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夢幻の時間
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(1)
「今日11時から見積部の人と面会を予約してたのですが」
「はい、ただいま確認するので少々お待ちください」
電話で確認する。
「すぐ参るそうなので、そちらの4番のブースでお待ちください」
そんな応対を繰り返す。
新年度なので来客も多い。
ぼーっと突っ立ってりゃいいやと思ってたのに全然違う。
立ってるだけでも疲れるのにそれを表に出してはいけない。
いつ来るか分からない来客に対応しなきゃならない。
基本2人1組で応対して交代制を取る。
休憩してる時間ではない。
総務部はありとあらゆる雑務をこなす。
新人の私達でもそれなりのデスクワークが待っている。
受付は来客だけではない。
デスクワークしている間は電話応対をする。
音声は録音されているのであからさまなクレームは来ないけどねちねちとくどい奴はいる。
しかしここは志水建設。
先輩たちはとても親切だ。
「栗林さん。どこから電話?」
「はいあの……」
「構わないからこっちにつないで」
「わかりました」
優しい先輩に電話を回すと先輩は相手を怒鳴りつける。
「お宅の戯言に30分もうちの受付を付き合わせるとは一体何様のつもりだ!?」
こんな感じで一日を終える。
クレーム処理の部門もあるのでそっちにまわしたりする。
そして11時30分になると私と道香は先に休憩する。
決して優遇されてるわけじゃない。
昼休みの間も受付は必要なので時間をずらして交代で休憩する。
休憩時間が終ると業務に戻る。
15時を回ると受付業務は過酷になる。
多分私たちの会社特有のハードな時間帯なのだろう。
私達は17時30分には業務を完全に終了する。
設計部や営業部、見積部が偶に残業するくらいだ。
これらの部門はさすがに時間内労働だけでは納期を守れない。
見積部が仕事をしなかったら仕事を受注できなくなってしまう。
だから役員の許可をもらって残業している。
そうなると下請けも必死になる。
期限ぎりぎりに出来上がった見積書を持ってきたりする。
アポを取ってない突然の来訪なんてよくある話だ。
そして担当はそう言う時に限って出かけている。
その事を伝えると客は激怒する。
客は下請けや孫請けとはいえ、社長やら部長やらそれなりの役職についてるものが多い。
だからプライドもあって私達を見下した態度をとる。
「あんた達は時間になれば帰れるからいいんだろうけど、それに間に合わせる為に我々にどれだけのしわ寄せが来てるのか分かってるのか!」
同じ残業するならもっと余裕をもって持ってくればいいじゃないか。
そんな事を言ってやりたいが、言える立場ではないのでひたすら頭を下げる。
しかし相手も今日が期限。
そう簡単に引き下がらない。
そして相手は1社だけではない。
時間ぎりぎりに大勢の人間が押し寄せてくれ。
「こっちも急いでるんだ!早くしてくれ!」
受付はちょっとした混乱にみまわれる。
そうなることも想定して、もしもの時は待機してる受付にヘルプを求めるようになっている。
道香が今ヘルプを要請していた。
「そんな小者を一々相手する必要ないわよ!」
偶に訪れる志水建設の会長の娘。
酒井善明の母親酒井晶さん。
「不満があるなら仕事を断ってくれてもいいのよ?あんた達の替わりなんていくらでもいる」
「やあ、晶さん。今日はどうしたの?」
「あ、木元先輩。相変わらず雑魚共が騒いでるようね」
「えーと、栗林さんだっけ?何かあったのか?」
晶さんを出迎えに来たらしい支社長の木元和哉さんがやってくる。
事情を説明した。
「アポすらとってないのに随分勝手な言い草ですね」
「し、しかしこっちも期限を守るのに必死で……」
「期限は無理のない様にゆとりを持たせるように指示しているはず。現に他の競合会社はとっくに提出してるよ」
他社に出来て貴社に出来ないのというのはおかしな話。
