姉妹チート

和希

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Green_day

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(1)

「ねえ、冬吾君?」

 瞳子が話しかけてきた。
 僕たちはキャンプ場を出ると銭湯によっていつものテーマパークに来ている。
 志希や育人は戸惑っているみたいだ。
 しかし僕や誠司は慣れている。
 誠司達は気を利かせて僕達2人で楽しんで来いと言ってくれた。
 で、瞳子と2人で楽しんでいた。

「どうしたの?」
「普通さ、こういう所って男子はつまらないんじゃないの?」

 瞳子のいう事ももっともだ。

「こんなところではしゃぐ男子も嫌だろ?」
「それはそうなんだけど……冬吾君無理してない?」
「全然してないよ」
「そう?」

 その理由は瞳子も分かっているのだろう。
 卒業したらしばらく日本を離れる。
 だから瞳子との思い出をいっぱい作っておこう。
 寂しくならないように。

「でも天音の娘とか空の子供とかすごいね」

 この話題を続けたらいつか触れたらいけないものに触れてしまうと思ったのだろう。 
 瞳子が話題を変えていた。

「そうだね、でも瞳子も他人事じゃないんじゃないの?」
「どうして?」

 瞳子が聞くと、僕はくすっと笑った。

「僕って才能だけなら空を超えてるらしいんだ」

 父さんが言うから間違いないだろう。
 
「瞳子が産む子もきっとすごい才能の持ち主になるよ」

 その意味を理解したのか、瞳子の顔が赤くなる。
 しかし何か企んでいるようだ。
 瞳子はにやりと笑っていた。

「4年間も彼女放っておいて、ずっと私が冬吾君と一緒なんて保障しないよ」
「分かってるよ」
「え?」

 だからこうして少しでも瞳子が僕の事を忘れないように瞳子と思い出を作ってる。

「瞳子こそ僕が向こうで他の女子に浮気するとか考えないの?」
「ない」
「どうして?」
「冬莉が言ってた。片桐家の男子は一途なんだって」

 絶対に浮気とかそう言うことを考えない。
 そんな暇あったら美味しい物食ってる。
 まあ、実際そうなんだよな。
 だから問題なんだと瞳子に言う。

「どうして?」
「パエリアって貝とか入ってて食べづらそうじゃないか?」

 そう言うと瞳子は笑っていた。

「冬吾君にしては珍しいこともあるんだね。ちゃんと調べた?」

 瞳子が説明した。
 パエリアを郷土料理にしている地方では具材はシーフードだけじゃない。
 鶏肉やウサギの肉がメインらしい。
 他にもスペイン料理にもちゃんと肉料理とかあるから心配しなくていい。

「瞳子がそういうの調べるのって珍しいね」
「冬吾君の事だから海外に行く不安なんて食べ物くらいしか考えてないと思ったから」
「瞳子の事も心配してるよ」
「でも信じてくれてるんでしょ?」

 君を愛している。
 心で見つめている。
 寒い夜も君を信じている。
 たとえ失っても、出来る限り笑顔で輝きたい。
 涙で今呼びかける。
 約束はいらないよ。
 君がくれた大切な強さだから。
 瞳で今呼びかける。
 寒い夜も手を伸ばすから。

「私たちは約束しなくても決められている。だから信じてる」
「瞳子は僕がいなくて寂しくないの?」
「その質問は意味がないよ」

 だって寂しいって言っても冬吾君を困らせるだけだから。
 だったら笑って送りだしてあげる。
 冬吾君には可能性がある。
 それを妨げるような真似はしたくない。
 恋人は足を引っ張り合うものじゃない。
 支え合うものだ。
 だから大丈夫。
 冬吾君だって全く連絡しないなんて真似するわけないでしょ?
 そんな瞳子を見て僕は一言言った。

「一つやってみたいことあったんだ」
「どうしたの?」

 瞳子がそう言うと僕は瞳子を抱きしめる。
 
「ちょ、ちょっと他人が見てるよ?」
「僕に抱かれてるの見たら恥ずかしい?」
「そ、そんなことないけど。どうしたの突然!?」
「父さんが大学生の時に母さんにしたんだって」

