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3rdSEASON
休息の始まり
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(1)
一週間以上に渡る期末試験が終わり。無事に単位を取れた僕たちは長い夏休みに入った。
後期の履修科目はもう決まってある。愛莉の好きなように取らせたんだけど、想像通り。
後期も大変だろうなぁ。
2か月にも及ぶ休暇期間でゆっくり休むとしよう。
……と、言うわけにもいかず
「冬夜君、朝だよ~、ご飯の時間だよ~」
と、朝から元気いっぱいの愛莉。
愛莉の親?当然のように盆の連休は旅行に出かけたよ。
「愛莉ちゃんの事は冬夜君にまかせてだいじょうよね~?」
「う、うむ……娘を頼む」
もう、突っ込む気にもなれない。
うちの親も実家に帰っていない。
僕達もついて行こうかと言ったけど「勝也が来てるかもしれない」と言って断られた。
で、盆の連休はどこも人が混んでるから盆明けから遊びに行こうと愛莉と約束していたのだが。
愛莉はご飯を作ったり洗濯したり掃除したリ。
とにかく働く。
さすがに、それをただ見てるわけとはいかないので手伝おうとするのだけど……。
「冬夜君は期末に頑張ったんだからゆっくりしてて」と……。
期末頑張ったのは愛莉も一緒だろ?
「愛莉一人を働かせるほど、ぐうたら亭主じゃないよ?」と、手伝ってはみたものの、やっぱりなれないことはするもんじゃないなと。
「う~ん、夜一杯甘えさせてくれたらいいから」と、部屋に追いやられる始末。
で、一人ゲームをして遊んでいた。
夕方ごろになると「冬夜君、買い物に連れて行って」とお願いされる。
愛莉の車で、スーパーに買い物に行く。
おかしはNGジュースはOK。
愛莉は料理の材料を品定めしては次々と買い物かごに入れていく。
それを持っているのは僕。
一通り見て回るとレジに並び精算をする。
それが終わると愛莉はエコバッグを広げそれに買ったものを綺麗に入れていく。
その荷物が詰まったエコバッグを持つのは僕の役目だけどね。
「こういうデートも悪くないね」
と、愛莉は微笑む。
デートって言うのだろうか。
辺りを見回す。
同じような、夫婦、カップルがいくつも見える。
同じ気分なのかな?
まだ慣れてないからよくわからないや。
家に帰ると、愛莉は夕食の準備にとりかかる。
「手伝うことは無い?」
「う~ん」
愛莉は悩んでいる。
「じゃあ、お米研いでもらえる?」
やり方がわからない。
愛莉に教えてもらう。
あ、我ながらうまくできた。
「上手じゃない」
愛莉に褒めてもらえた。
そうやって愛莉の料理をサポートしていく。
「器用意してもらえるかな?」
僕が器を用意すると、愛莉はご飯を入れ上に料理したものを乗せていく。
いい匂いがする。
今日の献立は豚キムチ丼とサラダとみそ汁。
丼は大盛りにしてもらえた。
覚えてたんだな。
二人テーブルに並んで「いただきま~す」と豚キムチ丼を一口入れる。
あ、結構美味い。
「愛莉の言ってた、通りだな。学食よりうまいよ」
「えへへ~。ネットで作り方調べただけなんだけどね」
愛情に勝る調味料は無いと聞いたことがあるけどまさにその通りだな。
食べ終わると、片づけを手伝い、愛莉に先に入るように言うと、愛莉は着替えを用意してお風呂に行った。
愛莉が入ると、僕が交代で入る。
お風呂に入った後愛莉は洗濯機を回す。
そして僕の部屋でテレビを見ながら、愛莉は小遣い帳の帳簿に記入していく。
洗濯機が泊まる頃愛莉は洗濯物を広げてアイロンをかける。
そんな時僕のスマホが鳴る。
父さんからだ。
「お前たち今どこにいる?何をやってる?」
「家にいるよ、のんびりしてる」
「また愛莉ちゃん働かせてるんだろう!どこか遊びに連れて行ってやりなさい!」
「盆だしどこも混んでるし行くところなんて買い物くらいだよ」
「そんなことしてると、そのうち愛莉ちゃんの不満爆発するぞ」
父さんは経験したんだろうか?
