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3rdSEASON
運命の振り子の幅
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(1)
さて、今朝はどっちから攻めよう?
洋食か和食か?
どっちも食べるからどっちが先でもいいんだけど。
でも最後にコーヒーを飲むとなるとやはり先に和食を攻めるべきか?
それにしても和食に会う飲み物が無いのはどうしてだろう?
ウーロン茶も少し微妙な気がする。
お腹の中に入れてしまえば同じ気もするけど。
そんな事を考えながら学とバイキングに向かうと美希が待っていた。
「学、おはよう」
「美希、どうした?」
先に席取っていてくれてると思ったんだけど。
「席なら海璃達に確保してもらってる」
「何かあるのか?」
「どうせ空の事だから昨日のみたいに延々と朝食で悩んでるだろうと思ったから」
「それで?」
「だから昨夜水奈達と相談した」
その結果さっさと選んで食べて次を取りに行かせた方がいい。
美希の言う通りかもしれない。
とりあえず和食から攻める事にした。
そして席に皆揃って食べ始める。
さっさと食べて次を取りに行く。
それを延々と時間ぎりぎりまで続ける。
「お前達よく食べるな……」
学はコーヒーを飲みながら僕達を見ていた。
食べ放題だから食べないと損だろ?
時間になると部屋に戻って準備する。
そしてスキー場に出ると、昨日と同じ様に滑る。
今日一日滑ってお終いだ。
逆を言うと今日一日は滑ってないといけない。
僕は自由行動を許可されていた。
だから1人でリフトに乗って上まで上がって1人で滑る。
上級者コースといっても色んな人がいるからゆっくり滑る。
もちろん他の客の邪魔にならない程度のスピードで降りていく。
たまにゲレンデに座り込んでいるボーダーがいる。
一般の客もいるんだから色々いる。
リフトに乗ってキスをしているカップルやら、喫煙している客。
リフトの降り場にたむろしている客。
下まで滑ったらリフトに乗って、そして滑る時は黙々と滑る。
そうやって午前中を過ごした。
昼食を食べながら他の皆の様子を聞く。
皆そろそろ中級コースで大丈夫と言われたらしい。
午後からは中級コースで滑るそうだ。
1人で滑っていてもつまらないので、午後からは皆について行くことにした。
1人ずつ少しずつ滑りながら滑っていく。
ゆっくりだったけどそれに合わせた。
そして最後に滑ると全員集合する。
そしてインストラクターが全員で並んで滑る。
皆拍手をしていた。
そうして二日間のスキー講習は終わった。
インストラクターのお姉さんに連絡先を聞いてる生徒がいた。
当然彼女が激怒する。
あとで機嫌を直してもらうのにかなりの時間と労力を必要としたらしい。
僕達はそんな無謀な事をしなかった。
光太たちはやってしまったのを後でSHのメッセージで知った。
言わなきゃいいのに。
「空はどうして聞かないんだい?」
お風呂から戻ってラーメンを食べてる時に善明から聞かれた。
「聞いたら何かあるの?」
普通に返したつもりだった。
相手は年上のお姉さんだよ。
それにインストラクターにとって数ある客の一人にすぎない。
仮に何かあったとしても北海道と九州だ。
高校生には無謀すぎる。
大体前提が間違っている。
綺麗なお姉さん。
ゴーグルや帽子なんかで顔が半分以上隠れている上に紫外線対策等で厚化粧をしている。
ホワイトマジックというらしい。
雪面からの照り返しでしわや輪郭もボケて見える。
理由をあげたらきりがない。それに……。
「水奈を不安にさせる理由なんてないよ」
「なるほどね」
そう言って善明は笑う。
「お前も水奈には気を使ってるんだな」
学がそう言って笑った。
最後くらいはと皆で揃ってラーメンを食べたりパフェを食べたりしてる。
「そんなに難しい事をしてるわけじゃないんだけど?」
心を覗いてるわけでも無いし。
ちなみにうちの班の女子で厚化粧をしてる子はいない。
美希も元々が母親に似て美人だった。
海璃さんも常日頃から食事や精神面に気を使ってるみたいだし水島さんは「どうせ化粧しても汗まみれになったりだからね」と笑ってる。
そう言う水島さんもすっぴんで十分綺麗だ。
美人サッカー選手とかのまとめサイトに載るほどだ。
ラーメンを食べ終わると部屋に戻る。
最後の夜だからもう一杯食べておきたいくらいだけど学が「そろそろ就寝時間だ」というので部屋に戻る。
部屋でテレビを見ながら喋っていた。
1人、また1人と眠ってしまう。
皆が寝静まる頃僕もテレビを消して寝た。
最後の北海道の夜を過ごした。
「大体みんな北海道行ったみたいだし来年の卒業旅行は南にしようぜ」
光太が言う。
卒業旅行は沖縄になりそうだ。
だけどそれはまだ当分先の話。
今はとりあえず明日の東京観光を楽しみにしていた。
(2)
朝になると朝食を食べる。
今日は何から食べようか?
