姉妹チート

和希

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Take me on

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(1)

「おはよう、似合ってるよ」

 入学式用の服を買ってもらってそれを着て外に出たら誠司郎に褒められた。
 それはそれで嬉しいんだけど素直に喜べない。

「誠司郎はこういう服が好きなの?私はもう少し動きやすい方が好きなんだけど。誠司郎がこういうのがいいならそうするけど?」

 白のカーデガンに水色のワンピース。
 しかもスカートの部分が必要以上にひらひらしている。
 こんな動きづらい格好で私は6年間過ごさないといけないの?

「あ、いや。今日みたいな特別な日だけでいいよ」
「そんな日あるの?」

 まさか小1でデートに誘ってくれるの?
 夏休みのキャンプに着ていく服じゃないよ?
 それにそんな日じゃないと私は服装を褒めてくれないの?
 何よりも……
 
「これ、私じゃなくてママが選んだんだけど」
「そ、そうなんだ……」

 ただ笑っている誠司郎。
 その後ろで誠司やパオラも笑っている。
 間違いない。

 ぽかっ

「そんな棒読みのセリフ聞いてたら誰でも気づきます」
「おかしいな。父さんはとりあえず褒めておけば喜ぶって言ったのに」
「ば、馬鹿。誠司郎……」

 誠司郎は自ら墓穴を掘った。

「私はとりあえずじゃないと褒めてもらえないの?」
「い、いや。雪は何を着ても似合ってるけど今日は特別綺麗だなって」

 最初からそう言えばいいのに。

「雪。誠司郎はまだこれから女の子の扱い方を学んでいくの。すこし手加減してあげて欲しいな」
「そんなのしなくていい」

 私に聞けばいいじゃない。

「なんでだ?」
「まさか他の女の子まで手を出すとか言ったら私でも泣くからね!」
「雪、それは心配しなくていい。そんなことしたらパパも黙ってないから」

 娘を泣かすような男はパパも許さないらしい。
 
「あれ?瞳子は?」

 誠司がママの事を聞いてた。
 パパがこたえる。

「瞳子は先に学校に行ってるよ」

 だって教師だから。

「あ、そうか」

 誠司もそれ以上は聞かなかった。
 なんとなくオチが分かったのだろう。
 私は悩んでいる誠司郎に声をかける。

「ありがとね。誠司郎もその服似合ってるよ」
「あ、ありがとう」
「でも毎日この格好は勘弁してね」

 着るのも洗濯も手間だし何より痛む。

「普段はどんな格好してるんだ?」

 そっか、誠司郎と私服で会う事ってあまりないからわかんないか。

「誠司郎はどんなのがいい?」
「うーん……これは単なる俺の貧相な想像なんだけど」

 やっぱりミニスカートじゃないのか?
 ショートパンツとかもありかもしれないけど。

「誠司郎は私の足が見たいの?」
「下着見たいなんて言ったら生きてないよ」
 
 足でもかなりのものだと思うけど。

「誠司郎。そこは嘘でも太ももが見たいとか言っておけ!」
「誠司は馬鹿なことを吹き込まないで!冗談でも言ったらいけません!」

 まだ私が幼いから興味ないみたいだ。
 学校に着くとクラス割を見る。
 当然の様に私と誠司郎は同じクラスだった。
 そして担任は……
 私の小学校生活が始まる。

(2)

 さてと……
 そろそろ教室に行こうかな。
 そう思って席を立った時に先輩の水島桜子先生と高槻千歳先生がやって来た。
 
「大丈夫?」

 桜子先生が不安そうに聞いている。
 無理もない。
 桜子先生は途中で定年を迎える。
 と、なると私が適任だと判断したようだ。
 桜子先生は陽葵や菫、結や結莉といった片桐家の一族に苦しめられてきた。
 だから不安なのだろう。

「雪は多分大人しくしてると思うので」

 私がそう言った。
 花見の時に様子を見ていたけどいつも通りあの子達に馬鹿な真似をする輩が現れない限り大丈夫だろうと判断した。
 片桐家と多田家が混ざるととんでもないことになる。
 それも多分大丈夫みたいだ。