「夏休みは長いし、連休明けにでも遊び連れて行くよ」
「冬夜、お前は勉強だけで大学生活終わらせるつもりか?渋滞に巻き込まれるのも良い想い出だ?車があるんだしドライブだけでもいいだろ?」
そのドライブが混んでて嫌なんだけど。
「とにかく一日くらいはどこか遊びに連れて行ってやれ」
そう言って電話は切れた。
本当に連休明けから遊びに行くつもりだったんだけどな。
取りあえず電話の内容を愛莉に伝える。
「じゃあ、ドライブ行こうよ。行き先は冬夜君にまかせるよ!あ、お弁当準備しなくちゃ」
「いいよ、途中で昼食べる所探すから」
愛莉を疲れさせたら意味が無いだろ。
「う~ん、じゃあそれで」
そう言って、愛莉はテレビを僕と見てた。
(2)
次の日、支度を済ませると僕たちは車を出した。
行き先は決めてある。途中渋滞に巻き込まれるけど。
どうせ水族館付近までだろ。
愛莉とのんびり話をしながら、渋滞を楽しんだ。
別府に入ると途中のコンビニで休憩。
おにぎり・ジュース等を買っておにぎりを食べる。
車は、10号線を抜けていく。
「どこに行くの?」
「昭和の町」
「ほえ?」
昭和の町に着くと駐車場を探す。やはりこの時期多かったか。
なんとか駐車して昭和の町を探索する。
小さな迷路や、昭和ながらの町並みが続くこの商店街。
愛莉は色々珍しいものを見ながら楽しんだり写真を撮ったりしてる。
SNSにでも上げるつもりなんだろうか?
昆虫を見ては嫌がっていた。
クジラの肉が食べられる食堂で、休憩をとった。
正直あまりおいしくなかった。が、残すことはしない。食べ物に失礼だから。
お腹を満たすと、町並みを散策して。車を出す。
213号線を回って帰るつもりだった。
「うわあ、海が綺麗」
愛莉の言う通り入り組んだ海岸線を通るとても素敵な道路だった。
もちろん山の中も走るけど。
途中海水浴場に寄る。
「水着持ってきてないよ?」
「海を見たいだけだよ」
綺麗な海岸線。
いるのは家族連れくらい。
皆が期待しているような、若い女性はほとんどいない。
寧ろそういう場所は地元じゃ少ない。
ただ、潮の香りと波打ち際の波を楽しむだけ。
波打ち際を見ていると色んな事を忘れさせてくれる。
勉強の事とか……、色々抱えてる問題とか。自分の世界に没頭する。
つんつん。
愛莉が僕の頬をつつく。
「そろそろ行こう?」
もう少し浸っていたかったんだけどな。
空港にさしかかる。
また車を止める。
飛行機の離着陸が見れる場所。
車の中でのんびりとそれを眺める。こういう時間て大事だよね。
とはいえ、愛莉には退屈な時間のようだ。
「ああ!」
僕は車の中で叫んでいた。驚く愛莉。
愛莉の顔を見て素直に通り過ぎていく僕。
美味しいステーキで有名な店だったのに……。
また、今度来ればいいよね……。
「どっちにする?」
愛莉に聞いていた。
高速使うか、それとも国道を通っていくか?
「冬夜君は国道走りたいんでしょ?」
あれ?なんか愛莉機嫌悪い?
「愛莉が早く帰りたいなら、高速使うけど」
ぽかっ
「私は冬夜君と一緒にドライブするならどこへだって行くよ。ただ、冬夜君たまに一人の世界に没頭するから拗ねてただけ」
「ごめん……」
「いいの。冬夜君もメンテが必要だもんね。休息できたのならそれに越したことは無いよ」
「ありがとう」
「いえいえ」
そして国道を走って行った。
10号線と合流する頃日が暮れていた。
夕焼けに染まる海。
水平線の奥に見えるのは佐賀関か?
また渋滞に捕まる。
「愛莉疲れてたら寝てていいぞ。適当に夕飯食べる場所探すから」
「冬夜君の隣で寝てるほど私は薄情じゃないもん」
「少しは信用してくれても」
「冬夜君が退屈しない様にするのが私の役目なの!」
そう言って色々話しかけてくる愛莉。
10号線は大渋滞だった。
水族館の前は空いてたんだけど別府の出口までと市街地へ入る手前で混んでる。
地元に戻る頃にはすっかり夜だった。
「愛莉何か食べたいものあるか?」
「パスタ♪」
ファミレスに寄る。
「ベーコンとほうれん草のバター醤油セットとマルゲリータと生ハムとフレッシュモッツァレラとチョコジェラート」
「濃厚うにクリームセットとイタリアンサラダと特製ティラミス」
……愛莉がそんなに食べるなんて珍しいな。
「言っとくけど私一人で食べるんじゃないからね!冬夜君野菜とらないとだめ!」
ドリンクバーでジュースを取ると席に戻る。
「今日は楽しめた?」
「うん」
「それはよかった」
「冬夜君は楽しくなかったの?」
愛莉が取り皿にサラダを取ると僕に渡した。
僕はそれを食べながら答える。
「楽しかったよ、色んなもの見れたし」
「冬夜君昭和の町なんて良く知ってたね」
「この前ニュースワイド見てたろ?あの時やってたんだよ」
「なるほど~」
ピザとパスタが届くとピザをカットしてやる。
お土産も買ったし、ご満悦のようだ。
とはいえ、もう知ってるところは大方行ったぞ……。
今度レジャー用の雑誌でも買うかな。
ピザをつまみながら、パスタを食べながら考えているとスマホが鳴った。
手を拭いてスマホを見る。
「明日どっか遊び行こうぜ」
愛莉と相談する。
愛莉は「いいよ」と答える。
「良いけどどこ行くんだよ」
「お前たちに任せるぜ」
愛莉にその事を伝えると「じゃあ、遊園地!」と答えた。
「混んでるんじゃないのか?」
「夕方から行けばいいんじゃないのかな?午前中はゆっくりしたいし」
「わかった」
その事を誠に伝えると。
「じゃあ、お昼に志高湖でBBQやろうぜ!」
BBQ好きだな。
愛莉に尋ねる。愛莉も笑ってた。
「誠君の好きにさせたら?」と、愛莉が言う。
「了解」のスタンプを送る。
「ついでだから渡辺班全集かけね?」と誠から。
「ああ、いいよ」
「明日12:00に志高湖集合BBQやろうぜ!」
グループメッセージに書いてあった。
何人かからOKの返事をもらった。
江口さんと石原君、志水さんからは返事が無い。
どこか出かけてるんだろうか?