そんな事を考える幸せなひと時。
朝食を食べ終えると荷物をまとめる。
学ランを着ようとすると扉をノックする音が。
学が扉を開けると驚いていた。
「美希!?」
美希が来たみたいだ。
「ちょっと失礼します」
慌ててズボンを穿く男子達を無視して僕を見る。
「やっぱりそんな事だろうと思った!今日は東京で自由行動って忘れたの!?」
ああ、そうだったね。
でも別に学ランでいいじゃないか?
「水奈からメッセージもらったから様子見にきたんだけど、水奈と服を買ったんでしょ!?着替えなさい」
「着替えるから取りあえず部屋の外に出てよ」
「……学、ちゃんと空を見てて!」
美希が部屋の外に出ると急いで着替える。
「君もたいへんだね」
善明がそう言った。
着替えて、荷物を片付けて部屋を出ると学が部屋の鍵をフロントに返す。
全員が揃うとバスに乗って新千歳空港に向かう。
朝が早かったのでバスの中では寝ていた。
真っ白な世界が続いていただけだったせいもあるのかもしれない。
飛行機に乗ると羽田空港に向かう。
飛行機で2時間半くらいの空の旅。
当然皆寝ていた。
こんな五月蠅い中よく眠れるな。
珍しいものを見た。
そっとしておいてやった。
シートベルトを着用して着陸に備える。
着陸すると飛行機を降りる。
そして皆集合すると先生の説明を受ける。
ここから自由行動らしい。
夜まで自由行動が認められていた。
大きな荷物はホテルに搬送してくれるらしい。
それぞれ予定していた通りに自由行動を開始した。
(3)
「高速バス使った方が楽じゃないか?」
学がそう言う。
学が慎重になるほど複雑怪奇な路線図。
見てるだけで思考を放棄しそうになる。
美希がスマホで渋谷までの経路を見ている。
乗り継ぎはそんなにしないでいいから運賃の安い電車にしよう。
美希がそう言うと反対する者はいなかった。
折角だからモノレールに乗りたい。
そんな意見も出たのでモノレールを利用する。
空港から直接出てるらしい。
案内板を見て進む。
大阪に言った時よりも凄い光景を目にしていた。
ここが日本の顔。
ビルとビルの間を縦横無尽に駆け抜ける高速道路に電車の高架。
地下には地下鉄が幾重にも張り巡らされているらしい。
渋谷に着いた。
まずは面倒な事を片付ける。
さらに地下鉄に乗って移動して博物館に行く。
あとは適当に模範的なレポートを書いておけばいいだろう。
さすがにお腹が好いた。
「東京でもラーメンなのかい?」
酒井君が聞いていた。
もう、店は決めてあった。
女子のお目当てのビルにも近いお寿司屋さん。
それなら女子達も気軽に食えるだろ。
価格も安かった。
当然僕はそれだけでは物足りず大トロ炙り丼を頼んだ。
腹ごしらえを済んで満足したら女子の好きなところを周る。
こういう時は女子に逆らわない方がいい。
僕も学も善明も把握していた。
服を見てはしゃいでる女子達。
自分の彼氏に「どれがいいかな?」って聞いてる。
「これなんてどう?」
学達も自分の彼女の好みくらい把握してるらしい。
「わかった」と言って服を取ってレジに向かう。
その後明治神宮など観光スポットを見て回る。
カフェに寄って休憩をしながら散策する。
夕飯の頃合いになる。
そろそろ食べないと時間が間に合いそうにない。
皆で相談する。渋谷で食って帰るかホテルの側で食べるか?
