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男子の事情
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(1)
「これから2日間皆さんと共に行動します……」
バスの中でバスガイドさんが挨拶をしていた。
誠司達は盛り上がっている。
大人の女性なんて水島先生を見てるだろうに、何をそんなにはしゃいでいるのだろう?
「馬鹿だな冬吾、バスガイドって美人ばっかじゃねーか!」
僕が馬鹿なんだろうか?
若い大人の女性が好きなんだろうか?
でも冴の隣でそんなにはしゃぐと後が大変だと思うんだけど。
誠司の暴走は止まらない。
「お姉さん!彼氏いるの!?」
そんな事を聞いてどうするんだ?
いなかったらどうだと言うんだ?
僕達は小学生だぞ?
「お前本当に分かってないな。あの人絶対胸デカいぜ」
だからそういう事を冴の隣で言うのは止めた方がいいぞ。
そりゃ大人だから発達もしてるだろう。
でもだからそれが僕達に関係あるのか?
大人だから化粧もしている。
声も作ってるのか分からないけど可愛い声をしている。
それが誠司達を虜にしていたのだろうか?
冴の機嫌は悪そうだ。
しかしそんな事全く関係なく、誠司達はバスガイドに質問攻めする。
僕達は長崎に1泊2日の修学旅行に行く。
長崎に行くのは初めてだ。
「ちゃんぽんと皿うどんと佐世保バーガーはテーマパークで食えるから!」
行く前に天音が教えてくれた。
もっとも天音はその後母さんに怒られていたけど。
「あ、父さんカステラは苦手なんだ」
「冬夜さんも好き嫌いを子供の前で自慢しないでください!」
父さんも小学生の時修学旅行で長崎に行ったらしい。
でもまだ母さんと付き合ってなかったのであまり楽しくなかったそうだ。
「冬吾は瞳子と楽しい思い出作っておいで」
ちなみに翼と空と天音は食事が気に入らなかったらしい。
「冬吾君は大人の女性には興味ないの?」
隣に座っていた瞳子が聞いてきた。
「それって答えたら何かあるの?」
「え?」
瞳子だっていずれ大人になるんだよ?
僕の彼女は瞳子なんだしそんなに気にする必要ないんじゃない。
「あんな風に綺麗になれるか分からないよ?」
「今の瞳子だって可愛いからきっと綺麗な女性になるよ」
「ありがとう」
瞳子は喜んでくれた。
「2人が羨ましいよ」
後ろの席に座っていた冴が漏らす。
「長崎に行ったら冴も誠司と観光したらいいんじゃないかな」
「だといいんだけどね」
冴は何か不安があるらしい。
冬莉はイヤフォンで音楽を聴きながら眠っていた。
鳥栖ジャンクションを見て感動した。
こんな道路があるんだ。
写真を撮りたかったけどすぐに通り過ぎたので諦めた。
「冬吾君が免許取ったら2人で来ようね」
瞳子がそう言っていた。
長崎に着くと昼食を食べる。
空達が不満を言う理由が分かった。
普通の昼食だった。
それが気に入らなかったのだろう。
さすがに誠司も食事中に遊びだすという真似はしなくなってた。
食事が済むと早速観光に行く。
原爆資料館に行った。
戦争の悲惨さを訴える展示物。
「ぐろい、無理……」
そう言って誠司はさっさと抜けていった。
瞳子も辛いものがあったらしい。
泣いている。
僕は不思議だった。
戦争は悲惨だ。
だからどうした?
