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繋がりあう強さ
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(1)
「じゃあ、今夜も……」
「乾杯だけでいいんだよ!!」
「まあ、王様のお言葉をもらってもいいんじゃね?」
「んなもんで腹は膨れないんだよ!」
遊と天音が言いたい放題言ってる。
今日はSHの花見の日。
いつもの川沿いの公園に集まっていた。
乾杯を済ませると食べて飲んで忙しい天音。
翼は美希達と楽しそうに話している。
帰りは翼が運転してくれるらしいから、安心して飲んでいた。
「いよいよ最後の年ですね」
善明が言う。
そう、3年生の1年間は何事も起きなかった。
皆が皆平穏無事に過ごしていた。
そしていよいよ大学生活最後の年になる。
「就活も皆問題なさそうだし、のんびりできそうだな」
学が言ってる。
水奈の事はもうあきらめたらしい。
今夜くらい好きにさせてやる。
いつも好き勝手やってるような気がするんだけど。
「問題はないのかともかく、職安に通う必要はなさそうですね」
善明が言う。
善明は大学を卒業したら酒井アミューズメントプラザの社長だ。
数ある酒井グループの中でもとりあえず一番被害の少ない会社を選んだらしい。
少なくとも妻の機嫌を損ねて下請けを潰すという事は無いだろう。
理由が凄いけど。
学は公務員になるらしい。
そのための試験勉強をしているんだそうだ。
「まあ、落ちたら私が母さんに口利きしてあげる」
美希にそう言われたらしい。
僕も父さんの会社の面接を受けるつもりだ。
父さんの会社だから楽に受かるだろうけど、父さんに恥をかかせるわけには行かない。
そのための準備くらいはしていた。
他にも大企業の重役に抜擢されたりしているSHのメンバー達。
学生生活最後の年。
「今年も何事も無ければいいですね」
多分大丈夫だろう。
「学は水奈が大学卒業してからになるのかい?」
善明が聞いていた。
「何がだ?」
「この前話してたろ?水奈が大学卒業するまで子供は無しだと」
「あ、ああ。その頃には俺もある程度落ち着いて、子供の世話を手伝ってやれるだろうから」
専門学校に行くのはどうしたんだ?と聞いたらしい。
すると「どうせ学が稼いでくれるんだろ?」と言ったそうだ。
水奈も専業主婦の道を選んだらしい。
善明はどうするんだろう?
「大学卒業したらすぐに作れと言われてね……」
善明の母親からも言われたらしい。
とりあえず笑っとけと言った感じの善明だった。
僕はその前に美希にプロポーズしないとな。
「私はいつでもいいんだぞ!」
「僕まだ学生だよ!」
「私が働くから問題ない!」
「育児はどうするの?」
「そこで相談なんだ」
天音が真顔になった。
母さんと交渉したらしい。
孫の顔を見せてやるから世話を手伝って欲しい。
「それはいいんだけど、大地のお母さんには相談したの?」
天音はもう片桐家の人間じゃない。
石原家の人間だ。
そこで大地に相談したらしい。
「天音に仕事と育児なんてさせてたら僕が埋められるよ。せめて大学卒業するまで待って」
大地が土下座してお願いしたらしい。
「大地君も大変だね」
善明も他人事じゃないんだろう。
大地に同情していた。
「な~に男だけで集まってるの?」
翼達がやって来た。
「愛莉が言ってた。”男だけで集まっていたら注意しなさい。どうせろくでもない事考えてるから”って」
「翼、それ私の母さんも言ってた」
美希も一緒のようだ。
心配しなくていいよ。
その不安要素の2人は今頃育児の手伝いに必死だろうから。
しかし僕達は忘れていた。
新しい不安要素が出来ていたことを。
(2)
「天音、大地は放っておいていいのか?」
「どうせ男どもで集まって話してるんだろ?ほっとけばいいよ」
私は水奈にそう言った。
私達は遊と粋達と騒いでいた。
今年また新たなメンバーが増える。
大体わかるんだけど楽しみだ。
「しかしお前らが羨ましいよ。もう結婚したんだろ?」
