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「一人前の剣士にしてあげてください」
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鈴木が見せてきたのは、俺と角谷先輩たちが稽古している映像だった。
いつの間に撮っていたのかは集中して稽古していたので分からなかった。
しっかりと俺を映している。これなら実際見たのと変わりはないはずだ。
父さんと母さんは映像から目を離さず真剣に見ていた。
初めは心配していたけど、少しずつ固かった表情がほぐれていく。
徐々に安心した顔になって、母さんなんか安堵の涙を流している。
「これが高橋くんの努力です。ご覧になられましたね?」
達也さんが映像を止めた。これ以上はいいだろうという判断だろう。
父さんは「よく分かりました」と言う。
「確かに、歩がきちんと剣道ができるようになったのは分かります。けれど、両腕があった頃より弱くなったのも……」
「お分かりですか。高橋くんのことをよく見ているようですね」
「ええ、親ですから。だから不安は残ってしまいます」
達也さんは「私も親の端くれとして、あなたのおっしゃることはよく分かります」と穏やかに語りだした。ここから説得をするつもりなんだろう。
「しかし高橋くんの頑張りを無碍にしてしまうのはどうでしょうか?」
「努力は認めます。私が言っているのは、危険性のことです」
「どんなスポーツにも怪我をする危険はあります。それに日常生活でも危険はあるでしょう。当たり前ですが」
「ええ、ですからなるべく危険を冒すリスクは無くしたい」
「それでは、高橋くんには一生、スポーツしてほしくないと?」
父さんは「そこまで言うつもりはありません」ときっぱりと否定した。
「ただ、障害者用のスポーツ程度なら許しましょう。ただ剣道はどうも……」
「そもそも、両腕があったときも反対していたんですか?」
「まさか。むしろ応援していましたよ。でも――」
父さんが俺のほうを少しだけ見て、呼吸を整えてから話し出す。
その顔は俺が交通事故に遭って、医者から説明を受けていたときと同じだった。
「歩が事故で片腕を失くしたとき、本当に悲しかった。自分の腕を切り落とせば代われると言われれば、迷わずそうするくらいの心境でした」
「……心から分かりますよ。親としてそう思う気持ちは分かります」
「それ以来、私は息子のためなら何でもしようと決意しました。息子にこれ以上怪我をさせたくないし、酷い目に遭わせたくなかった」
父さんは俺のほうに向き合って「だからこそ、お前には剣道をやめてほしいと思う」と厳しいことを言う。
「歩にとって剣道は大切なことで楽しいものだと分かっている。でもな、父さんは片腕で勝てるとは思えないんだ。そりゃあ勝負に確実はないと分かっているが」
「……俺だって、両腕があった頃のほうが強いのは分かるよ」
俺は父さんが真剣に向き合ってくれていると分かった。
不安とか心配とか、それは当然だけど、親子として俺を大切に思っていることが伝わった。
痛いほど伝わった思いを、俺は言葉にして示さないといけない――
「でも片腕でも強くなれるって、分かってきたんだ。剣道やっていると毎日楽しくて仕方ないんだ。それに鷲尾とのわだかまりを無くしたいんだ。それに――」
横目でちらっと鈴木を見た。
口を挟まずに、黙って俺を見守ってくれている。
「――こんな俺を支えてくれる人や頼りにしてくれる人がいるんだ。片腕を失くした俺でも役立てると分からせてくれたんだよ」
「…………」
「俺はその期待に応えたい」
言いたいことと言えることを一気に言えた。
これ以上、何も言えない。
後は父さんと母さん次第だ。
「……父さん。もういいでしょう」
そう言ったのは、泣いていた母さんだった。
父さんは「お前、本気なのか?」と戸惑っていた。
「ええ。歩がここまで生き生きしているのは、久しぶりです。片腕を失って以来、覇気が無くなってしまったけど、今はこんなに……」
「……それでも、私は」
「父さんの言うことも分かります。でも私は、歩のしたいことをさせてあげたい」
母さんは達也さんに「息子をよろしく頼みます」と頭を下げた。
「一人前の剣士にしてあげてください」
「私は指導者ではありませんが、その旨を必ず伝えます」
「ありがとうございます」
父さんはしばらく黙り込んで、それから俺に問う。
「歩。本当に覚悟はあるのか?」
「うん。あるよ。俺は剣道を決してやめない」
父さんは「私は反対だが」と前置きした。
「母さんに免じて、剣道を続けることを許そう」
「父さん……! ありがとう!」
「だが少しでも怪我したらすぐにやめさせるからな」
ほっと一息ついた俺に「高橋くん、良かったね!」と嬉しそうに鈴木が言う。
「これで剣道、続けられるね! 良かった良かった」
「ああ。お前と達也さんのおかげだよ」
その後、鈴木と達也さんが帰った後、父さんと母さんと話し合った。
話し合うと言っても、今までのことを話しただけだった。