そもそも何を食べる?
今までは僕が食事を選んできた。
ここは他の皆に聞いていたよう。
「海璃、食べたいものはないかい?」
男子は何でもいいらしい。
女子は相談していた。
そして一つの結論に至った。
「気になる店があったんだよね」
どうせホテルのそばには食べるところないし、渋谷で食べて帰ろう。
チーズフォンデュの店だった。
チーズとチョコとキャラメルの3種類のフォンデュが味わえる店。
具材も色々あった。
2時間食べ放題で意外と安い。
しっかり堪能すると、千葉の浦安のホテルに戻る。
地下鉄で行けるみたいだ。
時間までにホテルに辿り着いた。
みんな時間ぎりぎりだったみたいだ。
コンビニでジュースとかを買って帰った。
まるで迷路を彷徨うような初めての東京だった。
(4)
東京らしい旅と言えば旅だったのかね。
また不良に絡まれたりするのかと不安だったけど無事で済んでよかった。
フロントで届いていた荷物を受け取って部屋に入る。
1人ずつシャワーを浴びてテレビを見てくつろぐ。
コンビニで買ったお菓子とジュースで子供ながらの宴会を開く。
扉をノックする音が聞こえた。
学が扉を開けると驚いていた。
「み、美希!」
そんな学をよそに部屋に入ってくる女子。
「一日くらいこういうイベントあってもいいでしょ?」
それから僕達の班は一つの部屋で話をしていた。
そんな時間があったらカレーを食べたい。
空はそう思っていたらしい。
そしてまた誰かがノックする。
女子はベッドに隠れる。
「お前たちの部屋に石原達来てないか?」
先生達にバレたらしい。
こういう時の空は頼もしい。
「来てませんよ」
まったく動揺するそぶりもなく平然と答える空。
先生達が立ち去ると空は美希達に言った。
「早く部屋に戻った方がいい」
空はコンビニで買ったものをいくつか袋に詰める。
「これ持ってコンビニに言ってましたって誤魔化すと良いよ」
「サンキュー」
美希はそれを受け取ると、外に誰もいないことを確認して部屋に戻っていった。
「空は妙に落ち着いてるね」
僕が言うと空は言った。
「こういうパターンも想定していたから」
なるほどね。
「後は明日のテーマパークか」
学が言う。
「空はやっぱり水奈がいなくて寂しいかい?」
「平気だと言ったら嘘になるかな」
空はそう言って笑う。
「でもそう言うのは卒業旅行の楽しみにとってあるんだ」
「なるほどね」
大区の皆も今夜は大人しくしてたらしい。
やはり日本代表のメンバーがいると気を使うのだろうか?
「修学旅行が終ればもう今年もわずかだね」
空が言う。
「今年も無事でよかったよ」
「まだ分からんぞ善明」
修学旅行だって明日何が起きるか分からない。
平穏無事が一番なんだけどね。
そんな事を祈りながら僕たちは早々と寝る。
女子は海がいいか夢の国がいいか相談していたそうだ。
翌日眠そうに朝食にやって来た。
最後の一日がはじまる。
さて、今朝はどっちから攻めよう?