「とりあえず挨拶して様子見てみます」

 そう言って職員室を出ると1年生の教室に向かう。
 外からも聞こえる騒ぎ声だったけど、私が教室に入ると静まり返る……と思ったけど。

「あ、ママが私達の先生なんだ~」

 そんな事を大声で雪は言っていた。
 少し教室がざわつく。
 黒板に自分の名前を書いて挨拶をする。
 正直拍子抜けした。
 誰も騒ぐものが居ない。
 近年まれな事だ。
 雪も最初に大声を出しただけで後は静かに私の話を聞いていた。
 挨拶を済ませて説明をすると子供達を連れて体育館に向かう。
 ここが最大の難関だ。
 片桐家の血の者は大体が豪快に爆睡する。
 だけど雪は誠司郎と何か話をしているだけ。
 その程度の事だ。
 今年の新入学生は何か違う。
 教師の方が戸惑うくらいだ。
 無事に入学式が終わると教室に戻って今後の説明をして終わり。
 冬吾さんや誠司君と話をしていた。

「思った通り大丈夫みたいだね」
「誠士郎は俺ににて真面目だからな」
「誠司に似なくてほっとしたわ……」

 誠司とパオラはそう言っていた。
 じゃあ、冬吾さんは?
 愛莉さんが教えてくれた。

「雪は面倒になる事を嫌ってるだけ」

 雪の歳で今騒げば面倒な時間が増えるという事を理解していた。
 少しでも早く終わらせて寿司を食べたい。
 ただそれだけだという。
 本当に冬夜さんに似たんだな。
 それでもやっぱり教室が静かになったのは不思議だった。
 FGが壊滅したとはいえまだ暴れる子供なんていくらでもいる。
 その事は冬吾が説明してくれた。

「雪の素質みたい」
 
 冬吾が言うには雪は誰でもというか生命そのものを支配する素質がある。
 だから今騒いで帰る時間が遅くなったらただじゃ置かないぞとプレッシャーを与えているそうだ。
 つまり雪がいる限りのこのクラスで暴れるような自殺願望の塊は存在しないだろうという事だった。
 真面目に授業を受けようじゃない。
 お前らが馬鹿な真似をして給食が遅れたらしっかり償ってもらう。
 そんな脅しの中で今年の1年生は学校生活を送るようだ。
 しかし本当に大人しくしてくれるだろうか?
 花見の時に話していた。
 渡辺班を狙うグループ。
 彼らが今年必ず動くはずだと言っていた。
 私も極力あの子達が巻き込まれないように注意するつもりだった。

(3)

「雪、これを組み立てる事出来たらあげる」

 ノートもあった方が便利でしょ?と茜が言うから組み立ててもらったノートPCを使って調べていた。
 花見の時にじいじが言ってた言葉が気になる。
 リベリオン。
 じいじ達に逆恨みをしている連中。
 そいつらはじいじ達の孫を俺達を必ず狙ってくる。
 誠司郎が不安になるだろうから一人で探していた。
 なんとなく見当はついた。
 多分、去年の紅葉狩りの時はおそってきた連中。
 やつらは「エイリアス」と呼んでいた。
 多分本体はどこかに潜んでいたはず。
 そいつらが何人いるのかも分からない。
 すこしでも準備をしておきたい。
 狙ってくるのは私か誠司郎らしい。
 そのヒントを奴らがくれた。
 何かヒントがないか?
 夢中になっていると誠司郎が来た。

「せっかく昼休みなのに少しは外で遊ぼうとか考えないのか?」

 なんで体育の授業がない日にそんな疲れる真似しないといけないのか不思議だった。

「片桐家の娘は汗をかくことを嫌がるんだって」

 お風呂に入ることを嫌がるから。

「雪もそうなの?」
 
 話に黄島亜優が混ざって来た。

「ごめん、私は普通に毎日お風呂に入っている」

 なんなら誠司郎が確かめてみる?
 