 どんなところに行っても恋人と一緒なら楽しいって確かめてたんだって。

「冬吾君は楽しい?」
「だからこうしてる」

 意味わかる?
 瞳子が愛しいんだ。

「……ありがとう」
「……ただでさえ暑いのにお前らアスファルト溶かすつもりか?」

 振り返ると父さんたちと誠さん達がいた。
 神奈さんが言うと瞳子が慌てて離れる。

「今更恥ずかしがらなくてもいいでしょ」

 母さんがそう言って笑う。

「しかし冬吾もその境地に達したか」

 誠さんが言う。

「誠さんが見てたら布団用意してもらえると思って」
「ちょ、ちょっと冬吾君!?」
「む、そう言うことなら任せろ。寝袋を積んである。瑛大、お前あれもってたろ?」
「任せろ。遊達にいってカメラ借りてくる……いてえ!」

 ばこっ!

「お前らはいい加減にしろ!冬吾も同じだぞ!」

 神奈さんが怒っている。
 母さんも当然怒っていた。

「瞳子を困らせて楽しいのですか!?」

 母さんがそう言うと皆集まってきた。
 
「そろそろ出ようか?」

 父さんが言うと僕たちはテーマパークを後にした。

(2)

「しかしいつ来てもつまらないところね」

 泉が酷評していた。
 でも冬吾の父さんは楽しいって言ったらしい。
 冬吾の母さんと一緒ならどこに行っても楽しいはずと言ったらしい。
 そんな2人の子供だから大丈夫だろ?

「冬吾だって高校3年生なんだ。デートの仕方くらいマニュアルなくても出来るだろ?」
「誠司が言っても全く説得力ないよ?」
 
 泉が言う。
 俺は笑うしかなかった。
 やらかした口だしな。

「お前らも別行動でよかったんだぞ?」

 俺の事なら気にするな。
 適当に薄着の姉ちゃん見て楽しんでるから。

「あんた人がまじめに心配してるのにどうしてそう言うこと言うわけ?」

 冴が言った。
 冴もSHに戻ってさとりと一緒に来ていた。

「僕たちは冬吾達みたいに会えなくなるわけじゃないから」

 志希が言う。
 むしろ志希は卒業後は冬莉と活動を始める。
 だからみんなとの思い出を優先した。

「誠司にも思い出作ってやらないと”日本に未練はない”とか言い出しかねないから」

 将来戻ってきて冬吾と夢を実現させるんでしょ?と冬莉が言う。

「母さん結構期待してるみたいだから」

 頼子がそう言って笑った。

「どうせ世界相手に試合するなら地元チームで確保しておいても問題ないでしょ!」
「恵美、2人は多分そうじゃないんだと思う」
「どういうこと?望」

 望さんは説明してくれたらしい。
 俺と冬吾はいつも一緒にプレイしていた。
 本当にそれでいいのか?
 状況はいつ何があるかわからない。
 誠司のパスがないとプレイできない。
 冬吾以外にパスを出せない。
 多分そんな局面を考えているのだろう。
 それに別々のチームでプレイしていたらいつか対戦するときがくる。

「どっちが勝つか試してみたくないか?」

 そんなことを二人で話し合ったんだろう。
 親ってすごいな。
 子供の考えてることなんて簡単に見破ってしまう。
 五輪の試合展開も冬吾の父さんは当然だけど俺の父さんも見破ったらしい。
 親を褒めるのは当然だけど、もっと違う角度から見ないといけない。
 俺と冬吾のプレイを知っている人間なら間違いなく見抜いてくる。
 お互いの手札を知った者同士で勝負して弱点をさらけ出す必要もある。
 それが日本代表で致命傷になる前に。
 冬吾の右足シュートがいい例だ。
 五輪の時にはっきりした。
 冬吾はゴールは動かないと言っていたけど、キーパーの位置はいつでも動く。
 ゴールの様子がはっきり見える距離が右足シュートの最大射程。
 その右足シュートを止める相手が現れた時の対処法。
 実は右足シュートを止める方法があるんじゃないのか?
 それをずっと考えていた。