洋食か和食か?
どっちも食べるからどっちが先でもいいんだけど。
でも最後にコーヒーを飲むとなるとやはり先に和食を攻めるべきか?
それにしても和食に会う飲み物が無いのはどうしてだろう?
ウーロン茶も少し微妙な気がする。
お腹の中に入れてしまえば同じ気もするけど。
そんな事を考えながら学とバイキングに向かうと美希が待っていた。
「学、おはよう」
「美希、どうした?」
先に席取っていてくれてると思ったんだけど。
「席なら海璃達に確保してもらってる」
「何かあるのか?」
「どうせ空の事だから昨日のみたいに延々と朝食で悩んでるだろうと思ったから」
「それで?」
「だから昨夜水奈達と相談した」
その結果さっさと選んで食べて次を取りに行かせた方がいい。
美希の言う通りかもしれない。
とりあえず和食から攻める事にした。
そして席に皆揃って食べ始める。
さっさと食べて次を取りに行く。
それを延々と時間ぎりぎりまで続ける。
「お前達よく食べるな……」
学はコーヒーを飲みながら僕達を見ていた。
食べ放題だから食べないと損だろ?
時間になると部屋に戻って準備する。
そしてスキー場に出ると、昨日と同じ様に滑る。
今日一日滑ってお終いだ。
逆を言うと今日一日は滑ってないといけない。
僕は自由行動を許可されていた。
だから1人でリフトに乗って上まで上がって1人で滑る。
上級者コースといっても色んな人がいるからゆっくり滑る。
もちろん他の客の邪魔にならない程度のスピードで降りていく。
たまにゲレンデに座り込んでいるボーダーがいる。
一般の客もいるんだから色々いる。
リフトに乗ってキスをしているカップルやら、喫煙している客。
リフトの降り場にたむろしている客。
下まで滑ったらリフトに乗って、そして滑る時は黙々と滑る。
そうやって午前中を過ごした。
昼食を食べながら他の皆の様子を聞く。
皆そろそろ中級コースで大丈夫と言われたらしい。
午後からは中級コースで滑るそうだ。
1人で滑っていてもつまらないので、午後からは皆について行くことにした。
1人ずつ少しずつ滑りながら滑っていく。
ゆっくりだったけどそれに合わせた。
そして最後に滑ると全員集合する。
そしてインストラクターが全員で並んで滑る。
皆拍手をしていた。
そうして二日間のスキー講習は終わった。
インストラクターのお姉さんに連絡先を聞いてる生徒がいた。
当然彼女が激怒する。
あとで機嫌を直してもらうのにかなりの時間と労力を必要としたらしい。
僕達はそんな無謀な事をしなかった。
光太たちはやってしまったのを後でSHのメッセージで知った。
言わなきゃいいのに。
「空はどうして聞かないんだい?」
お風呂から戻ってラーメンを食べてる時に善明から聞かれた。
「聞いたら何かあるの?」
普通に返したつもりだった。
相手は年上のお姉さんだよ。
それにインストラクターにとって数ある客の一人にすぎない。
仮に何かあったとしても北海道と九州だ。
高校生には無謀すぎる。
大体前提が間違っている。
綺麗なお姉さん。
ゴーグルや帽子なんかで顔が半分以上隠れている上に紫外線対策等で厚化粧をしている。
ホワイトマジックというらしい。
雪面からの照り返しでしわや輪郭もボケて見える。
理由をあげたらきりがない。それに……。
「水奈を不安にさせる理由なんてないよ」
「なるほどね」
そう言って善明は笑う。
「お前も水奈には気を使ってるんだな」
学がそう言って笑った。
最後くらいはと皆で揃ってラーメンを食べたりパフェを食べたりしてる。
「そんなに難しい事をしてるわけじゃないんだけど?」
心を覗いてるわけでも無いし。
ちなみにうちの班の女子で厚化粧をしてる子はいない。
美希も元々が母親に似て美人だった。
海璃さんも常日頃から食事や精神面に気を使ってるみたいだし水島さんは「どうせ化粧しても汗まみれになったりだからね」と笑ってる。
そう言う水島さんもすっぴんで十分綺麗だ。
美人サッカー選手とかのまとめサイトに載るほどだ。
ラーメンを食べ終わると部屋に戻る。
最後の夜だからもう一杯食べておきたいくらいだけど学が「そろそろ就寝時間だ」というので部屋に戻る。
部屋でテレビを見ながら喋っていた。
1人、また1人と眠ってしまう。
皆が寝静まる頃僕もテレビを消して寝た。
最後の北海道の夜を過ごした。
「大体みんな北海道行ったみたいだし来年の卒業旅行は南にしようぜ」
光太が言う。
卒業旅行は沖縄になりそうだ。
だけどそれはまだ当分先の話。
今はとりあえず明日の東京観光を楽しみにしていた。
(2)
朝になると朝食を食べる。
今日は何から食べようか?