「いや、いいよ」

 私じゃやっぱりだめなのかな?
 ママ達に相談してみようかな?

「で、どうして亜優がいるの?」
「あれ?私が隣にいたら何か都合が悪いことがあるの?」
「そんなのいちいち言わなくても察してよ。気まずいとか色々女の子なら分かるでしょ?」
「誠司郎はどっちと一緒がいいの?」

 にこりと笑って言うと良いと天音が言ってた。

「き、聞かなくてもわかるだろ」
「わかんない人がいるから聞いてるの」
「雪に決まってるだろ?」
「あら、私だって結構いい線行ってると思ったんだけどな」

 そんな風に誠司郎の占有権を巡って私と亜優が口論していると彼女が来た。

「今日もモテモテみたいですね。片桐さん」

 彼女の名前はブリュンヒルデ。
 ドイツから来たらしい。
 教室の隅っこに立っているアベルがこっち見ている。
 
「ねえ、私最近越してきたから友達いないんだよね。よかったら片桐さん達友達になってくれないかな?」

 そう言って私に握手を求めてくるブリュンヒルデの腕をとっさに払った。

「一度だけ警告してあげる。誠司郎に手を出したら絶対に許さない」
「日本人は外国人を随分敵視するって本当なのね」
「理由は自分が一番知ってるんじゃないの?」

 私はブリュンヒルデを睨みつける。
 だけどそれくらいで泣き出すような女子じゃなかった。
 ブリュンヒルデはにこりと笑った。

「……へえ。これでも隠してたつもりなんだけど」
「だったらもっと上手な隠し方を学んでくるのね」
「じゃ、こっちの黄島さんだったらいいのかしら?」
「勝手にすれば?」
「じゃ、黄島さん。少しお話しませんか?」
「……別に良いけど」

 そう言ってブリュンヒルデが亜優と移動するのを見ていた。

「あのさ、ああいう言い方よくないよ?」

 亜優だってショックだよ。と、誠司郎が言う。

「どうして?」

 私がそう言うと誠司郎はため息を吐いていた。

「じゃあさ。例えば俺が雪の立場だったとして亜優はダメで雪の事は好きにしろって言われたら傷つかない?」
「それって亜優で例えになるの?」
「そんなの決まってるじゃない」
「でしょ?」
「いつかそうなるんじゃないかっていつも不安を抱えてるよ」

 ぽかっ

「もう少し俺の事を信用してくれよ」
「してるよ」

 だから一緒にいるんじゃない。

「で、俺がダメな理由って何かあったの?」
「ここじゃ話しづらいから帰り家に寄って行かない?」

 パオラにはスマホでメッセージ送っておけばいいでしょ?

「最近よく家に誘ってくれるね」

 誠司郎は嬉しそうだ。
 半分くらいは誠司郎が「一緒に勉強しよう」って言いだすからなんだけど。
 
「絶対に父さんの家はやめておけ!」
 
 水奈がそう言っていたから私の家にしていた。

「あらあら。頻繁に彼氏を部屋に誘うなんて誰に似たのかしら?」
「ま、まだそんな仲じゃない!」
「隠さなくてもいいのに」

 今日も学校が終わるとそんなやりとりをして部屋に入る。
 誠司郎も慣れているようで適当に座ると勉強道具をテーブルに並べながら話を始めた。

「で、ヒルデに一体何があるの?」

 誠司郎の質問に私は天音にメッセージを送りながら答えた。

「あいつ、前に結から聞いた特徴に似ている」
「え?」
「去年の紅葉狩り覚えてる?」
「ああ、結達が遭遇した能力者の話?」

 たしかパドラーと名乗っていたっけ?