「なるほどね、でも冬吾を敵に回したくないって言ってたの誠司じゃない?」

 冬莉が聞いていた。

「ああ、恐ろしいよ。でも逃げるわけにもいかないだろ?」

 冬吾と言う最強のライバルを敵にしてどう勝ちに行くか?
 そんなプレイが出来るのか?
 自分で試してみて新たに発覚することがある。
 切磋琢磨っていうだろ?
 この先サッカーを続けていけば冬吾が味方の時は多いけど敵に回ることはほとんどないだろ。
 4年後には地元に帰ってくるって約束したんだし。
 だったらこの4年間が最後のチャンスだ。
 冬吾なしで自分がどれだけやれるか試してみたいんだ。

「……土産話楽しみにしてるよ」

 泉が言う。

「ああ、一度見てみたいものがあったしな」
「何それ?」

 冬莉が言うと俺は笑って答えた。

「海外の女性は毛を剃ってるっていうけど本当なのかなって」
「……真面目に聞いた私が馬鹿だった」

 少しくらい遊ばせてくれよ。
 しかし神様は遊ばせるつもりは毛頭ないそうだ。
 止まっていた俺の時間が動き出そうとしていた。

(3)

「じゃあ、お疲れ様」

 夕食を済ませて子供たちを家に帰すと僕たちは集まっていた。
 
「今夜は私が見てあげるから」

 母さんがそう言って結と比呂を預かってくれた。
 天音も恵美さんの実家に預けるそうだ。
 子供だけにしておけない。
 そんな局面に来ていた。
 まず純也が説明する。
 この夏に街の中の公園でドンパチをした馬鹿がいるらしい。
 ドンパチになると思っていたのはリベリオンの方だけだったみたいだけど。
 相手はライフル装備してるのにFGはバットとかを所持していたそうだ。
 父さんに言わせると「どっちも馬鹿だろ」らしいけど。
 それで抗争とは言えないレベルの一方的な虐殺が行われた。
 FGの縄張りだというけど、市内はSHの縄張りだ。
 しかし現時点ではリベリオンに警戒する必要がある。
 また子供を攫うくらいの事はするだろう。
 しかも今度はFGとは違って危険度が高すぎる。
 ためらわずに子供の命を奪うだろう。
 もう何か事が起きてから対処では遅い。
 こっちが先に叩き潰す必要があるのじゃないか?
 渡辺さんや多田さんはそう判断して僕達を集めた。
 そしてキャンプ中に馬鹿が動いた。
 よりにもよって翼のこめかみ目掛けて発砲した。
 
「殺してくれ」

 そう解釈していいんだろう。
 そして発砲した本人は結の怒りに触れて存在を抹消された。
 
「つまり大人も子供も躊躇わず狙ってくるみたいだ」

 渡辺さんがそう話す。
 動揺する親や仲間たち。

「相手が先に手を出してきたんだ。ぶっ殺してもいいってことだろ?トーヤ」

 神奈さんが父さんに聞いている。
 父さんは「誰を?」と神奈さんに聞いている。
 神奈さんは答えられなかった。
 リベリオン自体を壊滅させるのは難しい。
 相手がどの程度の戦力を出したのか分からない。
 それは純也から聞いていた。
 エリツィンの恋人のメッセージがあったらしい。
 それだけだ。
 誠さん達の情報だと3つのギャングが来日してるらしい。
 よく審査通ったな。
 まあ、裏ルートを使ったんだろう。
 それはどうでもいい。
 じゃあ、残りの2つは何してる?
 当然そうなる。
 最悪の事態を常に想定しなさい。
 父さんがそう言ってた。
 そうなると考えられるのは一つ。
 エリツィンの恋人は囮。
 のこのこと奴らの挑発に乗って罠にはまったら最悪の事態になる。
 結局はまだ動けない。
 もっと情報が欲しい。

「空、黙ってないで何か言いなさい」
「冬夜。こんな状況でお前は息子に任せるつもりなのか?」
「そうだよ」

 父さんはそう言って僕を見る。
 自信を持て、そして責任を忘れるな。
 僕が判断を間違えたら仲間を危険にさらす。
 深呼吸をしてみんなに伝えた。

「まだ様子を見よう」
「お前この期に及んでビビってるのか!?ふざけた事言ってるとお前からぶっ殺すぞ空!」

 天音達が騒ぎ出す。
 父さんは静かに聞いていた。

「……空はまだ足りない。そう考えているんですね?」

 大地が言うとうなずいた。

「何が足りないの?武力?情報?」
「情報なら私達が片っ端から集めてあげる。誠さんも一緒だから大丈夫」
「武力なら私達に任せて、こんな島国いつでも地獄に変えてやるわよ」