そんなのやる前から分かってる事じゃないか。
それでも譲れない物があったから戦うしかなかった。
僕の正義が他人の正義を傷つける事がある。
でもそれはしょうがないんだ。
世界中で崇められてる神様が引き金で戦争になるんだから。
神様ですら戦争を起こす。
話し合いで済めばいいけど、何処の国も身勝手だ。
自分達を守る為に戦う。
日本は領土を脅かされているのに反撃することを許されない。
憲法9条が守ってくれるというけど、そんなの関係なしに俺たちの領土だと主張する国だらけの日本。
やられたらやり返せ。二度と馬鹿な真似を考えないように叩きのめせ。
それが片桐家のルール。
まあ、瞳子もあまり苦手みたいだし早々と出る事にした。
「冬吾君は平気なの?」
瞳子が聞いてきた。
「意味がわからない」
それは冬莉も一緒だったみたいだ。
ただ「核兵器はいけないと思います」と感想に書いておけば問題ないだろうからそんなに見る必要は無い。
こんな物見たってどうせ家に帰ったら戦争ゲームに夢中になるんだから。
(2)
長崎の観光名所に着くと自由行動になった。
「お土産は私が適当に選んでおくから、冬吾は瞳子と楽しんできなよ」
冬莉はそう言って一人でどこかに消えていった。
冬莉の行動力は凄い。
お土産用のチャンポンと皿うどんをおいてある店を探して置いたらしい。
自由行動のエリアを勝手に超えて路面電車に乗って買いに行ったらしい。
ついでに明太子も忘れずに。
後で水島先生にバレて怒られたそうだ。
誠司は隼人と一緒になって観光に来ているカップルの女性を見てはしゃいでる。
冴はこうなるだろうと諦めていたようだ。
石原頼子や酒井泉と一緒に観光していた。
「瞳子は冬吾君と2人で楽しんだらいいよ」
集合時間と集合場所を決めて別れた。
ハートの石があると言うので瞳子と探していた。
綺麗なところで瞳子と写真を撮っていた。
観光地だからお店がいっぱいある。
どこのお店も大体似たような物ばかりなんだけど。
「これどうかな?」
「うーん、僕はこっちの方が好きかも」
そんな話をしながら瞳子とデートしていた。
予定していたより早く終わったので集合場所で瞳子と話をしていた。
「うーん、どうして男子ってああも彼女を無視して女性に見とれるんだろう?」
瞳子が悩んでいた。
「それは僕にも分からないんだ」
父さんでさえ母さんとデートの最中に他の女性に見とれて喧嘩したことがあるらしい。
そういえば言ってたな。
「冬夜さんはその人に見とれていたんじゃなくて、私がその人の服装してたら似合ってたらだろうなって見ていたの」
僕も瞳子が将来大きくなってお洒落をしているのを想像することがある。
多分そういう事じゃないのだろうか?
誠司達は絶対違うと思うけど。
誠司達は其処にロマンがあるんだろうな。
「なんか最近冴が可哀そうに思えてさ」
「何かあったの?」
毎日の様に誠司のロマンに付き合わされているらしい。
誠司は私を人形程度にしか思ってないんじゃないだろうか?
そんな不満を瞳子に言っていたらしい。
僕は平気。
「誠司のロマンに興味をもってはいけません!」
母さんに言われたから。
「あれ?2人とも早かったんだね」
冴達も戻って来た。
そして時間ギリギリになって慌ててやってくる誠司と隼人。
隼人はなぜか木刀を買っていた。
そんなの何に使うんだ?
それより酷いのは誠司だった。
子供用のチャイナ服を買ってきた。
「帰ったらこれ着てくれよ」
さっそく冴を困らせている。
「誠司、それ多分無駄だぞ」
僕が誠司に言った。
「なんでだよ?」
チャイナドレスはボディラインがしっかりでるから、きちんと採寸してオーダーメイドしないと魅力が出せない。
ちなみに父さんは母さんにそういう服を着せるのを嫌っていた。
母さんは自分の体型が幼いからかな?と悩んだらしい。
でも父さんは違った。
そういうのは父さんだけの宝物にしたいんだそうだ。
誠司風に言うとそれがロマンなんだろう。
「そうならそうと先に言えよ!」
誠司が怒り出す。
修学旅行のお土産に彼女のチャイナドレス買うなんて発想誰もしないだろ。
ちなみに修学旅行が終って家に帰った時に誠司の母さんにバレたらしい。
こっぴどく叱られたそうだ。
(3)
「この変態!!」
「ぎゃあ!」
お風呂の壁をよじ登って女子風呂を覗こうとした男子が、それに気づいた女子が桶をなげつけて命中して脱落していく構図。
毎年の光景らしい。
もちろん誠司もその中に含まれていた。
んなことしなくても、誠司は冴の見てるんだろ?
「馬鹿、クラスの女子見てなかったのか!?」
そう言って「あの子の胸がでかい」とかそんな話を熱弁する誠司。
後で正座させられて説教されていた。
風呂を済ませると布団に入ってスマホで瞳子とメッセージをしていた。
「私早めに冬吾君に告白してよかったよ」
「何があったの?」
「冬莉は大変だったみたい」
冬莉は見た目は可愛い女子だ。
今まで誰とも付き合ってないのが不思議なくらいに魅力のある女子だ。
家での冬莉の振る舞いなど誰も想像しないだろう。
風呂から上がった冬莉を待っていたのは大勢の男子の告白。
「名前も知らない男子から告白されても嬉しくない」
そう言って断ったそうだ。
説教された誠司達が部屋に戻ってくる。
誠司はどうやら電話で冴からも怒られてるようだ。
それが終ると話をする。
と、いってもそんなに話すことがない。
彼女がいるのは僕と誠司と隼人だけ。
あの子なら今彼女いないとかそんな話をするだけ。
それだけでは済まさないのが誠司。
「冬吾は瞳子とどこまでやったんだ?」
そういう話をするから冴から怒られるんだとどうして分からないのだろう?