見積すら期限ぎりぎりになるのならきっと仕事を回しても同じミスを犯す。
だったら貴社に回す仕事はない。
支社長はそう言った。
「あなた一人の為に受付を用意したんじゃない。周りに迷惑を与えている。そんな会社に用はない。お引き取り願おうか」
支社長が言うと肩を落として帰って行った。
「結構ハードな仕事だけどそのうち慣れるから」
支社長は私達にそう声をかけてくれた。
「で、晶さんは今日はどうしたの?」
「ああ、片桐君の息子さんがサッカーの公式戦に出るらしいから渡辺班の皆で応援に行かないか?ってお誘いに来たの」
「それはいつなの?」
「連休中にあるみたい。それなら問題ないでしょ?」
「わかった。スケジュール空けとくよ。花菜には言ってるのかな?」
「大丈夫、アムールを通じて伝えてあるから」
「それにしても冬夜の息子がスポーツをやる気になるとはね。将来楽しみだね」
仕事を取り損ねる羽目になって敗れた営業やら零細企業の社長が肩を落として帰る中、そんな話をしている2人。
17時になるとチャイムが鳴る。
私達は後片付けをして更衣室に行く。
30分後には会社を出なければならない。
「麗華って色んな人と知り合いなんだね」
道香がそう言った。
「あなたも増えるわよ。連休の合宿参加するんでしょ」
「うん」
色んな人が来るから。
多分地元で生きていくには困らないくらいの知り合いが増える。
私は徒歩で帰れる場所に住んでる。
道香は車で通勤してる。
しかし困ったことに私の住んでるマンションの反対の方向にスーパーがあった。
お米などの重たい荷物は光太が休みの日に車で連れて行ってくれるけど簡単な食材は徒歩で買って帰ってる。
スーパーに寄って帰ると光太が先に帰ってる事がある。
光太はもう現場に就いてる。
ただそう遠くない住宅の現場だった。
家ではお互いあまり仕事の話はしないようにしてた。
特別決めたわけでもないんだけど、家の中くらい仕事の事は忘れよう。
そう思っていたのだろう。
夕食を食べて風呂に入ってリビングでテレビを見て時間になったら寝る。
明日の朝にはご飯が炊けてるようにセットしてから寝る。
社会人としての生活に徐々に馴染んでいた。
(2)
「すいません、今日ここに家具取り付けるはずだと思ったんですけど」
家具業者の人に尋ねていた。
「雨で作業が遅れている事くらい分かってるだろ!」
まあ、大体怒鳴られる。
俺が若造と言う理由もあるのだろう。
しかし雨で遅れる分も見越して工程は組まれているはずだ。
今日家具を取り付けてくれないとコーキング業者が二度手間になる。
コーキング業者だってこの現場だけに入ってるわけじゃない。
他の現場にもいかなければならない。
コーキング業者はコーキングした延べ距離で工賃を得る。
何度も通うような時間は赤字の元だ。
大体雨で遅れても家具は工場で作るんだから関係ないじゃないか?
「光太、どうしたの?」
同僚の岡沢克樹がやって来た。
事情を説明する。
「なるほどね~。ちょっくら事務所に行って所長に相談してくるわ」
そう言って克樹は事務所に戻る。
その丁度後くらいにその家具業者が戸棚を持って来た。
「どうします?これから取り付けますか?納期今日ですよね?」
若い作業員が聞いていた。
そして驚くべき返事をその業者の担当は言った。
「いや、今日はもういい。今からやると定時越えてしまう。撤収しよう」
慌ててその業者を引き留める。
「物が出来てるなら今日つけてもらわないと困ります」
俺がそう言うと業者は俺を睨みつける。
「あのね。事務所からこの現場まで30分はかかるの!これから取り付けてたら1時間はかかる。仕事は事務所に帰って片付けてタイムカード押すまで。残業手当が発生するんだよ!」
その分工賃追加でくれるの?
だいたい残業させて怒られるのあんたじゃないの?
志水建設は余程の理由がない限り残業は禁じられている。
例えばコンクリートの打設とかでどうしても終わらせないといけない場合とかだ。
しかし、この件だってそうじゃないのか?
家具を取り付けた後にコーキングする業者はすでにに残業する羽目になる。
もっと前もって持ってこれたんじゃないのか?