(3)
志高湖に集まったのは僕と愛莉、カンナと誠、渡辺君と美嘉さん、桐谷君と指原さんの8人だった。
「まあ、急な全集だったし集まったほうだよな」と、渡辺君。
しかしBBQ好きなグループだよな。
名前を「BBQ同好会」に変えた方がいいんじゃないのか?
……なんか似たようなサークルあったな。
肉を焼く準備が出来ると飲み物を取り乾杯をする。
愛莉に肉をとってもらう。倍くらいの野菜も着いてきたが……。
「愛莉もっと肉を……」
「野菜沢山あるからね」
「いや、肉……」
「あるからね!」
BBQに来て野菜しか食べさせてもらえないなんてどんだけベジタリアンなんだよ!
そんな軟弱な主義に走った覚えはないんだけど。
銀色の缶を片手に肉を焼く美嘉さん。
「良い肉なんだから焦がすんじゃねーぞ!」と言っている。
うん、焦がす前に食いたいんだけどね、肉が足りないんだ。
「冬夜君お腹空いてるの?」
「うん、だから肉を……」
「おにぎりもたくさんあるよ♪」
愛莉は何が何でも僕に肉を食べさせたくないのだろうか?
「あのね、愛莉?」
「な~に?」
「炭水化物の方が体に良くないんだよ。バランスよく食べないと……」
「何だとーや、肉食ってないのか?どんどん食え」
そう言って美嘉さんが僕のさらに大量の肉を……。これを待ってたんだ!
「うぅ……」
ああ、愛莉の機嫌が悪くなってくる。何かいい方法を。
「愛莉ご飯食べたらボートに乗ろうか?」
「ボート?」
「うん、おさかなさんに餌あげよう?」
「……うん♪」
我ながら愛莉のトリセツ完全に出来上がってるんじゃないかと思う今日この頃。
「瑛大、私もボート乗りたい」
「僕ボート漕いだことないよ!」
「しょうがないなぁ、スワンボートで我慢してやるよ」
カンナ達も話をしてる。
「神奈僕たちもボートに……」
「お前と二人になるとどうも嫌な予感しかしないんだが」
「そ、そんなことねーよ」
「まあ、いいけど……」
「正志、私達も乗るか!?」
美嘉さんが言うと「ああ、いいよ」と渡辺君が言った。
皆食べ終えると、片づけをしてから。ボート乗り場に行く。
ボートに乗ると漕ぎ始める。
だいぶボート乗り場から離れると。愛莉は水面を見る。
「うわ、おさかなさんがいっぱい~♪」
愛莉は餌を鯉になげる。時には意地悪して鯉の面に餌をぶつけてる。
やがて餌が無くなると愛莉は残念そうに言った。
「もう餌ないんだよ、ごめんね、さかなさん」
「愛莉、周りを見てごらん」
「?……わあ、綺麗」
青い湖面と緑豊かな岸辺。それらを十分に堪能しながら僕らはボート乗り場に戻る。
他のメンバーが戻ってくるまでまだ時間がありそうだったので、愛莉にもう一つ餌を買ってやる。
「桟橋からでも餌をやれるよ」
愛莉にそう言うと、愛莉は桟橋付近にいる鯉に餌をやり始めた。
そうしていると皆が戻ってくる。
愛莉はまだ餌やりに夢中になっている。
やがて餌が無くなった頃を見計らって愛莉に言う。
「みんな戻って来たし、そろそろ行こうか」
愛莉は笑顔でうなずくと手洗い場に手を洗いに行った。
「お前も遠坂さんの扱い慣れてきたんだな」
渡辺君に言われた。そりゃもう7年目だしね。
「いいよな、愛莉は。私なんかまだ子ども扱いされてるぜ」と美嘉さん。
「美嘉はまだましだよ、私なんか玩具程度にしか思われてない」とカンナ。
「俺だって、神奈の事大事にしてるよ」と、誠。
多分、大事にする方向を間違えてるんじゃないかな?
