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2ndSEASON
ありがとうと君に……
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「冬夜君おっはよ~」
「……へんじがない。ただのしかばねのようだ」
「生きてるじゃん」
実は着替えてある。
ただの抵抗である。
愛莉はぼくの耳の裏に息を吹きかけた。
「○×△☆♯♭●□▲★※」
どうも僕は耳に弱いらしい。
「冬夜君の弱点見っけ♪」
嬉しそうにはしゃぐ愛莉。
そして僕の左手を見る。
しまった!
「ああ~!指輪つけてない!!どうしたの!?」
僕は無言で机の上にある指輪を指差す。
「どうしてつけてないの!?」
案の定怒りだした。
「寝てる時くらい外してもいいだろう」
「でも着替えてるってことは起きたってことだよね!」
「忘れてただけだよ」
そう言いながら指輪をはめる。
その時愛莉が後ろから抱き着いた。
「そんなに私とお揃いの指輪っていや?」
ここで嫌と言える男子がいたら、ある意味称賛したい。
因みに僕には無理だ。
「嫌ってことは無いけど……風呂入ったりするときに外して忘れてしまったんだよ」
素直に理由を話した。
「うぅ……肌身離さずっていったよね?」
いやいや、指輪が痛むだろ。
「機嫌を直してよ」
僕は振り返ると愛莉を抱きしめる。
「神奈見てるよ」
「見ててもいいよ」
「いいわけあるかぁ!」
カンナが割って入った。
「いつまでいちゃってんだよ!さっさと準備しろよ!」
そう言ってカンナは部屋を出て行った。
「なんか機嫌悪い?」
僕は愛莉に聞いた。
「そんなことないでしょ?でも私たちもやり過ぎただけかも。冬夜君が悪いんだからね」
「そ、そうか……」
「早く行こっ?」
僕は頷くと愛莉と部屋を出た
(2)
終業式。
冬休みの始まり。
遊びに行く約束とか、クリスマスどうするとか?年始に遊ぼうぜとかそんな話ばかりしてる。
もちろん通信簿の成績見て一喜一憂する生徒もいるが。
僕たちはどの集まりにも加わらず帰路についた。
「神奈!バイトのし過ぎに注意だよ!」
「分かってるって」
夏休みの反省は活かせたのだろうか。
素直に聞くカンナ。
「とはいえ、暇だよなあ。冬休みは誠は部活だろうし」
そういえば県代表に勝ち上がったんだっけ?
「神奈クリスマスはどうするの?」
愛莉が聞いた?
「バイトだな……あ、昼間はシフト入れてない。ちゃんと勉強するよ。邪魔することになるけど」
「気にしなくていいよ、どうせでかけるの夜からだし……」
どうして女子はイルミネーションを毎年見たがるのだろう?
別に何か変化があるわけでもないし。
……毎回カルビを食べたくなるのと同じ理屈か?
でも、タンもロースもある……うーん。
「そっか、じゃあ大丈夫だな」
僕の思考に気づかれずに話は進行する。
「誠君いなくて寂しくない?」
そう言うこと聞いて良いのか?愛莉。
「まあ、仕方ないよ。誠の邪魔になるような真似はしたくないからな」
「じゃあさ、クリスマスは3人で過ごそうよ!」
愛莉の頭の中はすでにクリスマスの事でいっぱいのようである。
クリスマスか、プレゼント考えないとな。
「いや、夜はバイト入れてるから、かき入れ時だしな」
「そっか~、大変だね」
「カンナ、バイトもいいけど、休み明けいきなりテストあるの忘れるなよ」
「分かってるって、昼間シフト入れるの止めてるから、勉強はできるよ」
「ならいいんだけど」
「トーヤにまで心配されることになるとはな……」
カンナは笑っていた。
よく考えるとカンナはバイトをしながら中くらいという位置をキープしている。
バイトしないで勉強一本に絞ったら追い抜かれちゃうんじゃないか。
まあ、本人にその気がないのが問題なんだけど。
カンナは進路考えてるんだろうか?