父さん達の話だと誠司の父さんも似たような感じだったらしい。
父さんに余計な入れ知恵するのが誠司の父親だったそうだ。
「僕は小学生の間はそういうのは止めておきなさいと言われたから」
瞳子の体が取り返しのつかない事態になると言われた。
瞳子を大事にするなら我慢しなさいと言われた。
しかし誠司は違うらしい。
……よくやるよ。
「冬吾もしてもらえばいいじゃん」
「それって楽しいの?」
「気持ちいいぜ」
「冴も?」
自分だけ気持ちよくなって悪いって気はしないのだろうか?
「そのくらい分かってるって、ちゃんと冴も気持ちよくさせてやってるよ」
そうして誠司の自慢話?を延々と僕達は聞かされていた。
隼人は気になったらしい。
他の彼女のいない男子も夢中になっていた。
「いつまでお喋りしてるの!もう就寝時間過ぎてるでしょ。早く寝なさい」
水島先生が部屋に来てそう言って出て行った。
「しかし問題は明日だよなあ」
誠司が言う。
「花と建物見るだけのどこが楽しいんだよ」
隼人も不満を言っている。
「冬吾もそうだろ?」
誠司が聞くと首を振った。
「チャンポンとラーメンと佐世保バーガーと……」
「お前は食い物だけかよ!」
多分冬莉も同じだろうな。
「誠司達も明日くらい彼女のご機嫌取っておいた方がいいよ」
今日はやり過ぎだぞと注意する。
「冬吾の言う通りかもな」
隼人は納得したらしい。
誠司は違うらしい。
「女の顔色うかがって生きていくなんてごめんだね」
誠司の父さんから言われたらしい。
実際冴に頭が上がってないと思うんだけど。
「じゃあ、僕は寝不足だけはしたくないから寝るね」
そう言って瞳子に「おやすみ」と送って寝る。
食べ物の事だけを考えていた。
「これから2日間皆さんと共に行動します……」
バスの中でバスガイドさんが挨拶をしていた。
誠司達は盛り上がっている。
大人の女性なんて水島先生を見てるだろうに、何をそんなにはしゃいでいるのだろう?
「馬鹿だな冬吾、バスガイドって美人ばっかじゃねーか!」
僕が馬鹿なんだろうか?
若い大人の女性が好きなんだろうか?
でも冴の隣でそんなにはしゃぐと後が大変だと思うんだけど。
誠司の暴走は止まらない。
「お姉さん!彼氏いるの!?」
そんな事を聞いてどうするんだ?
いなかったらどうだと言うんだ?
僕達は小学生だぞ?
「お前本当に分かってないな。あの人絶対胸デカいぜ」
だからそういう事を冴の隣で言うのは止めた方がいいぞ。
そりゃ大人だから発達もしてるだろう。
でもだからそれが僕達に関係あるのか?
大人だから化粧もしている。
声も作ってるのか分からないけど可愛い声をしている。
それが誠司達を虜にしていたのだろうか?
冴の機嫌は悪そうだ。
しかしそんな事全く関係なく、誠司達はバスガイドに質問攻めする。
僕達は長崎に1泊2日の修学旅行に行く。
長崎に行くのは初めてだ。
「ちゃんぽんと皿うどんと佐世保バーガーはテーマパークで食えるから!」
行く前に天音が教えてくれた。
もっとも天音はその後母さんに怒られていたけど。
「あ、父さんカステラは苦手なんだ」
「冬夜さんも好き嫌いを子供の前で自慢しないでください!」
父さんも小学生の時修学旅行で長崎に行ったらしい。
でもまだ母さんと付き合ってなかったのであまり楽しくなかったそうだ。
「冬吾は瞳子と楽しい思い出作っておいで」
ちなみに翼と空と天音は食事が気に入らなかったらしい。
「冬吾君は大人の女性には興味ないの?」
隣に座っていた瞳子が聞いてきた。
「それって答えたら何かあるの?」
「え?」
瞳子だっていずれ大人になるんだよ?