(4)
志高湖を出ると次に向かったのは遊園地。
今日は21時までやってるらしい。
夜の絶叫マシーンは初めてだ。
多分大丈夫だよね?
チケットを買うと入場する。
「じゃあ、閉場時間まで各自自由で!」
そうは言うけど皆同じ方向に向かってた。
みんな狙いは一緒なんだね。冬夜君は違うみたいだけど。
「やってみたいものあるんだけど」
なんだろう?
冬夜君ズルいよ。
冬夜君とパットゴルフして勝てる人なんていないよ。
ほらまた、自分の世界に没頭して1パットで沈めていく。
ちょと意地悪してやるか。
「わっ!!」
脅かしてやる。びっくりした冬夜君はコースを外す。でも、知ってるんだよ。私の声だから気づいてくれるんだよね?ありがとう。
パットゴルフを終えるとひたすら絶叫系のマシーンに乗る。
がたがた揺れて体中が痛いけど楽しい。こんな気分を楽しんでるんだね。
こんな気分になれるのも冬夜君がいるから。ありがとう。
冬夜君が時間を気にしてる。
どうしたの?
まだ時間は1時間以上あるよ?
飽きた?疲れた?先に帰る?
「乗りたいのがあるんだけど?」
いいよ、冬夜君の偶の我儘。聞いてあげるよ。だって大抵いつも素敵な事だから。
今回も当たっていた。乗ったのは観覧車、移る景色は夜空に浮かぶ花火。
そう言えば今年まだ花火見てなかったね。
花火大会も見に行きたいね。また行きたいところ増えちゃった。
でもできることから片づけて行こうね。
少しずつって言い聞かせて、願い事かなえていこうよ。
時間になるとみな入場ゲートに集まってきた。
「夕飯何にする?」
「もう時間も時間だし選択肢そんなに残ってないな」
「どっち側行く?」
「近いし山通って湯布院のファミレス寄るか?」
さっき我儘聞いたし私の我儘も聞いてくれるよね?
「冬夜君、私海の方が良い」
そっと冬夜君に耳打ちする。
「ごめん、ここで僕達別行動するわ。愛莉が寄りたいところあるらしいし」
「そうか。じゃあ、またな」
渡辺君がそう言うと6人は車に向かった。
私達も車に向かう。
「で、どうして海がよかったんだい?」
冬夜君が聞いてくる。二人っきりになりたかったなんて言えない。
「海の方が夜景綺麗でしょ?」
「なるほどね」
「みんなと一緒の方が良かった?」
「いや、なんとなく気になっただけ」
そうして山を下りながら夜景を楽しみ、途中のファミレスでご飯を食べて、家に帰るのでした。
家に帰ったらパパさんとりえちゃん帰ってきてる。
冬夜君の親も帰ってきてる。
でもさ、家に帰る必要なんてあまりないんだよね?大体の物は冬夜君の家に置いてあるから。
住み込みさせてもらってます。
冬夜君の家に帰ると、冬夜君のお父さんが冬夜君を呼んでいる。
「あ、愛莉ちゃんは部屋に戻っていて」
麻耶さんがそう言っている。
そう言う話なのね。
「どうせ冬夜君に聞くし、冬夜君隠し事しないって言ってくれたから同じです。聞かせてください」
私がそう言うと、冬夜君のお父さんは私達をリビングのソファーに座らせる。
対面には冬夜君のご両親。
「手短に話すとな、絶縁してきたよ」
「は?」
冬夜君が不思議そうに聞いている。
内容はこうだ。
勝也君と私のお見合いを希望している。冬夜君のお父さんがそれを断った。勝也が可哀そうだろうと伯父さんは言う。自分の相手くらい自分で探させたらどうだという。結果ケンカ別れしてきた。
「だから今後井上家にはもう関わらなくていいぞ」と冬夜君のお父さん。
「でも母さんはそれでいいの?」と冬夜君。
「あそこまで言われて仲良くする気になんてなれないわよ」と麻耶さんは言う。
また私が迷惑かけてる?