俺は説得を試みた。
「うちだってここの現場の仕事だけじゃないんだ。いくつも現場抱えてる。あんたの所にだけ構ってられないんだよ」
すると現場所長が克樹を連れてやって来た。
「いやいや、亀梨君お疲れ様。事情は岡沢君から聞いたよ」
所長に事情を説明する。
「亀梨君、この業者に任せてる家具はどれだけあるんだい?」
「今日持って来たのを入れたら、あと残ってるのは水回りの分ですね」
配管工が急ピッチで作業していると説明した。
「規格の採寸で何とかなりそう?」
キッチンや洗面台等はだいたい寸法が統一されている。
それを元に建築士は設計していくのだから大体は寸法通り収まる。
既製品では物足りないとか間取りの関係でどうしても規格に合わない場合は造り付け家具の業者に発注する。
今回もちょっと戸棚が木目調が良いとかそんな理由で家具業者に依頼した。
寸法上は問題ないと伝える。
すると所長は電話をする。
「はい、そうです。じゃあそのようにお願いします」
所長が電話終わるとにこりと笑って家具業者の担当に言う。
「すいません、今回だけは今日中に戸棚つけてもらえませんか?追加する手間賃はお支払いしますので」
「そ、それならいいけどいいんですか?会社に怒られるんじゃないんですか?」
「今、会社に許可を得たので構いません。岡沢君、コーキング業者探して待ってもらうようにお願いして。割増しで請求して構わないからって」
「了解っす!」
克樹はそう言ってコーキング業者を探しに行った。
「若造分かったか。最初からこうやって頭下げてりゃスムーズに行くんだよ」
まあ、年上だから仕方ないのかもしれないけど、十分工程に余裕持たせて他の業者はきっちりしてるのに、ずぼらな工程管理の挙句偉そうな態度をとってるこの男を怒鳴りつけたい衝動を堪えていた。
それを代弁したのは所長だった。
「今日の作業が終わったら。もううちの現場は良いので他所の現場で頑張ってください」
「え?しかしまだ納品してない家具が」
「ああ、サイズは合うみたいだし、安価だし当社の営業が施主を説得するそうなのでご心配なく」
「そ、その分の代金は?」
「ご心配なく、こちらの都合でキャンセルしたのでちゃんとお支払いします」
それって大損失じゃないのか?
「ただし、以後我が社との取引は中止させていただきます」
それは所長の死刑宣告だった。
納期を守らない挙句、謝罪の一言もない無礼な下請けなど要らない。
何も県内の業者にこだわる必要もない。
この家具業者よりも安い見積もりを出してくる業者は山ほどいる。
政治的取引で地元企業を優先してきたが、最低限度の礼儀もない業者ならこっちも相応の対応をする。
「ふざけるな!皆作業を止めて帰るぞ!」
「どうぞご自由に。そっちがその気ならこの戸棚を持って帰ってもらっても構いませんよ」
その代わり受け取ってない家具なのだから代金は支払わない。
結構な大きさの家具だ。
多分俺の手取りでは足りないくらいの金額だろう。
担当は恐らく自分の会社に電話している。
そしてとりあえず、家具は取り付けて帰るように指示を受けたらしくて作業は行われた。
作業が終ると終了したと告げて帰って行った。
さっきの剣幕は全くなかった。
後の事は大体想像がつく。
しかしその事に同情してる時間もつもりもない。
コーキング業者が丁寧に作業しているのを見守る。
終わったのは21時過ぎだった。
「今日は残業させて悪かったね。ゆっくり休んでね」
「大丈夫です。お先に失礼します」
そう言って家に帰る。
「あ、お帰り」
麗華が玄関にやってきた。
作業中に麗華に遅くなると連絡はしておいた。
ここからは仕事の事は忘れて日常を楽しむ。
後日家具業者の社長が支社に訪れたらしい。
支社長に頭を下げ続けたそうだ。
だが、これが2度目だったことが災いしたらいい。
2度と志水建設の現場に現れる事は無かった。
そしてうちからの受注が全体の8割を超えていたその企業は倒産した。
(3)
「好きです、付き合ってください」
朝教室に呼び出されてからの突然の告白。
ちなみに私には彼氏がいる。
「ごめんなさい、付き合ってる人いるの」
普通に返した。
それが通用する相手だとは思えなかったけど。
「男子なんてどうでもいいじゃないですか!どうせ下半身でしか物事を考えられない下種な生き物なんだから」
その下種な生き物と営みがあるからあなたがこの世にいるんだよ?
そう言ったら分かってもらえるのだろうか?
「ご、ごめん。私そう言う趣味ないから」
「恥ずかしがらないで。女子同志の方が分かりあえることもあります」
そう、彼女は女子高生だった。
いわゆるユリというやつだろうか?