そんな事を考える幸せなひと時。
朝食を食べ終えると荷物をまとめる。
学ランを着ようとすると扉をノックする音が。
学が扉を開けると驚いていた。
「美希!?」
美希が来たみたいだ。
「ちょっと失礼します」
慌ててズボンを穿く男子達を無視して僕を見る。
「やっぱりそんな事だろうと思った!今日は東京で自由行動って忘れたの!?」
ああ、そうだったね。
でも別に学ランでいいじゃないか?
「水奈からメッセージもらったから様子見にきたんだけど、水奈と服を買ったんでしょ!?着替えなさい」
「着替えるから取りあえず部屋の外に出てよ」
「……学、ちゃんと空を見てて!」
美希が部屋の外に出ると急いで着替える。
「君もたいへんだね」
善明がそう言った。
着替えて、荷物を片付けて部屋を出ると学が部屋の鍵をフロントに返す。
全員が揃うとバスに乗って新千歳空港に向かう。
朝が早かったのでバスの中では寝ていた。
真っ白な世界が続いていただけだったせいもあるのかもしれない。
飛行機に乗ると羽田空港に向かう。
飛行機で2時間半くらいの空の旅。
当然皆寝ていた。
こんな五月蠅い中よく眠れるな。
珍しいものを見た。
そっとしておいてやった。
シートベルトを着用して着陸に備える。
着陸すると飛行機を降りる。
そして皆集合すると先生の説明を受ける。
ここから自由行動らしい。
夜まで自由行動が認められていた。
大きな荷物はホテルに搬送してくれるらしい。
それぞれ予定していた通りに自由行動を開始した。
(3)
「高速バス使った方が楽じゃないか?」
学がそう言う。
学が慎重になるほど複雑怪奇な路線図。
見てるだけで思考を放棄しそうになる。
美希がスマホで渋谷までの経路を見ている。
乗り継ぎはそんなにしないでいいから運賃の安い電車にしよう。
美希がそう言うと反対する者はいなかった。
折角だからモノレールに乗りたい。
そんな意見も出たのでモノレールを利用する。
空港から直接出てるらしい。
案内板を見て進む。
大阪に言った時よりも凄い光景を目にしていた。
ここが日本の顔。
ビルとビルの間を縦横無尽に駆け抜ける高速道路に電車の高架。
地下には地下鉄が幾重にも張り巡らされているらしい。
渋谷に着いた。
まずは面倒な事を片付ける。
さらに地下鉄に乗って移動して博物館に行く。
あとは適当に模範的なレポートを書いておけばいいだろう。
さすがにお腹が好いた。
「東京でもラーメンなのかい?」
酒井君が聞いていた。
もう、店は決めてあった。
女子のお目当てのビルにも近いお寿司屋さん。
それなら女子達も気軽に食えるだろ。
価格も安かった。
当然僕はそれだけでは物足りず大トロ炙り丼を頼んだ。
腹ごしらえを済んで満足したら女子の好きなところを周る。
こういう時は女子に逆らわない方がいい。
僕も学も善明も把握していた。
服を見てはしゃいでる女子達。
自分の彼氏に「どれがいいかな?」って聞いてる。
「これなんてどう?」
学達も自分の彼女の好みくらい把握してるらしい。
「わかった」と言って服を取ってレジに向かう。
その後明治神宮など観光スポットを見て回る。
カフェに寄って休憩をしながら散策する。
夕飯の頃合いになる。
そろそろ食べないと時間が間に合いそうにない。
皆で相談する。渋谷で食って帰るかホテルの側で食べるか?