私の顔から血の気が引いていく。
冬夜君が私の肩に手をやる。
「心配しなくていいよ」と、冬夜君が言う。
「そうそう、愛莉ちゃんは冬夜と幸せになってね。明日からおばさん家にいるからゆっくり休みを満喫していいのよ」と、言ってくれた。
冬夜君の手を握る。
私達幸せになろうね。
そう固く誓った。
休みはまだ始まったばかりだ。
一週間以上に渡る期末試験が終わり。無事に単位を取れた僕たちは長い夏休みに入った。
後期の履修科目はもう決まってある。愛莉の好きなように取らせたんだけど、想像通り。
後期も大変だろうなぁ。
2か月にも及ぶ休暇期間でゆっくり休むとしよう。
……と、言うわけにもいかず
「冬夜君、朝だよ~、ご飯の時間だよ~」
と、朝から元気いっぱいの愛莉。
愛莉の親?当然のように盆の連休は旅行に出かけたよ。
「愛莉ちゃんの事は冬夜君にまかせてだいじょうよね~?」
「う、うむ……娘を頼む」
もう、突っ込む気にもなれない。
うちの親も実家に帰っていない。
僕達もついて行こうかと言ったけど「勝也が来てるかもしれない」と言って断られた。
で、盆の連休はどこも人が混んでるから盆明けから遊びに行こうと愛莉と約束していたのだが。
愛莉はご飯を作ったり洗濯したり掃除したリ。
とにかく働く。
さすがに、それをただ見てるわけとはいかないので手伝おうとするのだけど……。
「冬夜君は期末に頑張ったんだからゆっくりしてて」と……。
期末頑張ったのは愛莉も一緒だろ?
「愛莉一人を働かせるほど、ぐうたら亭主じゃないよ?」と、手伝ってはみたものの、やっぱりなれないことはするもんじゃないなと。
「う~ん、夜一杯甘えさせてくれたらいいから」と、部屋に追いやられる始末。
で、一人ゲームをして遊んでいた。
夕方ごろになると「冬夜君、買い物に連れて行って」とお願いされる。
愛莉の車で、スーパーに買い物に行く。
おかしはNGジュースはOK。
愛莉は料理の材料を品定めしては次々と買い物かごに入れていく。
それを持っているのは僕。
一通り見て回るとレジに並び精算をする。
それが終わると愛莉はエコバッグを広げそれに買ったものを綺麗に入れていく。
その荷物が詰まったエコバッグを持つのは僕の役目だけどね。
「こういうデートも悪くないね」
と、愛莉は微笑む。
デートって言うのだろうか。
辺りを見回す。
同じような、夫婦、カップルがいくつも見える。
同じ気分なのかな?
まだ慣れてないからよくわからないや。
家に帰ると、愛莉は夕食の準備にとりかかる。
「手伝うことは無い?」
「う~ん」
愛莉は悩んでいる。
「じゃあ、お米研いでもらえる?」
やり方がわからない。
愛莉に教えてもらう。
あ、我ながらうまくできた。
「上手じゃない」
愛莉に褒めてもらえた。
そうやって愛莉の料理をサポートしていく。
「器用意してもらえるかな?」
僕が器を用意すると、愛莉はご飯を入れ上に料理したものを乗せていく。
いい匂いがする。
今日の献立は豚キムチ丼とサラダとみそ汁。
丼は大盛りにしてもらえた。
覚えてたんだな。
二人テーブルに並んで「いただきま~す」と豚キムチ丼を一口入れる。
あ、結構美味い。
「愛莉の言ってた、通りだな。学食よりうまいよ」
「えへへ~。ネットで作り方調べただけなんだけどね」
愛情に勝る調味料は無いと聞いたことがあるけどまさにその通りだな。
食べ終わると、片づけを手伝い、愛莉に先に入るように言うと、愛莉は着替えを用意してお風呂に行った。
愛莉が入ると、僕が交代で入る。
お風呂に入った後愛莉は洗濯機を回す。
そして僕の部屋でテレビを見ながら、愛莉は小遣い帳の帳簿に記入していく。
洗濯機が泊まる頃愛莉は洗濯物を広げてアイロンをかける。
そんな時僕のスマホが鳴る。
父さんからだ。
「お前たち今どこにいる?何をやってる?」
「家にいるよ、のんびりしてる」
「また愛莉ちゃん働かせてるんだろう!どこか遊びに連れて行ってやりなさい!」
「盆だしどこも混んでるし行くところなんて買い物くらいだよ」
「そんなことしてると、そのうち愛莉ちゃんの不満爆発するぞ」
父さんは経験したんだろうか?