とりあえず名前を考えるのが面倒だからユリって名前にしておこう。
今ユリは私の両手を握っている。
「ユリさんも普通に男子を好きになったらいいんじゃないかな?」
「男なんてみんな下品で汚らしい生き物好きになれるはずがない。それに普通ってなんですか?そんなくだらない縛りに捕らわれてる小山さんを救ってあげたい」
私を救ってくれるならどうか黙って私を解放して欲しい。
だけど何を言っても彼女の気持ちは変わらないらしい。
暫く無駄な問答を続けていると誰かがドアをノックした。
片桐天音。
この学校の最強の問題児。
彼女の存在に上級生も怯えているほどだ。
「面白そうだったから隠れて見てたんだけどな。確認取れたしそろそろ礼香も困ってそうだったから出てきた」
「か、片桐さんには関係ない。これは私と小山さんの問題なんだから!」
「ユリは本当に礼香の事が好きなのか?」
「そうよ!世界中で一番愛してるわ」
ここ女子高じゃないよね?
女子が異常に多いけど。
そんなユリに天音は臆することなく話を続ける。
「じゃあ、誰よりも礼香の幸せを願ってるはずだよな?」
「ええ、それが出来るのは私だけ!」
どこからそんな自信が生まれるのか聞いてみたかった。
だけど天音は首を振る。
「残念だけどそれはないわ。これ見てみ?」
天音は自分のスマホを礼香に見せた。
グループチャットの画面だ。
「小山礼香の彼氏ってそっちにいないか?」
「あ、俺だけど」
「礼香今告白されてるぞ?」
「だ、誰に!?」
「同じクラスの奴に、何か言いたい事あるなら伝えておくけど?」
「礼香は俺の物だ!誰にも渡さない」
私の彼氏・三井優斗のメッセージだった。
あいつそんな嬉しい事言ってくれたんだ。
今度揶揄ってやろう。
「これでわかったろ?2人は今幸せ真っ只中らしい、それを壊すのがお前のやり方なのか?」
好きなら好きな相手の幸せを願ってやるのも一つの方法じゃないのか?
天音が言うとユリは泣きながら教室を去って言った。
「助かった、ありがとう」
私は天音に礼を言う。
「良いって事よ。それより礼香もSHに入らない?」
「入っていいの?」
「悪い理由を探す方が面倒だ」
私はSHに入った。
学校が終わって家に帰ると優斗を揶揄って遊んでいた。
「俺は本気だぞ!必ず礼香を幸せにする」
「多分それは無理だと思うよ」
「お、俺じゃダメなのか?」
「さあね。じゃ、そろそろ寝るね。お休み」
そう言ってベッドに入る。
だって私は今最高に幸せだから。
これ以上の幸せなんて今は考えられなかった。
(4)
今日は親睦遠足の日。
母さんが作ってくれたお弁当と駄菓子屋で買った沢山のお菓子と水筒を持って学校に行く。
冬莉や冬眞と莉子も一緒だ。
学校に着くと冬眞と莉子と別れて3年生の列に加わる。
皆が揃うまで瞳子や誠司達と話をしていた。
皆が揃うと説明があって那奈瀬の公園まで歩く。
公園に着くと皆集合して注意があって自由時間。
お弁当を食べながら話をしていた。
瞳子から卵焼きとから揚げをもらう。
「冴、俺には何かないのかな?」
誠司が冴にねだっていた。
ミートボールをもらっていたようだ。
お弁当を食べ終わるとお菓子を交換しながら食べていた。
お菓子を食べ終えた誠司が先生からボールを受け取ってくる。
皆でボールで遊んでいた。
集合時間になると皆荷物をまとめて集合する。
帰りは皆くたびれていた。
瞳子も喋る気力も無いみたいだ。
何とか校庭に辿り着くと集合して解散する。
冬莉と冬眞や莉子、崇博に歩美も連れて帰る。
崇博と歩美はジュニアカートの練習をしながらキッズカートもやってるらしい。
カートのサイズもスピードも違うんだそうだ。
違うカートで同じサーキットを周回する。
当然ジュニアカートの方が早い。
それはキッズカートに乗った時はっきりとイメージが残るらしい。
それを追い続け新しいライン取りを見つける。
それで差が縮まったと思ったら大間違い。
だってジュニアカートに乗っている時も同じライン取りをするんだから。
そうやって2人は永遠に捕らえる事の出来ないゴーストを追いかけ続ける。
何かの漫画みたいだな。
でもそのイメージは何となくわかる。
僕にも憧れの選手はいる。