僕の彼女は瞳子なんだしそんなに気にする必要ないんじゃない。
「あんな風に綺麗になれるか分からないよ?」
「今の瞳子だって可愛いからきっと綺麗な女性になるよ」
「ありがとう」
瞳子は喜んでくれた。
「2人が羨ましいよ」
後ろの席に座っていた冴が漏らす。
「長崎に行ったら冴も誠司と観光したらいいんじゃないかな」
「だといいんだけどね」
冴は何か不安があるらしい。
冬莉はイヤフォンで音楽を聴きながら眠っていた。
鳥栖ジャンクションを見て感動した。
こんな道路があるんだ。
写真を撮りたかったけどすぐに通り過ぎたので諦めた。
「冬吾君が免許取ったら2人で来ようね」
瞳子がそう言っていた。
長崎に着くと昼食を食べる。
空達が不満を言う理由が分かった。
普通の昼食だった。
それが気に入らなかったのだろう。
さすがに誠司も食事中に遊びだすという真似はしなくなってた。
食事が済むと早速観光に行く。
原爆資料館に行った。
戦争の悲惨さを訴える展示物。
「ぐろい、無理……」
そう言って誠司はさっさと抜けていった。
瞳子も辛いものがあったらしい。
泣いている。
僕は不思議だった。
戦争は悲惨だ。
だからどうした?
そんなのやる前から分かってる事じゃないか。
それでも譲れない物があったから戦うしかなかった。
僕の正義が他人の正義を傷つける事がある。
でもそれはしょうがないんだ。
世界中で崇められてる神様が引き金で戦争になるんだから。
神様ですら戦争を起こす。
話し合いで済めばいいけど、何処の国も身勝手だ。
自分達を守る為に戦う。
日本は領土を脅かされているのに反撃することを許されない。
憲法9条が守ってくれるというけど、そんなの関係なしに俺たちの領土だと主張する国だらけの日本。
やられたらやり返せ。二度と馬鹿な真似を考えないように叩きのめせ。
それが片桐家のルール。
まあ、瞳子もあまり苦手みたいだし早々と出る事にした。
「冬吾君は平気なの?」
瞳子が聞いてきた。
「意味がわからない」
それは冬莉も一緒だったみたいだ。
ただ「核兵器はいけないと思います」と感想に書いておけば問題ないだろうからそんなに見る必要は無い。
こんな物見たってどうせ家に帰ったら戦争ゲームに夢中になるんだから。
(2)
長崎の観光名所に着くと自由行動になった。
「お土産は私が適当に選んでおくから、冬吾は瞳子と楽しんできなよ」
冬莉はそう言って一人でどこかに消えていった。
冬莉の行動力は凄い。
お土産用のチャンポンと皿うどんをおいてある店を探して置いたらしい。
自由行動のエリアを勝手に超えて路面電車に乗って買いに行ったらしい。
ついでに明太子も忘れずに。
後で水島先生にバレて怒られたそうだ。
誠司は隼人と一緒になって観光に来ているカップルの女性を見てはしゃいでる。
冴はこうなるだろうと諦めていたようだ。
石原頼子や酒井泉と一緒に観光していた。
「瞳子は冬吾君と2人で楽しんだらいいよ」
集合時間と集合場所を決めて別れた。
ハートの石があると言うので瞳子と探していた。
綺麗なところで瞳子と写真を撮っていた。
観光地だからお店がいっぱいある。
どこのお店も大体似たような物ばかりなんだけど。
「これどうかな?」
「うーん、僕はこっちの方が好きかも」
そんな話をしながら瞳子とデートしていた。
予定していたより早く終わったので集合場所で瞳子と話をしていた。
「うーん、どうして男子ってああも彼女を無視して女性に見とれるんだろう?」
瞳子が悩んでいた。
「それは僕にも分からないんだ」
父さんでさえ母さんとデートの最中に他の女性に見とれて喧嘩したことがあるらしい。
そういえば言ってたな。
「冬夜さんはその人に見とれていたんじゃなくて、私がその人の服装してたら似合ってたらだろうなって見ていたの」
僕も瞳子が将来大きくなってお洒落をしているのを想像することがある。
多分そういう事じゃないのだろうか?
誠司達は絶対違うと思うけど。
誠司達は其処にロマンがあるんだろうな。
「なんか最近冴が可哀そうに思えてさ」
「何かあったの?」
毎日の様に誠司のロマンに付き合わされているらしい。
誠司は私を人形程度にしか思ってないんじゃないだろうか?
そんな不満を瞳子に言っていたらしい。
僕は平気。
「誠司のロマンに興味をもってはいけません!」
母さんに言われたから。
「あれ?2人とも早かったんだね」
冴達も戻って来た。
そして時間ギリギリになって慌ててやってくる誠司と隼人。
隼人はなぜか木刀を買っていた。
そんなの何に使うんだ?