「それがあいつの能力」

 二人の能力が何かをじっと様子を見て探っていたけどなんとなくわかった。
 能力の所持者を邪魔しているのがアベル。
 妨害の能力だろう。
 それが原因で結が正確に能力を使えなかった。
 きっかけは何日か前。
 二人っきりになるのを見て尾行した。
 どうやら妨害の能力をいつも使っているわけじゃないから尾行くらいやり方はいくつでもある。
 で、2人の話を聞いて確信した。

「アベル、今ジャマーしておかなくていいの?」
「どうやらクラスで注意するのは雪だけだ」

 誠司郎は何の能力も持ってない。
 もちろん亜優達も。
 その話を聞いてアベルにジャマーの能力……妨害する能力があるのが分かった。
 後はブリュンヒルデがどんな能力使いか。
 あの執事みたいな男を出すだけなのか?
 話を聞いていると他にもまだ同じような別人がいる。
 エイリアスと二人は呼んでいた。
 多分それがあの執事だろう。
 詳細はさすがにわからなかったけど分かった事がもう一つある。

「それは何?」
「他にも能力者がいる」

 二人が直接私達に手を出すのはリスクがでかい。
 少なくとも私が見ている範囲では手が出せない。
 だから私が離れている間に誠司郎に手を出すつもりらしい。

「じゃあ、俺が狙われているからヒルデと二人きりになったりするなって事か?」

 そもそもあの2人は何者なんだよ?
 さすがに誠司郎も不安そうにしている。

「リベリオンって言葉親から聞いてない?」
「リベリオン?」

 聞いたことがないらしい。
 誠司郎に手を出したら多分じいじ達が動き出す。
 もちろんそんな誠司郎の危険をただ黙って見ているわけにはいけない。

「じいじ達の因縁の相手。私達が小学生になるのを待って殺す気でいるらしい」
「それってヒルデ達は私達を殺すために?」
「言ったろ?ブリュンヒルデ達は正体がバレてないと思ってる。今正体をばらしたらやばいのはあいつら」

 考えてみれば当たり前だ。
 私の領域の中でふざけた真似したらすぐに消してやる。
 天音達の力を借りるまでもない。
 でもそれだけだと不安だから保険を掛けることにした。
 私は立ち上がると部屋のドアを閉めてカーテンも閉める。

「どうしたんだ?」
「お願いがあるんだけど」
「お願い?」
「まずベッドの中に入って」
「え?」

 戸惑いながらもベッドの中に入る誠司郎に無理なことをお願いした。
 
「裸になって欲しい」
「そ、それはまだ早いって聞いたんだけど」
「理由は後で説明するから」
「わ、分かった」

 そして誠司郎がベッドの中で裸になると「向こうを向いてて」と言って私も服を脱いでベッドに入ると誠司郎を後ろから抱きしめた。
 小学1年生の裸だ。
 男も女もそんなに変わらない。
 それでも私の心臓はバクバク言ってる。
 誠司郎も同じようで私に伝わって来る。
 
「ど、どうしてこんな真似を?」

 私は誠司郎の温もりを確かめながら誠司郎に説明した。

「私の”既成概念”を使えば例え誠司郎がリベリオンに殺されてもなかったことにできる」

 でもそんなボロボロになる誠司郎を見たくない。
 そんな風になる誠司郎を想像したくない。
 だからその保険をかけることにした。

「それがこれなの?」
「うん、今誠司郎のイメージを脳に焼き付けてる」

 これが誠司郎なんだってイメージをしてる。
 誠司郎の匂い、誠司郎の形、誠司郎の温もりをインプットしてる。

「そうするとどうなるの?」
「私の中での誠司郎に何があろうと否定する事が出来るはず」

 砕いて言うと”私の誠司郎に何かが起こるわけがない”と全否定する。

「な、なるほどね。……もういいかな?」
「どうして?」
「こんな状態だと変な気分になってきて……」
「良かった……私もそんな気分」

 こっち向いてよ。
 折角だからキスくらいしよう?
 そう言って誠司郎とキスをする。

「これでいいのかな?」
「うん、でも誠司郎も成長するから更新しないとだめだけどね」
「これを何度もするの!?」
「いや?」
「そんなことないけど、雪は平気なの?」
「まだ見せられる状態じゃないからベッドの中にしたんだけど」
「いいわけありません!」