 茜と晶さんが言う。
 だけど僕は首を振った。

「口実……かな?」

 公生さんが言った。
 父さん達も同じ事を考えていたようだ。
 正解みたいだ。

「口実って……空と翼じゃなかったら死んでたよ!」
「SHの主力を狙ってくるなら同じ結果だよ」

 翼だって善明が常に警戒してる。
 天音や大地だって同じだ。
 なのにあえて僕達を狙ってきた。
 どうして?
 理由は一つ。

「挑発ですね?」

 善明が言うと頷いた。
 これから僕達を標的にする。
 そんな挨拶だろう。

「だったらその仕返しくらいしないと調子に乗るだけじゃないのか?」
「天音、落ち着いて。その報復ならすでにしてる」
「どういうことだ」
「冬夜が何をしたか知ってるだろ?」
「なるほどな……」

 渡辺さんは納得したようだ。

「でも今後何してくるかわからないじゃない」

 美希が聞くから僕は答えた。

「そうじゃないんだよ」

 何をしてくるかわからないじゃない。
 何を仕掛けたらいいかわからないんだ。
 ヒットマンが殺されたわけでも袋叩きにあったわけでもない。
 突然消えたんだ。
 当然相手は僕たちが何をしてきたのか分からないだろう。
 そうなれば当然まずはそれを突き止めないと行動できないはず。
 想像以上の馬鹿なら呼び出したりするんだろうけど。
 調子に乗っていたのはFGだけじゃない。
 リベリオンとやらもFGを叩き潰して調子に乗ったんだろう。
 父さんたちもよく言っていた。
 どんな組織だろうと頭を潰せば浮足立って混乱する。
 だから僕を狙ったんだろう。
 それが一番危険だということを認識してなかった。

「十郎が提供した程度の情報だったんだと思う」
 
 今回の件で動揺くらいはしただろう。
 だから次の手をどうすればいいか悩んでる。

「それなら仕掛けるタイミングとしては好機に思えるけど?」

 奈留さんが言う通りなんだけど、こっちもまだ完全じゃない。
 さっき言ったように相手は少なくとも3つ。
 その3つの戦力がどの程度なのか把握もしないで仕掛けるのは無謀だ。
 相手がFGならさっさと潰す。
 みんな悪い意味で喧嘩慣れしすぎてる。
 自分たちは絶対負けないと思ってる。
 もっと危機感を持たないとダメだ。
 相手はためらいなく銃を撃ってくるんだ。
 遊にそんな奴の相手無理だろ?