「夏休みは長いし、連休明けにでも遊び連れて行くよ」
「冬夜、お前は勉強だけで大学生活終わらせるつもりか?渋滞に巻き込まれるのも良い想い出だ?車があるんだしドライブだけでもいいだろ?」
そのドライブが混んでて嫌なんだけど。
「とにかく一日くらいはどこか遊びに連れて行ってやれ」
そう言って電話は切れた。
本当に連休明けから遊びに行くつもりだったんだけどな。
取りあえず電話の内容を愛莉に伝える。
「じゃあ、ドライブ行こうよ。行き先は冬夜君にまかせるよ!あ、お弁当準備しなくちゃ」
「いいよ、途中で昼食べる所探すから」
愛莉を疲れさせたら意味が無いだろ。
「う~ん、じゃあそれで」
そう言って、愛莉はテレビを僕と見てた。
(2)
次の日、支度を済ませると僕たちは車を出した。
行き先は決めてある。途中渋滞に巻き込まれるけど。
どうせ水族館付近までだろ。
愛莉とのんびり話をしながら、渋滞を楽しんだ。
別府に入ると途中のコンビニで休憩。
おにぎり・ジュース等を買っておにぎりを食べる。
車は、10号線を抜けていく。
「どこに行くの?」
「昭和の町」
「ほえ?」
昭和の町に着くと駐車場を探す。やはりこの時期多かったか。
なんとか駐車して昭和の町を探索する。
小さな迷路や、昭和ながらの町並みが続くこの商店街。
愛莉は色々珍しいものを見ながら楽しんだり写真を撮ったりしてる。
SNSにでも上げるつもりなんだろうか?
昆虫を見ては嫌がっていた。
クジラの肉が食べられる食堂で、休憩をとった。
正直あまりおいしくなかった。が、残すことはしない。食べ物に失礼だから。
お腹を満たすと、町並みを散策して。車を出す。
213号線を回って帰るつもりだった。
「うわあ、海が綺麗」
愛莉の言う通り入り組んだ海岸線を通るとても素敵な道路だった。
もちろん山の中も走るけど。
途中海水浴場に寄る。
「水着持ってきてないよ?」
「海を見たいだけだよ」
綺麗な海岸線。
いるのは家族連れくらい。
皆が期待しているような、若い女性はほとんどいない。
寧ろそういう場所は地元じゃ少ない。
ただ、潮の香りと波打ち際の波を楽しむだけ。
波打ち際を見ていると色んな事を忘れさせてくれる。
勉強の事とか……、色々抱えてる問題とか。自分の世界に没頭する。
つんつん。
愛莉が僕の頬をつつく。
「そろそろ行こう?」
もう少し浸っていたかったんだけどな。
空港にさしかかる。
また車を止める。
飛行機の離着陸が見れる場所。
車の中でのんびりとそれを眺める。こういう時間て大事だよね。
とはいえ、愛莉には退屈な時間のようだ。
「ああ!」
僕は車の中で叫んでいた。驚く愛莉。
愛莉の顔を見て素直に通り過ぎていく僕。
美味しいステーキで有名な店だったのに……。
また、今度来ればいいよね……。
「どっちにする?」
愛莉に聞いていた。
高速使うか、それとも国道を通っていくか?
「冬夜君は国道走りたいんでしょ?」
あれ?なんか愛莉機嫌悪い?
「愛莉が早く帰りたいなら、高速使うけど」
ぽかっ
「私は冬夜君と一緒にドライブするならどこへだって行くよ。ただ、冬夜君たまに一人の世界に没頭するから拗ねてただけ」
「ごめん……」
「いいの。冬夜君もメンテが必要だもんね。休息できたのならそれに越したことは無いよ」
「ありがとう」
「いえいえ」
そして国道を走って行った。
10号線と合流する頃日が暮れていた。
夕焼けに染まる海。
水平線の奥に見えるのは佐賀関か?
また渋滞に捕まる。
「愛莉疲れてたら寝てていいぞ。適当に夕飯食べる場所探すから」
「冬夜君の隣で寝てるほど私は薄情じゃないもん」
「少しは信用してくれても」
「冬夜君が退屈しない様にするのが私の役目なの!」
そう言って色々話しかけてくる愛莉。
10号線は大渋滞だった。
水族館の前は空いてたんだけど別府の出口までと市街地へ入る手前で混んでる。
地元に戻る頃にはすっかり夜だった。
「愛莉何か食べたいものあるか?」
「パスタ♪」
ファミレスに寄る。
「ベーコンとほうれん草のバター醤油セットとマルゲリータと生ハムとフレッシュモッツァレラとチョコジェラート」
「濃厚うにクリームセットとイタリアンサラダと特製ティラミス」
……愛莉がそんなに食べるなんて珍しいな。
「言っとくけど私一人で食べるんじゃないからね!冬夜君野菜とらないとだめ!」
ドリンクバーでジュースを取ると席に戻る。
「今日は楽しめた?」
「うん」
「それはよかった」
「冬夜君は楽しくなかったの?」
愛莉が取り皿にサラダを取ると僕に渡した。
僕はそれを食べながら答える。
「楽しかったよ、色んなもの見れたし」
「冬夜君昭和の町なんて良く知ってたね」
「この前ニュースワイド見てたろ?あの時やってたんだよ」
「なるほど~」
ピザとパスタが届くとピザをカットしてやる。
お土産も買ったし、ご満悦のようだ。
とはいえ、もう知ってるところは大方行ったぞ……。
今度レジャー用の雑誌でも買うかな。
ピザをつまみながら、パスタを食べながら考えているとスマホが鳴った。
手を拭いてスマホを見る。
「明日どっか遊び行こうぜ」
愛莉と相談する。
愛莉は「いいよ」と答える。
「良いけどどこ行くんだよ」
「お前たちに任せるぜ」
愛莉にその事を伝えると「じゃあ、遊園地!」と答えた。
「混んでるんじゃないのか?」
「夕方から行けばいいんじゃないのかな?午前中はゆっくりしたいし」
「わかった」
その事を誠に伝えると。
「じゃあ、お昼に志高湖でBBQやろうぜ!」
BBQ好きだな。
愛莉に尋ねる。愛莉も笑ってた。
「誠君の好きにさせたら?」と、愛莉が言う。
「了解」のスタンプを送る。
「ついでだから渡辺班全集かけね?」と誠から。
「ああ、いいよ」
「明日12:00に志高湖集合BBQやろうぜ!」
グループメッセージに書いてあった。
何人かからOKの返事をもらった。
江口さんと石原君、志水さんからは返事が無い。
どこか出かけてるんだろうか?
