転生したら異世界最強種族の竜でした

幼少期

私達の可愛い子(アスト視点)

私は今家で卵を腹の横に置いて暖めながらこの子が産まれて来るその時を待っている。

私達の可愛い子。
早く産まれておいで。

私達の間に出来た初めての子供。
私とレオンの間に出来た子。

もう名前は決めてあるよ。

スカイ

早く顔が見たいな。


カタ  コト 

！！

今までもたまに動いていたけど、こんなに動くのは初めてだ！

もうすぐ産まれるのかも知れない！

心臓がばくばくする。

親としての本能が伝えてくる。

産まれるぞ！！って

カタコト パッキ

卵にヒビが入る。

ああやっと会えるんだね！
どんな姿をしてるだろうか。
どんな色をしてるだろうか。
私に似てるかレオンに似てるか。

ああ！どんな姿でもいい！
早く元気な姿を見せてくれ！

パキパキッ

卵の殻が持ち上がる。

ポトッ

横に落ちる。

中から恐る恐るといった様子で顔を覗かせるちっちゃい竜。

「ンキュイー」

目があった。

元気そうだ！良かった！

純粋無垢なその瞳。

目をパチパチさせてこちらを見る小さな我が子の存在がとてもいとおしくて大切にしてあげたくて堪らなかった。

ああ世の中にこれほどまで愛おしい存在が居たのかと。

いや違う私にとってこれほどまでに大事な存在はこの子一人だろう。

また子供が出来れば一人ではなくなるかも知れないが今はただただ目の前の愛おしい存在に目を奪われていた。

しかし、私の愛おしい子供は生まれればすぐに外に駆け出す事がほとんどであるような竜の子供とは違って殻に戻ろうとした。

どうしたのだろうか？もしかして具合いでも悪いんじゃないだろうか？大丈夫だろうか？次々に子供を案じる心がわいて溢れてくる。

そういえばまだ我が子に触れていなかった事を思いだし(大体の竜の親は殻から抜け出し住居を脱走しようとする子を捕まえようとして初めて我が子に触れるものだ。)顔を近づけてその小さな顔をなめた。すると、「キュアッ」と鳴いて再び目があった。

ああ、なんて綺麗で愛おしい。この小さな子を慈しむ心は本能と言っても何ら差し障りのないことだろう。

小さな我が子。君を前にすると愛さずにはいられない。

「本当によく生まれてきてくれたね。心配したよ、私の可愛い子。」

しかし、私の可愛い子はしばらくしても殻から動かず、キューキューと鳴き出してしまった。

様子を見るに何処か具合が悪いわけでも無さそうだが心配であることにはかわりなく、とりあえず自分の側にと思った。

「どうしたの。よしよし、こっちにおいで」

そういって我が子を側に寄せる。そうするとスカイは泣き疲れたように寝入ってしまった。
やはり、少し心配だ。

「ん？生まれたのか！」

スカイの顔を見ているとレオンが帰ってきたようだ。

「うん。そうだよ、見てこんなに可愛い。」

「ああ。本当に可愛いな。けれど、生まれてすぐだというのにもう寝ているのかい？」

すやすやと寝入っている姿は本当に可愛い。
親馬鹿かもしれないが私は天使をこの世に産みを落としてしまったのではないかと思うほどだ。

「生まれてすぐに泣いてしまってね、近くに寄せたら寝てしまったよ。」

「体が弱いのか？」

レオンの言った通り生まれ直ぐに寝てしっまとことは心配になる。
しかし、この子が持って生まれた素質というのだろうか、竜にはある程度存在感や、覇気と言ったものが在るのだがああもちろん修行などを通して後から身につけることもできるが、ある程度生まれたときから持ってる竜は持っているものだ、特に私やレオンみたいな竜の血筋に生まれてくる子は。

「う～ん。体はどうかわからないけどこの子強いよね？」

スカイにはかなりの素質を感じる。

「ああ。大きくなれば今の風の族長も越えるかもしれないな」

レオンにもそれはわかるみたいだ。
だが、風の族長か‥大げさなようにも思うが‥成長次第では届くかも知れないな。
そんな話をしているとスカイが起きたようだ。

「おお！起きたのか！顔を見せてくれ！」

レオンは興奮して迫っていった。
こらこら可愛いのはわかるがスカイが怖がるだろう？

たとえこの子がどんな風に育っても可愛い可愛い我が子には変わりない。
ただ笑顔で、幸せになって欲しい。