そもそも何を食べる?
今までは僕が食事を選んできた。
ここは他の皆に聞いていたよう。
「海璃、食べたいものはないかい?」
男子は何でもいいらしい。
女子は相談していた。
そして一つの結論に至った。
「気になる店があったんだよね」
どうせホテルのそばには食べるところないし、渋谷で食べて帰ろう。
チーズフォンデュの店だった。
チーズとチョコとキャラメルの3種類のフォンデュが味わえる店。
具材も色々あった。
2時間食べ放題で意外と安い。
しっかり堪能すると、千葉の浦安のホテルに戻る。
地下鉄で行けるみたいだ。
時間までにホテルに辿り着いた。
みんな時間ぎりぎりだったみたいだ。
コンビニでジュースとかを買って帰った。
まるで迷路を彷徨うような初めての東京だった。
(4)
東京らしい旅と言えば旅だったのかね。
また不良に絡まれたりするのかと不安だったけど無事で済んでよかった。
フロントで届いていた荷物を受け取って部屋に入る。
1人ずつシャワーを浴びてテレビを見てくつろぐ。
コンビニで買ったお菓子とジュースで子供ながらの宴会を開く。
扉をノックする音が聞こえた。
学が扉を開けると驚いていた。
「み、美希!」
そんな学をよそに部屋に入ってくる女子。
「一日くらいこういうイベントあってもいいでしょ?」
それから僕達の班は一つの部屋で話をしていた。
そんな時間があったらカレーを食べたい。
空はそう思っていたらしい。
そしてまた誰かがノックする。
女子はベッドに隠れる。
「お前たちの部屋に石原達来てないか?」
先生達にバレたらしい。
こういう時の空は頼もしい。
「来てませんよ」
まったく動揺するそぶりもなく平然と答える空。
先生達が立ち去ると空は美希達に言った。
「早く部屋に戻った方がいい」
空はコンビニで買ったものをいくつか袋に詰める。
「これ持ってコンビニに言ってましたって誤魔化すと良いよ」
「サンキュー」
美希はそれを受け取ると、外に誰もいないことを確認して部屋に戻っていった。
「空は妙に落ち着いてるね」
僕が言うと空は言った。
「こういうパターンも想定していたから」
なるほどね。
「後は明日のテーマパークか」
学が言う。
「空はやっぱり水奈がいなくて寂しいかい?」
「平気だと言ったら嘘になるかな」
空はそう言って笑う。
「でもそう言うのは卒業旅行の楽しみにとってあるんだ」
「なるほどね」
大区の皆も今夜は大人しくしてたらしい。
やはり日本代表のメンバーがいると気を使うのだろうか?
「修学旅行が終ればもう今年もわずかだね」
空が言う。
「今年も無事でよかったよ」
「まだ分からんぞ善明」
修学旅行だって明日何が起きるか分からない。
平穏無事が一番なんだけどね。
そんな事を祈りながら僕たちは早々と寝る。
女子は海がいいか夢の国がいいか相談していたそうだ。
翌日眠そうに朝食にやって来た。
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