父さんは板崎さんの指導法に難色を示したけど、母さんが宥めてくれたので、何とかなった。
ちなみに父さんは今日、会社の残業をやらなかった。俺が気絶した知らせを母さんから受けて、すぐに飛んで帰ったらしい。会社の人は「いつも遅くまで働いているから」と嫌な顔せず見送ってくれたようだ。これから残業が減ってゆっくりと晩ご飯が食べられると笑っていた。
遅めの晩ご飯を食べ終わった俺は、自室に戻ってスマホを見た。
鈴木にお礼のラインを送って、しばらくすると着信音が鳴った。
返信が早いなと思っていると、鈴木からじゃなかった。
飛田先輩からだった。
『明日、昼休みに少し二人で話せないか?』
明日は水曜日だ。俺は『いいですよ。どこで話しますか?』と返信した。
すると学校の中庭と指名があった。
『分かりました。授業が終わったらすぐに向かいます』
『すまないな。手短に終わらせる』
飛田先輩が話したいことがなんなのか。
両親との話し合いが終わってしまったせいで弛緩してしまった俺は、それを聞くのを失念してしまった。
◆◇◆◇
「よう。悪かったな、呼び出したりして」
飛田先輩が手を挙げて俺に呼びかけた。ベンチに座っている先輩の隣に座って「遅くなってすみません」と頭を下げた。
「移動教室だったもので。それで、話ってなんですか?」
「……板崎さんのことだ」
俺はてっきり剣道部の稽古のことだと思っていたので面食らった思いだった。
「板崎さんがどうかしましたか? もしかして昨日のことですか?」
「ああ、両方ともイエスだ。お前、あの人の過去知っているのか?」
俺は思わぬ質問に「いいえ、まったく知りません」と答えた。
「知っているのは、黄桜高校の三村さんが弟子だったことぐらいです」
「……『弟子殺し』って聞いたことは?」
それは鈴木から達也さんが言っていた、板崎さんのことだ。
俺は「聞いたことはあります」と答えた。
「でも、詳細は知りません」
「俺には叔父がいてな。結構優秀な剣道家なんだ」
突然のよく分からない話に「はあ……」としか言えない。
飛田先輩は「その叔父は顔も広い」と続けた。
「だから剣道の関係者の噂も入ってくる。その叔父から聞いた話だ」
「話って……どんな内容ですか?」
「板崎さんのだよ。あの人は……」
飛田先輩は言いにくそうにしていたが、覚悟を決めて話し出した。
「自分の弟子を殺したらしい」
「えっ……?」
「詳しくは分からねえ。本人に問い質さないとな。でも本当にそうだとしたら――」
飛田先輩は険しい顔で、俺に言う。
「俺たちの身の安全のために、あの人から離れないといけないな」
俺はなんと答えていいのか、まるで分からなかった――
いつの間に撮っていたのかは集中して稽古していたので分からなかった。
しっかりと俺を映している。これなら実際見たのと変わりはないはずだ。
父さんと母さんは映像から目を離さず真剣に見ていた。
初めは心配していたけど、少しずつ固かった表情がほぐれていく。
徐々に安心した顔になって、母さんなんか安堵の涙を流している。
「これが高橋くんの努力です。ご覧になられましたね?」
達也さんが映像を止めた。これ以上はいいだろうという判断だろう。
父さんは「よく分かりました」と言う。
「確かに、歩がきちんと剣道ができるようになったのは分かります。けれど、両腕があった頃より弱くなったのも……」
「お分かりですか。高橋くんのことをよく見ているようですね」
「ええ、親ですから。だから不安は残ってしまいます」
達也さんは「私も親の端くれとして、あなたのおっしゃることはよく分かります」と穏やかに語りだした。ここから説得をするつもりなんだろう。
「しかし高橋くんの頑張りを無碍にしてしまうのはどうでしょうか?」
「努力は認めます。私が言っているのは、危険性のことです」
「どんなスポーツにも怪我をする危険はあります。それに日常生活でも危険はあるでしょう。当たり前ですが」
「ええ、ですからなるべく危険を冒すリスクは無くしたい」
「それでは、高橋くんには一生、スポーツしてほしくないと?」
父さんは「そこまで言うつもりはありません」ときっぱりと否定した。
「ただ、障害者用のスポーツ程度なら許しましょう。ただ剣道はどうも……」
「そもそも、両腕があったときも反対していたんですか?」
「まさか。むしろ応援していましたよ。でも――」
父さんが俺のほうを少しだけ見て、呼吸を整えてから話し出す。
その顔は俺が交通事故に遭って、医者から説明を受けていたときと同じだった。
「歩が事故で片腕を失くしたとき、本当に悲しかった。自分の腕を切り落とせば代われると言われれば、迷わずそうするくらいの心境でした」
「……心から分かりますよ。親としてそう思う気持ちは分かります」
「それ以来、私は息子のためなら何でもしようと決意しました。息子にこれ以上怪我をさせたくないし、酷い目に遭わせたくなかった」
父さんは俺のほうに向き合って「だからこそ、お前には剣道をやめてほしいと思う」と厳しいことを言う。