それより酷いのは誠司だった。
子供用のチャイナ服を買ってきた。
「帰ったらこれ着てくれよ」
さっそく冴を困らせている。
「誠司、それ多分無駄だぞ」
僕が誠司に言った。
「なんでだよ?」
チャイナドレスはボディラインがしっかりでるから、きちんと採寸してオーダーメイドしないと魅力が出せない。
ちなみに父さんは母さんにそういう服を着せるのを嫌っていた。
母さんは自分の体型が幼いからかな?と悩んだらしい。
でも父さんは違った。
そういうのは父さんだけの宝物にしたいんだそうだ。
誠司風に言うとそれがロマンなんだろう。
「そうならそうと先に言えよ!」
誠司が怒り出す。
修学旅行のお土産に彼女のチャイナドレス買うなんて発想誰もしないだろ。
ちなみに修学旅行が終って家に帰った時に誠司の母さんにバレたらしい。
こっぴどく叱られたそうだ。
(3)
「この変態!!」
「ぎゃあ!」
お風呂の壁をよじ登って女子風呂を覗こうとした男子が、それに気づいた女子が桶をなげつけて命中して脱落していく構図。
毎年の光景らしい。
もちろん誠司もその中に含まれていた。
んなことしなくても、誠司は冴の見てるんだろ?
「馬鹿、クラスの女子見てなかったのか!?」
そう言って「あの子の胸がでかい」とかそんな話を熱弁する誠司。
後で正座させられて説教されていた。
風呂を済ませると布団に入ってスマホで瞳子とメッセージをしていた。
「私早めに冬吾君に告白してよかったよ」
「何があったの?」
「冬莉は大変だったみたい」
冬莉は見た目は可愛い女子だ。
今まで誰とも付き合ってないのが不思議なくらいに魅力のある女子だ。
家での冬莉の振る舞いなど誰も想像しないだろう。
風呂から上がった冬莉を待っていたのは大勢の男子の告白。
「名前も知らない男子から告白されても嬉しくない」
そう言って断ったそうだ。
説教された誠司達が部屋に戻ってくる。
誠司はどうやら電話で冴からも怒られてるようだ。
それが終ると話をする。
と、いってもそんなに話すことがない。
彼女がいるのは僕と誠司と隼人だけ。
あの子なら今彼女いないとかそんな話をするだけ。
それだけでは済まさないのが誠司。
「冬吾は瞳子とどこまでやったんだ?」
そういう話をするから冴から怒られるんだとどうして分からないのだろう?
父さん達の話だと誠司の父さんも似たような感じだったらしい。
父さんに余計な入れ知恵するのが誠司の父親だったそうだ。
「僕は小学生の間はそういうのは止めておきなさいと言われたから」
瞳子の体が取り返しのつかない事態になると言われた。
瞳子を大事にするなら我慢しなさいと言われた。
しかし誠司は違うらしい。
……よくやるよ。
「冬吾もしてもらえばいいじゃん」
「それって楽しいの?」
「気持ちいいぜ」
「冴も?」
自分だけ気持ちよくなって悪いって気はしないのだろうか?
「そのくらい分かってるって、ちゃんと冴も気持ちよくさせてやってるよ」
そうして誠司の自慢話?を延々と僕達は聞かされていた。
隼人は気になったらしい。
他の彼女のいない男子も夢中になっていた。
「いつまでお喋りしてるの!もう就寝時間過ぎてるでしょ。早く寝なさい」
水島先生が部屋に来てそう言って出て行った。
「しかし問題は明日だよなあ」
誠司が言う。
「花と建物見るだけのどこが楽しいんだよ」
隼人も不満を言っている。
「冬吾もそうだろ?」
誠司が聞くと首を振った。
「チャンポンとラーメンと佐世保バーガーと……」
「お前は食い物だけかよ!」
多分冬莉も同じだろうな。
「誠司達も明日くらい彼女のご機嫌取っておいた方がいいよ」
今日はやり過ぎだぞと注意する。
「冬吾の言う通りかもな」
隼人は納得したらしい。
誠司は違うらしい。
「女の顔色うかがって生きていくなんてごめんだね」
誠司の父さんから言われたらしい。
実際冴に頭が上がってないと思うんだけど。
「じゃあ、僕は寝不足だけはしたくないから寝るね」
そう言って瞳子に「おやすみ」と送って寝る。
食べ物の事だけを考えていた。
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