祈が言う。
「陸と結婚するんじゃないのか?」
「卒業するまで待ってくれってさ」
意外とアイツ真面目なんだな。
「遊も何考えてるのか分からない」
「粋も同じだよ」
相変わらずバカ騒ぎをして学生生活を満喫してるらしい。
たまに休日にバイクでツーリングすることはあっても、雪華団を抜けたらしい。
雪華団の頭は空とやりあって、大人しくなったらしい。
もう何も言わなくても無茶はしないだろう。
今は雪華団よりも花やなずなを安心させてやりたいと言ったそうだ。
「その割にはあのバカ今度は地下アイドル発掘って騒いでさ」
夜な夜なライブに通っているらしい。
飲んで帰ってくることもしばしばある。
そして今日も企んでいるらしい。
遊と粋がやってきた。
「なずな今日一人で帰ってくれないか。俺、粋と2次会行くから」
「私は2次会に行ったらいけないの?」
「でもなずな飲んでないじゃん」
「そりゃ誰が車運転するの?」
「だろ?だったら」
「2次会の店の近くに車止めるから大丈夫。他に問題あるの?」
「普通は女性は2次会行かないだろ?」
やっぱりろくでもない事考えてるらしい。
「どんな店に行くんだ?」
私が遊に聞いていた。
「それは空に聞いた方がいいんじゃないか?」
「分かった。おーい空!」
私は空を呼ぶ。
「どうしたの?」
「遊が2次会どこに行くかだってさ」
「何も考えてなかったけど?僕は家に帰るつもりだから行きたい人で決めたらいいんじゃないか?」
空は美希に監視されてるから変な店には絶対に行かない。
それに美希の事だ。
夜は私にかまって、とでも言ったのだろう。
「遊はどこか行くの?」
空が遊に聞いていた。
「ま、まあ。カラオケくらい行こうかなって」
「カラオケならなずな達一緒でもいいじゃない」
翼が言い出した。
ただ笑っているだけど遊と粋。
「綺麗なお姉さんとなずなが話しても問題ないじゃないか?」
カマをかけてみた。
この手の誘導には滅法弱い遊達。
「それじゃ、俺達の不満はどこへ行くんだ……あっ!」
ほら引っかかった。
「ふーん。カラオケで不満を言いたいわけね。じゃあ、私が代わりにじっくり聞いてあげる」
「粋も同じなの?」
粋はただ笑っている。
「んじゃ私達は2次会カラオケでいいな」
「それはいい。私もたまにしか参加できないから朝までつきあうぜ」
祈も乗って来た。
明日は休みだ。
朝まで騒いで帰って寝た。
すると誰か来客が来たようだ。
忘れてた。
愛莉のやつが抜き打ちでくるんだった。
慌てて着替える。
大地が上手く誤魔化してくれたから助かった。
(3)
「うーん」
家に帰ると空が悩んでいる。
どうしたんだろう?
「どうしたの?」
「わかんないんだよね。どうして高い金払って彼女以外の女性とカラオケしたがるんだろう?」
本当にしょうもない事を悩むんだから。
「空は私に不満?」
「そんなの美希なら聞くまでもないだろ?」
ま、そうなんだけど。
「空は余計な事考えなくていいから」
「そっかぁ」
納得したようだ。
「でもさ、美希は僕に不満ないの?」
「あるよ」
「何でも聞くから言ってよ」
「分かった。まずすぐにそういう変な事に興味を示す癖。その割には私にはまったく興味を示してくれない」
「ごめん……」
「謝る必要は無い。そんな空だから私から行動で伝えるの」
そう言って私は空を抱きしめる。
「それなら普通に一緒に寝たいって」
「女性にそれを言わせるの?」
「……それもそうだね。じゃあ、今夜はもう寝ようか?」
「ありがとう」
そういって空とベッドに入る。
「冬夜さんも空と同じだったんだって」
「父さんも?」
「うん、愛莉さんが強請ってるのになかなか気づいてくれなかったんだって」
今は一杯構ってくれてるらしいけど。
「やっぱり目標は父さん達なのかな?」
「冬夜さんは娘に甘すぎるって愛莉さんが愚痴ってたけどね」
「難しいんだね」
そんなに難しく考えなくていいよ。
私を幸せにしてくれるだけでいい。
今だって十分幸せだから。
今のままの空でいいの。
だからこれからもずっとよろしくね。
もう何も無いと思っていた。