その選手の真似を使用と何度もイメージする。
だけどサッカーで同じ場面なんて遭遇する方が難しい。
メビウスの輪から抜け出せなくていくつも同じミスを繰り返す。
希望でも理想でも憧れでもいい、君だけが真実を掴んでいる。
だから儚くて激しくて偽りないそのまなざしを閉じないで。
僕は将来の僕に必ず会う。
夢幻の時を越えて必ず。
「今日11時から見積部の人と面会を予約してたのですが」
「はい、ただいま確認するので少々お待ちください」
電話で確認する。
「すぐ参るそうなので、そちらの4番のブースでお待ちください」
そんな応対を繰り返す。
新年度なので来客も多い。
ぼーっと突っ立ってりゃいいやと思ってたのに全然違う。
立ってるだけでも疲れるのにそれを表に出してはいけない。
いつ来るか分からない来客に対応しなきゃならない。
基本2人1組で応対して交代制を取る。
休憩してる時間ではない。
総務部はありとあらゆる雑務をこなす。
新人の私達でもそれなりのデスクワークが待っている。
受付は来客だけではない。
デスクワークしている間は電話応対をする。
音声は録音されているのであからさまなクレームは来ないけどねちねちとくどい奴はいる。
しかしここは志水建設。
先輩たちはとても親切だ。
「栗林さん。どこから電話?」
「はいあの……」
「構わないからこっちにつないで」
「わかりました」
優しい先輩に電話を回すと先輩は相手を怒鳴りつける。
「お宅の戯言に30分もうちの受付を付き合わせるとは一体何様のつもりだ!?」
こんな感じで一日を終える。
クレーム処理の部門もあるのでそっちにまわしたりする。
そして11時30分になると私と道香は先に休憩する。
決して優遇されてるわけじゃない。
昼休みの間も受付は必要なので時間をずらして交代で休憩する。
休憩時間が終ると業務に戻る。
15時を回ると受付業務は過酷になる。
多分私たちの会社特有のハードな時間帯なのだろう。
私達は17時30分には業務を完全に終了する。
設計部や営業部、見積部が偶に残業するくらいだ。
これらの部門はさすがに時間内労働だけでは納期を守れない。
見積部が仕事をしなかったら仕事を受注できなくなってしまう。
だから役員の許可をもらって残業している。
そうなると下請けも必死になる。
期限ぎりぎりに出来上がった見積書を持ってきたりする。
アポを取ってない突然の来訪なんてよくある話だ。
そして担当はそう言う時に限って出かけている。
その事を伝えると客は激怒する。
客は下請けや孫請けとはいえ、社長やら部長やらそれなりの役職についてるものが多い。
だからプライドもあって私達を見下した態度をとる。
「あんた達は時間になれば帰れるからいいんだろうけど、それに間に合わせる為に我々にどれだけのしわ寄せが来てるのか分かってるのか!」
同じ残業するならもっと余裕をもって持ってくればいいじゃないか。
そんな事を言ってやりたいが、言える立場ではないのでひたすら頭を下げる。
しかし相手も今日が期限。
そう簡単に引き下がらない。
そして相手は1社だけではない。
時間ぎりぎりに大勢の人間が押し寄せてくれ。
「こっちも急いでるんだ!早くしてくれ!」
受付はちょっとした混乱にみまわれる。
そうなることも想定して、もしもの時は待機してる受付にヘルプを求めるようになっている。
道香が今ヘルプを要請していた。
「そんな小者を一々相手する必要ないわよ!」
偶に訪れる志水建設の会長の娘。
酒井善明の母親酒井晶さん。
「不満があるなら仕事を断ってくれてもいいのよ?あんた達の替わりなんていくらでもいる」
「やあ、晶さん。今日はどうしたの?」
「あ、木元先輩。相変わらず雑魚共が騒いでるようね」
「えーと、栗林さんだっけ?何かあったのか?」
晶さんを出迎えに来たらしい支社長の木元和哉さんがやってくる。
事情を説明した。
「アポすらとってないのに随分勝手な言い草ですね」
「し、しかしこっちも期限を守るのに必死で……」
「期限は無理のない様にゆとりを持たせるように指示しているはず。現に他の競合会社はとっくに提出してるよ」
他社に出来て貴社に出来ないのというのはおかしな話。