(3)
志高湖に集まったのは僕と愛莉、カンナと誠、渡辺君と美嘉さん、桐谷君と指原さんの8人だった。
「まあ、急な全集だったし集まったほうだよな」と、渡辺君。
しかしBBQ好きなグループだよな。
名前を「BBQ同好会」に変えた方がいいんじゃないのか?
……なんか似たようなサークルあったな。
肉を焼く準備が出来ると飲み物を取り乾杯をする。
愛莉に肉をとってもらう。倍くらいの野菜も着いてきたが……。
「愛莉もっと肉を……」
「野菜沢山あるからね」
「いや、肉……」
「あるからね!」
BBQに来て野菜しか食べさせてもらえないなんてどんだけベジタリアンなんだよ!
そんな軟弱な主義に走った覚えはないんだけど。
銀色の缶を片手に肉を焼く美嘉さん。
「良い肉なんだから焦がすんじゃねーぞ!」と言っている。
うん、焦がす前に食いたいんだけどね、肉が足りないんだ。
「冬夜君お腹空いてるの?」
「うん、だから肉を……」
「おにぎりもたくさんあるよ♪」
愛莉は何が何でも僕に肉を食べさせたくないのだろうか?
「あのね、愛莉?」
「な~に?」
「炭水化物の方が体に良くないんだよ。バランスよく食べないと……」
「何だとーや、肉食ってないのか?どんどん食え」
そう言って美嘉さんが僕のさらに大量の肉を……。これを待ってたんだ!
「うぅ……」
ああ、愛莉の機嫌が悪くなってくる。何かいい方法を。
「愛莉ご飯食べたらボートに乗ろうか?」
「ボート?」
「うん、おさかなさんに餌あげよう?」
「……うん♪」
我ながら愛莉のトリセツ完全に出来上がってるんじゃないかと思う今日この頃。
「瑛大、私もボート乗りたい」
「僕ボート漕いだことないよ!」
「しょうがないなぁ、スワンボートで我慢してやるよ」
カンナ達も話をしてる。
「神奈僕たちもボートに……」
「お前と二人になるとどうも嫌な予感しかしないんだが」
「そ、そんなことねーよ」
「まあ、いいけど……」
「正志、私達も乗るか!?」
美嘉さんが言うと「ああ、いいよ」と渡辺君が言った。
皆食べ終えると、片づけをしてから。ボート乗り場に行く。
ボートに乗ると漕ぎ始める。
だいぶボート乗り場から離れると。愛莉は水面を見る。
「うわ、おさかなさんがいっぱい~♪」
愛莉は餌を鯉になげる。時には意地悪して鯉の面に餌をぶつけてる。
やがて餌が無くなると愛莉は残念そうに言った。
「もう餌ないんだよ、ごめんね、さかなさん」
「愛莉、周りを見てごらん」
「?……わあ、綺麗」
青い湖面と緑豊かな岸辺。それらを十分に堪能しながら僕らはボート乗り場に戻る。
他のメンバーが戻ってくるまでまだ時間がありそうだったので、愛莉にもう一つ餌を買ってやる。
「桟橋からでも餌をやれるよ」
愛莉にそう言うと、愛莉は桟橋付近にいる鯉に餌をやり始めた。
そうしていると皆が戻ってくる。
愛莉はまだ餌やりに夢中になっている。
やがて餌が無くなった頃を見計らって愛莉に言う。
「みんな戻って来たし、そろそろ行こうか」
愛莉は笑顔でうなずくと手洗い場に手を洗いに行った。
「お前も遠坂さんの扱い慣れてきたんだな」
渡辺君に言われた。そりゃもう7年目だしね。
「いいよな、愛莉は。私なんかまだ子ども扱いされてるぜ」と美嘉さん。
「美嘉はまだましだよ、私なんか玩具程度にしか思われてない」とカンナ。
「俺だって、神奈の事大事にしてるよ」と、誠。
多分、大事にする方向を間違えてるんじゃないかな?
