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「そのときから、お前は見守ってくれてたよな」
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剣道の試合で大切なことは?
動き続けられる体力? 相手を圧倒させる技?
それとも折れない心――なのだろうか?
板崎さんに弱いと言われた俺が必死に考えたところで、正しい答えが見出せるとは思えない。
単純にそれらが強い奴が勝つと思ったけど、はたして存在するのだろうか?
もしもいたとしても、試合に勝てる保証なんてありはしない。時の運だけはどんだけ鍛えても増大しないからだ。
だとするならば、鍛錬を重ねること自体、無意味なことになってしまうのだけど、そんなことを言っていたら何も始まらない。努力すれば限りなく運に左右されなくなるように成長できる。誰もがそう信じているから、己を鍛え続けているんだ。
試合とは鍛錬の成果を披露する場。
その上で大切なことは――今まで鍛え続けたという自信なんだ。
相手よりも稽古をしてきたという絶対的な自信。
板崎さんはそれが分かっていたから、最終日のとき、俺たちに思い返させたんだ。
あれだけ稽古してきたんだから、どんな相手にも勝てる。
要は重ねた鍛錬の量だけ、俺たちは強くなった――そう思う強い心が大切なんだ。
だから目の前の藤田が猛攻を仕掛けてきても――冷静に対処できた。
「いりゃあああああああああ!」
凄まじい気合とともに放たれた面を俺は一歩下がることで避けた。
俺が不利なのは片腕がないことだが、同時に有利であるとも考えられる。
片腕がない分、バランスさえ保てれば、軽いから素早く動けるんだ。
藤田の攻めは名門の双葉工業のレギュラーなだけあって凄いものだ。
でも攻めのパターンは決まってきた。
得意な攻めしかやらないタイプ――そこが狙い目だ。
藤田が小手を狙ってくる――予想通りだ。
俺は空いている面を狙って打つ。
このとき、持ち手を長く持って間合いを伸ばしたことに藤田は気づいていなかった。
「面ぇえええええん!」
届かないと思いこんでいた藤田。まあ長身だから俺より間合いが長いので、気づきにくいと思う。
打った面は吸い込まれるように藤田に有効打として当たり。
三人の審判は一斉に赤い旗を挙げた。
市立睡蓮高校の部員たちが騒いでいるのが分かる。
そんな中、俺は自分がまた一つ強くなったと確信した。
今までより強くて早い一撃が打てたことに喜びを感じていた。
おそらく藤田は焦っているだろう。
香田先輩の言ったことが頭によぎっているはずだ。
次に一本取らなければ負ける。しかも二本取らなければ引き分けとなってしまう。
だから藤田は崖っぷちに立っていた。一度の失敗も許されない!
「二本目、始め!」
二本目の立ち上がりは意外と静かなものだった。
藤田は無理に攻め立てようとせず、俺の様子を窺っていた。
一本取った優位と勢いを利用しようと思ったが、攻めるとこちらが打たれてしまいそうだ。気をつけなければ……
「藤田、どうした攻めろ!」
「取り返せ!」
双葉工業側から叱咤の声が聞こえる。
確認できないが同じレギュラー連中だろう。
ま、片腕の俺に手間取っている理由が、奴らには分からないんだろうな。
「……いりゃああああああ!」
その声に押されて、藤田が再び気合を入れた。そして攻め始める。
勝負は焦ったらおしまいだが、今度の攻めは焦りではなく、必死さがあった。
今までも本気だったと思うが、後のなさで必死になっていると分かった。
避けたりさばいたりするのにこちらも必死だった。防戦一方になってしまう。
鍔迫り合いになってどんと押された――バランスを崩す。
がら空きになった面を藤田は容赦なく打った。
「――面有り!」
やはり力勝負になると負けてしまう。
改めて自分の弱点を見つめ直す。
今の俺にできること――
ふと俺を見つめる強い視線に気づく。
その方向を見ると――鷲尾がいた。
表情は分からない。どんな気持ちで見ているのかも分からない。
ここで負けちまったら、鷲尾と戦えないな。
そう感じた俺は――竹刀を握り直す。
そして所定の位置に戻る。
俺と藤田。立場も背負っているものも違うけど。
互いに負けられないのは同じだった。
だけど、勝者は一人だけだ。
「三本目――始め!」
俺は藤田が攻めてくる前に、攻めることにした。
「おらぁああああああああ!」
攻めてくるのに待ってばかりじゃあ駄目だ。
受けて避けてさばくのも限界がある。
こっちも攻めるんだ!