見積すら期限ぎりぎりになるのならきっと仕事を回しても同じミスを犯す。
だったら貴社に回す仕事はない。
支社長はそう言った。
「あなた一人の為に受付を用意したんじゃない。周りに迷惑を与えている。そんな会社に用はない。お引き取り願おうか」
支社長が言うと肩を落として帰って行った。
「結構ハードな仕事だけどそのうち慣れるから」
支社長は私達にそう声をかけてくれた。
「で、晶さんは今日はどうしたの?」
「ああ、片桐君の息子さんがサッカーの公式戦に出るらしいから渡辺班の皆で応援に行かないか?ってお誘いに来たの」
「それはいつなの?」
「連休中にあるみたい。それなら問題ないでしょ?」
「わかった。スケジュール空けとくよ。花菜には言ってるのかな?」
「大丈夫、アムールを通じて伝えてあるから」
「それにしても冬夜の息子がスポーツをやる気になるとはね。将来楽しみだね」
仕事を取り損ねる羽目になって敗れた営業やら零細企業の社長が肩を落として帰る中、そんな話をしている2人。
17時になるとチャイムが鳴る。
私達は後片付けをして更衣室に行く。
30分後には会社を出なければならない。
「麗華って色んな人と知り合いなんだね」
道香がそう言った。
「あなたも増えるわよ。連休の合宿参加するんでしょ」
「うん」
色んな人が来るから。
多分地元で生きていくには困らないくらいの知り合いが増える。
私は徒歩で帰れる場所に住んでる。
道香は車で通勤してる。
しかし困ったことに私の住んでるマンションの反対の方向にスーパーがあった。
お米などの重たい荷物は光太が休みの日に車で連れて行ってくれるけど簡単な食材は徒歩で買って帰ってる。
スーパーに寄って帰ると光太が先に帰ってる事がある。
光太はもう現場に就いてる。
ただそう遠くない住宅の現場だった。
家ではお互いあまり仕事の話はしないようにしてた。
特別決めたわけでもないんだけど、家の中くらい仕事の事は忘れよう。
そう思っていたのだろう。
夕食を食べて風呂に入ってリビングでテレビを見て時間になったら寝る。
明日の朝にはご飯が炊けてるようにセットしてから寝る。
社会人としての生活に徐々に馴染んでいた。
(2)
「すいません、今日ここに家具取り付けるはずだと思ったんですけど」
家具業者の人に尋ねていた。
「雨で作業が遅れている事くらい分かってるだろ!」
まあ、大体怒鳴られる。
俺が若造と言う理由もあるのだろう。
しかし雨で遅れる分も見越して工程は組まれているはずだ。
今日家具を取り付けてくれないとコーキング業者が二度手間になる。
コーキング業者だってこの現場だけに入ってるわけじゃない。
他の現場にもいかなければならない。
コーキング業者はコーキングした延べ距離で工賃を得る。
何度も通うような時間は赤字の元だ。
大体雨で遅れても家具は工場で作るんだから関係ないじゃないか?
「光太、どうしたの?」
同僚の岡沢克樹がやって来た。
事情を説明する。
「なるほどね~。ちょっくら事務所に行って所長に相談してくるわ」
そう言って克樹は事務所に戻る。
その丁度後くらいにその家具業者が戸棚を持って来た。
「どうします?これから取り付けますか?納期今日ですよね?」
若い作業員が聞いていた。
そして驚くべき返事をその業者の担当は言った。
「いや、今日はもういい。今からやると定時越えてしまう。撤収しよう」
慌ててその業者を引き留める。
「物が出来てるなら今日つけてもらわないと困ります」
俺がそう言うと業者は俺を睨みつける。
「あのね。事務所からこの現場まで30分はかかるの!これから取り付けてたら1時間はかかる。仕事は事務所に帰って片付けてタイムカード押すまで。残業手当が発生するんだよ!」
その分工賃追加でくれるの?
だいたい残業させて怒られるのあんたじゃないの?
志水建設は余程の理由がない限り残業は禁じられている。
例えばコンクリートの打設とかでどうしても終わらせないといけない場合とかだ。
しかし、この件だってそうじゃないのか?
家具を取り付けた後にコーキングする業者はすでにに残業する羽目になる。
もっと前もって持ってこれたんじゃないのか?