前に聞いた時「専門学校くらいは行っとくよ」と言ってたけど。
学費を気にしていたみたいだけど、国公立大なら支援制度があるって聞いた。
その事をカンナに話したら「まあ、そんだけの頭があれば考えるよ」と言って笑ってた。
やる気があればいける気がするんだけどな。
まあ、高校生活の何に比重を置くかによるんだろうな。
誠みたいに部活に比重を置くもの、伊集院さんみたいに学問に比重を置くもの、カンナみたいに学校生活自体を楽しむもの。愛莉みたいに恋愛に比重を置くもの。
僕は何を大事にしてるんだろう?
もちろん愛莉は大切にしてる。
うーん、特にないなあ。
取りあえず3年無事に過ごして大学に進学できればいい。
今のところ全然無事じゃないけど。
「な~に深く考えてるのかな~」
愛莉が僕の顔を覗き込むように見る。
「ああ、ちょっとね……」
「また隠し事?」
愛莉の表情が険しくなる。
特に隠す事でもないけど、ここで話す事でもないしな。
「帰ったら勉強しながら話すよ」
「え?難しい話?」
「いや、そうでもないんだけど」
「うん、わかった……」
3人そろって家で勉強。
男一人に女二人。
しかも二人共美人と来た。
この状況で何とも思わない僕ってすでに賢者の域に達してるよね?
誰が聞いても羨むような環境の中でただ勉強をしていた。
「さっきの話ってな~に?」
沈黙を破ったのは愛莉だった。
のんびり間延びした口調とは裏腹に不安げな顔をしている。
「また、いつかみたいに進路の話とかで揉めたら殴るからな」
カンナが釘をさす。
「まあ、近いんだけど……」
「私誰が何と言おうと冬夜君と一緒の大学いくからね!大学もその先もずっといっしょなんだから!!」
僕が口を開くと愛莉が大声で言う。
「まあ落ち着いてよ、そういう話じゃないから」
僕がそう言うと胸を撫でおろす愛莉。
「いやさ、さっき考えてたのは。愛莉やカンナはともかく僕は何で学校に通ってるんだろう?って」
「へ?」
「は?」
二人共台詞は違うけどだいたい同じようなリアクションだった。
「何って勉強しにじゃないの?」
愛莉が何を当たり前のことをと言わんばかりに聞いくる。
「愛莉はその……僕と一緒にいることが楽しいんだよね?」
自分で言ってて恥ずかしい。
自意識過剰も大概にしろよと言われそうだ。
「……まあ、そうだね。うん」
恥ずかしげもなく愛莉は肯定する。
「カンナは僕たちと一緒に高校に通うことが目標だったよね」
「まあな」
カンナは安心したのかつまらない話と判断したのかペン回しをしながら話を聞いてた。
「でも僕にはなんか理由がないんだよね。ただ進学の為に勉強をしに学校に行ってるみたいな」
「それで何か都合悪いのか?」
カンナが聞いてきた。
「ぶっちゃけていうと青春って時期を無駄に過ごしてるというか……」
「無駄って……酷いよ冬夜君」
あれ?なんか愛莉泣かせるようなこと言った?
自分の台詞を思い返してみる。
特にないよな。
「本気で言ってるなら殴るぞトーヤ」
カンナの目がマジになってる。
え?なんでそうなるの?
「愛莉はトーヤと一緒にいるのが青春を満喫してると言っておきながら、お前はそれを無駄な時間って言ってるんだぞ」
あ!?
カンナに言われて気がついた。
言われてみるとその通りだな。
「てか、自分で気付け!お前はどうしてサッカーやテストの時は勘が冴えわたるのに愛莉の事となるとそこまで鈍いんだ!?」
愛莉をみる。
すすり泣きしてる。
カンナが肩を抱いて慰めている。
「トーヤが鈍いだけだから気にすんな。この馬鹿にはあとでよく言っとくから」
「……自分で言うからいい」
そう言って愛莉は僕を見る。
「私たちの事は3人で過ごす為とか冬夜君と一緒にいることが充実してるとか分かってるのに、どうして自分の事は分からないの?私と一緒にいるだけじゃ足りないの?まだ何か足りないものがあるの?」
「ごめん……」
「ごめんじゃないでしょ!何でも謝れば済むと思ってるならそれは大きな間違いだよ!」
ごめん。
本気で分からない。
なんて言えば良いの?