藤田が一回打つ間に、二回、三回と打つ!
攻め上手の相手を上回る攻めをしなければ、鷲尾と戦っても負けてしまう。
ここで一歩も引くわけには、いかない!
「いりゃああああああああああ!」
藤田も応じるように攻める。
同時に打って打たれて、なかなか有効打が出ない。
時間だけが過ぎて、もうすぐ終わりが近づいてくる――
「突きぃいいいいいいいい!」
そのとき、藤田が突きを放つ。
伸びやかに放たれたそれは、俺の喉をしっかりととらえている。
避けられないしさばけない。まさに絶体絶命だった。
だから――こっちも放つしかなかった。
「――突きぃいい!」
長身でリーチも長い藤田に対して、先に届くか分からない。
でも柄を長く持つことで間合いはほぼ同じ。
だからこれは、互いの意地をかけた一撃。
過去に重ねた鍛錬による自信で勝負が分かれる!
「――突き有り!」
主審の声が体育館に響き渡る。
挙がったのは――赤い旗。
俺の突きは藤田の面の突き垂に当たって、藤田の竹刀は俺の肩――面布団に添えられていた。
市立睡蓮高校の部員たちが喜び騒いでいる声が聞こえる。内容は分からない。
荒い呼吸を整えて、俺は残心の姿勢を崩して、定位置に戻って、主審の判定を聞く。
「勝負有り!」
◆◇◆◇
その後、俺は双葉工業の副将と大将に挑み、勝利を収めた。
二人は俺と同じ一年生だった。しかし俺が藤田に勝ったことで、すっかり空気に飲まれてしまったようだ。
「お疲れ様! ドリンク飲む?」
「ああ、ありがとう……」
試合を終えて、出迎えてくれた鈴木からスポドリを受け取って飲む。
鈴木は「強くなったね、高橋くん」と感慨深そうに笑った。
「まともに竹刀を振れなかった頃と比べると、本当に強くなったよ」
「そのときから、お前は見守ってくれてたよな」
一気飲みせずにゆっくりとスポドリを飲んでいると、角谷先輩が「やったな、高橋」と褒めてくれた。
「二本目取られたとき、やばいと思ったが、杞憂だった」
「俺もやばいと思いましたよ。負けを覚悟しました」
角谷先輩は「これで一応の面目は立つな」と笑った。
「誰も俺たちを馬鹿にしたりしない。お前のおかげだよ」
「俺だけじゃないですよ。みんなのおかげです。チームの勝利って奴ですね」
そう返すと鈴木は「あは。高橋くん、良いこと言うね」と茶化してきた。
体育館を改めて見渡すと、ざわついていた。
片腕の選手が三人抜きをしたのだ。そりゃあ驚くだろう。
「休憩挟んで、黄桜高校と双葉工業の試合がある。その次がお前にとって本番だな」
「ええ。角谷先輩のおっしゃるとおりです」
「ゆっくり身体を休めておけ」
それだけ言って角谷先輩は他の部員の様子を見に行った。
鈴木は空になった水筒を片付けながら「高橋くんのお父さんたちのところ、行ってみる?」と提案してきた。
「今の試合見たら、きっと少しだけあった不安も無くなったと思うし」
「いいよ。恥ずかしい」
「いいから! ね? 行こう!」
少々強引な鈴木に俺は苦笑しつつ「分かったよ」と頷いた。
「でも鷲尾の試合は見たいからあまり長く話さないぞ」
「そうだね。鷲尾って人、どんだけ強いか興味あるし」
俺は面と小手を片手で持って、竹刀を鈴木に持ってもらって、宛がわれた場所に置きに行く。
藤田という強敵に勝てたことで、自信が出てきた――
動き続けられる体力? 相手を圧倒させる技?