だけど今年もまた災難が待ち受けている事になっていた。
「じゃあ、今夜も……」
「乾杯だけでいいんだよ!!」
「まあ、王様のお言葉をもらってもいいんじゃね?」
「んなもんで腹は膨れないんだよ!」
遊と天音が言いたい放題言ってる。
今日はSHの花見の日。
いつもの川沿いの公園に集まっていた。
乾杯を済ませると食べて飲んで忙しい天音。
翼は美希達と楽しそうに話している。
帰りは翼が運転してくれるらしいから、安心して飲んでいた。
「いよいよ最後の年ですね」
善明が言う。
そう、3年生の1年間は何事も起きなかった。
皆が皆平穏無事に過ごしていた。
そしていよいよ大学生活最後の年になる。
「就活も皆問題なさそうだし、のんびりできそうだな」
学が言ってる。
水奈の事はもうあきらめたらしい。
今夜くらい好きにさせてやる。
いつも好き勝手やってるような気がするんだけど。
「問題はないのかともかく、職安に通う必要はなさそうですね」
善明が言う。
善明は大学を卒業したら酒井アミューズメントプラザの社長だ。
数ある酒井グループの中でもとりあえず一番被害の少ない会社を選んだらしい。
少なくとも妻の機嫌を損ねて下請けを潰すという事は無いだろう。
理由が凄いけど。
学は公務員になるらしい。
そのための試験勉強をしているんだそうだ。
「まあ、落ちたら私が母さんに口利きしてあげる」
美希にそう言われたらしい。
僕も父さんの会社の面接を受けるつもりだ。
父さんの会社だから楽に受かるだろうけど、父さんに恥をかかせるわけには行かない。
そのための準備くらいはしていた。
他にも大企業の重役に抜擢されたりしているSHのメンバー達。
学生生活最後の年。
「今年も何事も無ければいいですね」
多分大丈夫だろう。
「学は水奈が大学卒業してからになるのかい?」
善明が聞いていた。
「何がだ?」
「この前話してたろ?水奈が大学卒業するまで子供は無しだと」
「あ、ああ。その頃には俺もある程度落ち着いて、子供の世話を手伝ってやれるだろうから」
専門学校に行くのはどうしたんだ?と聞いたらしい。
すると「どうせ学が稼いでくれるんだろ?」と言ったそうだ。
水奈も専業主婦の道を選んだらしい。
善明はどうするんだろう?
「大学卒業したらすぐに作れと言われてね……」
善明の母親からも言われたらしい。
とりあえず笑っとけと言った感じの善明だった。
僕はその前に美希にプロポーズしないとな。
「私はいつでもいいんだぞ!」
「僕まだ学生だよ!」
「私が働くから問題ない!」
「育児はどうするの?」
「そこで相談なんだ」
天音が真顔になった。
母さんと交渉したらしい。
孫の顔を見せてやるから世話を手伝って欲しい。
「それはいいんだけど、大地のお母さんには相談したの?」
天音はもう片桐家の人間じゃない。
石原家の人間だ。
そこで大地に相談したらしい。
「天音に仕事と育児なんてさせてたら僕が埋められるよ。せめて大学卒業するまで待って」
大地が土下座してお願いしたらしい。
「大地君も大変だね」
善明も他人事じゃないんだろう。
大地に同情していた。
「な~に男だけで集まってるの?」
翼達がやって来た。
「愛莉が言ってた。”男だけで集まっていたら注意しなさい。どうせろくでもない事考えてるから”って」
「翼、それ私の母さんも言ってた」
美希も一緒のようだ。
心配しなくていいよ。
その不安要素の2人は今頃育児の手伝いに必死だろうから。
しかし僕達は忘れていた。
新しい不安要素が出来ていたことを。
(2)
「天音、大地は放っておいていいのか?」
「どうせ男どもで集まって話してるんだろ?ほっとけばいいよ」
私は水奈にそう言った。
私達は遊と粋達と騒いでいた。
今年また新たなメンバーが増える。
大体わかるんだけど楽しみだ。
「しかしお前らが羨ましいよ。もう結婚したんだろ?」
祈が言う。
「陸と結婚するんじゃないのか?」
「卒業するまで待ってくれってさ」
意外とアイツ真面目なんだな。
「遊も何考えてるのか分からない」
「粋も同じだよ」