悩んでる僕を見て愛莉は僕とカンナの肩を抱き寄せる。
「ちょ、愛莉」
「さあ!こうして3人でいることが無駄なの!?それとも充実してるの!?充実してるならなんて言うの!?まだ分からない?」
「ありがとう……」
「最初から気づいてよ!」
「うん」
どうしてこう、無駄に愛莉に心労をかけるんだろう?
無性にくやしい。
情けなくなる。
「こんな僕に私はつり合い取れないとか思ったら怒るからね?」
危なかった。
「ったく……トーヤ、アドバイスしてやる。お前は何も考えるな。何も考えなくていいから感じたままに行動しろ。多分それで合ってる。お前が悩みだすとろくなことがない」
カンナがそう言った。
感じたままにか……。まさに今感じたことをそのまま伝えただけなんだけどな。
なんか不条理に思える。
感じたというか悩んだだけなのかな?
あ、感じたことと言えば……。
「カンナ。進路の事少しは考えたか?」
「今度はその話かよ。まあ、トーヤに言われて色々考えたんだけど3年になってから考えるよ。クラスはお前達と一緒のコース選ぶ。どうせ愛莉は冬夜と一緒なんだろ?」
「バイトしながらで平気なのか?」
「少しは勉強に時間割いてるんだけどな。こう見えて」
そうだったのか。
「バイトしながら勉強にも力入れるなんて無茶だよ。神奈倒れちゃう」
愛莉の心配はカンナに向かったようだ。
「大丈夫だよ。削ったのはゲームする時間」
そう言ってぺろっと舌を出すカンナ。
意外に真面目にやってるんだな。
(3)
クリスマスイブ。
愛莉は少しおめかしして来ていた。
今夜はうちに泊まるらしい。お泊りセットも用意してきていた。
今更親も何も言わない。それはそれでどうかしてると思うけど。
カンナも朝から夕方までは一緒に勉強していた。
夕方になるとカンナはバイトに出かける。
「私たちもいこっか?って冬夜君着替えてないし!」
「着替える時間すら与えてくれなかったろ!」
話を少し戻そう。
「冬夜君おはよ~」
いつも通りの愛莉の声だ。
今は冬休み。もう少しだけ眠らせてくれ……
「……今日何の日か分かってる?」
「イブだろ?知ってるよ」
「そんな日に寝間着で出迎えですか?しかも寝てるし!」
「愛莉知ってるか?」
僕はそう言うと上体を起こした。
「な、なに?」
「イブってのは正確に言うと24日の日没からなんだ。だから今はまだイブじゃない!」
「……で?それと冬夜君の寝坊とどう関係があるの?」
「え、いや。だからイブじゃないから……」
「まだイブじゃないなら、いつもどおり冬夜君はお勉強の時間だよね?さあ、起きようか」
「わかったよ……」
そう言って寝ぼけ眼で起き上がるとクローゼットから服を取り出し……。
「わあ!今は着替えちゃダメ!神奈も来てるんだよ!」
「私は別に構わないぜ」
カンナが笑いながらこっちを見てる。
「神奈が良くても私がダメなの~!」
え?僕が悪いって?