「まあ、さすがに実弾飛んでくるのは怖いな」

 遊が言う。

「……だからってこのままビビってるわけじゃないわよね?」

 恵美さんが聞くと僕はにやりと笑った。

「一つだけ好都合なことがわかった」

 純也から聞いた情報。
 相手の入国したルートは不明。
 つまりこの国にどうしているのかわからない人間。
 そんなやつがどんな目に会おうと警察には関係ない。

「つまりどういうことだ?」

 美嘉さんが聞くと父さんが答えた。

「空が言っただろ?そいつらに何が起きようと日本としては関係ないんだ」

 そんな物騒な連中が裏口で入国してるなんて世間に知れたらパニックだ。
 そいつらに何をしようと国がもみ消してくれるよ。

「つまりぶっ殺してもバラバラにしようと関係ないってことだな?」

 天音が聞いた。
 恋愛小説としてはどうなんだと思うけどね。

「よっしゃ!大地!武器用意しろ。全員ぶっ殺して灰にしてやる」
「私も一回やって見たかったんだ!私にも貸してくれ!」
「それなら俺も!!」

 物騒な話題だけどみんなが盛り上がった。
 多分これで間違いないと思う。

「言っとくけど今はその時期じゃない。やられたから潰しました。けど、次がまだいましたじゃ面倒だ」

 一度に全部つぶす。
 文字通り一撃で終わらせる。

「任せとけ!お前がそう言うなら一人残らず潰してやらぁ!」

 その時を待ち望んでいるらしい。
 本音はちびって帰りましたが理想なんだけどな。

「じゃ、まずは情報収集だね。私達に任せて」
 
 茜が言う。

「分かってると思うけどそれだけのでかい組織なんだ。茜とタメを張るクラスのハッカーがいてもおかしくない」

 ボロを出すのだけはやめてくれ。
 すると茜と真香がにやりと笑う。

「空、私達だって片桐家の人間。ジハードとやらを暴くのにも苦労したんだから、言われなくても分かってる」

 茜がそう言って誠さんと恵美さんと一緒に笑っている。
 どういうことだ。

「空、俺たちだってそっちの方は一流のつもりだ。空が考えてることくらい対策したよ」

 誠さんがそう言って説明する。
 茜達が神谷の情報に触れようとすると妨害してくる連中がいる。
 妨害する連中が神谷の仲間と言ってもいいくらいにわかりやすかった。
 誠さんの時が公生と手分けしたように茜達も手分けしたらしい。
 まず神谷の情報を奪い取ろうとするチーム。
 当然横やりが入る。
 そこでもう1つの手札。
 そっちが本命。
 横やり自体を狙った。
 もちろん奪い取ろうとするチームは狙われてるのを分かってやってるので足跡を残す真似はしない。
 しかし横やりを入れる連中はまさか自分たちが狙われるとは思ってなかった。
 芋づる式に全員突き止めたらしい。
 神谷の仲間だ。
 当然のように悪事を働いている。
 それをすべて抑えて警告した。

「私達に手を出したらこれを全部どこかのP2Pのネットワークに垂れ流してやる」

 そしてジハードを突き止めた。
 もちろんその情報は恵美さんの家のサーバーに全部保管してる。
 しかも恵美さんの家ですべて身元を押さえている。
 それを聞いてさすがに驚いた。

「すごいのは空だけじゃないんだよ」

 茜はそう言って笑う。

「片桐家に手を出したらどうなるかくらいは分からせてやらないとね」

 翼も言う。
 それなら僕も茜に頼るとしよう。

「黄帝竜とホテルカリフォルニアの情報か?」

 誠さんが言うけど正確には違う。
 
「ジハードの関係性」

 神谷十郎がどう関わっているのか?

「そんなの今更どうして調べるんだ?」
「気になることがあって……」
「なんだそれ?」

 誠さんが聞くと僕は答えた。
 今回エリツィンの恋人だけが出てきたのはそれだけで十分だと判断しただけか?
 何か他に理由があるんじゃないのか?
 そうなると協力関係の実情が知りたくなる。
 ジハードと呼ばれるグループの頂点に何がいるのかはわかってる。
 しかし主従関係はあるけど横のつながりはどうなんだ?
 
「まあ、指揮官としては知っておきたいだろうね」

 公生さんがそう言う。

「空、ちょっと手を貸してくれないかな?」

 大地が言う。

「どうしたの?」

 大地が説明した。
 とりあえず県内に居るロシア人皆殺しにしてやろう! 
 多分大体当たってるだろう。
 そんなことを天音達が言い出して盛り上がっている。
 翼は笑っていた。

「空の王様も大変だね」

 翼が言う。
 全くだよ……。
 大地と一緒に天音を宥める。

「何かこっちから挨拶くらいしてもいいだろ!」
「……それならいい方法がある。僕に任せてくれない?」
「どうするんだ?」
「十郎に直接警告する」
「どうやって?」

 水奈が聞くとその方法を説明する。
 
「なるほどな……」

 天音は理解したみたいだ。
 
「それ結達大丈夫なの?」

 美希が心配している。
 だけど天音が笑う。

「多分相手を心配した方がいいぞ。あいつらその気になったら無事ではないと思うから」
「それが問題なのよ。あの子達本気で殺しかねないよ」
「美希がいつも言ってるから大丈夫だろ」

 喧嘩するのは構わないけど殺すな。

「まあ、空がそう判断するなら従うよ」

 美希も母親なんだな。
 いつもこっちが恐れているだけじゃ面白くないだろ。
 だったらたまにはこっちから仕掛けてやろう。
 まだ子供の喧嘩だけで済ませてやるぞ?
 そんな警告も含めたつもりだ。
 しかし相手は想像以上の馬鹿だった。
 徹底的につぶしてやらないと気付かない事を理解するのはそう遠くない話だった。
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