俺は説得を試みた。
「うちだってここの現場の仕事だけじゃないんだ。いくつも現場抱えてる。あんたの所にだけ構ってられないんだよ」
すると現場所長が克樹を連れてやって来た。
「いやいや、亀梨君お疲れ様。事情は岡沢君から聞いたよ」
所長に事情を説明する。
「亀梨君、この業者に任せてる家具はどれだけあるんだい?」
「今日持って来たのを入れたら、あと残ってるのは水回りの分ですね」
配管工が急ピッチで作業していると説明した。
「規格の採寸で何とかなりそう?」
キッチンや洗面台等はだいたい寸法が統一されている。
それを元に建築士は設計していくのだから大体は寸法通り収まる。
既製品では物足りないとか間取りの関係でどうしても規格に合わない場合は造り付け家具の業者に発注する。
今回もちょっと戸棚が木目調が良いとかそんな理由で家具業者に依頼した。
寸法上は問題ないと伝える。
すると所長は電話をする。
「はい、そうです。じゃあそのようにお願いします」
所長が電話終わるとにこりと笑って家具業者の担当に言う。
「すいません、今回だけは今日中に戸棚つけてもらえませんか?追加する手間賃はお支払いしますので」
「そ、それならいいけどいいんですか?会社に怒られるんじゃないんですか?」
「今、会社に許可を得たので構いません。岡沢君、コーキング業者探して待ってもらうようにお願いして。割増しで請求して構わないからって」
「了解っす!」
克樹はそう言ってコーキング業者を探しに行った。
「若造分かったか。最初からこうやって頭下げてりゃスムーズに行くんだよ」
まあ、年上だから仕方ないのかもしれないけど、十分工程に余裕持たせて他の業者はきっちりしてるのに、ずぼらな工程管理の挙句偉そうな態度をとってるこの男を怒鳴りつけたい衝動を堪えていた。
それを代弁したのは所長だった。
「今日の作業が終わったら。もううちの現場は良いので他所の現場で頑張ってください」
「え?しかしまだ納品してない家具が」
「ああ、サイズは合うみたいだし、安価だし当社の営業が施主を説得するそうなのでご心配なく」
「そ、その分の代金は?」
「ご心配なく、こちらの都合でキャンセルしたのでちゃんとお支払いします」
それって大損失じゃないのか?
「ただし、以後我が社との取引は中止させていただきます」
それは所長の死刑宣告だった。
納期を守らない挙句、謝罪の一言もない無礼な下請けなど要らない。
何も県内の業者にこだわる必要もない。
この家具業者よりも安い見積もりを出してくる業者は山ほどいる。
政治的取引で地元企業を優先してきたが、最低限度の礼儀もない業者ならこっちも相応の対応をする。
「ふざけるな!皆作業を止めて帰るぞ!」
「どうぞご自由に。そっちがその気ならこの戸棚を持って帰ってもらっても構いませんよ」
その代わり受け取ってない家具なのだから代金は支払わない。
結構な大きさの家具だ。
多分俺の手取りでは足りないくらいの金額だろう。
担当は恐らく自分の会社に電話している。
そしてとりあえず、家具は取り付けて帰るように指示を受けたらしくて作業は行われた。
作業が終ると終了したと告げて帰って行った。
さっきの剣幕は全くなかった。
後の事は大体想像がつく。
しかしその事に同情してる時間もつもりもない。
コーキング業者が丁寧に作業しているのを見守る。
終わったのは21時過ぎだった。
「今日は残業させて悪かったね。ゆっくり休んでね」
「大丈夫です。お先に失礼します」
そう言って家に帰る。
「あ、お帰り」
麗華が玄関にやってきた。
作業中に麗華に遅くなると連絡はしておいた。
ここからは仕事の事は忘れて日常を楽しむ。
後日家具業者の社長が支社に訪れたらしい。
支社長に頭を下げ続けたそうだ。
だが、これが2度目だったことが災いしたらいい。
2度と志水建設の現場に現れる事は無かった。
そしてうちからの受注が全体の8割を超えていたその企業は倒産した。
(3)
「好きです、付き合ってください」
朝教室に呼び出されてからの突然の告白。
ちなみに私には彼氏がいる。
「ごめんなさい、付き合ってる人いるの」
普通に返した。
それが通用する相手だとは思えなかったけど。
「男子なんてどうでもいいじゃないですか!どうせ下半身でしか物事を考えられない下種な生き物なんだから」
その下種な生き物と営みがあるからあなたがこの世にいるんだよ?
そう言ったら分かってもらえるのだろうか?
「ご、ごめん。私そう言う趣味ないから」
「恥ずかしがらないで。女子同志の方が分かりあえることもあります」
そう、彼女は女子高生だった。
いわゆるユリというやつだろうか?