「歩にとって剣道は大切なことで楽しいものだと分かっている。でもな、父さんは片腕で勝てるとは思えないんだ。そりゃあ勝負に確実はないと分かっているが」
「……俺だって、両腕があった頃のほうが強いのは分かるよ」
俺は父さんが真剣に向き合ってくれていると分かった。
不安とか心配とか、それは当然だけど、親子として俺を大切に思っていることが伝わった。
痛いほど伝わった思いを、俺は言葉にして示さないといけない――
「でも片腕でも強くなれるって、分かってきたんだ。剣道やっていると毎日楽しくて仕方ないんだ。それに鷲尾とのわだかまりを無くしたいんだ。それに――」
横目でちらっと鈴木を見た。
口を挟まずに、黙って俺を見守ってくれている。
「――こんな俺を支えてくれる人や頼りにしてくれる人がいるんだ。片腕を失くした俺でも役立てると分からせてくれたんだよ」
「…………」
「俺はその期待に応えたい」
言いたいことと言えることを一気に言えた。
これ以上、何も言えない。
後は父さんと母さん次第だ。
「……父さん。もういいでしょう」
そう言ったのは、泣いていた母さんだった。
父さんは「お前、本気なのか?」と戸惑っていた。
「ええ。歩がここまで生き生きしているのは、久しぶりです。片腕を失って以来、覇気が無くなってしまったけど、今はこんなに……」
「……それでも、私は」
「父さんの言うことも分かります。でも私は、歩のしたいことをさせてあげたい」
母さんは達也さんに「息子をよろしく頼みます」と頭を下げた。
「一人前の剣士にしてあげてください」
「私は指導者ではありませんが、その旨を必ず伝えます」
「ありがとうございます」
父さんはしばらく黙り込んで、それから俺に問う。
「歩。本当に覚悟はあるのか?」
「うん。あるよ。俺は剣道を決してやめない」
父さんは「私は反対だが」と前置きした。
「母さんに免じて、剣道を続けることを許そう」
「父さん……! ありがとう!」
「だが少しでも怪我したらすぐにやめさせるからな」
ほっと一息ついた俺に「高橋くん、良かったね!」と嬉しそうに鈴木が言う。
「これで剣道、続けられるね! 良かった良かった」
「ああ。お前と達也さんのおかげだよ」
その後、鈴木と達也さんが帰った後、父さんと母さんと話し合った。
話し合うと言っても、今までのことを話しただけだった。
父さんは板崎さんの指導法に難色を示したけど、母さんが宥めてくれたので、何とかなった。
ちなみに父さんは今日、会社の残業をやらなかった。俺が気絶した知らせを母さんから受けて、すぐに飛んで帰ったらしい。会社の人は「いつも遅くまで働いているから」と嫌な顔せず見送ってくれたようだ。これから残業が減ってゆっくりと晩ご飯が食べられると笑っていた。
遅めの晩ご飯を食べ終わった俺は、自室に戻ってスマホを見た。
鈴木にお礼のラインを送って、しばらくすると着信音が鳴った。
返信が早いなと思っていると、鈴木からじゃなかった。
飛田先輩からだった。
『明日、昼休みに少し二人で話せないか?』
明日は水曜日だ。俺は『いいですよ。どこで話しますか?』と返信した。
すると学校の中庭と指名があった。
『分かりました。授業が終わったらすぐに向かいます』
『すまないな。手短に終わらせる』
飛田先輩が話したいことがなんなのか。
両親との話し合いが終わってしまったせいで弛緩してしまった俺は、それを聞くのを失念してしまった。
◆◇◆◇
「よう。悪かったな、呼び出したりして」
飛田先輩が手を挙げて俺に呼びかけた。ベンチに座っている先輩の隣に座って「遅くなってすみません」と頭を下げた。
「移動教室だったもので。それで、話ってなんですか?」
「……板崎さんのことだ」
俺はてっきり剣道部の稽古のことだと思っていたので面食らった思いだった。
「板崎さんがどうかしましたか? もしかして昨日のことですか?」
「ああ、両方ともイエスだ。お前、あの人の過去知っているのか?」
俺は思わぬ質問に「いいえ、まったく知りません」と答えた。
「知っているのは、黄桜高校の三村さんが弟子だったことぐらいです」
「……『弟子殺し』って聞いたことは?」
それは鈴木から達也さんが言っていた、板崎さんのことだ。
俺は「聞いたことはあります」と答えた。
「でも、詳細は知りません」
「俺には叔父がいてな。結構優秀な剣道家なんだ」
突然のよく分からない話に「はあ……」としか言えない。
飛田先輩は「その叔父は顔も広い」と続けた。
「だから剣道の関係者の噂も入ってくる。その叔父から聞いた話だ」
「話って……どんな内容ですか?」
「板崎さんのだよ。あの人は……」
飛田先輩は言いにくそうにしていたが、覚悟を決めて話し出した。
「自分の弟子を殺したらしい」
「えっ……?」
「詳しくは分からねえ。本人に問い質さないとな。でも本当にそうだとしたら――」
飛田先輩は険しい顔で、俺に言う。
「俺たちの身の安全のために、あの人から離れないといけないな」
俺はなんと答えていいのか、まるで分からなかった――
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