それとも折れない心――なのだろうか?
板崎さんに弱いと言われた俺が必死に考えたところで、正しい答えが見出せるとは思えない。
単純にそれらが強い奴が勝つと思ったけど、はたして存在するのだろうか?
もしもいたとしても、試合に勝てる保証なんてありはしない。時の運だけはどんだけ鍛えても増大しないからだ。
だとするならば、鍛錬を重ねること自体、無意味なことになってしまうのだけど、そんなことを言っていたら何も始まらない。努力すれば限りなく運に左右されなくなるように成長できる。誰もがそう信じているから、己を鍛え続けているんだ。
試合とは鍛錬の成果を披露する場。
その上で大切なことは――今まで鍛え続けたという自信なんだ。
相手よりも稽古をしてきたという絶対的な自信。
板崎さんはそれが分かっていたから、最終日のとき、俺たちに思い返させたんだ。
あれだけ稽古してきたんだから、どんな相手にも勝てる。
要は重ねた鍛錬の量だけ、俺たちは強くなった――そう思う強い心が大切なんだ。
だから目の前の藤田が猛攻を仕掛けてきても――冷静に対処できた。
「いりゃあああああああああ!」
凄まじい気合とともに放たれた面を俺は一歩下がることで避けた。
俺が不利なのは片腕がないことだが、同時に有利であるとも考えられる。
片腕がない分、バランスさえ保てれば、軽いから素早く動けるんだ。
藤田の攻めは名門の双葉工業のレギュラーなだけあって凄いものだ。
でも攻めのパターンは決まってきた。
得意な攻めしかやらないタイプ――そこが狙い目だ。
藤田が小手を狙ってくる――予想通りだ。
俺は空いている面を狙って打つ。
このとき、持ち手を長く持って間合いを伸ばしたことに藤田は気づいていなかった。
「面ぇえええええん!」
届かないと思いこんでいた藤田。まあ長身だから俺より間合いが長いので、気づきにくいと思う。
打った面は吸い込まれるように藤田に有効打として当たり。
三人の審判は一斉に赤い旗を挙げた。
市立睡蓮高校の部員たちが騒いでいるのが分かる。
そんな中、俺は自分がまた一つ強くなったと確信した。
今までより強くて早い一撃が打てたことに喜びを感じていた。
おそらく藤田は焦っているだろう。
香田先輩の言ったことが頭によぎっているはずだ。
次に一本取らなければ負ける。しかも二本取らなければ引き分けとなってしまう。
だから藤田は崖っぷちに立っていた。一度の失敗も許されない!
「二本目、始め!」
二本目の立ち上がりは意外と静かなものだった。
藤田は無理に攻め立てようとせず、俺の様子を窺っていた。
一本取った優位と勢いを利用しようと思ったが、攻めるとこちらが打たれてしまいそうだ。気をつけなければ……
「藤田、どうした攻めろ!」
「取り返せ!」
双葉工業側から叱咤の声が聞こえる。
確認できないが同じレギュラー連中だろう。
ま、片腕の俺に手間取っている理由が、奴らには分からないんだろうな。
「……いりゃああああああ!」
その声に押されて、藤田が再び気合を入れた。そして攻め始める。
勝負は焦ったらおしまいだが、今度の攻めは焦りではなく、必死さがあった。
今までも本気だったと思うが、後のなさで必死になっていると分かった。
避けたりさばいたりするのにこちらも必死だった。防戦一方になってしまう。
鍔迫り合いになってどんと押された――バランスを崩す。
がら空きになった面を藤田は容赦なく打った。
「――面有り!」
やはり力勝負になると負けてしまう。
改めて自分の弱点を見つめ直す。
今の俺にできること――
ふと俺を見つめる強い視線に気づく。
その方向を見ると――鷲尾がいた。
表情は分からない。どんな気持ちで見ているのかも分からない。
ここで負けちまったら、鷲尾と戦えないな。
そう感じた俺は――竹刀を握り直す。
そして所定の位置に戻る。
俺と藤田。立場も背負っているものも違うけど。
互いに負けられないのは同じだった。
だけど、勝者は一人だけだ。
「三本目――始め!」
俺は藤田が攻めてくる前に、攻めることにした。
「おらぁああああああああ!」
攻めてくるのに待ってばかりじゃあ駄目だ。
受けて避けてさばくのも限界がある。
こっちも攻めるんだ!