うん、知ってる。
ただ、理由を説明しただけで。
「分かったよ、今から着替えるから……」
「うん」
「下で待ってて」
「あ……今更隠すこともないのに……。じゃあ、下で待ってる」
僕はさっさと着替えて。洗面所に行き髪を整える。
「準備出来たよ」
「じゃ、行こ!」
街へ行き、代わり映えの無いイルミを見て、はしゃぐ愛莉。
ちょっと変わったことと行ったら、駅前の広場を走る汽車型の車が走ってる事か。
子供を乗せ走る汽車。
愛莉が乗りたいと言い出したが、僕は全力で抵抗した。
その結果、どう見ても子供が乗る大きさの車両に親子で乗ってはしゃいでる中に混じって広場を回るというという羞恥プレイから逃れることが出来た。
大人たちみたいに、クリスマスディナーを楽しむという事は出来ないけど精一杯の事はした。
駅ビルの4Fでイタリアンのお店に入り食事を楽しんだ。
予算的にはきつきつだったけど、愛莉が喜んでくれるなら、これくらい……。
欲しいゲーム一本諦めた。
お腹も景色も一杯になったところで家に帰る。
そして部屋でプレゼント交換。
驚いた。
二人共腕時計を選んでいた。
愛莉と顔を見合わせる。
「偶然ってあるんだね?」
「本当だな」
その後は買ってきたケーキとシャンメリーを楽しみながら、テレビを見て……。
「あのね」
ベッドの中で僕の腕の中で横になってる愛莉が話しかけてきた。
大人ならタバコでも吸ってるんだろうな。
因みに両親ともに吸わない。
愛莉のとこもそうだ。
※寝たばこは大変危険です。未成年の喫煙は禁じられています。
「どうした?」
「神奈に前に言われたの『お前たちはもう恋じゃない愛だ』って……」
「そうなんだ」
「うん。でね、調べてみたの。恋と愛の違いってなんだろう?って。そしたらねその中にこんな言葉があったの『相手の欠点も含めて全部を受け入れることが愛』だって。だから私は冬夜君の欠点も受け入れる事にする。だから冬夜君にも私を受け入れて欲しい」
そんな事書いてあったのか。
僕はこう言われたぞ
「好きですは、まだ正常。愛してるは、メンヘラだ」って……。
「冬夜君……まだ無理かな?私ダメなところ一杯あるよね」
この状況で拒めば即破局だろ。
もはやイエスとしか言えない状況に追い込んでおいて良く言える。
でも、そういう計算高さを持ってないことは知ってる。
計算でなくて天然でやってのけるところが愛莉の凄い所なんだ。
愛莉の欠点か……。
はたから見たら欠点なんてどこにもない。
欠点すらプラスポイントに変えてしまう素敵な彼女。
受け入れたい男は幾らでもいるだろう。
そんな中で僕を見つけてくれた。
そして欠点だらけの僕を全部受け入れてくれるという。
誰がそんな美味しい状況を拒否することができるか。
なんて言おう?
「冬夜君?」
不思議そうに僕を見る愛莉。
あ、こういう時に使えば良いのか。
僕は静かに言った。
「ありがとう、僕も愛してるよ」
ちょっと気取り過ぎたかな。
クリスマスイブという特別な日くらい、いいだろ?
「うん、私も愛してるよ」
愛莉はそう言って僕を抱きしめる。
サイコだと言われても構わない。
「あ」
「どうした?」
何かを思い出したかのように突然声をあげる愛莉。
僕の左手を見る。
「またしてない!」
指輪か……。
「ちゃんとしまってるよ」
「しまってたって意味ないでしょ!」
「デート中はつけてたよ」
「うぅ……それは知ってるけど」
見てたのか。
「また明日朝起きたらつけるから」
「今からつけて」
「……今夜はもうないの?」
きょとんとする愛莉。
その意味を理解するのに数秒かかったようだ。
唐突に顔を赤くする愛莉。
「冬夜君のえっち!!」
愛莉からくどくどと説教をされた。
でも最後の言葉が本心だったかもしれない。
「本当はよかったんだけど……」
(4)
バイトが終わったのは22時。
それからかえってご飯を食べていたら23時を回る。
トーヤの家でやりかけていた宿題を片付ける。
わかんないところは明日トーヤ達に聞けばいい。
出来る範囲だけやっていく。
すると呼び鈴が鳴った。
母さんなら鳴らすはずがない。
私は部屋着で玄関にでる。
覗き窓から相手を確認する。
そして驚いた。
誠だ。
今部活忙しいんじゃなかったのか?