とりあえず名前を考えるのが面倒だからユリって名前にしておこう。
今ユリは私の両手を握っている。
「ユリさんも普通に男子を好きになったらいいんじゃないかな?」
「男なんてみんな下品で汚らしい生き物好きになれるはずがない。それに普通ってなんですか?そんなくだらない縛りに捕らわれてる小山さんを救ってあげたい」
私を救ってくれるならどうか黙って私を解放して欲しい。
だけど何を言っても彼女の気持ちは変わらないらしい。
暫く無駄な問答を続けていると誰かがドアをノックした。
片桐天音。
この学校の最強の問題児。
彼女の存在に上級生も怯えているほどだ。
「面白そうだったから隠れて見てたんだけどな。確認取れたしそろそろ礼香も困ってそうだったから出てきた」
「か、片桐さんには関係ない。これは私と小山さんの問題なんだから!」
「ユリは本当に礼香の事が好きなのか?」
「そうよ!世界中で一番愛してるわ」
ここ女子高じゃないよね?
女子が異常に多いけど。
そんなユリに天音は臆することなく話を続ける。
「じゃあ、誰よりも礼香の幸せを願ってるはずだよな?」
「ええ、それが出来るのは私だけ!」
どこからそんな自信が生まれるのか聞いてみたかった。
だけど天音は首を振る。
「残念だけどそれはないわ。これ見てみ?」
天音は自分のスマホを礼香に見せた。
グループチャットの画面だ。
「小山礼香の彼氏ってそっちにいないか?」
「あ、俺だけど」
「礼香今告白されてるぞ?」
「だ、誰に!?」
「同じクラスの奴に、何か言いたい事あるなら伝えておくけど?」
「礼香は俺の物だ!誰にも渡さない」
私の彼氏・三井優斗のメッセージだった。
あいつそんな嬉しい事言ってくれたんだ。
今度揶揄ってやろう。
「これでわかったろ?2人は今幸せ真っ只中らしい、それを壊すのがお前のやり方なのか?」
好きなら好きな相手の幸せを願ってやるのも一つの方法じゃないのか?
天音が言うとユリは泣きながら教室を去って言った。
「助かった、ありがとう」
私は天音に礼を言う。
「良いって事よ。それより礼香もSHに入らない?」
「入っていいの?」
「悪い理由を探す方が面倒だ」
私はSHに入った。
学校が終わって家に帰ると優斗を揶揄って遊んでいた。
「俺は本気だぞ!必ず礼香を幸せにする」
「多分それは無理だと思うよ」
「お、俺じゃダメなのか?」
「さあね。じゃ、そろそろ寝るね。お休み」
そう言ってベッドに入る。
だって私は今最高に幸せだから。
これ以上の幸せなんて今は考えられなかった。
(4)
今日は親睦遠足の日。
母さんが作ってくれたお弁当と駄菓子屋で買った沢山のお菓子と水筒を持って学校に行く。
冬莉や冬眞と莉子も一緒だ。
学校に着くと冬眞と莉子と別れて3年生の列に加わる。
皆が揃うまで瞳子や誠司達と話をしていた。
皆が揃うと説明があって那奈瀬の公園まで歩く。
公園に着くと皆集合して注意があって自由時間。
お弁当を食べながら話をしていた。
瞳子から卵焼きとから揚げをもらう。
「冴、俺には何かないのかな?」
誠司が冴にねだっていた。
ミートボールをもらっていたようだ。
お弁当を食べ終わるとお菓子を交換しながら食べていた。
お菓子を食べ終えた誠司が先生からボールを受け取ってくる。
皆でボールで遊んでいた。
集合時間になると皆荷物をまとめて集合する。
帰りは皆くたびれていた。
瞳子も喋る気力も無いみたいだ。
何とか校庭に辿り着くと集合して解散する。
冬莉と冬眞や莉子、崇博に歩美も連れて帰る。
崇博と歩美はジュニアカートの練習をしながらキッズカートもやってるらしい。
カートのサイズもスピードも違うんだそうだ。
違うカートで同じサーキットを周回する。
当然ジュニアカートの方が早い。
それはキッズカートに乗った時はっきりとイメージが残るらしい。
それを追い続け新しいライン取りを見つける。
それで差が縮まったと思ったら大間違い。
だってジュニアカートに乗っている時も同じライン取りをするんだから。
そうやって2人は永遠に捕らえる事の出来ないゴーストを追いかけ続ける。
何かの漫画みたいだな。
でもそのイメージは何となくわかる。
僕にも憧れの選手はいる。
その選手の真似を使用と何度もイメージする。
だけどサッカーで同じ場面なんて遭遇する方が難しい。
メビウスの輪から抜け出せなくていくつも同じミスを繰り返す。
希望でも理想でも憧れでもいい、君だけが真実を掴んでいる。
だから儚くて激しくて偽りないそのまなざしを閉じないで。
僕は将来の僕に必ず会う。
夢幻の時を越えて必ず。
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