藤田が一回打つ間に、二回、三回と打つ!
攻め上手の相手を上回る攻めをしなければ、鷲尾と戦っても負けてしまう。
ここで一歩も引くわけには、いかない!
「いりゃああああああああああ!」
藤田も応じるように攻める。
同時に打って打たれて、なかなか有効打が出ない。
時間だけが過ぎて、もうすぐ終わりが近づいてくる――
「突きぃいいいいいいいい!」
そのとき、藤田が突きを放つ。
伸びやかに放たれたそれは、俺の喉をしっかりととらえている。
避けられないしさばけない。まさに絶体絶命だった。
だから――こっちも放つしかなかった。
「――突きぃいい!」
長身でリーチも長い藤田に対して、先に届くか分からない。
でも柄を長く持つことで間合いはほぼ同じ。
だからこれは、互いの意地をかけた一撃。
過去に重ねた鍛錬による自信で勝負が分かれる!
「――突き有り!」
主審の声が体育館に響き渡る。
挙がったのは――赤い旗。
俺の突きは藤田の面の突き垂に当たって、藤田の竹刀は俺の肩――面布団に添えられていた。
市立睡蓮高校の部員たちが喜び騒いでいる声が聞こえる。内容は分からない。
荒い呼吸を整えて、俺は残心の姿勢を崩して、定位置に戻って、主審の判定を聞く。
「勝負有り!」
◆◇◆◇
その後、俺は双葉工業の副将と大将に挑み、勝利を収めた。
二人は俺と同じ一年生だった。しかし俺が藤田に勝ったことで、すっかり空気に飲まれてしまったようだ。
「お疲れ様! ドリンク飲む?」
「ああ、ありがとう……」
試合を終えて、出迎えてくれた鈴木からスポドリを受け取って飲む。
鈴木は「強くなったね、高橋くん」と感慨深そうに笑った。
「まともに竹刀を振れなかった頃と比べると、本当に強くなったよ」
「そのときから、お前は見守ってくれてたよな」
一気飲みせずにゆっくりとスポドリを飲んでいると、角谷先輩が「やったな、高橋」と褒めてくれた。
「二本目取られたとき、やばいと思ったが、杞憂だった」
「俺もやばいと思いましたよ。負けを覚悟しました」
角谷先輩は「これで一応の面目は立つな」と笑った。
「誰も俺たちを馬鹿にしたりしない。お前のおかげだよ」
「俺だけじゃないですよ。みんなのおかげです。チームの勝利って奴ですね」
そう返すと鈴木は「あは。高橋くん、良いこと言うね」と茶化してきた。
体育館を改めて見渡すと、ざわついていた。
片腕の選手が三人抜きをしたのだ。そりゃあ驚くだろう。
「休憩挟んで、黄桜高校と双葉工業の試合がある。その次がお前にとって本番だな」
「ええ。角谷先輩のおっしゃるとおりです」
「ゆっくり身体を休めておけ」
それだけ言って角谷先輩は他の部員の様子を見に行った。
鈴木は空になった水筒を片付けながら「高橋くんのお父さんたちのところ、行ってみる?」と提案してきた。
「今の試合見たら、きっと少しだけあった不安も無くなったと思うし」
「いいよ。恥ずかしい」
「いいから! ね? 行こう!」
少々強引な鈴木に俺は苦笑しつつ「分かったよ」と頷いた。
「でも鷲尾の試合は見たいからあまり長く話さないぞ」
「そうだね。鷲尾って人、どんだけ強いか興味あるし」
俺は面と小手を片手で持って、竹刀を鈴木に持ってもらって、宛がわれた場所に置きに行く。
藤田という強敵に勝てたことで、自信が出てきた――
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