(4)
志高湖を出ると次に向かったのは遊園地。
今日は21時までやってるらしい。
夜の絶叫マシーンは初めてだ。
多分大丈夫だよね?
チケットを買うと入場する。
「じゃあ、閉場時間まで各自自由で!」
そうは言うけど皆同じ方向に向かってた。
みんな狙いは一緒なんだね。冬夜君は違うみたいだけど。
「やってみたいものあるんだけど」
なんだろう?
冬夜君ズルいよ。
冬夜君とパットゴルフして勝てる人なんていないよ。
ほらまた、自分の世界に没頭して1パットで沈めていく。
ちょと意地悪してやるか。
「わっ!!」
脅かしてやる。びっくりした冬夜君はコースを外す。でも、知ってるんだよ。私の声だから気づいてくれるんだよね?ありがとう。
パットゴルフを終えるとひたすら絶叫系のマシーンに乗る。
がたがた揺れて体中が痛いけど楽しい。こんな気分を楽しんでるんだね。
こんな気分になれるのも冬夜君がいるから。ありがとう。
冬夜君が時間を気にしてる。
どうしたの?
まだ時間は1時間以上あるよ?
飽きた?疲れた?先に帰る?
「乗りたいのがあるんだけど?」
いいよ、冬夜君の偶の我儘。聞いてあげるよ。だって大抵いつも素敵な事だから。
今回も当たっていた。乗ったのは観覧車、移る景色は夜空に浮かぶ花火。
そう言えば今年まだ花火見てなかったね。
花火大会も見に行きたいね。また行きたいところ増えちゃった。
でもできることから片づけて行こうね。
少しずつって言い聞かせて、願い事かなえていこうよ。
時間になるとみな入場ゲートに集まってきた。
「夕飯何にする?」
「もう時間も時間だし選択肢そんなに残ってないな」
「どっち側行く?」
「近いし山通って湯布院のファミレス寄るか?」
さっき我儘聞いたし私の我儘も聞いてくれるよね?
「冬夜君、私海の方が良い」
そっと冬夜君に耳打ちする。
「ごめん、ここで僕達別行動するわ。愛莉が寄りたいところあるらしいし」
「そうか。じゃあ、またな」
渡辺君がそう言うと6人は車に向かった。
私達も車に向かう。
「で、どうして海がよかったんだい?」
冬夜君が聞いてくる。二人っきりになりたかったなんて言えない。
「海の方が夜景綺麗でしょ?」
「なるほどね」
「みんなと一緒の方が良かった?」
「いや、なんとなく気になっただけ」
そうして山を下りながら夜景を楽しみ、途中のファミレスでご飯を食べて、家に帰るのでした。
家に帰ったらパパさんとりえちゃん帰ってきてる。
冬夜君の親も帰ってきてる。
でもさ、家に帰る必要なんてあまりないんだよね?大体の物は冬夜君の家に置いてあるから。
住み込みさせてもらってます。
冬夜君の家に帰ると、冬夜君のお父さんが冬夜君を呼んでいる。
「あ、愛莉ちゃんは部屋に戻っていて」
麻耶さんがそう言っている。
そう言う話なのね。
「どうせ冬夜君に聞くし、冬夜君隠し事しないって言ってくれたから同じです。聞かせてください」
私がそう言うと、冬夜君のお父さんは私達をリビングのソファーに座らせる。
対面には冬夜君のご両親。
「手短に話すとな、絶縁してきたよ」
「は?」
冬夜君が不思議そうに聞いている。
内容はこうだ。
勝也君と私のお見合いを希望している。冬夜君のお父さんがそれを断った。勝也が可哀そうだろうと伯父さんは言う。自分の相手くらい自分で探させたらどうだという。結果ケンカ別れしてきた。
「だから今後井上家にはもう関わらなくていいぞ」と冬夜君のお父さん。
「でも母さんはそれでいいの?」と冬夜君。
「あそこまで言われて仲良くする気になんてなれないわよ」と麻耶さんは言う。
また私が迷惑かけてる?
私の顔から血の気が引いていく。
冬夜君が私の肩に手をやる。
「心配しなくていいよ」と、冬夜君が言う。
「そうそう、愛莉ちゃんは冬夜と幸せになってね。明日からおばさん家にいるからゆっくり休みを満喫していいのよ」と、言ってくれた。
冬夜君の手を握る。
私達幸せになろうね。
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休みはまだ始まったばかりだ。
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