 愛莉の声がしたので慌てて振り返る。
 
「あなた達勉強していると思ったら何してるのですか?」

 愛莉が部屋の扉を開いてジュースを持って来ていた。
 慌てて私から離れる誠司郎を見て笑っている愛莉。

「雪は瞳子に似たのかしら、それとも私に似たのかしら。でも、その先は絶対にだめですよ」

 きっとパパが悲しむから。
 男親って変らしい。
 娘を汚されたと怒るか悲しむか。
 じいじは後者だったそうだ。
 自分達だって同じことをしてきたのに。
 でもさすがにまだ体が成長していないから待ちなさい。
 愛莉のいう事は本当にそれでいいのか?とたまに思う。
 それから少しだけ勉強して誠司郎を家に送って行った。

「なんなら一晩くらい止まって行ってもいいぞ」

 神奈が言う。

「着替えとか持ってないから無理」
「お前の家はどうなってるんだ?一か月くらい平気で風呂に入らない娘もいるのに」

 神奈はそう言って笑っていた。
 家に帰ると天音と茜と結が来ていた。
 理由は学校から帰って伝えた情報だろう。

「雪の言う通りで間違いない。ヒルデって奴とアベルって奴の身辺を洗ったら出て来た。

 天音が言う。
 予想通り二人以外にも何人も能力者を事を抱えている集団がリベリオン。
 その幹部的存在が「7の苦悩」と呼ばれる集団。
 また7人か。

「私の方もあいつらの情報網は捕まえた。今回は空からも言われてるし頭数もいるからずっと監視していられる」

 今のところはまだ地元に拠点をしっかり作ることに徹している。
 その間は手を出してくることはない。
 だけど能力者は自分を過大評価している。
 勝手に動き出す馬鹿は要るだろう。

「私は石原家の私兵を警護につけてもいいけど?」

 天音がそう言うけど私は首を振った。
 
「こっちが気づかれてない事がアドバンテージでしょ?だったらそのまま放って動き出す前に潰した方が良い」

 言い方を変えると自分から名乗り出た馬鹿を片っ端から潰せばいい。
 私も能力者だから言えるけどどんなに強い能力を持っていても所有者が油断すれば意味が無い。
 名乗り出た馬鹿が能力者だと判断したら問答無用で消去する。
 アベル達も私が攻撃的な能力をもっていないと勘違いしていたから尾行が楽だった。
 すると黙って話を聞いていたじいじが口を開いた。

「それは結にも言える事だよ」

 どんなに凄い能力を持っても使い方を間違えたら自分の身に危険が迫る。

「どんな危険があるのかは僕が言うまでもないよね?」

 じいじは結の制約を見抜いたのか?
 話が終わると天音と茜と結は家に帰って、私も夕食を食べて風呂に入って部屋に戻る。
 茉莉と菫は「久々に踊れるか?」とやる気になってるらしい。
 亜優に聞いた。

「亜優はあの後ブリュンヒルデと何話してたの?」
「ああ、それなんだけどさ。あの2人SHに入れてもいい?」
「なんだって?」

 天音が反応した。
 その後黙ったのは多分裏で翼か空が教えているのだろう。

「いいよ。招待の仕方は分かるよね?」

 空が思った通りの反応をした。
 亜優が二人を招待して二人が挨拶をしている。
 その裏で片桐家のグルチャで話をしていた。

「なんで敵を入れたんだよ!?」
「天音、敵だから招いたんだよ」
「はあ?茜の言ってる事おかしくないか?」
「こそこそ隠れて何かされるよりしっかり捕まえておきたいって事だよね?」
「翼の言う通り。SHの中にいる限りはあの2人に隠し事は出来ない」
 
 それはSHのIT班がしっかり捕獲しているから大丈夫。
 逆に相手のグループに侵入する気でいるようだ。
 とりあえずは誠司郎の安全は確保したつもりだった。
 だけどもう少しだけ安全にしておきたい。
 その方法を考えながら私は眠っていた。
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