅ……」
「今日はこれで終わりにしてPCゲームしようか?」

時間的に桐谷君達もいるだろうしね。

「うん!」

愛莉はノートPCを起動させる。そしてゲームにログインする。

「お、冬夜達来たな」

スピーカーから流れる桐谷君たちの声。

「さくっと終わらせちゃおうぜ」
「ああ、そうだね」

明日も練習だしね。
急がないと愛莉も眠そうだ。

「愛莉大丈夫か?」
「うん、まだ大丈夫。でも冬夜君夜更かし厳禁だよ」
「分かってる2時間もあれば終わらせてみせる」
「わかった~」

そしてダンジョンに入る。
愛莉は僕の指示と桐谷君のギルドマスターの指示を聞きながら動く。
1時間半くらいでクリアできた。
精算の係の人にアイテムを渡すとお休みと言ってログアウトする。
PCをシャットダウンすると愛莉とベッドに入る。
愛莉はつかれていたらしくすぐに寝た。
少し考えた後愛莉を抱いて僕は寝る。
たまには逆のパターンも良いだろう。
明日はいよいよ木元先輩最後の練習だ。
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