扉を開ける。
「神奈!」
そう言って抱き着く誠。
「誠!部活は良いのか?」
「キャプテンがデートに行ってるのに部員が行って悪いはずないだろ?」
「呆れた」
「とりあえず家に入れてくれ、寒い!!」
誠は部屋に入ると時計を確認する。
「お、まだイブだな。よかった!」
そう言って荷物を取り出す。
ラッピングされた袋だった。
「これクリスマスプレゼント」
「ありがとう」
中身を見る。
DVDだ。
またえげつない物を……と思いきや意外と普通のDVDだった。
昔流行った爽快なサクセスストーリー。
その夜は勉強を中止して、DVDを見ていた。
隣ではがさがさとコンビニで買った弁当を食べている誠。
当然照明を落としてみるということはできず、観てるより食べてる時間が長い誠。
まあ、部活が終わってそのまま抜け出してきたんだろ。
「……泊ってくんだろ?」
「すまないな」
「偶には家に帰ってやれよ」
「正月にはって言いたいんだけど、試合あるからなぁ」
「そうか……」
「神奈にも悪いと思ってる」
「いいよ、最初からその覚悟だったんだ」
寂しいけどな。
それは黙っておいた。
「あ、私からも」
部屋の隅に置いていたモノを誠に渡す。
手編みのマフラー。
慣れてないから不格好だけど。
「ありがとうな、神奈」
気に入ってくれたようだ。
「飯食ったら、風呂入れよ」
今仕度してくる。
「DVD見ないのか?」
「お前見てなかったろ?」
「こう見えて視野だけは広いんだぜ」
そう言ってにやりと笑う誠。
「明日夕方まではいれるから、冬夜達と騒ごうぜ」
そう言って、冬夜に電話する誠。
いや、この時間はまずいだろ!
「ま、待て、冬夜達にも都合が……」
遅かった。
「はい?誠?」
「ああ、冬夜。今神奈の家にいるんだけど。4人で遊びにいかね?」
「……せっかく二人なんだろ?二人で遊べよ」
「お前たちにも会っておきたいんだよ」
「少しはこっちに気遣えよ」
「……お前からそんな言葉が出るとはな」
「……察しろ」
「……分かった!じゃあ、大会が終わった後な!」
「テストがあるんだよ」
「その後!」
「練習大丈夫なのか?」
「都合つける」
「わかったよ」
最後はトーヤが根負けしたようだ。
「てなわけで明日はデートな」
また勝手な事を。
「私だって夕方からバイトだぞ」
「クリスマスなのに大変だな。じゃあ、近くのカラオケでいいよ」
「分かったよ」
こんな奴でもサッカー部のエースだって言うんだから大したもんだ。
「冬夜と遠坂さんは最近どんな感じなんだ?」
誠は唐突に聞いてきた。
「相変わらずだよ、冬夜は全く愛莉の気持ちを気づこうとしないし……」
終業式の日の事を話した。
「冬夜らしいな。で、遠坂さんは?」
「愛莉は変わったよ、あのあと話したんだ」
「愛莉あんまりへこむなよ。あいつのあれはもう重症だ」
「へこんでないよ、神奈に言われて私変わったつもりだよ~」
「え?」
「『恋じゃなくて愛だ』って……調べたんだ。愛するという事は相手の全てを受け入れる事って。欠点も含めて」
「なるほどな」
「私変わるよ。冬夜君の悪いところ全部受け止める努力する」
「そうか、がんばれよ」
「うん、ありがとう」
「なるほどなあ」
誠が感心してる。
「神奈はどうなんだ?」
「俺の事……全部受け止めてくれるか?」
「受け入れない相手を易々と家に泊めるか?」
「恋でも止めるだろ?」
「私に愛してると言わせたいのか?」
「いや、まだその段階じゃないなら」
「愛してるよ」
「へ?」
「誠には感謝してる、傷ついていた私を拾ってくれて」
「子犬を拾ったような言い方やめろよ。運命だったんだよ」
「高校生から運命か?」
悪戯っぽく笑った。
「なんとでも言え、今夜はクリスマスだ」
「……ありがとうな」
そう言って誠に寄りそう。
そして……。
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