相変わらずバカ騒ぎをして学生生活を満喫してるらしい。
たまに休日にバイクでツーリングすることはあっても、雪華団を抜けたらしい。
雪華団の頭は空とやりあって、大人しくなったらしい。
もう何も言わなくても無茶はしないだろう。
今は雪華団よりも花やなずなを安心させてやりたいと言ったそうだ。
「その割にはあのバカ今度は地下アイドル発掘って騒いでさ」
夜な夜なライブに通っているらしい。
飲んで帰ってくることもしばしばある。
そして今日も企んでいるらしい。
遊と粋がやってきた。
「なずな今日一人で帰ってくれないか。俺、粋と2次会行くから」
「私は2次会に行ったらいけないの?」
「でもなずな飲んでないじゃん」
「そりゃ誰が車運転するの?」
「だろ?だったら」
「2次会の店の近くに車止めるから大丈夫。他に問題あるの?」
「普通は女性は2次会行かないだろ?」
やっぱりろくでもない事考えてるらしい。
「どんな店に行くんだ?」
私が遊に聞いていた。
「それは空に聞いた方がいいんじゃないか?」
「分かった。おーい空!」
私は空を呼ぶ。
「どうしたの?」
「遊が2次会どこに行くかだってさ」
「何も考えてなかったけど?僕は家に帰るつもりだから行きたい人で決めたらいいんじゃないか?」
空は美希に監視されてるから変な店には絶対に行かない。
それに美希の事だ。
夜は私にかまって、とでも言ったのだろう。
「遊はどこか行くの?」
空が遊に聞いていた。
「ま、まあ。カラオケくらい行こうかなって」
「カラオケならなずな達一緒でもいいじゃない」
翼が言い出した。
ただ笑っているだけど遊と粋。
「綺麗なお姉さんとなずなが話しても問題ないじゃないか?」
カマをかけてみた。
この手の誘導には滅法弱い遊達。
「それじゃ、俺達の不満はどこへ行くんだ……あっ!」
ほら引っかかった。
「ふーん。カラオケで不満を言いたいわけね。じゃあ、私が代わりにじっくり聞いてあげる」
「粋も同じなの?」
粋はただ笑っている。
「んじゃ私達は2次会カラオケでいいな」
「それはいい。私もたまにしか参加できないから朝までつきあうぜ」
祈も乗って来た。
明日は休みだ。
朝まで騒いで帰って寝た。
すると誰か来客が来たようだ。
忘れてた。
愛莉のやつが抜き打ちでくるんだった。
慌てて着替える。
大地が上手く誤魔化してくれたから助かった。
(3)
「うーん」
家に帰ると空が悩んでいる。
どうしたんだろう?
「どうしたの?」
「わかんないんだよね。どうして高い金払って彼女以外の女性とカラオケしたがるんだろう?」
本当にしょうもない事を悩むんだから。
「空は私に不満?」
「そんなの美希なら聞くまでもないだろ?」
ま、そうなんだけど。
「空は余計な事考えなくていいから」
「そっかぁ」
納得したようだ。
「でもさ、美希は僕に不満ないの?」
「あるよ」
「何でも聞くから言ってよ」
「分かった。まずすぐにそういう変な事に興味を示す癖。その割には私にはまったく興味を示してくれない」
「ごめん……」
「謝る必要は無い。そんな空だから私から行動で伝えるの」
そう言って私は空を抱きしめる。
「それなら普通に一緒に寝たいって」
「女性にそれを言わせるの?」
「……それもそうだね。じゃあ、今夜はもう寝ようか?」
「ありがとう」
そういって空とベッドに入る。
「冬夜さんも空と同じだったんだって」
「父さんも?」
「うん、愛莉さんが強請ってるのになかなか気づいてくれなかったんだって」
今は一杯構ってくれてるらしいけど。
「やっぱり目標は父さん達なのかな?」
「冬夜さんは娘に甘すぎるって愛莉さんが愚痴ってたけどね」
「難しいんだね」
そんなに難しく考えなくていいよ。
私を幸せにしてくれるだけでいい。
今だって十分幸せだから。
今のままの空でいいの。
だからこれからもずっとよろしくね。
もう何も無いと思っていた。
だけど今年もまた災難が待ち受けている事になっていた。
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